「射撃5秒、斬撃1撃、射撃5秒の繰り返しで行きましょう」
龍玄の提案に影武とほむらは乗り、魔女との戦闘を開始した。
先ずは龍玄とほむらがそれぞれお菓子の魔女に向けて銃弾を発砲した。弾丸はお菓子の魔女の巨体に吸い込まれるように直撃。5秒間撃ち続けた後で、ほむらは合図を送り発砲を止めさせてから、弾丸の雨で怯んでいるお菓子の魔女に向かって走り出す。。
途中で横から使い魔が生みの親である魔女を守るべく突っ込む影武に向かって弾丸の如く突撃を掛けるが、身体に接触する前に一瞬にして斬り捨てられてしまう。ゼロ距離まで詰めたのに要した時間は10秒も無かった。
「撃ィ!」
大きくジャンプしてお菓子の魔女の頭目掛けて無双セイバーを振り下ろし、縦に大きな傷を創り出す。だが、これだけでは終わらない。地面に着地した後、即座に後退しながら無双セイバーに付属した銃で発砲し、後方にいた龍玄、ほむらは射撃を再開した。
龍玄の装備は先ほどと同じブドウ龍砲だったが、ほむらが今持って居るものはどう見てもハンドガンでは無く……普通の女子中学生なら持ち上げる事も叶わないであろう大型のガトリング砲だった。手榴弾やハンドガンは兎も角何処からそんなデカブツ引っ張り出したんだよ、と言うか何故持てると思わず影武は突っ込みたくなったが、冷静に考えるとこれは『魔法』で説明が終わる。
ほむらが腕に装着している銀色のバックラーはほむらの得意な魔法とか使ったりドラ○もんの四次元ポケットみたいに物を格納したり出来る。どんなにデカい武装であろうとも大量に。そういえば以前は
喧しい3つの銃声がこの広場に響き、見ていたさやかとまどかは思わず耳を塞ぐ。無数の弾丸は追い打ちのようにお菓子の魔女に刺さり5秒後再び銃声がパタリと止み、影武はお菓子の魔女が再生する前に、胴体をジャンプしながら切り上げようとした瞬間、影武は有る事に気が付いて和哉は目を見開いた。
……一斉射撃により出来た傷がもう再生されている。
それにほむらも光実も気付いて、これまでの攻撃が無意味であった事を悟り、両者とも眉を顰めた。
切り上げ終わって着地の際に出来た隙を見計らったか飛んでくる使い魔に当たり、影武は地面に叩き落とされる。背中に強い衝撃が奔り、結構痛かったのだがここは無理してでも下がらないと美味しく戴かれてしまう。マツボックリも喰えるには食えるのだから。――え、そう言う問題じゃない?
影武はほむらと龍玄のもとに跳んで逃げ、3人ともお菓子の魔女を見据える。
「僕も前衛に出ます」
何か考えがあるのか龍玄はキウイロックシードを取り出しドライバーに装着されているブドウと取り換えて、カッティングブレードを倒した。
【ロック・オン ハイィ~ッ! キウイアームズ! 撃・輪・セイヤッハッ!】
ブドウのアーマーが消滅し、頭上のクラックからキウイ型の大型ユニットが素体になった龍玄に被さりキウイアームズへと変身した。武装は二つの圏『キウイ撃輪』だ。
「これは接近戦の方が良いかもね。暁美さんは銃撃で牽制。僕と……えっと……君は」
影武の変身者の名前が分からず、呼び方に困っていると顔の向きをお菓子の魔女から逸らさないまま影武は答えた。
「早乙女」
「……早乙女君は僕と前衛で刃物で魔女に直接ダメージを与える。これでいいですか?」
龍玄の提案を受けてほむらはこの男、呉島光実という男は随分胆力が有ると心の中で評した。戦闘中に若干不利な状況でも冷静な判断を下せるような人材は貴重だ。キュゥべえを信用していないようだし、上手くこちら側に引き込めば大きな戦力に成り得る。腕っぷしは早乙女和哉に若干劣るようだが充分お釣りが来る。
「えぇ。構わないわ」
龍玄の戦法に付き合う事にしたほむらは影武に視線を投げると、視線に気付いた影武は異論はないのか頷いて答えた。
