如何せんキャラクターが多すぎて(一方龍騎は入れ替わりのように登場人物が変わるので個々の掘り下げはそれなりに出来ていた)掘り下げがもう少し欲しいな思えるキャラクターが居ない事も無かったので、こういう系統は嬉しいです。
プロフェッサーとか考察こそ出来るものの色々謎に包まれてますし。
……所で、関係ないがバトライド・ウォーⅢはまだなのだろうか。中の人の収録で時間が掛っているのであればいいんですがねぇ。サモンライドでライダーゲー打ち止めは勘弁してほしい所。
逃げ出した正治は周子の居る廃ビルへと戻っていた。この廃ビルは曰くつきのビルとされており、人が滅多に寄り付かず、周子たちにとって物を隠すには持って来いな場所である。……と言うと、この廃ビルは近辺住民からすればあまり近寄りたがらないものだった。
このビルの持ち主は悉く不幸にあっており、最初は企業の事務所として使われていたが1年後にて敢え無く倒産。後に別の者が買いとったがそちらは買い主が事故で急死してしまうという憂き目に遭っている。
挙句の果てに解体して新しい建物を立て直そうとした企業も潰れたものだから、それ以降縁起が悪いとの事で誰も近寄らないのだ。
さて、本題に入ろう。
正治は怒りに任せて勝手に自分が使っている部屋に入って、吊り下げたサンドバッグをナイフで狂ったようにめった刺しにし始めた。悉くベルトを破壊されて、憂さを晴らせず物言わぬ抵抗できぬサンドバッグを痛めつけている。
それがどれだけ惨めな行動なのか、正治自身も分かっていた。だから腹が立つ。だから―――
やりきれない感情を恨み言やナイフの刃と一緒にサンドバッグにぶつけて行く。その行動が袋小路に自分から入って行っている事には本人も気づいては居ない。気付く訳が無い。そして―――
「随分やられたっすねー」
呑気にそんなことをのたまう順の姿が正治の後ろにあった。
八つ当たりに必死になっていたので正治は順が部屋に入って来た事に気付かなかったが、そんなことはどうだって良い。
「周子の奴から伝言。余計な事はするなだってさ」
「べ、ベルトが駄目になったんだよ……アイツらが攻撃してくるから」
先程までの強気は何だったのか、正治の態度は及び腰だった。当然か、彼の支柱となっていた圧倒的な力は光実たちに奪い取られて、壊されてしまったのだから。それに順は呆れ切ったように大きく溜息を吐いた。
「や、あれだけの力貰っといて使いこなせないアンタが悪いでしょ。これについては色々同意しかねるわ。序でに言えば自分から仕掛けて置いて良く言うよ」
その時、正治の表情に憤怒の念が宿った。何故この女は助けに来なかったのか。助けに来ればどうとでもなった筈だ。
「不利な状況に首は突っ込めんでしょ。それにアンタを信用していないし。調子こいたアンタに背後から撃たれるのは真っ平御免よ」
ヤダヤダと手をひらひらさせつつ拒否の意を示していると、正治の腹の底にある殺意が少し膨れ上がった。やはり女と言うのは碌なものが居ない。目の前に居る順を四肢を引きちぎる己の姿を空想する。そして己に怯えきって順は命乞いをするのだ。ごめんなさい、許してくださいと。
「で―――また色々失ったアンタには暫くベルトもロックシードもやらないって事になったから。そこら辺覚えておいて」
「……は?」
正治は鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をして空想を止めて、呆気に取られて再度聞き返した。
「周子曰く暫くあんたにはベルトもやらないってさ。まぁ自業自得でしょ。流石のあたしでも擁護出来んわ。あたしや周子恨むのは筋違いだからね」
そう釘を刺してから順は踵を返してこの部屋から去って行った。順は、この悪趣味というか居心地の悪いこの正治の部屋には居たくなかった。
机の上にナイフやモデルガンをはじめとした様々なものが散乱しているのはまだしも、様々な場所にナイフでギザギザに引っ掻いた跡や、ずたずたにされた縫いぐるみやサンドバッグを見れば嫌にもなろうというもの。
順が去った後、正治は怒りのままに喚き散らして、近場にある散々痛めつけて来た机を蹴り飛ばそうとしたものの、蹴り倒す事もままならず蹴りを放った脚に激痛が奔った。正治は痛みを堪えながら喚き散らしつつ、再び物言わぬサンドバッグにナイフを突き立てて、抉るように切り刻み始めた。
