贖罪少年くれしま☆ミツザネェ!   作:ヌオー来訪者

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 これから魔法少女ビーストはどうするんだろうか。ヘルへイムの果実は別の惑星に行ったし、ファントムも碌に居ないだろうし。今年の冬映画でウィザード勢でないかな……


――前回までのあらすじ――

 インべスでもオーバーロードでもない謎の怪人を追っていた光実は怪人共々謎の空間に呑まれ、窮地に陥ってしまう。そんな光実を救ったのは不思議な力を使う少女であった。
 謎の空間から脱出した直後に謎の怪人を更に現れた『影武(えいむ)』と名乗る謎の黒いアーマードライダーと共に戦い、撃破に成功した。

 光実を救った少女は何者なのか。そして、影武の正体は……。


第三話 見参! 指輪の魔法使い!?

「君たちは……一体」

 

 龍玄の問いに影武も、隣に居るバックラーを持った黒髪ロングの少女は答えない。突如現れた少女の背丈は先ほど助けた少女らと同じくらいだった。沈黙がこの場を支配する。

 暫くするとパタパタと足音が聴こえ、近づいてきた。……龍玄に置いてけぼりにされた少女たちだ。

 

 龍玄を追いかけて来た三人の少女たちの内、縦ロールの少女が龍玄の前に立ち、口を開く。

 

「あら、『魔女』は逃げたわよ? 仕留めたいなら直ぐに追いかけなさい。今回はアナタたちに譲ってあげる」

 

 光実は魔女という言葉に顔を(しか)めた。

 

――魔女ってなんだ?

 

 恐らくは先ほど倒した怪人の事では無いだろう。そもそもあれは男だったようだし、目撃者が居る為倒していないと嘘を言う意味も特にない。だとしたら、あの妙な空間の事だろうか。光実は更に神妙な表情で耳を傾けた。

 

「違う、私が用があるのは……」

「呑み込みが悪いのね。見逃してあげると言ったの」

 

 黒髪ロングの少女は無表情で否定するも、縦ロールの少女が先ほどの余裕ぶった口から想像出来ない、縦ロールの少女の威嚇を込めた声で遮る。その声がこの閉鎖区域一面に広がるコンクリートの壁と天井に反射してよく響いた。

 

 良くわからないが縦ロールの少女とロングの少女は敵対しているように光実には見えた。何故敵対しているのかについては不透明なままだが。

 

「お互い、余計なトラブルと無縁に居たいと思わない?」

 

 

 再び沈黙が訪れる。暫くすると、黒髪ロングの少女は呆れたように溜息を吐いた。

 

 そして次の瞬間、影武も少女共々掻き消えた。

 

「なっ……」

 

 龍玄は余りにも唐突な出来事に、思わず身構える。だが、前方の二人が居た場所には埃だけが舞っているだけで何も起こらない。

 

「……逃げた、のか?」

「そうみたいね」

 

 龍玄の疑問に縦ロールの少女が答える。10秒経っても何も起こらず、本当に逃げたのだと実感する。光実はもう戦闘が起こらないだろうと考え、ベルトに装着されたロックシードを元に戻し、変身を解除した。

 

「え、……人間?」

 

 ショートカットの少女が驚いたような顔で光実を見る。そんな顔をされるのは少々新鮮かつ心外だったが、仕方ないと思う事で諦めた。

 

「アナタも、『魔法少女』、なの?」

 

 振り向いた縦ロールの少女の問いに光実は首を横に振って否定した。

 

――そもそも『魔法少女』って何だ。

 

 余りにも安直すぎるネーミングに拍子抜けしてしまった。日曜朝に出そうな出来事と名前が目の前で繰り広げられているなどと誰が信じるか。まぁ、一度魔法使いを名乗る男と共闘した事はあるが、その力はアーマードライダーの力に近いものがあった。だが見てしまったからには不承不承ながら魔法少女の存在を信じるしかあるまい。と言うか、

 

「魔法少女って……僕は男だよ」

 

「えっ……あっ、ゴメンナサイ」

 

 縦ロールの少女が慌てて謝罪する。

 

 確かに光実は中性的な顔立ちで、可愛い系男子の部類に入る。光実は嘗て所属していたダンスチーム『チーム鎧武』にて女性陣にからかわれる事が多々あった。実は一度女装までされた事もある。悔しいながら、その結果下手な女性より美人な外見になってしまい事情も正体も知らない人に見られて大絶賛されたという苦い想い出が何故か甦ってしまった。

 

 でも、その思い出も今となっては大切な思い出の一つだが、今は感傷に浸っている場合ではない。

 

