女神転生が存在しない現代に悪魔が現れたら   作:ネコマタ推し

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初戦闘

 魔都と化した東京の大地を練り歩く。悲しくもこの大地は魔界同然、いやそれ以上の地獄になってしまった。

 この状況下で第一に考えるべきことは自分の安全だ。その為には悪魔という危険な存在と戦って強くなるしかない。この地を支配する法則は力だ。

 というわけで外出している。じっとしているより動いた方がエンカウント率も上がるだろう。

 

「すぅー………」

 

 外の冷たい空気を肺一杯に吸い込んで深呼吸する。外の様子はいつもの東京そのものだ。悪魔がいるなんて思えないほど静かだ。

 今は買い出しも終えて路地裏を探索しているが悪魔なんて全く出てこない。

 もしかしてケットシーが嘘を言ってたんじゃ?悪魔だしありえるな。アイツが出て来たのは『COMP』という転生特典由来だし、悪魔がそこら辺から湧いて出るみたいなことはないん「なんだあれ!?」

 

 大声が鼓膜を貫いた。

 まさか!

 早速、声がした方向に向かってみる。

 

「悪魔のコスプレ?」

「でも空を飛んでるぞ」

「なんかのイベントか?」

 

 そこには黒い肌に、2本の角、蝙蝠の翅、矢印型の尻尾、大きなフォークを持ったTHE悪魔といった感じの悪魔がいた。野次馬達はそれを見て呑気に撮影している。

 明らかにまともな生物の見た目じゃない。

 念のため『COMP』を構えて『アナライズ』も行う。

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

【NAME】

『夜魔』ダイモーン(レベル7)

【耐性】

『雷撃・破魔弱点』『火炎耐性』『呪殺無効』

【スキル】

『メッタ裂き』:単体に小威力の物理属性攻撃。命中率が低い。

【ユニークスキル】

『呪殺の増幅』:自身より呪殺属性のスキル適性が低い味方は自身と同等まで適性が上昇する。

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 やはり悪魔だったか。というか悪魔の癖に一般人にも見えてるんですね。もしかしてデビサバ的な世界なのかな?

 それはともかくケットシーだけじゃ心細いし、コイツも仲魔にしたい。

 いや倒すのも悪くないな、経験値になるし。

 うーむ、悩ましい。とりあえず相手の出方次第だな。

 

「イヒー!肉が大量二集まッて来タぁ!食ベ放題!」

 

 ダイモーンは絶叫しながら野次馬達を襲い始めた。容赦ないフォークの刺突によって血が舞い散る。

 まあ悪魔だからそうなりますよね。

 じゃあ止めるか。早速、悪魔召喚プログラムを起動する。

 

「行くぞケットシー」

 

「え!?吾輩ってば死にかけニャんですが。『ディア』をかけるか『魔石』をくれないかニャ?」

 

 そういや忘れてた、コイツは僕との戦いで死にかけになっていたんだ。

 さて、どうしようか。

 

「まず魔法は『トラフーリ』しか覚えてないし持ち物はないよ」

 

「え!?『トラフーリ』だけって流石に雑魚すぎニャ!にゃあ死んだ場合とかって………」

 

 小声だろうと雑魚という発言はしっかりと聞こえているぞ。そして、お前も人の事は言えないだろうスキルなしがよ。

 それはともかくとして僕が『リカーム』系の魔法を覚えていない以上、答えは1つだ。

 

「お前を仲魔から外す」

 

「容赦がないニャ!サマニャ―!」

 

 問答している間にも野次馬はダイモーンによって傷つけられている。時間はあまりないぞ。

 偶然、近くにいた警官も悪魔相手に銃撃を行うのか奴には通用してないようだ。そして『メッタ裂き』にされて肉片へと姿を変える。

 どうやら、この手の御約束なのか霊的生命体である悪魔には通常の攻撃が効かないらしい。つまり対抗するには悪魔を殴れる僕と悪魔であるケットシーの力が必要だ。

 

