贖罪少年くれしま☆ミツザネェ!   作:ヌオー来訪者

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 はい、待たせてばっかりで申し訳ございません。
 まさかここまで鎧武シリーズが継続するなんて夢にも思ってませんでしたので色々右往左往してました(´・ω・`)

 言い訳はさて置いて、新作発表自体は悪い事ばかりでは無くデュークで出たあのカルト集団……中々興味深い。そして鋼屋さんの発言も中々意味深。小説版も確定っぽいですし。
 取り敢えず曽野村が外伝ナックル篇に登場しない事を祈るばかり。


 さてさてWアームズ戦闘回です。どぞ。


#9 龍の咆哮Ⅸ/Cyclone Effect

「はぁ? ……なんだよソレ」

 

 レッドホットは素っ頓狂な声を上げて手を広げる。

 

「罪ぃ? 馬鹿じゃねぇの。怖くて気でも狂ったのかァ?」

 

 嘲笑うかのようにレッドホットは言うが、龍玄Wアームズは不思議と平静だった。

 己のやっている事に一切の疑いと罪悪感を持たずに他者を傷つけて来たという点では光実は曽野村と一緒だった。だが、その後それとどう向き合ったのか。

 

 曽野村は『変身しなかった』。光実は『変身した』。ただ、それだけの違い。

 

 ある意味変身のきっかけだった周りに居た人間に恵まれなかった曽野村はある意味哀れなのかも知れないが、同情は出来なかった。ただ黙って無力化させ警察に突き出す。それだけだ。

 

 レッドホットの取り巻きのトルーパー3体が龍玄に向かって殺到する。龍玄はそれを迎え撃つべく戦闘態勢と取った。一体目が影松を振りかぶる。龍玄はそれをカウンター気味に回し蹴りを黒影トルーパーの腕に叩き込んだ。

 すると、一撃を喰らった衝撃で影松が吹っ飛び少し離れた所に落下して地面に突き刺さった。直後二人止まらず襲い掛かり影松を振るうが、龍玄はそれをいともたやすく躱し、拳一発でダウンさせた。

 

 やはり最高ランクの上を行くWアームズと変身出来るものの中では最低クラスのマツボックリでは勝負にすらならなかった。Wアームズの性能が数で圧殺しようとした黒影トルーパーを上回ったらしい。

 それに身体が軽いし、思うが儘に動く。

 

 戦闘時にこのような感覚を覚えたのは何時以来だったか。

 あぁ、以前にWアームズを使っていた時か。

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

 

 やって来たトルーパーたちを軽やかに回避しつつ、正確に一撃を叩き込むその姿は曽野村には戦鬼か地獄からの使者に見えた。

 避けられない距離に詰めて一撃を放った筈なのに、何事も無かったかのように躱された挙句手刀を叩き込まれたり、横回転した龍玄に足の裏で腹を蹴りつけられたりと一撃も与えられずに吹っ飛ばされる。

 まるで何かのゲームかアクション映画を見ているような、それぐらい鮮やかで一方的な試合(ワンサイドゲーム)だった。

 

「おい!」

 

 レッドホットが声を掛け、取り巻きたちはレッドホットに注目する。そしてトルーパー全員にロックシードを投げ渡した。

 龍玄はそれを妨害しようとするが、上級インべスがそれを許さない。

 だが、多少時間を稼げただけで、今の龍玄を完全に止める事など叶わなかった。

 

 龍玄は咄嗟に、カッティングブレードに手を掛け、間髪入れずに倒した。

 

【ハイィ~ッ! マキシマムドライブ!】

 

 放つ技は前に使用した際に発動した己の身体が割り箸の如く二分するという奇妙なキック技『ジョーカーエクストリーム』では無い技だ。

 足に緑の風を纏い、龍玄は小さく跳び上がる。するとふわりと龍玄の身体が浮き、身体が回転を回転させその勢いで強力な蹴りを次々と叩き込み5体の上級インべスの群れは敢え無く爆散、消滅した。