彼の提案は満場一致となったので龍玄と影武は前衛で並び立ち、その中間位置から3歩下がった位置にてガトリングガンを構える。
「散開した後5秒撃って。その間に僕らは定位置に着いて10秒間斬撃でダメージを与える。その後再発砲しその隙に僕らは大技を撃つその後、暁美さんは追撃を」
元々魔女に理性など無い。あるのは
――効いていなくても良い。注意さえ引けば……
5秒経った時にはお菓子の魔女の両脇に影武はマツボックリロックシードをセットした無双セイバーを、龍玄はキウイ撃輪を構えて立っていた。ほむらはトリガーから指を離し、発砲を止める。
銃声が止まったその瞬間を見計らって龍玄はキウイ撃輪を両方投げつけ、影武は無双斬を発動させた無双セイバーでお菓子の魔女に向かって一振りした。
【一・十・百・千・万! マツボックリチャージ!】
刀身に渦巻く黒いエネルギー波が三日月状の刃となりお菓子の魔女に向かって飛んでゆく。それにお菓子の魔女は着弾寸前で気付くがもう遅い。キウイ撃輪と黒い斬撃波が挟み込むようにお菓子の魔女の側面を襲う。投げられた二つのキウイ撃輪は恵方巻の如く三等分にしてしまうように周りを舞い、切り刻む。黒い斬撃波は頭を真っ二つに叩き割るように飛来して斬撃波がお菓子の魔女の丸い顔を二等分に切りかけたケーキの如く突き刺さった。
【ソイヤ! マツボックリスカッシュ!】
【ハイィ~ッ! キウイスカッシュ!】
確かなダメージを両者は確認し、影武はロックシードをドライバーに戻してそれぞれカッティングブレードを一回倒す。その際の隙はほむらのガトリングガンから再び喧しい銃声が響き、弾丸の雨がお菓子の魔女を襲う。
そして、粗方お菓子の魔女の身体を傷つけたキウイ撃輪は銃弾の雨から逃げるように持ち主である龍玄の手元に戻り、銃声が止んだ瞬間、影武と龍玄はお菓子の魔女に向かって飛び掛かった。
「撃ッ破ァァァァァ!」
独楽のように龍玄は回転しながら突撃してキウイ撃輪で魔女の巨体をずたずたに切り付け、影武は己をドリルの様に回転して無双セイバーを以て特攻、己を弾丸とし魔女の首(?)をぶち抜く。その間に使い魔が魔女を守ろうと動いてこそ居たが、ほむらによって総て排除されてしまう。――いい仕事するよホント。
ほむらの動きに影武は舌を巻きつつ、地上に降り立った瞬間ほむらを見た。追撃に何かぶっ放す手筈なのだが……ほむらが持って居たのは両手に一丁ずつ持ったバズーカ砲だった。
「反動ォォォォォォォォォォ!?」
もう慣れたと思っていたのにこれだ。中学生の華奢な美少女が反動無用でバズーカを二本担いでぶっ放すという現実離れした光景に影武は思わず絶叫とともに突っ込んだ。同じく既に着地していた龍玄も言葉を失い、ポカーンとつっ立っている。
その様は最終決戦仕様のガ○ダムである。……黒いけど。
『黙ってなさい』
「アッハイ」
絶叫がウザかったのか影武はほむらに念話で怒られた。逆らえばどうなるか分かったものじゃないので従う事にする。
爆風を恐れて影武と我に返った龍玄は慌てて退避し、砲弾はその間に放たれる。そして影武と龍玄の大技で怯んだお菓子の魔女に命中。大爆発を巻き起こした。
「っ……!」
ほむらの背後の物陰で一連の戦闘をみていたさやか達は閃光と爆風に思わず腕で顔を庇う。爆風が収まり、恐る恐るお菓子の魔女が居る筈の場所を見ると爆煙に隠れて姿が見えない。龍玄と影武は無事だったようなのでさやかもまどかも安堵する。
「ふぅ、危ねぇ危ねぇ……」
影武はギリギリのタイミングで砲弾ぶっ放すほむらに文句を言いながら手で埃を払いながら立ち上がって爆煙が晴れるのを待つ。龍玄も一足遅く起き上がる。
濃ゆい鼠色の爆煙がどんどん薄くなり、凝視すれば何とか見える状態になった時、ほむらは信じられないものを見るように眼を大きく見開いた。
――あれだけ喰らって倒れていないの!?