「まぁまぁ、そんなこと言わずにさ。ほら、ちくわをやるから」

 

「ちくわって!?………吾輩の命はその程度ですニャ!」

 

 ケットシーは声を張り上げる。どうやら練り物で命を懸けない程度には賢いようだ。だが未だに自分の立場を理解してない程度には愚かだ。

 これはサマナーとして「教育」が必要だな。というわけで笑みを浮かべながらトンファーを取り出して、ソレをコイツ(ケットシー)の脳天に添える。

 

「2つに1つだ。ここで僕に殺されて経験値になるか、悪魔と戦うかだ。さあ選べ」

 

「ニャ~!それって選択肢はないニャ!都会に来て悪い大人に騙されたニャ~!」

 

 ようやく気付いたか。鈍い猫だ。

 そしてお前は騙されたんじゃなくて、僕を殺そうとして返り討ちにあったんだぞ。そこんところを忘れないでほしい。

 

「まあ指示にさえ従えば安全になるようにするから、さあ行くぞ!人命優先だ!」

 

「仲魔の命を優先してくださいニャァ!」

 

 ちくわを咥えたケットシーを物陰に隠れさせてから、僕は虐殺を続けるダイモーンの前に立つ。周囲の野次馬からは止められそうになるが彼らは只の人間なので僕の動きを捉えることはできない。なんだかんだでレベル10は強いのだ。

 

「イヒ?人間が死に二キタかぁ?………イヤ悪魔とつるンでるマグネタイトの匂いがスるぜぇ。たダの人間じゃネぇな!」

 

「ああそうだ、デビルサマナーとしてお前の蛮行を止めにきた!」

 

「イヒヒ!やれるもんならやってみな!」

 

 そうして戦いが始まった。フォークによる刺突が迫りくるも、それをトンファーでいなしてからダイモーンの頭部を滅多打ちにする。すると奴の体が傷つきマグネタイトが漏れだす。

 良い滑り出しだ。これはケットシーなんかいらないかもな。じゃあご褒美のサンマは無しでも良さそうだ。

 

「チィッ!やるじゃねぇか!」

 

「そりゃどうも」

 

「じゃあこれはどうだ!『メッタ裂き』!」

 

「………グッ!」

 

 この攻撃も何とかいなしたがトンファーが耐えきれなかった。そのまま得物(トンファー)が壊れてしまう。

 クソ!バッグから予備の武器である模擬刀を取り出す。

 レベルは(7)より(10)の方が上なのにスキルの差で上回られてしまった。やっぱ『トラフーリ』だけだと苦しいって。戦闘用スキルが欲しい。

 

 さて、どうしようか。ぶっちゃけスキルを使ってコレならタイマンでも勝てるがコッチも少なからず手傷を負ってしまうな。回復手段がない現状でソレ(手傷)は避けたい。

 

「俺様ノスキルを耐えるとハな!ソノしぶトさに免じて降参すルなら楽に殺しテやるゼぇ!」

 

「そっちこそ仲魔にならないなら殺しちまうぞ!」

 

「ギャハハ!オもしレぇ冗談だ!僕が誰に殺サれるって?」

 

「自己紹介を忘れたのか!?僕は悪魔召喚師(デビルサマナー)だ!さあやるぞケットシー!」

 

「ま、マサカ仲魔を!」

 

 そう言って僕は『COMP』を構える。するとダイモーンの視線はソレ(COMP)に集中する。もちろんブラフだ。そしてこれは合図でもある。

 奇襲するなら最高のタイミングだ。さあぶちかませ!