 

「相手は同じベルトだぞ、これで負けてんじゃねぇぞ!」

 

 レッドホットの発破と一瞬でインべスが倒された事に焦り、トルーパーたちは新しいロックシードにチェンジする。それをみた龍玄の見立てでは自分に逆らわれるのが怖くて、曽野村は自分より弱いロックシードだけを渡していたに違いない。

 分かりやすい構図だが、やり方としては間違ってはいない。……まぁ求心力はまともに得られないだろうが。力を失ったり弱みを見せれば曽野村の天下もお仕舞いな関係だ。

 

 一部はイチゴアームズ、一部はパインアームズ。一部はオレンジアームズと光実にとって嫌がらせ以外何でもない布陣だったが、細かい事は考えない事にした。

 飛んでくるイチゴクナイは蹴りと拳で弾き、トルーパー軍団に向かって突撃する。

 

「くそっ、こっちにはAランクが沢山居るんだ、負ける訳がねぇだろぉッ!!」

 

 恐れた数人のトルーパーが気炎を上げ乍らパインアイアンを近距離で通常なら避けられない距離から振るうが、動きが尋常でなく速い龍玄にはかすりもせず躱され、簡単に距離を詰められ助走付きの蹴りを喰らって数人程一斗缶とダンボール箱の山に向かって吹っ飛びそのままそれらの資材の雪崩を喰らって沈黙。

 イチゴクナイを投げていた者は詰め寄ってクナイを振るって直接斬りかかるが、飛び回し蹴りで頭を蹴られ敢え無くダウン。

 

 

 残りのオレンジアームズの集団は滅茶苦茶に大橙丸を振り回すが、持って居る腕を押さえつけてそのまま、もう一体が振るった一閃を防ぎ、抑えていたトルーパーから大橙丸を奪い取り、それでトルーパーを斬り捨てた。

 

「う……嘘だろ……?」

 

 レッドホットが数歩後ずさりする。最早部下と言える部下は龍玄に叩き潰されて伸びてしまっている。最早彼を守る者はもう居なかった。……いや、残りのロックシードが残っている。

 やはりと言うべきか。箱から何処からかかき集めて来たロックシードを取り出して手に持てるだけの数を開錠しようと試みるが、龍玄の対応が早かった。

 

 右手に銃をイメージする。すると虚空から特異な形状をした蒼い銃が現れ、それを手にした龍玄がレッドホットの手を狙い撃ちにした。序でに手元を離れて宙を舞ったロックシードを狙撃して悉く破壊した。

 

「なっ……」

 

 成程、武器(アームズウェポン)は強くイメージすれば出せるらしい。その気になれば棒状武器も召喚出来るようで、ほぼオールレンジはカバーできているようだ。

 後は―――使う者次第か。そこはあまり期待しないで欲しい所だが。

 

「ロックシードとベルト、渡して貰うよ。悪いけれどゲネシスドライバーでもこのアームズを止める事は出来ないと思う」

 

「へっ……」

 

 窮したレッドホット……もとい曽野村の脳裏には眼前のアームズが所詮雑魚のベルトで変身したアームズとしか映って居なかった。ゲネシスドライバーには及ぶ訳が無い、そう思っていた。

 

「こっちは強いベルトなんだよ……負ける訳がねぇだろォッ!!」

 

 金魚のフンはオリジナルによく似ると言うのはテンプレートで良くあるが、曽野村とその取り巻きも同じだったらしい。

 襲い掛かって来たレッドホットのクルミボンバーⅡを龍玄は咄嗟にバックステップで躱した。幾らWアームズでもそこまで防御力があるとは考えにくい。身体は軽くなったが防御力への不安は何となくあった。

 

 ―――回避した、と思ったその次の瞬間。

 

「!?」

 