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「美樹さん、今日も来ておられませんでしたわね……」
光実と和哉が対峙していた頃と同刻、学校が終わり仁美と途中まで一緒に下校している際に、仁美はさやかの話題を出してきて、まどがはぎょっとした表情を見せた。ここ数日間、さやかは学校に来ていない。
先生曰く風邪だと言って居るようだが、事の真相を知っているまどかとしては複雑な心境となるのである。
彼女は今、まどかやマミを傷付けてしまった事を悔いていた。魔女に弱みをつけ込まれたとは言え、人を殺しかけたという事実には相当堪えているようだった。
彼女に会いに行こうとしても、さやかは避けるばかりで話す機会すら与えてくれない。
「鹿目さん、何かご存じで?」
仁美が心配げに隣で歩いているまどかの顔を覗き込むと、まどかは慌てた表情で顔を横に振った。
「う、ううん! 何もない! 何もないから!」
「……?」
仁美は怪訝な顔をしてまどかを見るが、「何でも無い」の一点張りを通す。これ以上聞いても仕方ないと思った仁美は溜息を吐いて口を開いた。
「美樹さんに話さなければならない事が有ると言うのに……」
仁美もさやかに用があるようだ。仁美は顎に手を当てて難しげな表情をして何か考え事をしている様子で、まどかもまた、どうすれば良いのか一人で考え始めた。
このまま友達で居なくなってしまうのだろうか。そんなのは嫌だ。悪いのは魔女であってさやかで無い筈だ。だが、そうは言ってもさやかはきっと自分を責めるだろう。そんな性格で有るという事はまどかが一番良く知っている。
こんな時、自分はどうすれば良いのだろうか。分からない。堂々巡りしている内にいつの間にか仁美と別れていて自宅へと辿り着いてしまっていた。
やっぱり効果的な方法は見当たらなくて―――
まどかは踵を返してさやかの住むマンションへと走りだした。自分の出来る最大限の事をするしかないのだ。これでも親友のつもりなのだから。
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校内での仕事を終え、帰宅した和子は丁度和哉が一人夕食を食べていたので丁度一緒に食べる事にした。
普通ならば残った仕事を片付けてから夕飯を食べるのだが、和哉の様子が何処か昔を思い出させるものだったのだ。それはあの事件直後の―――ここ最近、帰りも遅くご飯も一人で食べている事も多く、家族としても心配になるという物である。
「姉さんか。お帰り」
和哉は何事も無かったかのような素振りで言うのだが、和子にはそれが強がりだというのは直ぐに分かった。伊達に教師を何年もやっていない。
通常は和哉ぐらいの年齢は難しい年頃だし、デリケートな問題として距離を少し置いたうえで接するのが最良なのだが、
あの事件直後、和哉は死んだ目をしていた。
事情聴取を終えて漸く帰宅したのは良かったのだが、暫く和哉は自室に籠りっきりで外に出なかった。ご飯も碌に口にしなかったし、両親共々一時はどうなるのかと焦りもした。結果的に、数日後和哉はいつも通りに戻っていた。
まるで何事も無かったかのように。そして唐突に武術を始めるようになった。何故剣道なのかと言うと道場が近所にあったからだ。逆に言えばそれ以外が無かったというのが悲しい話だが。
あの事件から逃げるようにして剣道に打ち込んでいた。そして、心なしか異常な程に明るくなった。どちらかと言えば比較的内向的な性格だったのだが時が経つ毎に外交的な性格へと様変わりし、まるで違う何かに『変身』しようとしているかのように。
両親はそれに対し協力を惜しまなかったし剣道の防具も和哉に買い与えた。それが正しかったのか間違っていたのか今となってはもう分からない。
だが、それのツケが今回っているのだとしたら―――
「もしかしてあの娘に……会ったの?」
図星だったか和子の一言で和哉の肩がピクリと動き、手に持って居た箸の動きを止めた。あぁ、やはり、そういう事か。和子の表情が少し険しくなった。リビングには両親は居ない。一対一の方が話しやすいだろうし、これほど丁度良いタイミングは無かろう。