 

「死ねニャァ!」

 

「なにぃっ!」

 

 物陰に潜伏していたケットシーが背後からダイモーンに襲い掛かる。そして自らの剣を奴の体に突き立てる。無警戒な場所からの奇襲、これは効いただろう。クリティカルダメージだ。

 

「グッ!野郎!」

 

 ケットシーの攻撃で出来た隙をついて僕も攻撃に参加し、ダイモーンを膾にする。

 ちなみにダイモーンは仲魔にはしない。よく考えたらコイツは人を傷つけている。これで仲魔にしたら責任は飼い主である僕のものになってしまう。なので経験値ルートだ。それに物理キャラはお腹いっぱいです。出来ることならヒーラーか魔法使いが欲しい。

 

「ギャアアア!」

 

 ダイモーンは断末魔を上げると奴の体は粉に、つまりは『マグネタイト』へと変換されて『COMP』の中へと吸い込まれて行く。

 つまり僕らの勝ちだ。

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 ●ケットシーのレベルが7に上がった!

 新しく『ディア』を覚えた。

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「ニャんか新しい技を覚えた気がするニャ!」

 

「ああ、『ディア』だそうだ」

 

 僕は『COMP』からの通知を見ながらそう言う。いいなぁ。

 しかし回復魔法の『ディア』を覚えたのは偉いぞ。これでヒーラーの枠も埋まった。後でちゅーるをあげよう。

 

「じゃあ僕に『ディア』だ。その後は自分の体を癒せ」

 

「了解ニャ」

 

 そうして回復魔法の光と温かい感覚が僕の体を包み込んでいる。頭部からの出血も一瞬で治癒した。これが魔法の力、凄まじいな。

 

「しかし逃げれる状況だったのに逃げなかったんだな。偉いな」

 

「仲魔になると誓ったからニャ。こう見えても吾輩は義理堅いんですニャ」

 

 ま、逃げても無駄だったけどな。その場合は『トラフーリ』で戦線離脱して追いかけてボコボコにして上下関係を徹底的に植え付ける気だったけど。

 今回の戦いはケットシーの忠誠度を試すテストの意味合いもあった。結果は無事に合格だ。

 

「おう、ご褒美にサンマをやるよ」

 

「ニャんと!」

 

 忠誠には相応の対価を払わないとな。そこをぞんざいに扱うと裏切られるかもしれない。

 なので買い出しで購入した生のサンマをケットシーに与える。すると奴は嬉しそうにサンマを頬張る。

 

「サマニャ―、これで治癒が終わったニャ!」

 

「まだMPに余裕はあるか?」

 

「あるニャ!」

 

「じゃあ別の場所で悪魔を狩るぞ」

 

「お任せあれニャ!回復した吾輩は100人力ニャ!」

 

「頼りにしてるぞ。じゃあ『COMP』に戻れ」

 

 そうして準備をしていると何者かが野次馬をかき分けて近づいてきた。アレは………警官か。さっきの悪魔にやられた人とは別だ。騒ぎを聞きつけて来たのか。

 そして彼はこちらに近づいてきた。あまり時間を取らせないでほしいな。

 

「通報があってきました。それで、これは君がやったの?」

 

 警官は一連の惨状を指してこう言う。辺りには怪我人が大勢いる。彼らも『ディア』で回復させたいがMPが惜しいのでパスだ。ごめんな。

 それはともかく警察目線だと明らかに何か知ってそうな僕に事情聴取したくもなるよな。

 

「いいえ、ですが原因は取り除きました。じゃあこれで」

 

「いや、それで納得すると思う?思わないでしょ」

 

「待ってください!」

 

 早く悪魔を狩りたいなぁ。そう思っていると野次馬の一人が会話に割り込んできた。なんすか?

 

「その人は恐ろしい怪物から私達を守ってくれたんです!だから悪人じゃありません」

 

「だけどねぇ、そう簡単にはいかんのよ。それにその手に持ってるのもねぇ」

 

「模擬刀の所持自体は銃刀法違反に抵触しません」

 

「それは何のために持ち歩いてんだい?正当な理由がないと法律違反だよ」

 

「悪魔を倒しに」

 

「なにをいってるんだね君は。それが正当な理由なわけないだろ」

 

 まあそうなるよね。

 少し前までは悪魔がいない世界なんだから警官の言うことが正しい。

 反論できんわ君の負けやスマンかった。

 

