劇場版については落ち着くまであまり詳しく語りませんが、良い意味で無難でしっかりとしてて良かったです。呉島兄弟が好きなら必見。そして『奴』は相変わらずブレなくて安心しました。
この作品と劇場版で若干設定の齟齬が発声しているので要修正かも。このまま開き直って突き進んで別の歴史として突っ走る手も有りますが……
ここからバラバラなパズルのピースが一つに纏まって行きます。
パズルのピースは俺が(ry
丁度小腹が空く15時くらいにて、とある見滝原のファミレスの一角。光実と和哉が向き合って座っていた。こうして落ち着いて話すのは初めてかも知れない。昨日はごたごたしていたのだから。
「昨日は助けてくれて本当に有難う改めて礼を言うよ。僭越ながら色々訊きたい事があるけれど、良いかな?」
「あっ、はい」
連絡先を交換してきている時点で敵対する意志は無いのだろう。証拠にマツボックリしかないのに拘わらずブラッドオレンジを返却してきている。
光実は頼んだオレンジジュースを一口飲み下してから、口を開いた。
「戦極ドライバーは何処で手に入れたんですか?」
これが一番知っておきたい疑問だった。周子たちの手持ちの出自は泥棒だったが……これは流石に答えないかと思っていたら、和哉は答えた。……ちょっと取り調べをされる犯罪者みたいな縮こまり方で。
「ユグドラシル社に努めてる知り合いから貰った……ですハイ。何か、ヘンテコな植物が侵食して来たらこれを付けろと……使い方は説明書を読んで何とか。後は、見様見真似」
入手経路については無理は無い話だった。まぁ嘘を言うメリットはあまり無いとは思える。言われても別にこちらが困ることもあまり無いが。
若干、取り調べみたいに空気になってここまで肩を竦められてちょっと言い辛そうにされているのはこちらとしては気分は良くなかった。とは言え旧ユグドラシル関係者であると素性は一応明かしているので、少し怯えられるのも仕方ないのかもしれない。
「別に取り上げるつもりはありませんよ? 盗品では無さそうですし」
「あ、すんません」
光実自身、彼からベルトを取り上げるつもりは無かった。悪用するならまだしも、こちらに利のある行動をしているし数少ない戦力だ。取り上げたら双方とも損をする。ベルトの処分は事が終わってからで良い。
「見様見真似というのはつまり、先にアーマードライダーの戦いを見ていると?」
「……まぁ一応。魔法少女がベルト使ってんの見て……。そいつ、俺を助けようとしてくれたんだけど、魔女に勝った後、そいつも同じように魔女になって……」
窘められて和哉は何時もの喋り方に戻るが、若干顔が少し俯いているように見える。当たり前か。魔法少女が魔女になってしまうというあまりにも強烈過ぎる光景を見せられたのだから。では彼は何故戦うのだろうか? と光実は思った。普通の人間なら戦わずに居る選択肢も有った筈だ。
「貴方は何かを求めて戦っているんですか?」
我ながら意地の悪い質問だ、と光実は思った。和哉はその質問に少し悩み出し、眉間に皺を作る。数秒の出来事だったが、まるで10分ぐらいに感じる間であった。そして眉間のしわを伸ばしてから漸く口を開いた。
「何を求めて……というより、知り合いを魔女になんかさせたくなかっただけかなぁ……あんまりごちゃごちゃ考えるの性に合わないんだよ。何かやれるのに何もしないのは嫌だし」
答えを出した和哉の目は真剣そのものだった、最後で少し愛想笑いを含んだが、嘘では無いようには光実には思えた。これでほむらと行動を共にしている理由も大体分かった。彼も紘汰のような何かしらの積み重ねがあったのかもしれない。「力があるのに何もしないのは嫌だ」という想いはどこか紘汰を思い出させた。
和哉は頼んだメロンソーダを一口飲み、気を落ち着かせる。光実もまた、オレンジジュースを一口啜った。
これ以上はこの事訊かない方が良いのかも知れない。光実の追及に益々和哉の表情が暗くなる。これ以上古傷を抉るのは良くないので、光実はこれ以上訊かない事にした。その魔法少女はもう故人だ。彼が知人でない以上問い詰める理由はもうない……
