女神転生が存在しない現代に悪魔が現れたら   作:ネコマタ推し

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天使

「おはようタロウ叔父さん」

 

「おお、ヒトナリか!」

 

 悪魔が出現してから次の日の早朝。

 僕は市ヶ谷駐屯地、大本営地下壕跡にいた。タロウ叔父さんの後ろには10人ちょっとほどの制服姿の公務員とセメントの柱が鎮座している。

 目的はもちろん、政府へ悪魔を譲渡をすることだ。

 

「まさか防衛大臣が直々に来るとはね」

 

「まあな、それだけ悪魔召喚師(デビルサマナー)に期待してるんだ」

 

 それは責任重大だ。

 

「じゃあ早速、悪魔を譲ってくれ」

 

「ちょっと待って!伝えたいことがあるんだ」

 

「なんだぁ?」

 

 僕は昨日の件、つまりはケットシーから言われた悪魔が従わない問題を伝えた。

 するとタロウ叔父さんの顔はみるみると険しくなる。

 

「なるほどな、要するにポンケモンのジムバッジが足りねぇみたいな話か」

 

「そうなるね。でも大丈夫、対策は練ってきた。しかも色々と他にも良い事はある」

 

「ほう?」

 

「出て来い、天使エンジェル」

 

 僕が『COMP』から召喚したのは天使族の最下級悪魔、天使エンジェルの軍勢だ。ちなみにデザインは真Ⅴ版だ。Ⅳ以前のTMレ〇リューションみたいな感じのではない。

 彼らはYHVHの忠実なる僕。そして僕はYHVHから神託を貰い処女受胎で生まれた預言者のようなもの、つまり秩序側の人間だ。天使としては同じスタンスの僕に協力するのが道理だろう。

 そう思い、悪魔合体でコイツ(エンジェル)らを量産しまくった。オンモラキとコダマ、マンドレイクとピクシーというそこら辺にいる悪魔を材料で作れるのもグッドだ。

 というわけで13体ほど製造した。

 

 ………正直、歴代作品のLaw陣営のアレな所業を見ている身としては頼りたくないが背に腹は代えられない。それに真Ⅴみたいに割とまとも寄りな可能性だってあるかもしれない。まあそれでも人間を容赦なく殺したりしてるけど。

 

「エンジェルって………つまりはそういうことか?」

 

「そうだね。YHVHの忠実なる僕、つまりは政府が秩序側である限り協力してくれる悪魔だよ」

 

「おお………主よ。それに関係各国にどう説明すれば………」

 

 タロウ叔父さんは思わず祈ってしまう。そういえばカトリック信者でしたね。

 それはともかく僕はエンジェルの方へと体を向ける。

 

「じゃあ事前に言った通り日本政府に協力してもらえるかな」

 

「了解した、日本政府が主と共にある限り我らは汝らへの献身を約束しよう」

 

 エンジェルの1人が代表して宣言する。共にある限りか、つまりそうじゃないなら………恐ろしいね。

 やっぱ餃子(Law陣営)どもは信用できんわ。

 それはともかくとして僕は日本政府が用意した『COMP』に彼ら(エンジェル)を収容していく。ちなみに僕もエンジェルを仲魔にしている。

 

「早速だが、天使が入った『COMP(スマホ)』をここにいる精鋭達に配ろうと思う」

 

「精鋭達、つまり彼らがデビルサマナー候補?」

 

「ああ、そうだ。自衛隊、警視庁、警察庁から優秀な人材をかき集めた。彼らにデビルサマナーとしてのノウハウを教えてやってくれ」

 

「「「よろしくお願いします!」」」

 

 彼らは整然とした様子で挨拶する。おお、これは頼りになりそうだ。

 僕は叔父さんに背を押されて前へと出る。自然と注目が集まる。じゃあレクチャーを始めるか。

 

「えー、まずは自己紹介からですね。僕の名前は多田野ヒトナリと申します。一応、デビルサマナー兼大学生をやってます。浅学非才の身であり、皆様の足を引っ張ってしまうことも往々にしてあるかと思われますが精進して参ります。よろしくお願いします」

 

「知っているとは思うが昨日の会見で内藤さんが言っていた件の人物だ。こんなこと言ってるが昨日は獅子奮迅の活躍をした益荒男だ」

 

「ちょっと!叔父さん!」

 

 地下防空壕に笑い声が響く。

 全くこの叔父さんは………

 

