目標としては本編を今年中に決着を付けたいけど……どうでしょう?
MOVIE大戦フルスロットルのDVD欲しいなぁ……
「杏子ちゃんとハルト……帰って来るの遅いわね……」
麻弓は溜息を吐きながら、御影堂のレジのカウンターにぐったりとしていた。ふと、アンティーク調の古時計を見ると、9時を回っている。もう閉店時間だ。
立ち上がって、シャッターを閉めに掛る。
帰るのが遅くなっても裏口があるので別に締めだす訳では無い。それにハルトと杏子は合鍵を持って居る。
ハルトと杏子は一体何をやっているのやら。
もう心配するのも面倒くさくなってきたので、考えるのをやめようかと思ったが、止められなかった。いかがわしい可能性も考えるには考えたが、あの二人からそのような雰囲気は全くない(どちらかと言えば兄妹的な雰囲気)。
―――考えても無駄か。
律人も帰って来るのが遅い事に軽く疑問に思いながら、シャッターを閉めた。
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「畜生! 何なんだよアレはよ!」
トウゴは裏通りでふらふらしながら近くにあった電柱を殴った。
白いローブを纏った魔法使いに爆殺されたフェニックスは尚も生きていた。生きていた……と言うより黄泉返ったと言った方が適切か。
爆殺される最中、マスターからもらい受けた魔力を再生に使い果たし空っぽになった所で爆殺されてしまったので再生に少々時間が掛ってしまった。
その間にウィザードも誰もが居なくなってしまっており、溜まったフラストレーションを抱えながら、ふらふらと裏通りを歩く。
歩いていると、柄の悪い男の肩にぶつかった。
「おい、何処に眼ぇ付けて歩いてんだえぇ?」
テンプレートに因縁を付けて来る男はトウゴの襟首を掴み上げる。顔中に鼻ピアスをしていて醜悪な顔をしていたがトウゴにとってそれはどうでも良かった。
「なぁ、ちょっと付き合えよ」
「あぁ?」
ガンを飛ばして来る男とその腰巾着数人に身じろぎせずトウゴはフェニックスへと姿を変える。唐突に襟首を掴み上げていた男が異形の存在へと姿を変えるとは思わなかったのか、男はフェニックスから離れて、尻餅をついた。
「お、おいお前ら逃げてんじゃねぇ!」
男の叫びは腰巾着には届かず、蜘蛛の子を散らすように腰巾着は皆逃げていく。
「チッ……小物が。これじゃぁ満足しねぇんだよ!」
失望したフェニックスは、火球を形成する。そして容赦なく―――
丸腰の男に叩き付けた。
悲鳴は男に命中した途端に途絶えてしまい、残ったのは灰だけ。
「クソ……がクソがァ!」
フェニックスが、夜空に向かって叫ぶ。
見上げた空に浮かぶ月は雲に隠れて姿を隠し、雨水がぽつりぽつりと落ちていく。そして次第に量は増えてゆき、大雨となった。
属性からして苦手だったフェニックスは八つ当たりに近くに乗り捨てられた車を殴る。殴る。殴る。
「あの真っ白野郎……ぶっ殺してやる……」
そしてワイズマンへの憎しみを募らせながら、夜の道に消えた。
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「ハルト……お前何処に行っちまったんだ」
杏子はマミと話す事無く直ぐに別れた。
これ以上話しても分かり合う事は無いと思ったし、やり合うにしてもあの面倒くさそうな男が付いていた。1対2でやり合う程馬鹿では無い。
それより、突如居なくなったハルトの事を心配した方が良いと思った杏子は夜の街を当ても無く歩く。
念話を使ったのだが、何かに遮られている所為で全くハルトに届かない。
魔力を辿る事も出来ない。
もう見捨てようかと思ったのだが、それも出来なくて―――
ただ、あても無くハルトを探して歩いていた……
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「久しぶりだな。ハルト」
ハルトがTeleportで連れて行かれた先は、山奥の家だった。結界らしきものも感知したので杏子やファントムに場所を知られる事は無いだろうこの場所は、ワイズマン……ソウの根城としては丁度良く思えた。
「先生……」
「マスターの力が想定以上だったようだな」
ソウは久しぶりの再会を懐かしむことなく、この世界に来た事への目的の話をし始めた。
「予定より早いが……ドラゴンの封印を一部解放する。異論は?」
異論は? という問いこそしたのだが、ソウの語調は拒否も許さないような勢いだった。ソウが少々焦っているように見えたが、ハルトからすればどちらでも良かった。
あれが親玉の力の片鱗だとしたら、ドラゴンの力を解放しなければ親玉を倒す事は現状では叶わないだろう。
「はい」
……ハルトは迷うことなく頷いた。
―――こうする事で、トウゴやミアが救われるのならば……どんなことだって。