/
やはり嫌な物は何時思い出しても嫌な物だ。と早乙女和哉は思った。最初に結界に巻き込まれたのは数か月前だ。その時は、ベルトなんて持ってきて居なくてもう少しで魔女に殺される所であった。事実、脇腹をやられて血が凄まじい程出ていたのは脳裏に深く焼き付いている。
だが、それを魔法少女の乱入で難を逃れた。
彼女は和哉の傷を治してしまってから戦極ドライバーを持って、アーマードライダーに変身して、魔女と戦い始めた。
けれど、動きはとても覚束なくて魔女には押され気味だった。和哉を庇って戦っていて思い通りに動けなかったのだ。ずたぼろになりながらも辛勝した彼女は「もう駄目か」と言った後――
見た物は――魔法少女の懐から当時名前は知らなかったソウルジェムがグリーフシードへと変貌する光景。
少女の身体が新しく生まれた魔女に呑まれてゆく。光景。
和哉は風圧で跳ね飛ばされて、新しく発生する結界に入る事無くあの魔女の全貌を見る事は無かった。……最後の力を以て和哉を結界に入れないようにしたのかもしれない。
戦極ドライバーを持って居れば、あの魔法少女を助けられたのかもしれないと今でも思う。
そして昔、小学生のころは自分よりがたいの良いいじめっ子の女子に報復喰らう事に怯えて、友達が苛められているのを黙って見ていた。そいつは身体が弱くて倒れてしまい、退院したらそのまま転校してしまった。
要するに自分は人を助けられる状況に置かれていたのに二度も人を見殺しにしたのだ。前者は『知らなかった』から兎も角、後者は怯えていなければあんなことには成らなかった。見殺しにしている自分が嫌いだった……殺してしまいたいくらいの憎しみを抱くくらいに。誰も自分を罰しないものだからその想いは募りに募る。
当時何も知らなかった和哉はあの魔法少女は魔女に呪いでも掛けられたものかと勘違いして……
それから和哉は戦極ドライバーを常備するようになった。彼女を助ける為に、もしもの事があっても困らないように。警察に言った所で充てにならないのは知っているし、立証するだけの証拠も無い。
そして、今から一週間と数日前、和哉の無力感というマイナスの感情と引き合ったか……再び魔女結界に呑み込まれた。
その日だ。暁美ほむらと出遭ったのは。戦闘が勝利で終わってから最初は相手にしてくれなかったが、色々問い詰めている内に、次第に話してくれるようになった。キュゥべえの存在や、魔法少女のデメリットも。
あちら側にとってはこちらは多分弾除けぐらいにしか思われていないだろう。けれど、力と魔女への察知能力を提供してくれるだけでも充分だった。お互い利用し合っているようなものだ。多分、昨日の失態と光実の存在で見放される可能性も無くも無いが。それはもう仕方ないと納得している自分が居る。
多分、今の状況で戦極ドライバーまで失えば、きっと自分は自分で居られなくなると和哉は思っていた。
今の和哉にとって戦極ドライバーが心の支えのようなものである。もう、自分を助けてくれた魔法少女はもう生きていないし助からない現実をほむらに突きつけられたのだ。もう後は、無い。
光実と和哉がお互い黙って、ジュースをちびちびと啜り続けた。それに使った時間は実際の所10分程度だったが、1時間ぐらい待たされているようで和哉は何度もため息を吐いた。
上級ロックシードが欲しかった。あれさえあればそれなりに戦える。ブラッドオレンジを借りパクしてしまえば良かったなどという考えはふと過るが、それは若干の葛藤の末跳ね除けた。力を求めて人の道から外れるのは論外だ。
光実が話さなくなってから沈黙。この重い雰囲気と無言の間がとても、苦しかった。
/
あの無言状態になってからそれ以上話す事は無く、不毛なので会計を済ませて外に出る事にした。
外の新鮮な空気が二人に纏わりついた重い空気を拭い去る。
「今後あんたはどうするんだ? 巴マミっつー魔法少女と一緒に戦い続けるのか」
重い空気が払しょくされたことも有って、和哉は何事も無かったかのように口を開いた。問われた光実は迷いなく答えた。
「えぇ。鹿目さんたちの事も有りますし」