……だが、
「心配しないでくれ。俺……大丈夫だから……」
そう言って和哉は―――ご飯を平らげてからその場から逃げた。
やはり傷は深いままなのか。まぁ、多感な時期なあんな凄惨なものを見せつけられれば参ってしまうのも無理はないし、飽くまで学校教師であり精神科の医者でもない和子には彼に何をしてやればいいのか分からなかった。
弟やあの女の子をあのような事にさせた犯人を助走つけて殴りたくなったが、殴った所でどうしようもない。和子は気を落ち着かせるべく深く溜息を吐いた。
どうも家族と生徒とでは勝手が違う。凄惨な事件も関わっているから猶更だ。
和子は一人残されリビングでぼちぼちと箸でサバの味噌煮をほぐしながら、答えが一向に出ない事に苛まれていた。
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「あの子供が何者なのか分かって来た」
翌日、沢芽市に戻った光実にザックから告げられたのは、あのインべス連続襲撃事件でロックシードを持って居た少年の事だった。
呼び出された先はDrupeRsと言うフルーツパーラーだった。メニューは種類豊富なパフェやお代わり自由な珈琲等といったもの。値段も中々リーズナブルで嘗てビートライダーズをはじめとした若者たちの溜まり場である。そして、光実にとって大きな分岐点となった場所だ。
そこの一角のパーティルームだろうか分からないが何故か孤立した席にて、ザックと光実は席に着いてザックが得た情報を光実は聞いていたのだが―――
「あの子供、……現市長の息子だ。現在小学5年生だ」
光実は思わず目を見開いた。何故そのような事をするのかが理解が出来なかったのだ。彼が今やっている事は父親にとって大事な事を潰そうとしているのと同義だ。
「どうして市長の息子がそんな事を……」
光実の疑問にザックも不可解げに重く深くうなずいた。
「俺も分からない。だが。確かな事は市長の息子さんと父親の仲は悪くない、寧ろ仲が良い方だそうだ」
「それじゃぁ益々理由が分かりませんね。事の善悪が分からない年齢でもない筈」
少なくとも強盗そのものは悪だと余程の馬鹿でない限りは分かっている筈だ。それに一部のビートライダーズがロックシードを悪用して市民からバッシングされていたという前例が有る。
「子供の素行は?」
「悪くない。寧ろ優等生に相当する方だ」
ザックから知らされた事実に益々光実は分からなくなって来た。ただのストレスから来る破壊衝動か、それともバックに何かあるのか……
旧ユグドラシル社はロックシードはある程度回収したつもりなのだが、やはり市内でも未回収は腐るほどあるらしい。ならばこちらが徹底的に全て回収しなければならない。それがばら撒いた側に出来る唯一のケリの付け方だ。
それでも回収は可能な限り隅々までやったつもりなのであのロックシード群の入手経路が気になる所だ。
まぁここは本人を捕まえるなりして直接聞いてみるのが一番確実で手っ取り早いだろう。だが、次確実に現場に遭遇できるという保証はない。さて、どうしたものか―――
「何か面白そうな事をやっているみたいだね。俺も混ぜてよ?」
光実とザックが考え込んでいると、突如として飄々と喋りながら茶髪で眼鏡を掛けた似非インテリ風の青年が恰好を付け乍ら部屋に入って来た。それが誰なのか知らない二人では無い。
城乃内秀保。嘗てビートライダーズの一人であり『チームインヴィット』のリーダーであった男だ。現在はシャルモンで仕事をしておりビートライダーズの中ではある意味一番現実的な出世をした男である。まぁその過程は常識的に見れば色々ぶっ飛んでいるが、そこは気にしないで貰いたい。
「お前……いつの間に」
ザックが驚愕の表情で見ているからか、上機嫌な城乃内は恰好付け乍ら口を開いた。
「話は全部聞かせて貰ったよ。俺にいい考えが有るんだけど?」
城乃内秀保。その男、自称「策士」の名を持つ男である。巷では劣化光実とか揶揄されがちだが、目の付け所は中々意地が悪いし光実では思いつかないような事も考え付く。城乃内をからかう事が多いザックだが、今回ばかりは真面目な顔で聞く姿勢に入った。光実もまた同様、聴く姿勢に入ると、益々調子に乗ったか、ずれていないのに眼鏡を中指で持ち上げる仕草をしてから説明を始めた。その様が地味に腹立つが今は致し方あるまい。