そんな意志がハルトの心の中に根付いていた。そしてあの事件を発生させた犯人を確実に倒すという決意も……
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何もない真っ暗闇の中、和哉は佇んでいた。
最初は何もない真っ暗闇の空間だったが、暫くすると、見覚えのある少女が和哉の前に現れた。背は和哉の半分ぐらい。それが誰なのか直ぐに分かった。
琉璃だ。あの事件の日のそっくりそのままの姿だった。
どうすれば良いのか分からなかった。金縛りにあったかのように硬直し、何か喋ろうとしても口は開けない。
そしてそんな中で幼い琉璃は口を開いた。
「どうして見捨てたの?」
―――違う。違うんだよ。
「どうして逃げたの?」
幼い琉璃は和哉を責め立てるように機関銃の如く言葉を浴びせかける。
「怖かった。痛かった。怖いと叫ぶ事も出来なかった。そんな私を貴方は見捨てて逃げたのねぇどうして? ドウシテ?」
―――やめてくれ……頼むから……
まるで壊れたラジオのように同じ言葉を何度も浴びせられる。琉璃の眼は最後にみたあの虚ろな目だった。気付けば、あの一瞬見てしまった惨状たる姿になっていた。
その姿の琉璃が一人……二人とボゥッと幽霊のように現れて和哉を取り囲み……
「ドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテ」
和哉は漸く腕が動くようになった事に気付き、両手で耳を塞ぐ。だが、責め立てる声は小さくなる処か余計に大きくなっていき和哉の心を蝕んでいく。そして―――
「ごめん。ごめん……ごめんなさい……あ……あぁ……うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!!!!」
半狂乱状態になった和哉の謝罪の言葉と絶叫が闇の中に木霊した。
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翌日。光実は突如、携帯で和哉に呼び出された。
「どうしたんですか? 急に呼び出して」
呼び出されたのは何時ものファミレスではなく、人気のない廃工場。話だけでこのような場所に呼び出される理由が分からなかったが、少なくともただ事では無いだろうとは思った。
合流した時、和哉の目元にくまが出来ており、光実でも、これは良い状態ではない事を察する事が出来た。一体何なのだろうかと、問うと。
「一つ、聴きたい事がある」
……と何時もより低い声で和哉は言った。それに光実は軽く戦慄した。追い詰められた人間特有の表情をしている。そして和哉から放たれた次の言葉が意外な単語だった。
「プロジェクトアーク」
「―――ッ」
その単語を聞いた光実は思わず息を呑み、驚愕のあまり目を丸くした。なぜ和哉が極秘とされている計画の事を知っているのか。
「その反応……知っているみたいだな」
「……はい」
そんな疑問は兎も角として嘘を吐いても仕方が無かったので光実は肯定した。
「……僕自身もその計画に関わっていました」
「……そうか」
和哉と光実の間に微妙な緊張感が奔る。何も知らない人からみれば間違いなく一触即発の状態に見えるだろう。
「一体何が目的で俺に接触した? 何で俺と協力しようとした?」
そんな和哉の問いに別の声が割って入った。……正治が変身したトリスタンだった。光実と和哉は咄嗟に各々ドライバーとロックシードを取り出す。
「それはもう、証拠隠滅だ! 自分のやる事に異を唱える奴を次々と消して生きながらえようとする。そんなどうしようもない奴と一緒にお前は戦ってたんだぜ! えぇ? 眼ぇ醒めたか低能共!」
そう好き放題言うと、何か思いついたように次の事を話しだした。
「こっちに来いよ? コイツぶっ潰そうぜ? 正義はこちらにあるんだからさ」
「ってろ……」
「あぁ?」
和哉は小さく何かを言うと、トリスタンは耳があるであろう場所に耳をそばだてるような仕草をした。それに耐えかねた和哉は眼にも止まらない速度で戦極ドライバーを装着し、メロンロックシードをセットしてトリスタンに向かって走り出した。
「黙っていろって言っているんだよ! お前の言っている事は少し正しいのかも知れんけれど癇に障るんだよ!」
【メロンアームズ! 天・下・御・免!】
影武に変身するとトリスタンに剣を抜くことなく殴り始めた。影武の勢いに呑まれたか、成されるがままに殴られて行く。
それに正治は耐えられず吠えた。
「お前さえ居なければこうはならなかったんだよ! お前もくたばれよ!」
/
正治は女が嫌いだった。
流行の話やアイドルグループの話。憧れの先輩だの恋愛だのドラマだの話す事が薄っぺらい。下らない。と正治は思っていた。
まるで将来の事も考えてはいない。そんな連中を心底軽蔑していた。