「魔法少女は知らないけれど。僕はアーマードライダー、かな」

 

「「あーまーどらいだぁ?」」

 

 ショートカットとツインテール。二人の少女が首を傾げ、縦ロールの少女も要領を得ない表情をしている。つまり、光実以外ここにいる者の全員影武の事は余り知らないようだった。

 

「何はともあれこの娘たちを助けてくれて有難う」

 

「いえ、君が加勢してくれなかったら僕も危なかったよ」

 

「じゃぁ、お互い様って事ね」

 

 縦ロールの少女はくすっと上品に微笑みながら、光実の左腕を取った。

 

「えっ」

 

 光実は思わずぎょっとするが、彼女は顔色一つ変えず傷口に手を近付けた。彼女の近付けた手と光実の左腕の傷口の間が薄く光り出した。

 気付けば、痛みは無くなっていた。中指を伝って落ちてゆく血も何事もなかったかのように止まり、光が収まった時には残っているのは破れた袖と渇いた血だけだった。

 

 正直願ってもない嬉しい誤算だった。これならば、兄に余計な心配はさせる事は無い。思わず光実の頬が綻んだ。

 

「これは、一体……」

「説明はちょっと後でね……」

 

 縦ロールの少女は次にツインテールの少女が抱えている見えない物を床に下ろして光実にしたのと同じように治療を始めた。

 

「な、何をしているんです?」

 

 光実の問いに縦ロールの少女はハッとして、見えない何かの治療(?)を終えると、何やら見えないものと話し始めた。

 

――僕が変なのか? 疲れているのか?

 

 すると突然何も無かった筈に縦ロールの足元に白い子犬のような生物が出現した。その光景に光実はギョッとするも、表向き冷静さを保つ事に集中する。犬耳に猫耳までついている摩訶不思議な縫いぐるみのような生物に光実は己の眼を疑いたくなった。

 

『有難う、マミ。助かったよ』

 

 礼を直接脳内に送り込むように言う白い生物……キュゥべえを見て、光実は軽く眩暈を覚えた。信じる信じないは別として光実の頭が追いついていない。まるで自分ひとりが別の世界に放り込まれたかような錯覚を覚える。

 まぁ、異世界に放り込まれた経験は一度は有ったが、戦国時代とかHONNOUJIとか言う教会とか武神ライダーとかなど、アレは正直良くわからない世界だったし戦い続きで落ち着いて歩き回った記憶もない。というか半分はウツボカズラみたいな怪人に食われ、奴の体内で仁藤攻介という男と過ごした記憶しかない。仁藤攻介とは少し話した事はあったが話していて非常に疲れる人間だったのは良く覚えている。一年前ぐらいの出来事を思い出して異世界ではロクな思い出が無いな。と光実は深く溜息を吐いた。……思い出すんじゃなかった。

 

 ……とりあえず魔法少女アニメ的に言うならキュゥべえという奴はマスコットキャラクターみたいなものだ。そう思う事で光実は無理矢理己を納得させる事にした。

 

「お礼なら、この三人に言ってあげて。私はただ通りがかっただけだから」

 

『どうもありがとう。僕の名前はキュゥべえ!』

 

 縦ロールの少女……名前はマミというらしい。マミはにこやかな顔で三人の方を向いた。マミに促され、キュゥべえは赤くて丸い目と愛くるしい縫いぐるみのような顔で三人に礼を言った。

 

「あなたがわたしを呼んだの?」

『そうだよ。鹿目まどか』

 

 ツインテールの少女。鹿目まどかの問いに答えたキュゥべえにまどかは眼を丸くした。

 

『そして美樹さやか』

 

 ショートカットの少女は美樹さやかと言う名前らしい。

 両者とも驚いたような顔をしており、まどかたちキュゥべえとはどうやら初対面のようだった。

 

「どうして、あたしたちの名前を?」

 

 さやか不思議そうにキュゥべえに問う。そして、

 

『僕、実は君たちにお願いがあって来たんだ……!』

 

 答えろよ質問に。光実は心の中で全力で突っ込んだ。何故人の名前を知ったんだ。このキュゥべえは新手のストーカーか何かか。まぁ獣相手だと警察に突き出せないが。

 

――それに僕、完全に無視されてるよね……

 

 置いてけぼり感を食らいながらも、光実はキュゥべえの話を聴くことにした。まどか、さやかも食い入るように聴いている。

 

『僕と契約して、魔法少女になって欲しいんだ!』

 

 

 

 

「は?」

 キュゥべえの発言に光実は益々酷い頭痛を覚えるのだった……

 

――帰りに頭痛薬でも買っておこう……

 

 

 

 

 