あれだけの攻撃を喰らって消滅まで至らないという現実。ズタボロではあるが再生してしまうのは時間の問題だろう。武器にまで魔力を回していないのが仇だったか。ほむらは追撃に手榴弾を用意して、追撃を叩き込もうとした
【オレンジスカッシュ!】
その時、影武のものでも、龍玄のものでもないドライバーのエレキギターの音の後放たれた音声と共に一条の光がほむらの横を通り過ぎた。それは弓矢の形を成しており、直進して瀕死のお菓子の魔女をいとも容易く貫き……お菓子の魔女は風穴を開けて炎を上げて大爆発を起こした。
一体誰が? それはこの場に居る人間が全員が思った事だろう。3人は反射的に背後を、まどかたちも後ろに振り向いた。そこに居るのは……紅い弓『ソニックアロー』を持った銀色の
「紘汰さん!?」
思わず龍玄……光実は葛葉紘汰の名前を呼んだ。オレンジにジンバー系列。使用している組み合わせがまさにそれだった。約一年前の騒動でゲネシスコアを使用している人間が紘汰以外居なかったという事実から思わず彼を連想したが、それが違う事は冷静に考えたら分かる事だった。
素体の形状が違うし、今の紘汰にはジンバーになる必然性がもう無いのだ。殆ど極の能力や性能で事足りてしまう。
――じゃぁ、誰だ?
誰だか想像付かず思わず考えてしまうが、銀色のライダーがソニックアローを再び引き絞りソニックアローの照準用の赤外線がマミの頭に当たっているのに気付いた瞬間、龍玄は考えるのを止め血相を変えて走り出した。
容赦なく放たれた光の矢は力なく座り込んでいるマミ目掛けて飛んでいくが、全力疾走で庇った龍玄によってそれは阻まれた。マミの前に立ち、代わりに受ける事でマミは事無きを得たが、変身が解け光実は力なく地に膝を着いた。
流石、ゲネシスコア搭載のベルトだ。だが、それにしても威力が……
ソニックアローの威力に違和感を感じながら、光実の視界は少しずつぼんやりしてゆく。――駄目だ、まだ倒れる訳にはいかない……
だが、現実は非情だった。意識を保とうとする必死の抵抗も無駄に終わり、心配して自分の身体を揺するさやかを見たのが最後。光実は気を失った。
「呉島さん!」
倒れる光実を慌ててさやかは駆け寄り、ぎりぎりの所で抱き留める。そして銀色のライダーに向かって叫んだ。
「アンタなんてこと!?」
気炎を上げるさやかを嘲笑うように見ながら、銀色のライダー……
「さぁ? 腑抜けた雑魚は頭吹っ飛んでも問題は無いし……さて、性能差戦力差はお分かりの筈。命が惜しければ私の言う事に従って欲しいのよね。そうすれば命くらいは保障するけど」
全く悪びれない様子にさやかは眉を顰める。声からして変身者は少女だろうか。
「何を馬鹿な事言ってんのよ! いきなり弓ぶっ放してマミさんを殺そうとして!」
飽くまで食い下がるさやかの発言には銀武は耳を貸さず、さやかの頭を蹴り飛ばし地に伏せさせて身体を踏みにじる。余りの容赦の無さに影武が無双セイバーを構えて、銀武に向かって全力で走り出す。さやかを傷つけている。それだけでも敵対するのには充分だ。
だが、横殴りで何者かに斬りかかられ影武の突撃は無駄に終わってしまう。肩の装甲に火花が散り、意識が外の攻撃な為思わずよろける。
妨害に入ったのは藍色の民族衣装を思わせる素体と西洋の剣士を思わせるフォルムである黄色い装甲のアーマードライダーだった。手には銀武と同じソニックアローを持って居る。だが、ベルトは影武にとっては見た事が無いものだった。戦極ドライバーとは違い色は赤で、形状も殆ど違う。セットしているロックシードが透き通るような透明の色をしていた。
「やっても俺たちには勝てねーよ。現実見ろよ……それとも無知なだけか?」
小馬鹿にしたような口調で手を広げて言い放つ。こちらの変身者は男か。と、影武が性別云々を気にしている内に蹴りを腹に叩き込まれる。
「にゃろ……おっ!」