あの集団にバーナーで焼き尽くしたり、ナイフで切り刻む想像を何度した事か。ゴミというのは処理するに相場が決まっている。実際あちらも正治をキモイだの軽蔑していたのでおあいこだ。
組んだ周子と、順に対してはあの女どもと同じ匂いがした。その為、彼女ら以上に強い力を手に入れたら、屈服させてやろうと思った。
そんな中で琉璃は違うと思った。聴くところによると、彼女は暴行事件に遭った挙句学校では良い思いもしていなかったのだという。それに自分を気遣ってくれた。
彼女は違う、と思った。
何ともまぁごう慢な恋心か。本人は自覚もしていなかったが。
勝手な期待を抱きながら琉璃を守り、悪を倒す。正治にとってこれ以上ないカタルシスであった。
和哉を叩き潰した後、何故か琉璃に殴られた。話によると、あの二人は知り合いらしいのだが、和哉の存在が目障りでならなかった。
こいつさえいなければ琉璃の価値が下がらなかった。
こいつがいなければ琉璃は俺を殴らず俺を認めたのだ。
こちらに来るように招いたのは、奴が安心した所でそのまま暗殺するなりいたぶってやろうと思ったためだ。まぁそれはご破算になった訳だが。
影武はトリスタンを殴り続けている。
よくもまぁ好き勝手に殴ってくれるものだ。状況も分からない屑は悪だ。死んだ方がいい。怒りが頂点に達した正治は影武を蹴り飛ばした。
/
トリスタンに蹴り飛ばされながらも、それでも影武はトリスタンに向かい、無双セイバーを引き抜き斬りかかる。
まるでダメージを恐れない影武の捨て身同然な攻撃に、光実は放っておくわけには行かなかった。
「変身!」
【メロンエナジーアームズ!】
龍玄天斬に変身して、影武とトリスタンの距離が開いた隙にソニックアローを以て割って入った。
「よう、人殺し」
「……」
ソニックアロー同士が衝突し、鍔迫り合い状態に入ると、トリスタンは煽りの一言を入れて来た。それに龍玄天斬は閉口し、鍔迫り合いの状態で弓を引いた。
「!」
その攻撃に予想が出来なかったのか、ゼロ距離で弓矢を喰らいトリスタンは後方によろめく。そしてその隙に影武が割って入って無双セイバーを乱暴に振るい、トリスタンに一方的にダメージを与えていく。
【メロンスカッシュ!】
一通りダメージを与えた後、カッティングブレードを一回倒して無刃キックを放ち、トリスタンを吹っ飛ばした。
【メロンエナジースカッシュ!】
更に泣きっ面に蜂と言わんばかりに、龍玄天斬はゲネシスドライバーのコンプレッサーを一回押し込み空高くジャンプして無刃キックを追撃で空中に吹っ飛ぶトリスタンに放つ。
当たり所が悪かったかゲネシスドライバーに直撃し、変身が維持出来ずにトリスタンは正治の姿に戻りながら一斗缶の山に墜落、突っ込んで一斗缶の山が崩れて押し潰された。
【フォーゼアームズ! ザ・ラストワン!】
それでもまだ諦めて居なかったのか、正治は戦極ドライバーに取り換えてフォーゼアームズを起動させて、ロケットアームを以て圧倒的な速度で一番近くに居た影武に迫る。
「チィ!」
しゃらくさいと言わんばかりに、メロンディフェンダーを振るって薙ぎ払おうとするものの、タイミングが合わず、吹き飛ばされてしまい、衝撃で手から離れた盾と剣が宙を舞った。
―――来た。
光実はあの戦闘の後、ライダーロックシードに対する対策としてある仮説を取った。あのロックシードは無理矢理適合させられているのではないか? と。音声が違うし、別物であるという可能性は無いわけでは無いのだが、ライダーロックシードはおいそれとは量産できるものでは無い。それこそ、紘汰が持って居たカチドキや極のように、だ。
ライダーロックシード自体そう簡単に起動出来るものでは無いし、自分が道を踏み外し始めた時から起動しなくなったこともあるので外部からの力で起動させられている可能性は無くも無い。それと実際、彼の意志とは関係なく勝手にフォーゼアームズが解除されている。
最早一か八かだが、やるしかあるまい。狭い場所に誘い込んで自爆を誘う事も考えたが、場所的にそれは無理だ。時間を稼いで前回と同じように解除された瞬間を狙って、フォーゼロックシードの奪還を狙うしかあるまい。
「……来い!」
迫りくるトリスタンに対し、龍玄天斬は悟られないように控えめながら攻撃しながら、トリスタンのロケットアームによる突撃を寸前で躱す。
ソニックアローで光の矢を発砲するが、トリスタンの高機動を当てる事は叶わない。
キリが無いと判断したトリスタンは龍玄天斬の上を飛び回り乍ら、脚部ミサイルポッドと腕部センサーを発現させ、頭上からミサイルの雨を降らせてきた。
―――拙い。
放たれたミサイルの量は尋常ではない。ソニックアローで撃墜する事は非常に難しくミサイルの対処はブドウアームズの仕事だった。ふと、龍玄天斬の目に、足元に落ちたメロンディフェンダーが目に留まる。
―――これだ!
