女神転生が存在しない現代に悪魔が現れたら   作:ネコマタ推し

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粛清の刃

「ケットシー、『ジオ』だ!」

 

「ニャッホーイ!」

 

「グッ!」

 

 雷がアズミに直撃しその体を痺れさせる。弱点をついた一撃はよく効くだろう。だがこれだけじゃない。

 僕は新調した無銘の刀で奴の胴体を真っ二つにする。いい切れ味だ。

 今は悪魔討伐の真っ最中だ。そして悪魔の数は2体、今1体倒したから残りは1体。

 

「ゲゲゲ!そこのマンドレイクちゅあん!お前もマグネタイトになるんだよ!」

 

「ヒィッ!」

 

「待て、ガキ」

 

 マンドレイクを殺そうとするガキを止める。コイツは殺すのはあまり良くない。

 

「お前には選択肢がある。ここで殺されるか、仲魔になって生き延びるかだ」

 

「うーん、でもタダっわけにはいかないよ。じゃあ魔石ちょうだい」

 

「いいぞ」

 

「マグネタイトをちょっぴり頂戴」

 

「いいぞ」

 

「うーん、こんなもんかな。私は妖魔マンドレイク、こんごともよろしく」

 

 マンドレイクが仲魔になった。よしよし。

 彼女は天使エンジェルの材料になる悪魔だ。エンジェルが増えればサマナーも増やすことが出来る。つまりそれだけ僕の負担も減るということだ。裏を返せば政府のメシア化が進行するということでもあるが。まあそこら辺は仕方ないだろう。

 

「グゲ!?俺の時と対応が違いすぎないか!もっと暴行を加えろ!」

 

「そうニャ!そうニャ!吾輩もボコボコにされて仲魔になったニャ!」

 

「ケットシーの旦那もそうなのか。女の悪魔だけずるいぜ!男女差別反対!」

 

 不服な様子な仲魔が2名いる。

 ケットシーとガキだ。古参のケットシーはいいとしてガキは生意気だな。

 まあいいか。とりあえず黙らせよう。

 

「うるせぇ、蒲鉾をやるから黙ってろ」

 

「「やった」ニャ!」

 

 懐から蒲鉾を1本取り出して半分に分けて彼らに与える。すると彼らは「そっちの方が大きいから寄越せ」だので喧嘩を始める。悪魔とは愚かなり。

 それはいいとして………なんか悪魔の強さが上がっているな。

 昨日まではレベル10を超える悪魔なんていなかったのに今日はアズミ(レベル11)が出現している。

 もしやGPが上がっているのでは?これは僕もウカウカしてられないな。もっと強くならねば。

 

「エンジェル、次の現場に向かうぞ」

 

「承知」

 

 僕は千代田区と港区周辺の悪魔、つまり政府中枢近くにいる悪魔を狩りまくった。

 まあ1人と3体による数の暴力があれば余裕だった。

 そして時刻は夕方になり一服している時のことだった。トランシーバーから通報があった。

 

『こちら5班!渋谷スクランブル交差点にレベルが15の強力な悪魔が出現!それだけじゃありません悪魔の数が増えてます!人間が!人間が悪魔に!我らだけでは対処不可能!至急応援求む!』

 

「了解した」

 

 マジかよ。そんな数の悪魔が出現するなんて………やっぱGPが上がってるって。あと人間が悪魔にってどういうことだ?

 まあいいか。

 急いで向かわなければ。渋谷は確か港区の西だったな。

 

「エンジェル、西に向かえ」

 

「ハレルヤ」

 

 そうして羽交い絞めにされること数分後、僕は目的地へと到着した。

 当たり前だが敵地の真ん中には着陸しない。交差点近くのビルの上に着陸した。

 他のサマナー達も同じ考えなのかビルの上で様子見している。するとサマナーの1人がこちらに気付いたのか近づいてきた。

 

「多田野さん!どうしましょう!」

 

「ああ、君は………とりあえず味方が集まるまで待機だ」

 

