贖罪少年くれしま☆ミツザネェ!   作:ヌオー来訪者

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 都合上カットしている音声がありますが、そこは脳内補完でお願いします……

 黒い斬月で某オサレな死神バトル漫画を思い出した人、前に出なさい。怒らないから。


第二話 登場! 魔法少女と黒い斬月!?

 龍玄は奮起してブドウ龍砲のトリガーを引く。鋏にやられた左腕は使い物にならないので不利な状況には変わりない。左腕から中指を伝いぽたぽたと落ちる赤い血がそれを物語っている。

 

「しまった!?」

 

 痛みに耐えていると不意打ちに飛んでくる鋏が龍玄の胸に向かって飛んでくる。程良く尖ったその刃。貫かれたら一溜まりもないだろう。光実は来るであろう想像を絶する痛みを想像し、思わず目を瞑った。

 

 

 

……だが、痛みは来なかった。

 

 ふと、光実は眼を開く。ふと胸を見る……無傷だ。

 

 慌てて周囲を見ると、二人の少女も自身も淡い黄色い光に包まれているのに気付いた。周囲に蔓延っていた鋏や鎖たちは影も形もない。時間が経つうちにゆっくりと光が弱まってゆく。

 

――これは……

 

 もしかして紘汰さん?

 

 そんな期待に近い想いが脳裏に過った。だが、また彼に頼らなければならないのかと己の不甲斐なさを痛感する。

 

 ……だが龍玄たちを助けたのは葛葉紘汰では無かった。

 

 

 

「危なかったわね。でも、もう大丈夫」

 

 

 声の主は二人の少女と同じくらいの少女で、同じ制服姿だった。金髪の縦ロールの如何にも育ちの良いお嬢様という雰囲気を醸し出しており、手には、卵の形をした黄色く光るものを持っていた。余りの場違いさと唐突な登場に光実は眼を疑う。

 

――この少女が僕たちを助けたのか? 生身の姿で?

 

 兄と似たのか、光実は自分で見たものと深く信頼している人間の言っている事しか信じない性分だった。……光実本人は全力で否定しているが。

 

 縦ロールの少女はこちらにゆっくりと歩み寄り、龍玄の姿に恐れずのツインテールの少女の前に立つ。

 

「あら、キュゥべえを助けてくれたのね。有難う。その子はわたしの大切な友達なの」

 

 縦ロールの少女が礼を言い、龍玄はふと、彼女の視線の先を見た。ツインテールの少女に当たる……光実には何もないものを抱いているように見えた。

 

「わたし、呼ばれたんです。この子に……頭の中に直接声が……」

 

 自分の胸を見ているようにしか見えない光景とツインテールの少女の発言に、光実は己の耳を疑った。

 

――見えない生物なのか? そんな馬鹿な話があるものなのか。

 

 オーバーロードの一件があるし、多少の摩訶不思議な体験はしてきたつもりだが、流石にこんな見えないものがテレパシーで喋るなどという事を信じろと言うのは酷な話だった。

 

 だが、縦ロールの少女は納得したかのような表情であった。……自分置いてけぼりの展開に左腕の痛みを忘れて思わず、呟いてしまう。

 

「……疲れているのか僕は」

 

 逃がした怪人を倒したら直ぐに帰ってぐっすり寝よう。と、光実は思うのだった。

 

「その制服、見滝原の生徒みたいね」

 

 縦ロールの少女の言葉に、龍玄は周囲に悟られないように深く溜息を吐いた。

 

 見滝原市。電車の駅で言うなら、隣の駅だ。しかも沢芽自体陸の孤島のようなものなので結構距離がある……バイクを使ったとは言えどうやらかなりの距離を走ったらしい。気が遠くなりそうだ。

 

 帰るには持ち運びの可能なバイク、『ローズアタッカー』が有るので帰るのには余り苦労はしないが、腕の傷をどう隠そうか。兄の呉島貴虎がその傷見れば、仕事をぶん投げて色々するに違いない。そう思うと些か頭が痛くなって来た。こんな事で兄の足を引っ張りたくないのに。

 

 それにこの状況を打開する方法が見当たらないのでは帰る事すらままならない。

 

「所で、アナタは……」

 

 縦ロールの少女が龍玄に話題を振り、少々返答に困るが、ツインテールの少女が少し困り顔で答えてくれた。

 

「あの、この人? はわたしたちを助ける為に腕に怪我をして……」

 

「酷い怪我ね……」

 

 縦ロールの少女が龍玄の左腕を迷いなく取る。ライドウェアを突き破り、血がどくどくととめどなく溢れだしている。止血しておかないと少々不味いかも知れない。

 

「早く止血しないと……その前にちょっと一仕事、片付けていいかしら?」

 

「は?」

 

 龍玄が困惑していると、ぞわぞわと茨や鋏が髭の白くて丸い奴が沢山現れ、暴れ始める。

 

――まだ居るのか!

