女神転生が存在しない現代に悪魔が現れたら   作:ネコマタ推し

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 ちょっとしたホラー演出があります。お覚悟をしてください。


量産

「悪魔召喚プログラム?それを量産?流石についていけない」

「悪魔とやらが出現する時点で今更だろう」

「というかその胡乱なプログラムの作成者は誰なんだ?ヒトナリくんか?」

 

 会議室は混乱している。まあ気持ちは分かる。

 だが日本が誇るエリート達なのだから落ち着いてほしい。

 これから語る情報はこんなもんじゃないぞ。

 

「悪魔召喚プログラムは僕個人の資質ではなく道具、つまりはアプリケーションですので量産できる可能性があります。ですが僕は専門家ではないのでその手の知識がありません。ですので政府にはこれの海賊版を作って欲しいんです」

 

「海賊版?とすると君がこのアプリを作ったんじゃないのかい」

 

「違います」

 

「じゃあ誰が………」

 

「YHVHです」

 

「…………………は?」

 

「YHVHです」

 

「それってアブラハムの神のことであってる?」

 

「はいそうです。僕は転生者で転生特典として魔法とアプリを貰いました」

 

「転生者!?YHVH!?ウゴゴゴゴゴ!」

 

 閣僚の1人はそう言って発狂している。さあもっと詳しく語るか。

 僕は自分が転生者であること。転生する過程でYHVHに遭遇したこと。彼から「人間を導け」と言われたこと。一連の異能は転生特典によるものだということを明かした。

 なおこれが理解されるのは少し時間がかかった。

 

「えぇ………」

「どうりで優秀な甥っ子だと思ったぜ」

「助けて………日蓮大聖人様」

「転生かぁ…うちの愚息がハマっていたネット小説に出て来た概念だな」

「どうします総理?」

 

「と、とりあえずヒトナリくんが転生者である情報には戒厳令を敷きます。いいですね皆さん?」

 

 混乱している参加者を尻目に内藤総理は冷静に対処を行った。

 曰く、転生者が実在することが分かったら「来世に期待して自殺するわ」という人間が出てくるかもしれないからだ。自殺率が高い日本でこれ以上、自殺者が増えるのは問題だろう。故に戒厳令だ。

 なるほど、流石は総理なだけあって着眼点が違うな。そんなこと考えもしなかったぞ。短時間でそんなこと考え突くとか思考が滑らかすぎだろ。

 

「そして専門家を招致して早速、悪魔召喚プログラムの量産を開始させます。今すぐ用意を」

 

「分かりました!」

 

 高級官僚の1人と思われる人物が会議室から出ていく。

 YHVH製の悪魔召喚プログラムは複製できないと思うし、仮にそれが出来たとして常人がプログラムを使えるかは怪しいけどな。だがワンチャンくらいはあるだろう。何事も検証だ。

 

「中野さん、君はアレだけど大丈夫そうかね?」

 

「南無妙法蓮華経」

 

「ああ、これはダメそうだ」

 

 閣僚の中でもひときわ混乱している人がいる。あの人は確か国土交通大臣だったはず。

 ………そうか、そうか。前世と同じように国土交通大臣の所属政党は仏教系の宗教法人を支持母体にしている。故に異教の神(YHVH)が実在している事実は受け入れがたいんだな。まあ安心して欲しい、仏教系の悪魔も存在するから。

 

「ああ、そうだ。グレムリン、目の前にいる人は総理大臣だ。約束通り会わせてやったぞ」

 

「確かに本物だ!サマナーの出まかせじゃなかったんだね!じゃあこれから正式に仲魔だね」

 

 よし、サブ目標のグレムリンを総理に会わせるも達成だ。

 後は政府に悪魔狩り(デビルバスター)を認めさせることだが。

 

「待ってくれ!君は悪魔の言葉が分かるのか?」

 

「え……逆に分からないんですか?」

 

「ああ、さっきからそこの悪魔からは唸り声しか聞こえない」

 

 悪魔と人間って言葉の壁があったのか。まあ考えてみればそうか、話が通じるなら交渉してるわな。

 おそらくは『COMP』が翻訳してるんだろうな。確かコレ(COMP)に悪魔言語の翻訳機能があるのは公式設定だったはずだ。

 僕は参加者達にそのことを伝えた。

 

「自動翻訳とはハイテクですね。ですが問題は神が作ったオーパーツをどこまで人類の手で再現できるかですかね」

 

「まさしく神のみぞ知るといったところですな」

 

「それでヒトナリくん、質問なんだがなんで悪魔は東京に現れたんだ?」

 

「すみません、それは分かりません」

 

「流石のヒトナリでも分からんか。それで内藤さん、夜に行う記者会見にヒトナリを出しますか?」

 

 タロウ叔父さんはそう言った。記者会見?