「えー、では気を取り直しまして………まずデビルサマナーになるにあたって重要なことがあります。とりあえずこれだけは何があっても肝に銘じておいてください。それは悪魔を信用しないことです」

 

「天使であってもですか?」

 

 デビルサマナー候補の1人からそう言われる。

 もちろんだ。むしろ天使は信用してはいけない存在ランキング上位に位置する。

 

「ええ、天使も悪魔の一種に過ぎません。目的の為ならば平気で人間を洗脳しますし人間を害することも躊躇しません。現に聖書でも悪魔より神の方が人を殺した数は多いですし、アブラハムの宗教は平気で多神教の神を貶めてきた………彼らは絶対な正義ではない。故に「敢えて神を悪魔と呼ぶ」ということです。悪魔はどこまでいっても悪魔です。なので絶対に信用してはいけません。いいですか?」

 

 僕がそう言うと彼らは神妙な顔つきでコクリとうなずく。

 Lawはカルト、作品によってはまともだったりもするが基本的には碌でもない思想だ。政府が天使達に洗脳されるとか冗談じゃない。後でデビルサマナーのカウンセリングを義務付けるよう政府に提言しよう。

 

 さあ次は実践編だ。早速、受講者全員に『COMP』を配布する。

 そして僕は天使エンジェルを召喚する。

 

「皆様の手にあるのが悪魔召喚プログラム入りスマホ、いわゆる『COMP』です。早速、召喚してみてください」

 

「おお!」

「これが東京を守る力………」

「悪魔を倒せるんですね」

 

「ええ、これで皆様は晴れてデビルサマナーです。では早速、『アナライズ』をしてみましょう。自分やそこにいる天使エンジェルでもいいのでアプリのカメラ機能で何かを撮影してください」

 

 僕は手本を示すために自分・エンジェル・受講者の順で『アナライズ』する。

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

【NAME】

『超人』多田野ヒトナリ(レベル13)

【耐性】

『呪殺弱点』『毒耐性』『破魔無効』

【スキル】

『トラフーリ』:戦闘から確実に逃げ出せる魔法。

【ユニークスキル】

『神の僕』:味方は行動するたびにMPを少量回復する。

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

【NAME】

『天使』エンジェル(レベル10)

【耐性】

『衝撃・呪殺弱点』『破魔無効』

【スキル】

『ハマ』:小威力の破魔属性魔法。弱点を突いた時、確率で即死。

『祝福』:味方全体を小回復。

【ユニークスキル】

『断罪の調べ』:味方全体は破魔属性で弱点をついた時に与えるダメージが上昇する。

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

【NAME】

『人間』磯ノ上サオリ(レベル1)

【耐性】

『破魔耐性』

【スキル】

 なし

【ユニークスキル】

『ビギナーズラック』:状態異常の敵を攻撃した時、ダメージが上昇する。

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「質問があります!」

 

「なんでしょう?」

 

「ヒトナリさんは魔法を使えたり耐性が我らよりも多いのですがこれは後天的に取得することができるのでしょうか?」

 

「ごめんなさい、わからないです」

 

 なにせ『超人』と『人間』で種族自体が根本的に違うっぽいから。一応、毒耐性は毒物を摂取して死にかけるという荒行で後天的に取得したものだけどね。

 

「この『アナライズ』は悪魔戦闘において重要な要素です。弱点が分かれば戦闘を有利に進めることができますからね」

 

「「「はい!」」」

 

「じゃあ御託はこれまでにして実際に戦いを見せましょうか」

 

 そうしてセメントの柱の方を向く。これは只の柱ではない。中には悪魔が入っている。いわゆるセメント注入で封じた悪魔を集めてもらったのだ。

 僕はそれを素手で壊す。すると悪魔が出て来た。

 

「イヒー!俺様ヲコンナ所に閉ジ籠メヤガッテ!人間、殺シテヤル!」

 

「まずは『アナライズ』です。今回の場合だと………外道スライム、弱点は破魔など沢山ですね。じゃあ弱点をつきましょうか。エンジェル、『ハマ』だ!」

 

「『ハマ(ハレルヤ)』!」

 

 エンジェルが攻撃を加えるとスライムは光りながら溶けていく。そしてマグネタイトが僕の体と『COMP』に吸収されていく。

 

「悪魔を倒すと生体マグネタイトという悪魔にとっての酸素のようなものが出現します。これらは自分や『COMP』に吸収されます。これを使うことで悪魔を召喚することになります。ちなみにこれらは普通の人間にも含まれています」