 

 龍玄は痛みに堪えつつ鋏たちを睨見つける。……鋏たちが好き勝手に暴れられて怒っているように光実には見えた。

 

 腕を元に戻し、縦ロールの少女は暴れ出す鋏たちに向いて光る卵みたいな物を前方へ両手で持って突き出した。――それは、一瞬の出来事だった。

 

 光に包まれ制服が一瞬にして、別のものに変質する。それはブラウスにスカート、コルセットにベレー帽と中世ヨーロッパの砲撃手を思わせる服装だった。

 

 ……そこからは彼女の独壇場(ステージ)だった。

 

 そして空高くジャンプして、無数のマスケット銃を召喚し、弾丸を放った。総ての弾丸は、鋏たちに落雷し爆発して煙を上げる。

 

 余りにもマジカルな展開に光実の開いた口が塞がらなかった。ここまで現実離れした展開を見せられると、もう古代人や神様や不死の生物とか吸血鬼や宇宙人が現れたって驚かない自信がある。

 まさか日曜朝のTVに出そうな魔法少女モノみたいな光景をこの目で見る事になろうとは夢にも思わなかった。

 

 凄い、と一部始終を見ていた少女たちは歓声を上げる。光実もそれに心から同意する。

 

 

 縦ロールの少女が地面に着地して数秒後、空間が揺らめいた。やがて周囲の光景は見覚えのある薄暗くて殺風景極まりないショッピングモールの閉鎖区域へと戻って行った。

 

「……あっ」

「ゲッ」

 

 そんなに遠くに逃げたようでは無かった。逃げた筈の鳥型の怪人が、数メートル先にて龍玄たちの前に立っていた。

 

「かなり遠く行ったつもりなのによォ! なんだあの空間!」

 

 悔しげに悪態を付く鳥怪人。一瞬、彼が妙な空間を作った犯人かと思ったが、どうやら違ったらしい。

 

――だが、どうだっていい。奴を倒すチャンスには違いないのだから。

 

「逃がすかッ」

 

 龍玄はブドウ龍砲を鳥怪人に向けて発砲する。だが、鳥怪人は俊敏な動きでそれをひょいひょいと躱す。

 

「うおぉっ……今度こそアバヨ!」

 

 鳥怪人が何故かお尻ペンペンして、飛び去ろうとする。龍玄は慌てて追い始める。3人の少女たちはその光景にポカンとしていた。

 

「何すか……アレ?」

「わたしも分からないわ」

 

 ショートヘアの少女の問いに首を傾げる縦ロールの少女であった……

 

 

 

「追いつかねーよ!」

 

 ゲラゲラと腕を庇いながら追う龍玄を嘲笑う鳥怪人。羽を羽ばたかせ、飛び去ろうとしたその時。

 

 

 

【マツボックリ! ロック・オン!】

 

 閉鎖区域にロックシードの開錠音が響いた。光実のものでは、無い。

 

 法螺貝の和風の待機音が流れ、直後に飛び去る鳥怪人の前に素体(ライドウェア)状態のアーマードライダーが頭上に巨大なマツボックリを引き連れて歩いて現れた。

 

 

 

 その姿に少々見覚えが有った。兄の呉島貴虎が変身した姿に。確か、コードネームは『斬月』だったか。だが、斬月は白が基調だったのに対し、こちらのアーマードライダーは黒が基調だ。

 

 黒い斬月は無造作にカッティングブレードでマツボックリロックシードを切った。

 

【ソイヤ! マツボックリアームズ 一撃 イン・ザ・シャドウ!】

 

 巨大なマツボックリが黒いアーマードライダーに被さり、鎧の形を成す。そして、彼の片手にマツボックリアームズ専用の長槍『影松』が出現した。

 