 あの日俺が見せつけられたのは地獄絵図といっても過言では無い光景であった。

 

 

 無数の人間が全身に紫色のヒビを作って、悲鳴を、叫びを上げている。

 

 ある者は誰かに救いを求め、ある者は痛みに耐えられずに泣きだし、ある者は自分に構わず他者の安否を気遣う。

 

 

 だが、何をしても待っている結末は同じ。この世のものとは思えない醜い異形の怪物が人間の身体を内側から現れ、人間という殻を食い破り、卵から産まれる動物のように産まれてゆく。

 

 

 

 ただ、それだけ。

 

 

 

 目の前で非情な現実を見せつけられている俺はただ叫ぶ事しか出来なかった。

 

 無力な、あの日の俺には。それしか出来なかった。

 

 

 あの日、俺は友達も恩師も帰る場所も故郷も総て、失った。

 

 

 気付けばもう夜だった。

 

 仕事や学校、塾を終え帰る者や飲み会へ向かうもの。様々な人間が歩き回る街にてビルの上から人々の様子を見下ろす青年の姿があった。

 青年は、街中のイルミネーションを見ながら退屈そうにみたらし団子を頬張る。

 

 最後の一本を食べようとしたその時、赤い小さなプラスチック製のような鳥が青年の前に飛来した。

 

「早いなガルーダ」

 

 青年は感心したように、ガルーダと呼ばれた小さな鳥を優しくつつく。

 

「食べれないか……これじゃ」

 

 食い損ねたみたらし団子を惜しげに眺めながら、下腹部に付いた手の形をしたバックルに大型の指輪を付けた右手を近付けた。

 

【CONNECT】

 

 右手を横に出すと、手のひらから赤い魔法陣が現れる。そこにみたらし団子のパックが入ったビニール袋を突っ込んだ。すると魔法陣に呑み込まれるかのようにそれは突っ込んだ腕ごと消えて、魔法陣から引っこ抜くと腕は元に戻ったが持っていたビニール袋は綺麗に無くなっていた。

 

「んじゃ、案内ヨロシクぅ!」

 

 発生させた魔法陣が消えた後、ガルーダに導かれ青年、『鍵真(かぎま)ハルト』はビルから街中へ躍り出た。

 

 

 

 彼の向かった先は、人気のない工場だった。

 

 そこには数人かの作業着の屍が地に横たわっている。恐らくここで働いていたりしていた人だろう。ハルトは確実に彼らを殺した者を潰そうと決意。拳を強く握りしめガルーダについてゆく。

 

 

 そしてその先に居た者。それは無数の人型(二足歩行という点で)の猫背のゾンビのような灰色の怪人たちが槍を持ってハルトを待ち構えていた。あの集団は『グール』と呼ばれるもの。だが、奴らを倒しても意味がない。これらを生み出した親玉たる『ファントム』を倒さねばならないのだ。

 

「悪いね用があるのはグールじゃないんだ」

 

 そう言ってハルトは指輪の付いた右手をバックルに近付けた。

 

【DRIVER ON】

 

「だからとっとと、片付ける」

 

 するとバックルが大型のベルトへと変化した。そして「変身」と静かに言った後、左手中指に付けた真紅の指輪をベルトに近付ける。

 

 

 ベルトから長々と呪文が詠唱される、そして最後に【FLAME】と英語でベルトが発声した瞬間、左手を横に突き出した。コネクトと呼ばれるビルの上で使った魔法で発生した魔法陣より大きく、ハルトの背と同じくらいの紅い魔法陣が掌から現れ、ハルトの身体を炎を発生させながら通り抜けた。

 

 完全に魔法陣が通り抜けた時には時にはもう鍵真ハルトの姿は無い。

 ルビーの宝石を思わせる紅い仮面。纏った黒いローブが風にたなびいている。その姿をハルト自身はこう呼ぶ。『ウィザード』と。

 

「さぁ、掃除を始めようか」

 

 ウィザードは変身と同時に発生させた手持ち武器『ウィザードソードガン』を構えて、グールの群れに向かって走り出した。 

 

 今のソードガンの形態はガンモードだ。ウィザードはグールの槍による一突きをくるりと一回ターンしながら躱してゼロ距離まで詰めてグールの頭を狙って発砲する。撃たれたグールは衝撃で頭が吹っ飛び、黒い瘴気となって体も頭も霧のように消えてなくなった。

 

 間髪入れずに、ばら撒くように発砲する。

 

 その放たれた銀色の弾丸は直線的に飛べば間違いなくグール一体にも当たりはしないだろう。だが、ウィザードの放った銀色の弾丸は直線的には飛ばず、一発につき一体のグールを狙って吸い込まれるように着弾した。