咄嗟にメロンディフェンダーを拾い上げると、それでもミサイルを防いだ。影武はかなり離れた場所で倒れている為、攻撃の巻き添えは喰らわない筈だ。今は悪いが使わせて貰う。落ちるミサイルの爆発の衝撃が、龍玄天斬を襲い、足元のコンクリート製の地面に亀裂が発生する。
「……っ」
ミサイルの雨が止むと、龍玄天斬はすぐさまメロンディフェンダーを放棄した。光実の戦闘スタイルからして
「ハッ! 怖じ気づいたかよ! 死ね外道!」
【リミットブレイク!】
罵倒を言い散らしてドリルレッグを起動させ爆煙を突っ切って、龍玄天斬目掛けて飛んでくる。ライダーロケットドリルキック。それを龍玄天斬は寸前で飛び避ける事で回避した。
「しゃらくさいんだ……よ?」
怒りのままに叫ぼうとしたその時、トリスタンのフォーゼアームズの装甲が光の粒子となって消滅した。
「……時間切れ!?」
正治の姿に戻って、憎々しげに己の戦極ドライバーを睨んでいると、いつの間にか龍玄天斬が眼前に迫って、戦極ドライバーのフェイスプレートにソニックアローの刃を突き立てた。戦極ドライバーから電撃が出て、フェイスプレートから紋様が消滅する。
もうこれで、戦極ドライバーは無力化させた。そして、フォーゼロックシードを奪い取る。
「なっ……!」
「僕の事はいい。……けれど、美樹さんや鹿目さんたちを巻き込むな。彼女たちは関係ない」
何時もよりドスの効いた声が龍玄天斬の口元から放たれた。
光実自身、無抵抗のさやかをいたぶった事を許してはいないし、まどかを最低な女呼ばわりしたことも許してはいない。
これ自体自分にも返って来るものだが、それは分かっている。分かっているからこそ―――これ以上犠牲者を増やさせない。
「ひっ……」
先程の威勢は何だったのか、正治は恐怖の余り尻餅をついて、逃げ惑う。
自分たちが行った事が原因で彼に不幸があったのは自分が責められても仕方のない事だが、さやかとまどかは関係ない。これまで呉島家や自分が行って来た咎は受けるつもりだ。だが、関係の無い者を巻き込むと言うのならば誰であろうと戦う。
逃げ惑う正治を見送っていると、変身解除した和哉が、同じく変身解除した光実のもとへ歩み寄りながら問うた。
「……殺さないのか」
「…………殺しませんよ。殺すのが目的じゃないですから」
「……そうか」
和哉は自分はどうすれば良いのか分からなくなっていた。呉島光実という男は信用に値する人間かと言われたら正直良くわからない。だが、まどかやさやかを守ってくれた事は事実である。
自分はどうすればいい? 何を信じればいい?
戦う根本的理由がこちらに牙を剥き、信用していた人間が良くわからない。ほむらもほむらでいまいち何を考えているのか分からない。
「…………」
和哉はふと、破損したゲネシスドライバーが落ちているのを見つけた。正治が落としたのだろうか? ゲネシスドライバー本体とスターフルーツエナジーは破損して使い物にはならないが、コア部分は辛うじて生きているようであった。
コア部分はダメージの所為で簡単に外れ、そのパーツの形状が、戦闘データに映っていた蒼いアーマードライダーがドライバーに追加装備しているものとそっくりそのままだった。
「もうわかんねえよ……もう」
だが、更なる力を手に入れても和哉の気分は浮かぶ事は無く、沈むだけであった。
ハルト「何でもしますから!」
ソウ「ん? 今なんでもするって(ry」
そろそろ正治一時退場。あぁ昼ドラってるよもう……正治が草加みたいに器用だったら光実は孤立していたでしょうが……人徳って大事だね☆