 ビルの下には大勢の幽鬼ガキとそれを統率していると思わしき妖鬼オニがいる。そして奴らはわが物顔でスクランブル交差点を占拠している。周りには人間だったものが多数転がっている。まさしく地獄絵図だ。

 同胞を殺されて思う所はある。だがこんな時こそ冷静になるべきだ。

 とりあえず『アナライズ』だな。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

【NAME】

『妖鬼』オニ(レベル15)

【耐性】

『雷撃・破魔・混乱・睡眠弱点』『物理耐性』

【スキル】

『挑発』:敵から狙われやすくなる。

『ヒートウェイブ』:全体に小威力の物理属性攻撃

『牙折り』:単体に小威力の物理属性攻撃。対象の攻撃力を減少。

【ユニークスキル】

『四天王(偽)』:種族『人間』を『幽鬼』ガキに変化させる。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

【NAME】

『幽鬼』ガキ(レベル1~2)×51

【耐性】

『火炎・衝撃・破魔弱点』『呪殺耐性』

【スキル】

 なし

【ユニークスキル】

『集中攻撃』:直前に行動した味方が単体対象攻撃をしていた場合、同対象への攻撃時に命中率とクリティカル率が上昇する。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 なるほど、なるほど。

 オニが大将でガキを引き連れてるって感じか。

 そして(オニ)のユニークスキル………つまりはそういうことね。可哀そうだが悪魔になった以上は人を襲う、要するに正当防衛だな。

 この情報は他のサマナーには伝えないようにしよう。士気に関わる。

 

 それはともかくとしてガキもどきとオニは破魔弱点で一貫している。エンジェルの『ハマ』が火を噴くだろう。

 

「集まったサマナーはどれくらいだ?」

 

「まだ2班ほどしか………」

 

「つまり2班×2人で合計4人、仲魔をいれても戦力は10を少し超える程度か。対して相手は52体。1体1体はエンジェルの『ハマ』があれば怖くない相手だが数が多すぎるな。圧殺されかねない」

 

「ですが待っていたら一般人の犠牲が増えてしまう」

 

「ああ、仕方ない。犠牲は覚悟の上で突撃するか」

 

「待ってください。地形の有利を活かして戦いましょう。それならば犠牲は最小限で済みます。私は自衛官から転向組でして戦術については少し自信があります」

 

「とすると?」

 

「孫氏曰く「隘形には、我れ先きにこれに居り、必ずこれを()たして敵を待つ」です」

 

「えっと………分かりやすく言うと?」

 

「狭い道に追い込んで数の利点を殺します。例えば平地で戦えば相手は数に物を言わせて包囲してくるかもしれません。ですが一本道で待ち構えて数体ずつ順番に倒していけば相手は数の有利を活かせません」

 

「つまり敵さんは戦力の遂次投入状態になり各個撃破されると」

 

「そういうことです」

 

 更に分かりやすく言うと相手をキルゾーンに誘導してぶっ殺すということだな。

 半分くらいは理解できた。

 

「じゃあ作戦の指揮は任せた。だから大将格のオニの対処と敵の誘導は任せろ」

 

「わかりました」

 

 そう言って自衛官のサマナーは他のサマナーに連絡を取る。

 さて、その間にやるべきことをしよう。『COMP』からガキを召喚する。

 

「おい、ガキ」

 

「へいへい」

 

「同じ鬼同士、ある程度は話ができるだろう。とりあえずあそこ通りまで悪魔どもを誘導してこい。そこで迎え撃つから。流れで帰ってこい」

 

「おいおい危険な役目だな!」

 

「頑張れよ」

 

「じゃあ何か褒美を寄越せ!俺は空腹で仕方ないんだ!後でごちそうを奢れよ!」

 

「分かった、後で寿司を奢ってやろう」

 

「SU・SHI!ゲゲゲ!最高だね。早速やるゼぇ!」

 

 そう言ってガキはビルを降りる。そして4人のサマナーは全員こちらに集合した。

 僕らはエンジェルの力で空を飛び有利な場所で待ち構える。

 