 

 火花を上げ、次々と倒れゆくグールを他所に、ウィザードはソードガンを器用にくるくると振り回しながら次のターゲットを見据え、走り出した。

 

 眼前のグールをジャンプして踏みつけ、足場にしながら上空から弾丸の雨を降らせる。当たり前のように全弾命中し、着地していた時にはグールはすべて消滅していた。

 

「はい。おしまい」

 

 ソードガンを肩に掛け、グールが居た背後を見る。もうそこにはグールの姿は何処にもない。親玉であるファントムの姿は見当たらない。だが、グールをコントロールできる距離は限られており、そんなに遠くには居ないはずだ。

 

「おーい、そろそろ出て来たらー?」

 

 ウィザードの挑発混じりの声に激昂したか、物陰からファントムが現れる。その姿は牛を思わせるフォルムで立派な二本角を生やしている。手には斧を持っていた。

 

「魔法使い……()()した筈じゃなかったのか!」

 

 忌々しげに牛型のファントム、『ミノタウロス』は吐き捨てるように言う。

 

「生憎、まだ生き残りが居てね。復讐ってワケじゃないけど、倒させて貰うよ。ここの従業員さんを沢山殺したみたいだし。お前みたいな危ない奴らを科学世界にのさばらせる訳にもいかないよ」

 

 ウィザードは迷いなくミノタウロスに銃口を向け、トリガーを引いた。

 

「貴様っ」

 

 銀の弾丸を全身に受けながらミノタウロスは怒りのままにウィザードに向かって突進を仕掛けて来る。それをソードモードで受け止めた。

 

「うぉいおいおいおいおいおいおいおいおい……」

 

 慌てているように見えて、ウィザードは冷静だった。角で跳ね上げられるも、全く動じずに、着地。そして、右手をベルトに翳した。

 

【BIG】

 

 前方に現れた魔法陣に右腕を突っ込むと、もとの数倍までに巨大化した右腕が現れ、デコピンの要領でミノタウロスを弾き飛ばす。

 

「次次……」

 

 そして再度、ベルトに右手を翳すと、【EXTEND】とベルトは発声し、また新しい魔法陣を生み出した。そこにソードを突っ込むと刀身が鞭のように伸び、ミノタウロスを刃付きの鞭でひっぱたく。弱った所で、更に魔法を追加。【BIND】を発動し、魔法陣から発生した銀色の鎖がミノタウロスを縛り付けた。

 

「このっ離せ!」

「離せと言われて離す馬鹿は居ないっと」

 

 流れるような動きでウィザードは【EXTEND】を解除したソードガンに付いた手型のハンドオーサーを起動、右手を翳した。

 

【FLAME SLASH STRIKE】

 

 ソードガンの刀身にオレンジ色の炎が渦巻き、ウィザードはそれを以て束縛されたミノタウロスに向かって走り出す。

 

「う、うぉ! や、止めろぉ! 絶滅危惧種如きが生意気に俺たちファントムを!」

 

 上から目線の命乞いにウィザードは足を止める事無く、そのまま通り抜けざまにミノタウロスを鎖ごと一刀両断した。

 

「FINALEだ」

「貴っ様ァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」

 

 呪詛の入り混じった耳にしたくない断末魔と共にミノタウロスは炎を上げ、爆発四散。跡形もなく完全に消滅した。

 

 ミノタウロスを完全に消滅させた事を確認し、変身解除の魔法陣を精製。それをくぐり、ウィザードはハルトの姿へと戻って大きく溜息を吐きながら、夜空をふと見上げた……

 

 

 もう戻りはしないものに、想いを馳せながら。

 




試験的にウィザードを投入。シャバドゥビキャンセルという暴挙に出る。他にも色々簡略化しています。そしてファントムが生まれる過程も違います。『絶望』がキーではあるんですけどね。後、ハルトは基本装備しているリングはコモンリング。取り換え不要の便利装備です。魔法世界で手に入れたものかと。ハルトは戦闘は強い方なので精神的に追い詰めさせていただきます。
魔法世界の末路は原作ウィザードの夏映画Magic Landでドレイクの野望が完遂された世界を想像していただければ結構わかりやすいです。

場合によってはベルトの音声は原作と同じに戻すかもしれない。

それとミッチの女装イベントは、あったんじゃないかなぁと言う私の妄想ですのであまり気にしないでください。でもミッチは女装したら似合うんじゃないかなぁ(ゲス顔)

勢力図
マミ側 まどか、さやか、光実(?)
ほむら側 影武(?)
ハルト側 ???
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