 クルミボンバーⅡが、レッドホットの拳を離れて龍玄を襲った。その一撃は予想外かつ避けようが無く、敢え無く一撃を貰い、龍玄はそのまま壁に叩き付けられた。

 

「き、決まったッ! 曽野村さんの必殺パンチ!!」

 

 伸された腰巾着一人が不愉快な歓声を上げる。曽野村は良い気分になったか、クルミボンバーⅡが手元に戻った所で両腕を上げ、チャンピオンがやりそうなポーズを取った。―――が、エネルギー弾がレッドホットに襲い掛かった。

 龍玄がトリガーマグナムで放った弾丸だ。

 

 油断していたがためにもろに数発受けてよろめく。流石ゲネシスドライバーの強度と言った所か、それだけでダウンする事は無かった。

 しかし痛いのには違いない。実際問題殴られた胸に激痛が奔る。だが、それがどうした。この程度ヨモツヘグリに比べたらまだ足りない。

 

 再度トリガーマグナムの引き金を引くが、同じ技は通用せずクルミボンバーⅡの面積の広さを利用して防がれてしまう。接近を許さずに距離を保ちながら銃撃を放つも、クルミボンバーⅡの強度は尋常では無い。まぁ、Sランクのメインウェポンなのだから当然か。殴って自壊するようなヤワなクルミボンバーなんて想像したくも無い。

 

―――ならば

 

 光実はイメージする。Wアームズ使用時に脳裏に浮かび上がったイメージを強くする。すると、トリガーマグナムが消滅し、入れ替わりに棒術武器『メタルシャフト』が具現化した。

 衝撃を伝播させやすい武器ならば、希望はある筈だ。

 

 銃撃が収まるや否や、レッドホットはロケットパンチの如くクルミボンバーⅡを飛ばすが、龍玄はそのまま前身して一発目を紙一重で躱し、二発目はメタルシャフトで弾道をわずかにずらして回避。その際に仮面に掠ったのだが龍玄は構う事は無かった。

 

 レッドホットの対応は愚策だった。何故ならば自分から武器を手放すような行動を取ったのだから。飛ばされたクルミボンバーⅡは直ぐに戻っては来ない。今のレッドホットは丸腰だ。防ぐ手立ては今は無きに等しい。

 

「はぁッ!!」

 

 シャフトによる突きを一撃叩き込む。次に蹴り。二発を喰らいレッドホットがよろけた所で、クルミボンバーⅡが戻って来て龍玄を後ろから襲い掛かって来たので、素早く退避した。それにレッドホットは悪態を付く。

 

「ちょこまかしやがって!!」

 

 曽野村は完全に頭に血が上っていた。

 あのお坊ちゃんがここまで食い下がって来るという事自体が気に食わない。チーム鎧武のメンバーだった事も気に食わない。あの正義感ぶったあの元リーダーが邪魔をしなければこんな事にはならなかったのだ。

 

 今の曽野村には後退という文字は無かった。

 

「ぬわああああああああああああああッ!!」

 

 雄叫びを上げ乍ら、レッドホットは龍玄に向かって走り出す。それに龍玄は冷静にカッティングブレードに手を掛け、一回倒した。

 

【ハイィ~ッ! マキシマムドライブッ!】

 

 龍玄の周囲に緑色の竜巻が発生する。レッドホットは竜巻の勢いに思わず動きを止める。そして、龍玄の身体が一頻り限界まで浮いたところで―――

 龍玄はドロップキックの体勢でレッドホットに落雷した。

 

 ジョーカーエクストリーム、元はWの必殺技(マキシマムドライブ)がレッドホットに直撃しレッドホットの身体が宙を舞い、地面に叩き付けられる。

 そのままレッドホットの装甲は粒子化して曽野村の姿が露わになった。

 

「……ひっ」

 

 曽野村は先ほどの衝撃では気絶しておらず、一目散に出口に向かって逃げ出した。龍玄は曽野村を追おうとするも先ほどの一撃でそれなりに距離が開いてしまっており、曽野村がほくそ笑む。