 どうやら叔父さんは僕を公衆の面前に出したいようだ。

 別に構わないけど流石にそれは総理が断るだろう。

 

「多田野大臣!流石に一般人を出すのは………」

 

「恐怖する国民に希望があることを伝えるのが政治家の務めだろう。それに個人的な事情だがヒトナリは俺の後継者でもある。今のうちに顔を売っておきたい」

 

「………分かりました、ヒトナリくん次第ですが出席を認めましょう」

 

 まさかの内藤総理までオーケーを出してしまった。

 というか後継者って………つまり叔父さんは僕を政治家にさせようとしているな。

 

「叔父さん、後継者にはタカシ兄さんがいるでしょう」

 

「アイツはダメだ、人の上に立つ才能がない。俺は悪魔を制御する力に関係なく元からお前を後継者にしようとしていた。本当は大学を出て社会人経験を積んでから言い出そうと思ってたんだがな………」

 

 タカシ兄さん、それはタロウ叔父さんの実の息子のことだ。そして叔父さんの後継者と目されている。

 政治家になるのは魅力的な提案だ。だが今は悪魔狩り(デビルバスター)に集中したいし、それに席を奪われる兄さんが少し可哀そうだ。

 

「その申し出はありがたいけど、今は悪魔への対処に集中したい。それに緊張して変なこと言っちゃうかもしれないから記者会見には出席しないよ。まだ社会人経験も積んでない小僧だしね」

 

「そうか、つまり情勢がひと段落したら後継者になってくれるんだな。了解した」

 

 アレ!?いつの間にか政治家になることを了承したことになっている。

 まあいいか、政治家になればYHVHの「人間を導け」というオーダーを達成できるし。

 タカシ兄さんには悪いが、将来の進路が決まったと考えて前向きに考えよう。

 

「それでヒトナリくんからは何か要求はありますか?」

 

「はい、悪魔を狩ることを政府として認めてください。それに伴う法改正もお願いします」

 

「私は行政府の長なので立法府の事は確約できかねますが………それだけでいいのですか?むしろこちらから悪魔狩りをお願いしたいくらいだったのですが」

 

「はい、僕は強くなりたいんです。その為にはサポートが必要です」

 

「えっと………なんでそんなに強くなりたいので?」

 

 ああ、そうか。彼らは女神転生というゲームを知らない。故にこれから東京が酷い目にあうことも分からないんだ。そしてそれを乗り越えるために必要なのは強さだということも。

 僕は歴代女神転生作品で東京は酷い目にあっていることを語った。

 

「東京大破壊!?東京受胎!?メシア教!?なんなんだよもう!」

「陛下を今すぐに避難させなければ!」

「それだけではない!都民も避難させなければ」

「だがどうする!1000万人近い人間の疎開プランなんて前代未聞だぞ!」

「コロナ禍と同じように要請が限界だろうな………」

「やはりあの時に緊急事態条項を憲法に加えるべきだったんだ!」

「流石に緊急事態条項で解決する問題でもないだろう」

「東京の人口が激減するとして選挙の区割りはどうする?一票の格差が深刻になるぞ」

「言ってる場合か!」

「これを機に行政機能は分散させるべきだ」

「まあ一極集中は解決はするな」

 

 会議は色々と紛糾している。まあ僕は政治家や官僚でもない一般人なので口を挟まない。餅は餅屋だ。

 そう思って黙っていること三十分ほど、会議室の扉が開かれた。そして官僚の1人が入室する。

 

「多田野ヒトナリさん!アプリ複製の用意が整いました。ついてきてください」

 

「分かりました。では皆さん、僕はこれで。後はそちらで決めてください」

 

 僕は混乱状態にある会議室を後にする。なんか爆弾(東京壊滅)だけ投下して消えるのは罪悪感があるが、悪魔召喚プログラムの複製は重要だから仕方ない。

 そうして首相官邸を出て車で移動して、とある研究施設内部の何やら機械が乱雑に絡み合った部屋に案内された。そこには白衣を着た白髪の爺さんがいた。見た感じ研究者のようだが………

 

「貴様が多田野ヒトナリか!」

 

「はいそうですが貴方は?」

 

「儂は秦野シド、プログラミングの専門家だ!事情は聴いている!早速だが悪魔召喚プログラムの複製を行おう!君のスマホを出したまえ!」

 

 矢継ぎ早に喋るなこの人。しかも全部大声だ。だけど話が早くて助かる。

 早速、自分の『COMP(スマホ)』を秦野さん差し出した。

 すると彼はソレ(COMP)と謎の装置とパソコンを端子でつなげてキーボードを打ち始めた。

 ちなみにその傍らで僕は採血を、グレムリンは身体検査をされている。もしかして僕のクローンとか作ろうとしていたり?流石にないか。

 まあ超人である僕の体の秘密や悪魔の生態を解き明かしたいんだろうな。そうすれば悪魔対策が一段と進むはずだから。

 

 そして数十分後、秦野さんは喋り始めた。

 

「ふむぅ、自称神の作った物だけはある、まさしくオーパーツだな。たった10MBでどうやってここまでの機能を持たせているのだ?」

 

「複製とかは出来そうですか?」

 

「儂を誰だと思っている!世界最高峰の頭脳だぞ!」

 

 そう言うと彼はエンターキーを押す。

 すると………

 

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 すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ

 

 という赤文字がパソコンの画面一杯に浮かび上がった。

 ダメじゃねぇか。

 

「なんだこれは!見たことないエラーだぞ!」

 

「本当に大丈夫です?」

 

「トーシロは黙っとれい!」

 

「はい」

 

 まあ悪魔召喚プログラムの複製は期待していなかったから構わない。

 正直、出来たらいいなくらいだからな。

 そう思っているとグレムリンがこちらに近づいてきた。なんだろうか?

