転移したらクソ強い奴らがめっちゃいた件 byベジット 作:天下無敵の肩こり
第6話 御前試合
闘いは、ベジットの挑発から始まった。
「貴様たち2人でかかってこい。それでちょうどいいハンデだ」
舐められたものである。人一倍に強者としての矜持を持つベニマルの眉が、ピクリと動いた。
「なんだと…?」
そこでベニマルに声をかけたのが、ハクロウであった。
「若。ここはお客人の胸を借りることと致しましょうぞ。リムル様の御前でもあります故、見栄え良く闘うのがよろしかろうて」
ハクロウの言を受けて、ベニマルはしばしの間、黙考する。
「…そうだな。 個人的な試合でない以上、こちらの都合を押し付けるのは筋違い、か」
どうやら結論は出たらしい。待ち切れないとばかりにベジットが催促するように言い放つ。
「問題はなさそうだな。さっさとやろうぜ」
ここでハクロウからベジットへ投げ返しの言葉がかけられる。
「我ら2人でというのは構いませぬが…お客人、怪我をしても知りませぬぞ?」
対するベジットは余裕の笑みを返す。
「気にすんな。俺はそんな柔じゃねえからよ」
「左様ですか。ほほほ…いらぬ心配じゃったわい」
お互いの方針が決まった。もう言葉は不要とばかりに、
1枚の木の葉が宙を舞った。
刹那、押し出された白刃による斬撃によって、それは細切れにされることとなる。
「おっと…まるで気弾みてぇだな」
続けざまにベジットを襲ったのは複数の飛ぶ斬撃。
一流の技量とそれを支える剛力が無ければ、到底成し得ない離れ業だ。
ベジットはまるで見えていたかのように全てを半身で避けきり、流れるような足捌きで2人との距離を詰める。
「シッ!」
気合一閃、刀を戻していたベニマルの神速の居合斬りが放たれた。
剣術における初動、己の間合いを把握しておくことで
たとえ距離を一気に詰められたとしても、正確に斬撃を放つことができるのだ。
ーあくまでこれは「当たる」までの話だが。
ベニマル渾身の一刀は、ベジットの左人差し指一本によって押し止められていた。
「なっ…ぐっ!」
…動かない。否、動かせないと言ったほうが正しいか。
まさしく指一本で抑えられたその事実に、ベジットの強さをある程度見極めていたとは言え、瞠目する。
「いやはや、これほどまでとはのう」
軽口を叩くような口調とともに、右下から抜き身の斬撃が放たれた。
斬った。間違いなくその感触がハクロウにはあった。
だがベジットは視線すら動かしていない。
「なるほどな。…気で抑えられるぐらいなら、一太刀ぐらい浴びてもいいかと思ったんだが…」
「俺の闘気を断片的とは言え切り裂いたか。流石だな」
濃密な気に覆われたベジットの身体にはキズ一つ付いてはいなかった。
「やれやれ、斬っても切れぬお方との闘いほど、やりがいを感じられぬものはありませぬな」
ハクロウが半ば投げ出すように告げ、ベニマルもそれに同調するかのように言った。
「降参だ。…どうやらアンタは、「あっち側」の人だったらしい」
潔く引き下がる2人の武人の姿に、ベジットもまた笑みを返す。
「結構楽しめたぜ。これがこっちの剣術ってもんか、勉強になった」
こうして、唐突に始まった試合は決着となった。
一方それを黙って見ていたリムルはと言うと。
(…ベジット、やべ〜!!)
想像と期待を裏切らない圧倒的な強さに戦慄していた。それと共に、幼い頃ながら子供心に憧れを抱いた無敵の戦士の姿に、ニヤケそうになるのを必死になって抑えていた。
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ベジットとベニマル&ハクロウの試合は意外と呆気なく終わった。
だがその呆気なさが、かえって大きな反響となり、戦士達の間で大きな話題となった。
「何者なんだあいつ…ベニマル様の太刀を指一本で受け止めていやがったぞ」
「未だにこの目で見たことが信じられねぇよ…あの鬼の指導教官に斬れないものなんてあったのか!?」
…など、まさに喧々囂々な様相である。
話題の当事者であるベジットは、国王であるリムルと共にさっさとどこかへ言ってしまった。
ーもっとも、槍玉に上げるにはおっかなさすぎる威圧感を放っていたため、近寄ることすら出来なかったのだが。
とにもかくにも、突然現れた最強戦士の話題は尽きることがなく、市井にまで広まっていくのだった
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試合を終えたベジットは、ベニマルやハクロウに礼を言い、その場を後にした。
どうやら思うことがあったようで、ベジットは闘いの感想を独り言のように呟いた。
「これまで剣を扱うやつとも何度か戦ってきたが、あいつらはその中でも一番の使い手だった」
「マジで?」
「ああ。単純な力とは別の、極められた技というやつか。ああいった代物は、俺達の世界じゃそう見られるもんじゃない…参考になったぜ」
「あのベジットに認められるなんて…羨ましいぞお前ら…」
「さっきからなんか気持ち悪いぞお前…」
ベジットからしてみれば見知らぬ相手であるはずのリムル。
なぜここまで過剰なまでに持ち上げられているのか理解できないのは当然だ。
「まぁまぁ、そこら辺についても今から話すからさ。あんたのことを共有したいやつもいるし、取り敢えず付いてきてくれよ」
訝しがるベジットをなだめながら、リムルは今日の最終目的地である自身のアジト…もとい地下迷宮へと向かったのだった。
ー地下迷宮。
それは来る開国祭というビッグイベントにおいて、決して外す事は出来ないものである。
地下闘技場のような言ってしまえば凡百の域を出ない争いの場とは違い、ここでは挑戦者の真の実力が試されると言っても過言ではないだろう。
そんな迷宮で今か今かとリムル達を待ち侘びているものこそが、名実と共にこの国における最強と目される「竜種」、
『暴風竜』ヴェルドラであった。
「クックック、まさか聖典の中から現れたとでも言うのか。にわかには信じられぬが、一目見れば分かるだろうて。」
「我以上に「最強」の称号を欲しいままにする貴様の力、とくと見せるがいい。クアーハッハッハッ!!」
嵐の前の静けさを感じさせる大迷宮に、邪竜の哄笑が響き渡った。
ご指摘いただいてから、できるだけ文字数増やすようにしてます…けどもうちょっと足りないな…どうしよう