蹴り込まれた足を掴み頭突きをかますが謎のアーマードライダーは全く動じていない。そして「汚ねえんだよ」と吐き捨てるように呟いてソニックアローで影武を斬り付けた。戦闘は最早一方的であった。影武は無双セイバーを振るって反撃に出ようとするが簡単に押し切られる。
ほむらが、
強力な物を使おうにも影武を巻き込んでしまう。バックラーから
「じゃぁ、これはお預かりという事で」
だが、そうは問屋が卸さなかった。銀武が気絶したさやかと光実を両脇に担いでいたのだから。「どうしてこんな事をするの」とまどかが問うが銀武はやはり相手にしては居ないようで、まどかに眼もくれない。
「やれやれ……ガキは大人しくお勉強でもしてな!」
一方で影武は奮戦虚しくあっという間に倒され、戦闘は出来なくなって地に伏していた。謎のアーマードライダーが影武の背中を踏んでストレスを解消するかのように好き放題言いたい事を影武の耳元で言い放つ。完全なスペックの暴力だ。SランクロックシードにCランクが勝てる訳が無い事を今この場で端的に表していた。
「取り敢えず見滝原の魔法少女は手持ちのグリーフシードを一人10個ずつこちらに提供してこの街から身を引くか私たちに従うか、考えて置きなさい。回答によってはこいつらの今後も変わっちゃうから。答えは……明日辺りにキュゥべえを介して集合場所教えとくからそこで18:00で訊くわ」
明らかな脅迫。言っている事は無茶苦茶だ。そんな取引誰がするのか。と言いたい所であったがあちらの戦力を考えればこの無茶苦茶な取引に応じざるを得なくなるだろう。従った所で搾取されるオチは予想出来る。……まぁ、ほむらは彼女に従う気も無かったし、グリーフシードをやるつもりも無いのだが。
銀武の言動からして例の政美周子とその取り巻きなのだろうとほむらは推測する。
「言いたい事はそれぐらい。良い返事を待っているわ。行くわよトリスタン」
突如現れた銀武とトリスタンと呼ばれた謎のアーマードライダーはほむら以外戦闘できる人間を殆ど痛めつけ、好き放題言った後でさやかと光実を抱えて何処かへ跳び去って行く。
残されているのは戦闘不能のマミと、親友と仲間を攫われて力なく地面に座り込んでしまったまどか。そして叩き潰されて倒れた和哉と、唯一ダメージの無い戦える人間であるほむらだけ。
「美、樹……」
和哉は地面を這いながら、去ってゆく銀武に抱えられたさやかに手を、伸ばす。届かないと知っているのに、それでも姿が見えなくなるまで手を伸ばさずには居られなかった。
力なく、伸ばされた腕が地面に横たわり、親友を攫われ立ち竦むまどかが視界に入る。
――畜生、なんでこうなるんだよっ
今の和哉には圧倒的なものの前にただ無力な己を恨むしか無かった。嘗て弱くて恐れて見て見ぬふりをしていた幼い愚かな自分を思い出しながら……
取り敢えずオリジナルライダーの簡単なまとめを。
・アーマードライダー
素体は黒い斬月で無双セイバーを基本装備。所有ロックシードはマツボックリのみで現状最弱(中身はまぁまぁ)で今もまだ前座脱却できず戦績は雑魚掃除以外お察し。
・アーマードライダー
素体は銀色の鎧武者(鎧武とは違う形状)待機音はエレキギターで、こいつも無双セイバー常備。更にゲネシスコア装備でジンバーレモンへと変身している。光実曰く威力が通常の奴よりおかしい。ノーガードとは言え一撃で龍玄をノックアウトした。
・アーマードライダートリスタン
スターフルーツ型のエナジーロックシード『スターエナジー』とゲネシスドライバーで変身したライダー。装備はソニックアロー。基本カラーは藍色で民族衣装っぽい素体に黄色い西洋の鎧を着せたような外見。一方的に影武をスペックの暴力で潰した。
さやかと光実が攫われた挙句に、相手はエナジーというスペックの暴力(しかも二人だけじゃない)。対抗できる通常ロックシードはレジェンドシリーズぐらいでしょうか……それとヨモツヘグリ(ゲス顔)。
ピンチはチャンスと嘗て何処ぞの自称魔法少女は言いましたが、チャンスに成り得るのか。
次回『Regret nothing』(仮)