贖罪少年くれしま☆ミツザネェ!   作:ヌオー来訪者

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 この作品に於けるミッチは天下分け目の出来事を通っている設定です。その為『例のアレ』を持っていたり。

 本作のライダー勢の扱いは、鎧武勢は原作終了後。ウィザード勢は原作とは設定も人物も全くの別物です。要するに晴人や仁藤は出ない、別のウィザードです。


第一章
第一話 ヒーローになる意志


 沢芽市に謎のアーマードライダーとインベスが襲撃し、それを撃退してから数週間が経った。

 

 そんなある日の出来事。

 呉島光実はあるものを追うべく全力疾走でショッピングモールの閉鎖区域内を駆け抜けていた。

 

「待てっ!」

 

 光実は全力で逃げる者を追うも、それには中々追いつかない。相手は鳥のような怪人で飛んでいるのだから仕方ない。しかしながら、現れた怪人に光実は疑問を持っていた。

 

 こいつはインベス? それともオーバーロード?

 

 その可能性はゼロに等しい。インベスは7ヶ月と数週間前にヘルヘイムの植物ごと地球上から全ていなくなった筈だ。オーバーロードに限っては確認されているものは総て死亡している。以前沢芽市に襲撃してきた謎のアーマードライダーの仲間という可能性も否定できないが、可能性は極めて低い。

 

 あの怪人は最初から人の言葉を話せるようで、彼は「絶望しろ」という言葉を何度か言っていた。ただ単に力を誇示したいだけの怪物か、絶望したら何かが起こるのか。分からなかったが、何となく嫌な予感がした。

 

 胸騒ぎを覚えながらも、光実は懐から戦極ドライバー、葡萄型の錠前……ブドウロックシードを取り出し、腰に巻き付ける。そして、ブドウロックシードを解錠させた。

 

【ブドウ!】

 

 音声と共に錠前が開き、光実は戦極ドライバーにはめ込み、セットする。

 

【ロック・オン】

 

 すると光実の頭上から開かれたクラックから巨大な葡萄が現れ走る光実について行く。そして、戦極ドライバーに付いたカッティングブレードでセットしたブドウロックシードを切った。

 

【ハイィ~ッ!ブドウアームズ!龍・砲 ハッハッハッ!!】

 

 奇妙な音声がベルトから放たれ、光実の頭に落ちる。

 ……この奇妙な音声は聴いた話だと、『思い出したくもないあの人物』の趣味によるものらしい。

 頭に落ちた葡萄は変形、展開され、鎧の型を成す。それに伴って、黒い服が緑色のライドウェアに書き換わり、光実は「アーマードライダー龍玄」へと変身した。

 

「しつけーなお前」

 

 うんざりしたかのように怪人は飛んで逃げるのを止め、迎撃に入る。

 そんな怪人の言葉に怒り混じりに龍玄は言い返す。

 

「皆を襲っておいてよく言うよ」

 

 光実たちが住む沢芽市。そこでストリートダンスをしていたチーム鎧武とチームバロンの共同チームに襲いかかって来たこの鳥型怪人。彼の仕業でダンスの見物客数人怪我をした挙句、光実が嘗て所属していたチーム鎧武のメンバーである一人も怪我を負ったのだ。

 

――自分が早く反応出来れば……

 

 『あの人』の代わりに皆を守る。そう決めたのにこのザマは何だ。

 

 悔しさが胸に募る。だからこそ、この怪人は必ず倒さなければならない。龍玄は手持ちの葡萄型の銃、ブドウ龍砲をを鳥型怪人に向けた。

 

「おいおい……ま、いいか。ゲートじゃないっぽいけどテメーも絶望しな!」

 

 小馬鹿にしたように言いながら、鳥型怪人は羽を広げた。……すると、広げられた羽から無数の羽根が龍玄目掛けて飛んできた。『ゲート』その言葉の意味が気に掛ったが、考える暇を怪人の放った羽根が与えてはくれなかった。

 龍玄は咄嗟に後方に跳び、ミサイルの様に勢いよく飛んできた羽根をブドウ龍砲で撃墜する。だが、羽根の量は多くて銃一つでどうにかなる代物では無く、数発龍玄の身体に被弾してしまった。

 

「ッ……!」

 

 被弾した部分から火花が散り、地面に背中を打ち付け光実の身体に衝撃が奔る。だが、その痛み程度で引き下がる光実……龍玄では無かった。羽根ミサイルが止まった瞬間、地面に背中を強く打ち付けた痛みを堪えつつ、ブドウ龍砲のトリガーを再度引く。

 

 すると数発の紫色の弾丸が怪人の身体吸い込まれるように命中し、怪人はよろめいた。

 

「この野郎……」

 

 怪人が悪態を付き、龍玄を睨みつける。

 

――この調子で……!