「グゲゲ、オニの旦那ぁ!こちらに人間が大勢いますぜ」

 

「ほう、見事なり。後で褒美を取らせよう。さあ亡者どもよ!この地を我らの領土にするのだ!」

 

 どうやらガキの奴はいい感じに指定の場所へ誘導できたようだ。

 この場所は左右はビルに囲まれている道幅が狭い道路だ。つまり大人数では横に並べない、出来ても4人が限界だろう。

 戦場に出てくるのは最高でも4人だ。残りは後方でつっかえている。

 10対52の戦いだと味方側に犠牲が出てしまうかもしれない、だが10対4の戦いを13回やるなら犠牲なしで勝てる。それに時間が経てば他所から他のデビルサマナーが応援に駆けつけてくれる。有利なのはこっちだ。

 

「おっと、そうはさせないぞ」

 

「む?貴様は何者だ!」

 

「僕は多田野ヒトナリ、デビルサマナーだ」

 

「我は地獄の獄卒オニなり!貴様ら人類は他の命を殺し喰らうだけに留まらず尊厳を犯し辱めた!まさしく罪在りき!故に裁いてくれるわ!」

 

 なるほど、地獄のオニね。

 まあ反論できない。現に人類は遺伝子組み換えとかやってるしな。

 なんというか悪魔が出てきた理由は人類の罪とかなのかもな。

 

「そうか。じゃあガキ、戻ってこい」

 

「ゲゲゲ!これでも喰らいな!『ブフ』!」

 

「グッ!」

 

 オニは不意打ちを決められて凍の刃を喰らう。そしてガキは戻って来た。コイツはフレンドリーファイアされるかもしれないから『COMP』に戻しとくか。

 

「さあやるぞ!大将格は僕に任せて他の人はガキを倒してくれ!」

 

「貴様ぁ!不意打ちとはなんと卑怯な!許せぬ!」

 

「戦場に卑怯もらっきょうもあるかよ!ケットシー、エンジェル!行くぞ!」

 

「ニャー!」

 

「ハレルヤ!」

 

 そうして戦いが始まる。雑魚は他のサマナーに任せて僕は大将のオニの相手だ。

 奴の薙刀と僕の刀がぶつかり合う。………物理特化の悪魔なだけあって大した力だ。打ち合うだけで衝撃波が体を貫く。一般人だったら近くにいるだけでショック死するんじゃないか?

 

「貴様!ただの人間ではないな!」

 

「こちとらYHVHに選ばれた超人なんでねっ!」

 

「気に食わん!異教の神に従う軟弱物がっ!」

 

「安い『挑発』だなっ!さあやるぞお前ら!」

 

「ニャッーハッハッ!」

 

「神の名の下に!」

 

「グオッッッ!!!」

 

 ケットシーが『ジオ』がエンジェルが『ハマ』をオニに喰らわせる。奴はたまらず怯む。いい感じだ。

 僕は追撃に刀で切り付ける。だがそれは奴の筋肉が硬すぎて薄皮を切るだけに終わった。やっぱ物理耐性持ちに物理攻撃はするもんじゃないな。

 

「やれ、エンジェル!」

 

「裁きを!」

 

「ピクシー、ザンだ!」

 

「キャハハ!」

 

 対ガキ戦も上手くいっているようだ。サマナー達もいい感じに仲魔に指示を出して無双している。

 よし、これなら勝てるぞ。

 

「舐めんじゃねぇッ!『ヒートウェイブ』!」

 

 横薙ぎの斬撃が飛んでくる。後方にいたケットシーとエンジェルに被弾してしまう。

 全体攻撃か、何も問題はないな。

 

「エンジェル、『祝福』だ」

 

「天におわす神よ!どうか!我らに光を」

 