そういえば、光実がまどかたちと行動を共にしている事を思い出して、和哉は再び俯いた。所詮自分は誰かに頼らないとやっていけないのか。トリスタンの言葉がふと脳裏を過り歯噛みする。癪だが、彼の言う通り現実を見なければならないらしい。
「……鹿目たちを、頼むよ。俺が出来る事なんてたかが知れている。それに多分、美樹には敵視されてるだろうしな」
「それは……」
光実は返す言葉に困った。さやかはほむらを人一倍敵視していた筈。ほむらに肩入れするという事が意味するものは……人の関係というのはいともたやすく壊れるものだ。己が相当恵まれた関係の中で生きていた事を他者の関係が崩壊したこんな時に実感してしまう。自覚はあったが我ながら本当に嫌な人間であると、光実は自己嫌悪に陥った。
「アイツらを……魔法少女にしないでやってくれ。俺も出来る最大限の努力はする、頼む!」
和哉は光実に大きく頭を下げた。一人ではどうにもならない。けれどそこにある日常が消えるのは和哉にとって耐えられない。また何も出来ずに消えていくのを見ているのは嫌だった。
「……分かりました」
光実もそこまで頼まれては断れなかった。葛葉紘汰ならきっと断ったりはしない筈だ。彼の思いに答えて奔走するだろう。
「悪い……有難う」
和哉は再び頭を下げる。光実が頭を上げてと言うまでずっと……
「ーーーーーーーッ!」
和哉が顔を上げた直後、突如男性の悲鳴が聞こえて来た。何事かと声のした方へと和哉と光実は走る。辿り着いた先は立体駐車場内。三階にまで上がると声の主と悲鳴の原因を突き止めた。
へたり込んで逃げる術を失った青いワゴン車に凭れた中年男性と、彼にゆっくりと近づいてゆく大剣を携え炎を纏った紅いファントムが見えた。紅いファントムはまるで……不死鳥を思わせる外見だった。
それを見て和哉は不死鳥型ファントム……フェニックスの注意をこちらに向かせるべく半ばヤケクソ気味に叫んだ。
「待ちやがれッ!」
和哉の狙い通りに、叫びに反応したフェニックスは気怠そうに和哉と光実の方を向く。それに和哉はやったぜと言わんばかりにどや顔をした。
「あ? 何だ? てめぇは死にぞこないの魔法使い……では無いな?」
魔法使い。どうやら、フェニックスはウィザードの事を知っているらしい。操真晴人の事か鍵真ハルトの事かは知らないが。どうせ聞いても答えないだろうと判断してから光実は戦極ドライバーを取り出した。
「違うよ。残念ながらね……!」
和哉も戦極ドライバーを取り出し、二人とも戦極ドライバーを腰に巻き付ける。戦極ドライバーを巻き付けた時点で装着者は常人より若干優れた運動神経や回復力を獲得する。変身は今でも出来るがあまり大騒ぎにさせたくないので男性を逃がしてからにする。
そのまま光実はフェニックスの後ろに居る男性に向かって全力で走り出した。和哉は男性の方へ向かうと見せかけてフェニックスに襲い掛かる。
「邪魔すんじゃ……ねぇ!」
フェニックスが火の鳥を精製させて二人に向けて特攻させるが、狙いが甘い。和哉はそれを避けてフェニックスに跳び蹴りを放ち、和哉とフェニックスがやりあっているその隙に光実は中年男性を確保し、出来るだけ遠くへ離れるように言い聞かせた。
和哉の邪魔が鬱陶しく思ったフェニックスは大剣を大ぶりで振り降ろすが、寸前の所で回避。そのまま腕を拘束した。
「てめぇ……邪魔をっ」
「へへっ……逃げたか」
一目散に走り去る中年男性を見て和哉はにやりと笑う。フェニックスは身体に炎を噴出させて和哉を振り払うがもう遅い。二人は中年男性が逃げた道を通せんぼするように立ち、各々ロックシードを取り出した。
流石にマツボックリで戦うのは無理があるだろうと和哉が取り出したロックシードを見て光実は思い、メロンを和哉に投げ渡す。
「これを使って!」
「あ? うぉあっ!?」
いきなり投げ渡されたものだから、和哉は取り落しそうになるが、何とか手に収める。
「こいつぁ……」
投げ渡されたものはメロンロックシードだった。思わず光実の方を和哉は見る。光実は黙って頷いていた。
――これって使って良いんですかね? そういう事なんすかね?