 腰巾着たちは助けを求めようと曽野村に手を伸ばすが曽野村は一切手助けはせず我先にと出口の光に向かって走る、走る、走る。

 

 

 

 

 が、

 

「そこまでだ曽野村」

 

 その先にはザックたちを筆頭としたビートライダーズという名の絶望が待ち構えていた。

 

「あっ……」

 

 曽野村は咄嗟に後ろを向こうとするも、そこには龍玄が居る事を思い出し振り向くことを取りやめてやむなく正面突破を試みる。が―――数の暴力に叶う訳が無かった。

 ザックやペコ、ラットなどと言った男性陣が飛び掛かり曽野村を組み伏せ、チャッキーやリカたち女性陣が紐で縛り付けた。

 

「よし、他の連中も捕まえるぞ!」

 

 ザックの指揮に従い曽野村を縛り終えたビートライダーズは倉庫内に向かって走る。龍玄は伸びている腰巾着たちに反撃のチャンスを与えないようにロックシードとベルトをはぎ取って一ヵ所に集め、そして変身を解除した。

 

「……お前が……やったのか」

 

 光実を目撃したペコが呟く。それに光実は何も言わないし言い返さない。

 

 ペコとしてはこの男を呉島光実を許してはいなかった、というより許す事が出来なかった。理由としては同じビートライダーズである仲間を敵に売り、自分自身を屑扱いして実際問題彼の指揮するインべスに殴られているのだ。納得が行かない訳が無い。光実はただ利用されていただけというフォローがあってもそう簡単に割り切れやしない。

 

「一応、礼は言って置く。けれど―――」

 

 ペコが続きの言葉を口にしようとしたその時、光実は背を向けて倉庫から出て行った。戻る気は無い、と言わんが如く。

 

「…………」

 

 そんな光実をペコは引き留める事は出来なかった。

 

 

 

 ペコの存在が、ペコのスタンスがある意味光実にとって一つの救いだったのかも知れない。優しさも時として人を傷つける。己がやって来たという事の証であり、忘れてはならない『傷跡』。

 受け止めた者、許せないで居る者。

 

 その二つが今の光実を、形作っていた。

 

 

 

 

「さてと……奴らはとっ捕まえた訳だが……」

 

 ザックは神妙な顔で、地面にロープなどでボンレスハムの如くぐるぐる巻きにされた曽野村を見下ろしていた。光実からは既に事情は聴いている。スマホの録音データを送って貰ったのでこれと一緒に曽野村とその愉快な仲間たちを警察に突き出せば暫く刑務所には出られまい。

 

「あの子供を止めに行かないとな」

 

 先に曽野村を抑えたのでこれで子供を止めても曽野村が要らない事をやらかさないだろう。倉庫から出て来た光実は無言で頷いてから、杏子の居場所を一旦確認する。……が、そこには杏子の姿は無かった。

 まぁ、別に彼女とあの事件は大して関係も無かったので別に構わない。兎に角少年を探す事が最優先だ。もう既に犯行を行っている可能性が高いが……

 

 ふと、何かが焼け焦げるような臭いがした。

 

「「っ!!」」

 

 ただ事じゃない事を察したザックは曽野村が持って居たベルトとクルミエナジーをはぎ取ってから光実と共に臭いがした先へと走り出した。




 セガサターン、シロッ!(唐突)

 さて、我ながら意味不明な冗談はさておき今回一回目に発動したマキシマムドライブの元ネタはMOVIE大戦アルティメイタムDC版でのWが使用した名称不明の技です。出典のアルティメイタムはDC版のアクションが凄い上に代役の声優さんも本人にかなり似ていますので必見です。
 激しいアクション多くて疲れちゃいますけれど(´・ω・`)

 さて……この先発売されるデューク篇もナックル篇が楽しみです。鎧武が想定以上に続くなんて予想外で嬉しい悲鳴ですよホント。
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