 

 この調子ならいける。そう確信して追撃に入ろうと立ち上がった龍玄は必殺技を撃つべく、ベルトのカッティングブレードに手を掛けた。……その時。

 

 

 龍玄は違和感を覚えた。

 

 

 

 慌ただしかったので周囲の風景などあまり気に留めていなかったのだが、記憶が正しければここは殺風景極まりない閉鎖区域だった筈だ。だが、今目の前に広がっているのは……

 

 

 

 

 無骨で殺風景極まりない光景では無く、どこか絵本の中の世界を思わせるような光景だった。美術館にでも壁画として飾られていそうだ。だが、アートというには余りにも不気味で前衛的すぎる。ずっと見ていると気分が悪くなりそうだった。

 中世現代和洋が入り混じり、不規則さに生理的嫌悪感が沸き上がる。

 

「……これは?」

 

 得も言われぬ独特過ぎる雰囲気に背中が凍り付く。思わず注意が怪人から逸れてしまった。

 

「けっ……興が削がれちまった。あーばよ!」

 

 怪人は龍玄が怯んでいる隙に捨て台詞とともに飛んで逃げてしまったが、龍玄に追う程の余裕は無かった。まるでスーパーマリオのような髭を蓄えた白くて丸い毛玉のような生き物がターゲットを逃がした龍玄を嘲笑うかのように狂った子供の笑い声のような声を出す。

 

 そしてばらりと、鎖が天井から地面に落ちて来た。その鎖はうねうねと蛇のようにうねり、龍玄に飛び掛かる。

 

「チッ」

 

 慌てて振り払い、勝手に動く鎖を龍砲で破壊してゆく。だが、襲い来るのは鎖だけでなかった。墨汁に漬けた鋏のような真っ黒な鋏が龍玄を噛み切ろうと飛来してくる。

 

 これもブドウ龍砲で撃墜するが、倒しても倒してもキリがなかった。どこからか湧いてきているらしい。

 

 

 飛んでくる鋏、蛇の如くうねる鎖と茨。それらを掻い潜り、龍玄はある堪えに行き着いた。――物事には必ず原因や理由が存在するという事。今の滅茶苦茶な状況だってこの常識はきっと通じる筈だ。

 

「……何処かに大元が居るのか?」

 

 龍玄は遅い来るものを避けながら、走り回る。

 

 

 ……だがいくら走っても、出口らしきものも、大元らしきものも見当たらなかった。

 そんな状況に少し焦り出したその時、少女の悲鳴が聴こえた。

 

 龍玄は即座にその声に反応して、声のした方へ全力で走る。するとその先には少女二人が立っていた。

 一人はピンク色の髪をツインテールに縛っている少女。もう一人は水色のショートカットの少女だ。どこの学校かは知らないが、背や制服姿から恐らくは中学生くらいか。

 

「大丈夫ですか!?」

 

 龍玄が少女のもとへ駆け寄る。ショートカットの少女がツインテールの少女の前に出て、龍玄を見据えた。

 

「あんた……誰?」

 

 龍玄は少々答えに困った。思わず己の名前を名乗ろうとしたが、それで安心してくれるとは到底思えないのでとりやめた。

 

「少なくとも君たちには害を与える気は無いよ」

 

 そう答えた龍玄にショートカットの少女は少々納得いかない顔をする。当然か。アーマードライダーの存在を知っているのは沢芽市民くらいだ。何も知らない人間が見たら唯のコスプレか着ぐるみだ。

 

 龍玄は少女二人を庇うように、襲い来る鋏たちをブドウ龍砲で撃ち落としてゆく。

 

「これ、どうなってるんですか!?」

 

「分かりません!」

 

 ショートカットの少女の問いに答えつつ龍玄は襲い来るものを次々と撃退してゆくも、その動きに少しキレを失いつつあった。

 

――これで何体目だ?

 

 ブドウ龍砲を持っていた腕に黒い鋏が食い込む。

 

「……ッ!!?」

 

 鋭い痛みに思わず悲鳴を揚げそうになるも、堪えて黒い鋏を強引に引きはがしてブドウ龍砲で殴って消滅させた。

 

「不味い……」

 

 このままではやられる。そう悟った龍玄はブドウ龍砲を持つ手を替えて、持っている方の手の力を入れた。

 

――このままやられては、紘汰さんに合わせる顔が無い。

 

 葛葉紘汰。嘗て強く慕った兄貴分であり、最後まで自分を見捨てなかった男。彼はヒーローだった。沢芽市を、世界を救った。そんな存在。

 だが彼はもういない。だからこそ、自分が、自分たちがヒーローに成らなくてはならない。謎のアーマードライダーが現れたあの時、そう誓った。

 

――だからこそ、

 

「ここで倒れる訳にはいかないんだ……!」

 

 龍玄は再度、ブドウ龍砲を構え直す。

 そして、少女たちに襲い掛かるものたちにブドウ龍砲を向けトリガーを再び引いた。

 




 初っ端から苦戦するミッチ。次の戦闘は活躍させたい所です……こんな苦戦展開なのは全部私の所為だ!(開き直り)

 話の途中に出た『思い出したくもないあの人物』とは言うまでもなく戦極の事です。
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