 

「もしかして悪魔達が人間を襲うのは………」

 

「ええ、そうです。悪魔は人間の生体マグネタイトを狙っています」

 

 察しがいいな、流石は精鋭だ。

 悪魔は生体マグネタイトがないと物質界に顕現できない。故に彼らはマグネタイトタンクである人間を襲うのだ。

 

「悪魔討伐の基礎は『アナライズ』してから弱点をつく、これを念頭に置いてください。次は悪魔会話と行きましょう。………悪魔は知っての通り仲魔にすることができます。その仕方についてのレクチャーです」

 

 もういっちょセメントの柱を壊す。すると今度は幽鬼ガキが出て来た。

 マッカビーム・真Ⅲのチュートリアル………うっ!頭が。本当に仲魔にしたくないなぁ。でもしないといけない。

 

「グゲゲ!よくも俺を閉じ込めやがったなぁ!マグ不足で腹も減った所だ!早速、喰ってやるよ!」

 

「うるせぇ」

 

「ブベラッ!」

 

 とりあえずガキを殴り飛ばす。だが息の根は止めない。死なないギリギリのダメージを与える。そして拷問を開始する。

 具体的には爪を剥がしたり睾丸を潰したりなどだ。

 それは相手(ガキ)の方が遥かに格下なので簡単にできる。

 

「痛ぇ!ちょっ!なんなんだよお前!」

 

「仲魔になれ、さもなければこの拷問を続ける」

 

「ハァ!?俺がこの程度で……………ちょっ!やっぱ痛い!ギブ!ギブ!止めてくれぇ!」

 

「なら仲魔になれ」

 

「待て!まずは拷問を止めてくれぇ!話し合おう!」

 

「分かった」

 

「ゲゲゲ!隙あり!『ブフ』!」

 

 要求の通り僕は拷問を止めた、するとガキは攻撃を仕掛けてくる。だろうと思ったよ。

 模擬刀で氷の刃を切り捨てる。そしてその勢いのままに(ガキ)の片腕を切り落とす。

 

「えー、このように悪魔というのは平気で嘘をつく生物なので信用しないようにしましょう」

 

「ギャアアア!痛い!痛ぇよぉ!」

 

「仲魔になるなら止めてやる」

 

「分かった!分かった!降参だ!俺はお前の仲魔になる!」

 

「よし、言質とったぞ。じゃあ今後ともよろしく。」

 

「クソッ!………悪魔より悪魔だぜアンタ。仕方ねぇ、今後ともよろしく」

 

 拷問を加えると簡単にガキは屈して仲魔になってくれた。

 そうして(ガキ)は渋々『COMP』の中に収容される。

 

「と、まあこんな感じで仲魔にします。今のような実力差に物を言わせるのもアリですが貢物を捧げたり小粋なトークで平和的に仲魔できたりするので常識に囚われずに悪魔と会話してみましょう。ただ気を付けて欲しいのは自分のレベルより高い悪魔は仲魔には出来ないということですね。なにか質問はありますか?」

 

「えっと………さっきみたいな力任せで従える場合だと裏切りの可能性とかはあったりするのでしょうか?」

 

「まあ指示に従わないこともあるでしょうね」

 

 この世界はゲームではない。故に仲魔にすれば命令に従ってくれるというわけではない。悪魔にも感情があるのだ。

 つまり、ああいう(力任せの)方法だと後々に禍根を残す。

 

「なので後でガキにはご飯を上げたりして親密度を稼ぐ必要があります。なおこれは他の悪魔も同じです。全員に配布した天使エンジェルにもプレゼントを定期的に贈ってあげることをオススメします」

 

「なるほど………」

 

「これでデビルサマナーの講義は以上です、後は実戦あるのみですね」

 

「ありがとうヒトナリ。というわけでだ、今も東京で悪魔は暴れている。すぐにでもお前らを出動させたいんだが………まあ実際に体験しないと分からないことがあるだろう。ちゅーわけで、ここである程度の経験を積んでもらう」

 

 よしきた。

 そういうわけでセメントの柱を砕いていく。すると空腹の悪魔達が出てくる。

 要するにマグネタイト不足で弱り切った悪魔と戦うことで戦闘経験を積もうという作戦だ。

 

「危なかったら僕がヘルプするから思いっきり戦ってね」

 

 そういうわけでデビルサマナーvs悪魔の戦いが市ヶ谷の地下で始まった。

 結果はもちろん前者の圧勝だった。悪魔側はマグ不足で弱っているのに加えてレベルも10を超えない雑魚達ばかり、対してデビルサマナー側はレベル10のエンジェルが仲魔にいる。

 あっという間に悪魔達は全滅した。

 

「よっし!レベルが上がった」

「こっちはスライムを仲魔に出来たぞ!」

「ありがとうエンジェルさん」

「貴方も良い指揮でしたよ」

「なんか変なのが落ちました!」

 

 デビルサマナー達の戦果は上々、レベルが2になったもの、仲魔を作れたもの、魔石を獲得したものなどもいる。これはかなりいいんじゃないか?