 黒いアーマードライダーの真上に鳥怪人が来た次の瞬間、鳥怪人のどでっ腹に影松を突き刺した。

 

「ガフゥ!?!?!?」

 

 鳥怪人は変な絶叫を上げ、ぐるぐるとローリングして墜落、コンクリートの柱に頭を突っ込んだ。

 

――間抜けな。

 

 光実も少女たちも思った事であろう。

 

 鳥怪人は体勢を立て直し、腹に刺さった影松を引っこ抜いて投げ捨ててから地団駄を踏んだ。

 

「何しやがんだ! 痛いだろが!」

 

 悪態を付くも、黒いアーマードライダーは何も言わずに腰にマウントされた拳銃と刀が融合した剣『無双セイバー』を手に鳥怪人に斬りかかった。

 

「ハァッ!」

「ちょおまっ」

 

 慌てて鳥怪人は回避するも、黒いアーマードライダーの攻撃は止まらない。

 横薙ぎに斬って鳥怪人が怯んだ所で更に逆袈裟に切り上げる。

 

 その動きは剣術を思わせる動きであった。葛葉紘汰が有無も言わせぬラッシュで相手を叩き潰すスタイルだとしたら、こちらは相手の動きを見切って確実に深手を負わせるスタイルだ。

 

 ふらつく鳥怪人を他所に、黒いアーマードライダーはベルトからマツボックリロックシードを外し無双セイバーにセットした。

 

「くそ……が。何なんだお前はッ!?」

 

 鳥怪人の問いに黒いアーマードライダーは低い声で答えた。

 

「俺は、アーマードライダー・影武(えいむ)

 

【一・十・百! マツボックリチャージ!】

 

 音声とともに無双セイバーの刀身に黒い竜巻が渦巻く。そしてその無双セイバーで鳥怪人に突っ込んで通り抜けざまに切り裂いた。

 

「撃ィ!」

 

 更に、追い打ちに回転切りで連続で切り裂く。

 

「破ァッ!」

 

 必殺の斬撃、『無双斬』を受けた鳥怪人はガクガクとした動きで、影武を睨む。一方で影武は龍玄にトドメを刺すように頷くことで促した。成程、ロックシードの低ランクによる火力不足か。

 

 察した龍玄はカッティングブレードでブドウロックシードを一回切る。

【ブドウスカッシュ!】

 音声の鳴った後天井を考慮して低くジャンプし、必殺のキック『龍玄脚』を放つ。

 

「グガァッ!?」

 

 紫色のエネルギーを纏った必殺キックが鳥怪人の胸に直撃、蹴りをヒットさせた龍玄は宙返りした後に着地した。断末魔の悲鳴を上げて鳥怪人は倒れ、炎を上げて爆散、消滅した。

 

 

 

 

――この影武と名乗る黒いアーマードライダーは一体何者なんだ……

 

 炎の中に立つ黒いアーマードライダー・影武と龍玄。光実は彼のベルトを見やる。約1年前にユグドラシル社の実験として数人のビートライダーズに錠前ディーラー・シドが売ったベルトの一つだろうか。外見からして先行量産型のベルトだ。回収漏れのものは一つ二つは有るだろうとは光実や貴虎は覚悟していたが、寄りにもよって無双セイバーを持った強力な個体(ベルト)とは。まぁ幸い低ランクのロックシードだから、仮に敵対してもパワーで負ける事はあるまい。

 

 ……ロックシードを悪用する正真正銘の屑は少なからず存在している。例えばチームレッドホット。連中は強盗等をやらかしたらしいが、どさくさに紛れ逮捕はされていないという。さて……(声からして男であろう)彼はどうだろうか。どんな人間で、何故あの鳥怪人と戦ったのか。

 光実はそんな事を爆発跡に立っている影武と彼の隣に突如現れた銀色のバックラーを装備した灰と黒が基調の服の少女を見ながら思うのだった……

 




 《光実の所有ロックシード》ブドウ、ローズアタッカー、???、???、???
 《影武の所有ロックシード》マ ツ ボ ッ ク リ

 本日の教訓:血は争えないもの。

 突如現れた黒いアーマードライダー『影武』。そして影武の隣に現れた謎の少女(正体バレバレ)。彼らは一体何者なのか。次回をお楽しみに。
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