「どうせビートライダーズはダンス出来なくて皆暇なんだ。全員で張り込みするのもアリなんじゃない?」
城乃内が提示した作戦はこうだった。
ビートライダーズに強盗が起こりそうな場所に張り込ませてから、事件発生したら逐次光実たちに報告して、急行。即刻子供をとっ捕まえるという方針だ。自分たちの沽券に係わることでもあるので二つ返事で引き受けてくれるだろう。
「どうよ」
どや顔で己の策を語る城乃内だが、内容は十二分に宜しいものであった。
「なら俺が皆に呼び掛けてみる。相当数が協力してくれるならこれで行こうぜ」
ザックはそう言うと、スマートフォンを取り出して片っ端から連絡を取り始めた。
この後、殆どのメンバーが引き受けてくれたが為、城乃内の案は採用。作戦の構築は非常にスムーズに進んだのだが、城乃内は、もう少し驚いたような反応してくれよと言わんばかりに不満げな表情をしていたのは余談である。
そして―――ザック指揮による張り込み開始から5時間後の夕方にて、事件が起こった。
沢芽市北部の銀行にて6体のインべスの出現。それを一人のビートライダーから受けて光実はザックと城乃内と共に急行し、龍玄で強襲を掛けた。
弾丸を放ちながら、札束を鞄に詰めて持ち去ろうとする様々な種類のインべスたちに接近する。インべス相手では通常兵器は碌に通用しないが故か、警官はあっという間に伸されてしまっている。それを見た3人は顔を顰めた。
……ヘルへイム症に対する療法は既に戦極凌馬のノートから得られた情報をもとにして既に確立されているとは言え、一時は死体同然になるのだ。気分が悪くならない訳が無い。
兎にも角にもさっさとあの子供を捕まえなければならないのは間違いない。龍玄は咄嗟にゲネシスドライバーとスターフルーツエナジーロックシードを取り出してザックに投げ渡した。
「なんだこれ!?」
キャッチして受け取った物に驚くザックだが、察してからベルトを腰に巻いてスターフルーツエナジーロックシードを開錠した。まさかゲネシスドライバーを自分が扱う日が来るとは思いもしなかったと思いながら……
今ザックが使おうとしているものは事情が有ったとはいえ自分が殺そうとした駆紋戒斗と、図らずも戒斗を庇った事で殺めてしまった人間であり、戒斗と同行していた女である湊耀子が使っていたものと同型だった。
凰蓮・ピエール・アルフォンゾはザックが行ったあの事を間違っては居ない、と言いはしたがそれでも心の何処かで納得が出来ないザックが居る。結局は仲間を裏切ったに等しい行いなのだ。世界を救う為とは言え、信頼してくれた者の背中を撃ったのだ。
「…………変身!」
だから、生きているからには背負う。少なくとも二人の事は死ぬまで絶対に忘れはしない。ずっと覚えていく。それがザックなりの贖罪であった。
ある意味因縁の物を渡されたのだが、ザックは意を決してゲネシスドライバーにスターフルーツエナジーロックシードをセットして叩くようにして閉錠。そしてコンプレッサーでスターフルーツエナジーロックシードを絞った。
【ロック・オン ソーダァ……スターエナジーアームズ!】
頭上からスターフルーツ型アームズユニットが落下してザックの頭に覆い被さるや否や、ザックの姿がライドウェアに書き換わり、アームズユニットが展開されて鎧の形を成す。
それは嘗てザックが纏っていた姿であるアーマードライダー・ナックルにスターフルーツエナジーアームズを纏わせたもの。その姿は少々不恰好で、ザックとしてはクルミみたいな殴るものが有れば使いたかったのだが、我儘は言って居られない。
「……行くぜ、戒斗」
そこには居ない者の名を小さく呟いてからソニックアローを構えたナックルは龍玄と殴り合っている下級インべスのもとへと走り出した。
「あれ……俺ハブ?」
取り残された城乃内。流石に勝敗が見えている戦闘に生身で介入する程手柄に拘っている訳でも無かった城乃内は引き攣った表情で壁に凭れて一連の戦闘を見守る事にするのだった……
和子が実家暮らしなのは独自設定。
これは下手したら木の実組も終盤で準レギュラー化か……