 

「悪魔の中には魔石などの便利なアイテムをドロップするものがいます。それらも研究用に活用するので回収してくださいね」

 

 僕はそう言ってから地上へと向かう。タロウ叔父さんやデビルサマナー達もそれに続く。

 太陽光が僕らを照らす。さあ本番だ。

 

「じゃあ事前に通告したとおり2人1組で悪魔へ対峙してもらう。1班は大田と品川区。2班は世田谷と目黒区。3班は………」

 

 そうしてタロウ叔父さんが東京防衛の区割りを読み上げる。

 僕の区割りはどうなるんだろう。いまさら一般人だから戦うなとかはナシだぞ。そうなったら総理に直談判だな。

 

「………最後に6班は練馬区だ。それでヒトナリについてだが永田町周辺の守護を頼みたい」

 

「つまりはそういうこと?」

 

「ああ………」

 

 永田町は首相官邸や議事堂、各政党の本部などもあり隣接する霞が関には多くの省庁がひしめきあっている。

 そこを防衛するのはサマナーの中で一番強い僕に任せたいということだろう。

 要するに権力者の安全第一ってことか。まあ、この状況で悪魔に襲撃されて政府機能がマヒしたら大変なことになるから仕方ないけどね。

 

「ちなみに僕が模擬刀とか持ってて大丈夫そ、銃刀法でしょっぴかれない?」

 

「厳密には違法だな。だが緊急事態だから見なかったことにするよう警察には訓令を出した。今は官僚と政治家達が全力で法案を作っている所だ。しばし待っていてくれ」

 

「オッケー」

 

「それとだな、餞別だ」

 

 そう言うと秘書のタオさんが荷物を持ってきた。僕はそれを受け取り、中身を見る。

 中に入っていたのは刀と装備一式と米だ。早速それを装備する。

 

「俺の屋敷から持ってきた。ただの無銘の刀だが模擬刀よりは切れ味もいいはずだ。それと施餓鬼米なんだが、意味あるのか?」

 

「それは検証してみないとわからない。………せいっ!」

 

 そう言ってマグネタイトを籠めた施餓鬼米を投げつける。すると破魔の光が炸裂し自衛隊の敷地にクレーターを作る。

 よし!やはり東京は異界化しているから、こういう聖なる物品は原作通り効力を発揮するようになっている。

 

「………コイツぁ凄いな」

 

「政府には蟲毒皿と施餓鬼米の増産を頼みます」

 

「おう、総理(内藤さん)に行っておくぜ」

 

「じゃあ行ってくる!」

 

「おう、正門前に迎えの車は出してある。そこに「その必要はないよ。俺を連れて飛べ、エンジェル!」

 

「了解したサマナー」

 

 合図をするとエンジェルは僕を羽交い絞めにして飛行する。

 コイツらを量産した理由はサマナーへの忠誠度が高いというのもあるが、空を飛べるという機動力の高さも考慮した結果だ。現に真Ⅴでは人間1人を抱えて飛んでいけるくらいのパワーがあったはずだ。

 

「じゃあ永田町(南東)に向けて飛んでくれ!」

 

「ハレルヤ!」

 

 そう言ってエンジェルは僕を連れて飛んでいく。

 こいつは快適だ。

 だけど気を許してはいけない。コイツはメガテンの天使だから碌でもないことをするかもしれない。

 常に警戒しとこう。




・ヒトナリの装備
近接武具:無銘の刀(攻撃14・命中2)
頭部防具:フリッツヘルム(防御4・回避6)
胴体防具:ケブラーベスト(防御8・回避5)
腕部防具:レザーグラブ(防御2・回避3)
脚部防具:レザーブーツ(防御2・回避2)

・アイテム
施餓鬼米×10(破魔属性の小威力の攻撃)
魔石×5(最大HPの25%を回復させる石。悪魔討伐時に拾った)
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