 

「あー、ダメダメ。そんなんじゃ」

 

「ん?そこの悪魔とやらが何か言いたげだが」

 

「そういえば人間にはアタシの言葉が通じないんだったね。じゃあサマナーが翻訳してよ」

 

 グレムリンはアプリ複製についてのアドバイスを行う。それを僕が翻訳して秦野さんに伝える。

 お前、そういうの詳しいのかよ。いや確かフランクリンが稲妻から電気を得た時もコイツがかかわっていたという逸話があったはずだ。つまり発明を助ける悪魔だからこの行いは当然か。

 そしてアドバイスを受けた結果………

 

「そうか!なるほどぉ!」

 

 なにやら閃いたようだ。正直、アドバイスの内容は全然わからなかったが役だったのなら何よりだ。

 そして20分後。

 

「出来たぞ!悪魔召喚プログラムの複製が!」

 

 まさかのアプリの複製に成功したようだ。

 おいおい、マジかよ。悪魔の補助ありとはいえ短時間で転生特典を再現しやがった。技術チートや、流石は国が頼るほどの頭脳。

 

「とりあえず私のスマホにプログラムを入れた!早速、起動するぞ!」

 

 そうして『悪魔召喚プログラムを起動しました』という合成音声が聞こえる。

 さて、効果のほどはどれほどか。

 

「おい!そこの悪魔!会話をするぞ!」

 

「アタシはグレムリンだよ~!聞こえる~?」

 

「聞こえるぞ!本当に悪魔と意思疎通ができるぞ!翻訳機能の再現は成功だ!次は使役できるかどうかだ!おい多田野ヒトナリ、悪魔を寄越せ!」

 

「大丈夫なんですか?これで、もし失敗したら悪魔に反逆されて死ぬかもしれませんよ」

 

「儂とグレムリンを信じろ!」

 

 そこまで言うなら仕方ない。とりあえず反逆の可能性が少ない邪鬼グレムリンを譲渡した。

 そして(グレムリン)は秦野さんの『COMP』の中に入っていた。

 

「よし!悪魔収容能力を確認。次は召喚能力の検証だ!グレムリン、出て来い!」」

 

「ほいほい~!」

 

「パソコンの周りを三回転しろ!」

 

「かしこま~」

 

 グレムリンは秦野さんの指示通りに動く。おお、本当に悪魔召喚プログラムの複製に成功している。

 しかも彼みたいな霊的な素質が無さそうな人でもソレ(COMP)を使いこなせている。

 これが意味することは、戦える味方が増えるだ。自衛隊とかに持たせたら対悪魔部隊とかも作れるかも。これなら強力な悪魔が出てきても数の暴力でどうにかできるかもしれない。かなり助かる。

 

「しかし、悪魔を召喚し続けていると精神的に疲れるな!戻れグレムリン!」

 

 秦野さんは全く疲れを見せずに悪魔を収容する。本当に疲れてる?

 まあ悪魔を召喚すると生体マグネタイトを持っていかれるからな。ちなみに僕は常人よりもマグネタイトの量が多いのか悪魔を召喚して疲れることはない。流石に転生者だからね。

 そして、それらのことを彼に伝えた。

 

「なるほど!つまりマグネタイトの貯蔵が無い状態で悪魔を召喚し続けるのは危ないのか!ならば一瞬だけ召喚して悪魔の権能を使えばいいな!」

 

 あー、確かに真ⅤVでもパーティに加わった敦田ユヅルや太宰イチロウは一瞬だけ悪魔を召喚していたな。たぶんこれは生体マグネタイトの消耗を抑えるための工夫だったのとか?

 ………いやアレは単にゲームの都合か。

 

「よし!総理(内藤)に伝えろ!悪魔召喚プログラムの量産化は目前だ!大量にスマホを持ってこいと!悪魔を使役して悪魔を倒すことができるぞ!」

 

「わかりました!」

 

 僕を案内してくれた官僚は携帯電話でこれらの情報を官邸へと説明する。

 グレムリンを正式に仲魔に出来た、国の後ろ盾を得れた、悪魔と戦える人員も増やせる見込みだ、成果としては満点だ。

 この調子で頑張るぞ!




 赤文字演出の元ネタはメガテンの都市伝説からです。
 そのまんま「すぐにけせ」と調べればヒットします。

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