 エンジェルが祈ると光が僕らを癒す。これはエンジェルの専用技だ。効果は味方全体への小回復。つまり『メディア』の上位互換だ。

 忠誠度が高かったり、空が飛べたり、攻撃魔法が使えたり、全体回復技が使えたり、エンジェルは本当に優秀な悪魔だ。なお隙あれば人の事を餃子化するカスが上司な模様。

 いつかはサマナー全体を脱エンジェルしないとな。

 

「クソッ!『牙折り』!」

 

「当たらねぇよ!喰らえ施餓鬼米を!」

 

 刀での物理攻撃は余り効かないのなら別の道具を使えばいいだけだ。『ハマ』の効果がある施餓鬼米を投げつける。すると露骨にオニは弱りだす。

 さ、トドメだ。

 

「全員攻撃!」

 

 それは嵐のような一撃だった。『ジオ』・『ハマ』・施餓鬼米による飽和攻撃、それは地獄のオニすら屈する。つまり僕達の勝ちだ。

 

「おのれぇ………だが我に勝った程度で調子に乗るなよ!魔界(地獄)の大物が今か今かと物質界(この世)を狙っている。彼らにかかれば貴様など塵芥がごとくよ」

 

 そんな捨て台詞を放ってオニは消滅する。

 マグネタイトを取り込み錬磨されていく霊格(レベル)とは裏腹に気分は落ち込む。

 コイツが言ったことは真実だろう。GPが上がればその分、強力な悪魔が出てきやすくなる。このままだと東京は滅ぶだろうな。そして僕も更に強くなる必要がある。

 いつまで続ければいいんだ?イタチごっこというには過酷すぎる。

 ………将来を悲観しても仕方ないか。なんとかなるはずさ。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

●多田野ヒトナリのレベルが16に上がった。

 

●ケットシーのレベルが14に上がった。

 

●エンジェルのレベルが13に上がった。

 新しく『リカーム』を覚えた。

 

●ガキのレベルが8に上がった。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 まあまあな上がり幅だな。特にエンジェルが『リカーム』を覚えたのは大きい。『COMP』には回復の泉なんていう便利な機能はない。故に待機でMPを回復して、回復魔法で体を癒す必要があるのだ。

 しかしケットシーは覚える技がないし合体するべきか?いやいやなんだかんだここまでの付き合いだし合体素材にするのは心が痛む。これはゲームじゃないんだ。

 だから「多田野さん」

 

「なんです?」

 

「その、ガキ達の様子がおかしいんですが」

 

 ガキ?後は掃討するだけで終わりなはずでは?

 そう思って前を見るとガキ達は戦意喪失している。だが少し様子がおかしい。

 

「止めて!殺さないで!」

「私は人間なんです!オニによって化け物にされて操られてたんです!」

「操られるのは無くなりましたが化け物になったままです!助けてください!」

 

 ガキ達は口々に事情を説明する。

 ああ、そういや配下のガキ達はオニのユニークスキルで変化させられた元人間だったな。

 彼らは主が死んだというのに人間に戻る気配がない。こういうのって術者が死んだら解けたりするもんじゃないのかよ。

 さてとどうしたものか。

 

「嘘だろ!俺達が殺してたのは元人間だったのか、国民を守る為にサマナーになったのに国民を殺してしまった………」

 

「とりあえず後悔するのは後にしましょう。まずはコイツらをどうするかだ」

 

「もちろん殺すべきです」

 

 口を挟んできたのは1人のエンジェルだ。そして他の奴ら(エンジェル)も「そうするべきだ」と同調する。

 

「一度、魔に落ちた人間に救済する価値はありません。故に粛清するべきかと」

 

 エンジェルは葛藤する様子もなく言い放った。まるでロボットかなにかのようだ。

 やっぱ天使ってクソだわ。元人間をそんなあっさりと殺していいわけないだろ。

 まあこれでこそ餃子(Law)陣営だよな。




 人間がガキになるのはデビルサマナー葛葉ライドウ対アバドン王が元ネタですね。
 ちなみにLAW陣営の事を餃子と呼んでいるのはロウポジションの人間の殆どが餃子みたいな見た目になっているからですね。
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