どうやら天は我に味方したらしい。和哉は若干はしゃぎつつ、直ぐに抑えてフェニックスを見据えて、其々ロックシードを開錠した。
【ブドウ!】
【メロン!】
「「変身!」」
各々変身ポーズを取り、ロックシードを戦極ドライバーに嵌めて、閉錠させる。そして間髪入れずにカッティングブレードでロックシードを切った。
【【ロックオン】】
【ハイィ~ッ! ブドウアームズ! 龍・砲・ハッハッハッ!】
【ソイヤッ! メロンアームズ! 天・下・御・免!】
クラックを介してブドウ型とメロン型のアームズユニットが発動した者のの頭に落下して被さり、
「うおっ……盾か、これ」
影武は出現した専用武器に驚き、メロンディフェンダーの裏と表を忙しなく見比べた。
「ちっ……妙な力使いやがって! 愉しませてくれるんだろうな!?」
影武がメロンディフェンダーを凝視している内に、フェニックスが苛々したか、龍玄らに火の鳥を放つ。影武はそれをメロンディフェンダーで防ぎ、龍玄はブドウ龍砲で撃墜して龍玄はフェニックスに向かって走り出す。
「あっちょっ!?」
慌てて影武もそれを追って走り出し、フェニックスと接触する前に無双セイバーを抜刀してから斬りかかった。
先行した龍玄がフェニックス大剣による迎撃を受け流して隙を作り、作られた隙を影武が無双セイバーでつけ込み、序でにメロンディフェンダーで力一杯にフェニックスの頭をぶん殴る。
「てめっ人の頭を!」
フェニックスもやられてばかりではない。怒りを込めて吠えると大剣を薙ぐようにして横に振り、直撃を受けた影武と龍玄は火花を上げて吹き飛ぶ。
「人じゃないでしょ!」
龍玄がフェニックスの発言を突っ込みつつ、二人は無双セイバーとブドウ龍砲の一斉射撃を放つ。それをフェニックスは面積の広い大剣で防いで、片手を上に翳して巨大な火球を形成させる。
「往生……しやがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
吠えてからフェニックスはその巨大な火球を龍玄目掛けて落とす。
だが、それを影武が龍玄の前に立ちメロンディフェンダーで受け止める。あまりにも重い攻撃なので、シャットアウトは不可能。チリチリと影武とメロンディフェンダーの装甲が焼ける音が聴こえて来る。重くて影武の足元に軽くクレーターが出来、腰が徐々に後ろへ反ってゆく。
「んがぁぁぁぁっ! っらぁぁぁぁっぁぁぁ!」
歯を食いしばって受け止めているがもうそろそろ限界だ。最早押し返す事は考えない。流すように火球を……押しのける。
火球は目標は龍玄に届くことなく二人の隣に落ちて蒸発、消滅した。
「はぁっ……はぁっ……」
防御に相当体力を使ったが、メロンディフェンダーは和哉にとって非常に扱いやすい代物だった。有無も言わせぬ手数によるラッシュより確実に防ぎながら一撃を与えていくスタイルが一番相性がいいのかもしれない。
「バカなッ!?」
まさか火球を押しのけられるとはフェニックス本人は想定していなかったようで、戸惑い始める。攻撃の反動で動けないようにも光実には見えた。その隙を見逃す龍玄……否、光実ではない。
「今の内に同時攻撃を!」
「あいよ!」
龍玄の指示に従い、二人ともカッティングブレードを一度倒す。
【ソイヤッ! メロンスカッシュ!】
【ハイィ~ッ! ブドウスカッシュ!】
そして両者は跳びあがり、龍玄は龍玄脚、影武は無刃キックを同時にフェニックスに向かって放った。
「撃ィッ!」
フェニックスはそれを大剣で防ぐが、影武のシャウトと共に大剣が砕け散り……
「破ァァァァァァァァァァァァ!」
身を守るものをフェニックスは身体に二人のダブルライダーキックを叩き込まれ、爆発、四散した。
「やったな」
「はい」
爆発で吹き上がったオレンジの炎は次第に消え去り、フェニックスが完全に粉砕されている事が分かった後、影武は拳を龍玄に突き出した。龍玄はそれを同じく拳で返しお互いの拳をぶつけ合った。
/
「案の定フェニックスは沈んだか」
龍玄たちが去った跡、端で気付かれないようにフェニックスの末路を見ていた黒髪ロングの妖艶な雰囲気を纏った女性……メデューサは不敵な笑みでフェニックスの残骸である灰を見る。
「無駄な事を……寧ろ己の首を絞めている事に気付かずに」
そう言うや否や、残骸の灰が独りでに一ヵ所へと集まってゆき、その灰たちは元のフェニックスの形へと戻した。
「チッ……漸く暴れられると思ったらこれだ。何なんだあのガキンチョ共」
悪態を付きながら、メデューサのもとへ歩み寄る。
「だが、退屈はしないだろう?」
メデューサの挑発的な微笑みにフェニックスはへっと吐き捨てるように笑い返した。
「まぁな。あの死にぞこないの魔法使いは湿っぽくて好かねぇ。ああいう何も考えずに殴り合えるのが一番だぜ。ま、死と再生の感覚は気持ち悪ぃがな」
「
「へいへい」
メデューサの忠告を半分聞き流しながら、手をひらひらさせる。メデューサはどうやら
まぁ、何はともあれ。お預け喰らっていたが、待った甲斐があったらしい。フェニックスは大きな期待を以て、己の死と再生で消費した魔力が戻るのを待ちつつメデューサとともにこの場を去った。
光実「どこで使い方を習った」
和哉「説明書を読んだのよ」
フェニックスやトリスタンはパワーが有れど複数相手に弱い仕様。前者はすぐに克服しますが。
漸くWライダー誕生。これでウィザードもマミも参加して和解とかできればいいのですがね……(ゲス顔)