「警官にふざけた態度を取るのもいい加減にしなよ。とりあえず参考人として署まで来てもらおうか」

 

「それって長くなります?」

 

「そりゃねぇ、刀を使って人を怪我させたんだからね」

 

 なんかいつの間にか冤罪を押し付けられたでござる。それをやったのはダイモーンだぞ。

 まあいいか、逃げれば関係ない。

 

「じゃ、断ります。『トラフーリ』」

 

「ちょ、まっ!」

 

 魔法(トラフーリ)を使って近くのビルの屋上へと瞬間移動する。

 生まれて始めてこのスキルが役立った気がする。ちょっと感動。短距離ワープとか絶妙に使いにくかったもんな。

 さてと、これからどうしたものか。

 

 強くなるには悪魔を倒す必要がある。だが警官がいては悪魔討伐(デビルバスター)がやりにくい。今回みたいな例はもちろん、悪魔討伐に赴いても辺り一帯を封鎖されてしまうかもしれない。

 なら国に悪魔討伐を認めさせればいい。そうすれば警官が邪魔者から味方になる。それにYHVHのオーダーである人間を導くも達成できる。いいことしかない。

 じゃあ早速、動くか。僕は()()()()にメッセージをしたためる。彼ならばなんとかしてくれるかもしれない。まあ悪魔が都心で暴れている状況を考えると反応してくれるかは分からないが。

 

「じゃあ行くか」

 

 メールを送った後、僕はビルからビルへと飛び乗る。

 仲魔にする奴はパーティバランスを考えて魔法が使える奴がいいな。今のパーティは物理担当の僕と回復担当のケットシーの2枚構成だからな。少しばかりバランスが悪いし、そもそも戦力も足りない。流石に後2体は仲魔が欲しい。そうすればもっと効率よく悪魔を狩れる。

 

「えーと、東京 練馬区 謎の生物 場所と」

 

 疾走しながらスマホで悪魔がいそうな近く(練馬区)の場所を調べる。すると東京の各地で悪魔らしき存在達が暴れていることがわかった。

 早速、向かうか。

 

「出番だ、ケットシー」

 

「はいニャ!」

 

 目的地近くのビルから飛び降りる。もちろんこのままでは落下死するので着地する前に『トラフーリ』でワープして慣性をキャンセルする。

 そして『COMP』を構えて悪魔に向けて『アナライズ』を行う。

 

「グゲゲ!」

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

【NAME】

『外道』スライム(レベル1)

【耐性】

『火炎・氷結・電撃・衝撃・破魔弱点』『毒耐性』

【スキル】

『突撃』:単体に小威力の物理属性攻撃。

【ユニークスキル】

『死に至る病』:味方全体は状態異常の敵に対して命中率とクリティカル率が上昇する。

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 うーん、ナシよりのナシ。というかレベルが低すぎだし弱点も多すぎなんだわ。肉壁にもならん。

 じゃあ死んでくれる?

 

「グギッ!!!」

 

 落下する勢いを利用して奴の体を踏み潰す。レベル差と物理弱点なのもあって脆いな。

 (スライム)のマグネタイトが『COMP』に吸収される。案の定、雑魚だった。

 そして今回はレベルアップもなしか。

 

「吾輩の出番はどこニャ?」

 

「まあそんなこともあるさ。それで話は変わるんだが強い仲魔はいないのかねぇ?」

 

「サマニャ―、吾輩がいるニャろ」

 

「お前も頼りにしてるけど、一番は仲魔の数を増やしたいんだわ。手数が足りない」

 

ケットシー(猫の手)すら借りてるくらい忙しいニャからな」

 

「うっせ」

 

 僕らがくだらない雑談に興じていると車のエンジン音が近くから聞こえた。

 なんだぁ?

 

「うわああ!暴走車両だぁ!」

 

 声がした方向を振り向く。

 すると自動車が僕らを引き殺さんと迫っていた。

 えぇ………悪魔ですら面倒なのに人間も相手にしなけりゃならんのか。

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