転移したらクソ強い奴らがめっちゃいた件 byベジット 作:天下無敵の肩こり
第11話 悪魔
原初の悪魔。
それは、この世が始まりし時から存在から存在していたと言われる闇の根源。
何者にも屈すること無くただ不遜にあり続ける彼の者達はそれぞれ「王」と称され、人が触れてはならぬものとして基軸世界から隔離された冥界にのみ座していた。
ーたったひとりの、魔王を除いては。
「どうやら無視して良いレベルじゃあなさそうだぜ?なぁヴェルザード。」
「そうねぇ…あの子とじゃれ合いができるぐらいだもの。」
氷に閉ざされた大地。その奥地に整然とそびえ立つ白銀の宮殿、「白氷宮」。
目の覚めるような深紅の髪をしたその男。ー名を、ギィ・クリムゾンと言ったーは、近頃世界中を騒がしつつある一人の男に興味を持ったようだった。
「ベジット…ふむん、中々唆られる名をしていやがるな…ちょうどリムルの野郎にも用があったところだ。どれ、見てきてやるとするか」
この日…真の最強と最強が、初めてまみえることになる。
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いよいよ待ちに待たれた開国祭が始まり、ベジットも久々に大手を振って街中を出歩こうとした…のだが。
「アンタの事はほんとに信用できるやつらにしか伝えてないから、あんまり騒ぎを起こすようなことはしないでくれよ!あくまで一般人のフリをしといてくれ、頼むから!」
……
…
強者達が跋扈しているようなこの世界で自分一人が少し無茶をしたところでと当初はその頼みに難色を示したベジットだったが、どうしてもとリムルに頼まれたうえに代わりに自分の魅せ舞台を作ってくれるという約束まで取り付けられ、さしものベジットもそこまでするならと肩をすくめて了承した。
「やれやれ…地球よりも平均的な戦闘力の高さではこの世界の方が上だろうに。そこまで気を回す必要があるのかよ」
自分のことは棚に上げる大雑把な性格もあるが、この世界での地球からの転移者…俗に言うところの「異世界人」達が強大な力と多大なる影響力を持ち、尚且つベジット自身が異世界人の間でかなり顔が割れているということも含めたリムルの留意であったのだが。
そんなことはベジットの知ったことではないし、執務に追われていたリムルが彼にそれを説明する余裕も無かった。
「ま、時間が来るまでまだしばらくあるし、前に見れてなかったとこも含めて適当に見て回るか」
そうして簡単な支度を終え、貸し出されている宿の一室から出ようとしたその時。微かではあるが異質な雰囲気を感じ取ったベジットが立ち止まる。
「…?」
(…何だこの気は。微妙に感じた程度の小さいものではあるが…間違いねえ、こりゃヤバい奴が来てやがるな)
ベジットはその生涯をサイヤ人として戦いに明け暮れてきた悟空とベジータの合体した姿だ。あらゆるものの気の大きさだけではなく、その感じた性質により種類などについても熟知している。
(向こうじゃ知らねえもんだな…だが、こっちに来てから一つだけ似たようなものを感じたことがある。ーディアブロだ。ヤツの気にどこか似ている)
それはほぼ完璧に抑えられており、オーラなどは全く感じず、並大抵のものであれば霧散する自然の気配だとして見過ごしていただろう。だが、ベジットの戦士としての直感と、この世界の法則のどれにも結びつかない特異な感知能力によって、それは観測されることとなった。
確かにそこに「いる」のなら、やることは一つだ。
「…おい。どっかの誰かさんか知らねえが、いつまでも見てねえでとっとと出てきたらどうだ?俺は逃げも隠れもしねえからよ」
「ーへえ、俺の存在に気付くかよ。勘付かれるようなものは全部消してたんだがな」
「はっ、言いやがる。俺を試すような真似をしやがって、良い度胸だぜ」
今まで何も無かったその場所に、突然声が響くと同時。空間が揺らぎ、豪奢な赤髪を揺らして佇むのは長身の男。
「ははは、そう言うなよ。今日はちょっとお前さんに用があって来ただけなんだぜ」
ベジットの皮肉を平然と笑って返したその男。感じられる雰囲気からして、只者ではない、と感じた。
そもそも、姿を現して尚変わらず殆ど気配を感じないのだ。
「圧倒的強者でありながら、妖気を完全に制御できる奴はヤバい。」
というのがベジットがこの世界に降り立ってから得た認識である。
そんな事が出来るのは今まで出会ってきた強者でもほんの一握りーリムルやディアブロなど、ごく僅かにしかいなかったのだ。であれば、この男も。
「強いな。あんたもしかして、ディアブロのお仲間だったりするのか?」
「ふむん。ディアブロ、と言う名は聞き覚えがないが…そも俺達には元々名前が無いからな。ややもするとそういう事なのかもしれん。そこら辺も後で聞くとしようや」
「そういや俺に用があるって言ってたな。ー良いぜ。ちょうど俺も暇してたところなんだ。自己紹介やらも…場所は用意してくれてんだろ?とにかく移動した方が良さそうだしな」
「話が早くて助かるぜ。やっぱ強ぇ奴は頭も切れてくれるな」
初対面にも関わらず、互いを強者として認めて意気投合した「最強」同士。男の居城へと繋がる転移門を潜り抜けたベジットは、そこで多くを知ることになる。
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辿り着いたその先広がっていた光景は、圧巻の一言であった。
「ほえ〜、すげえなこりゃ。めちゃくちゃ広いじゃねえか、これ全部氷でできてやがんのか?」
「まあな。ここは一体は俺の連れのお陰で普通の生命体じゃ生きていけねえような環境になってるからよ。ま、俺たちには何も関係ないことではあるがな」
「連れ…か。そういや氷の大陸には姉貴が居るんだって、アイツが言ってたっけ」
「うふふ、やっぱりあの子のお友達だったのね。」
ふわりと会話する2人の側に舞い降りたのは、白金の髪色をした幼い姿の女性。
「お前の予測は当たってたってわけだな、ヴェルザード。」
「なるほどな。じゃああんたがヴェルドラの姉貴の"白氷竜"ヴェルザードってことか。さっきギィには名乗ったが、俺はベジットだ。あんたの弟には世話になってるぜ」
「あらあら、本当に仲が良いのね。姉として、あの子に良いお友達ができたのは喜ばしいことだわ」
(なんかヤバそうだったんでヴェルドラアイツがビビり散らかしてることは伏せていたが…こりゃ正解だったみたいだな。得体の知れなさが半端ねぇ。身震いするぜ)
強者としてより、身内としてある意味「強い」女性にはベジットも苦手とするところ。ヴェルドラから受けた愚痴や弱腰でも受け取れる本音もさもありなんとした。
「さて、そんじゃ本題に入るとすっか。まぁ座ってくれや」
ギィが席へと着くよう促すと、青髪と緑髪の給仕と思しき二人組が紅茶や菓子を配し終え、恭しく頭を垂れながら下がっていく。
(あいつらも相当強いんだろうが…やっぱりこいつは格が違うな)
一見するとムラがあり掴みどころのない気配。それこそが目の前にいる男の凄まじさを物語っている。そして余裕を感じさせるその態度からも。
(まぁ、なるようになりゃいいだろ)
ー強者としての余裕。それはベジットにも共通していた。底抜けに楽観的に、世界最強へと臨むのであったー
前話の更新忘れてただけって話、する?