あらすじ 全話は人物紹介多めでした
チュンチュン…
「…さま……嬢さま…起きてくださいハレーティアお嬢さま!」
「うぅん…」
うるさい…俺は眠いんだ、もうちょっと寝かせてよ…
「起きないならファーストキスは私がいただきますよ」
「起きた!起きた!起きました!」
何を言いだすんだこの侍女は!?眠気なんか全部吹き飛んだよ!
「チッ…おはようございます、ハレーティアお嬢さま」
「おはよう、アリス。心臓に悪いからもうやめてくれない?ってか舌打ちしなかった?」
「申し訳ございません。お嬢さまの愛らしい寝姿を見ていたら愛を抑えられなくなりまして」
「舌打ちは?」
「お嬢さまの気のせいでは?」
この侍女ときたら…悪びれもせずに…
「それは置いておくとして、お嬢さま、お着替えの時間です。さあベットから降りてください。私が着替えさせて差し上げます」
「いーよ自分で着替えるから」
「そう言わずに」
指をわきわきさせないでよ!なんかいやらしいんだけど!?
「いーらーなーいー!」
服を引っ張るなぁ!
「はぁ、まったくお嬢さまという人は…。仕方がないので私は朝食の準備をしてまいります。着替え終わったらお声がけください」
「なんでお…私が悪いみたいになってるの!?」
「それでは失礼します」
ガチャ…
はぁ〜、朝から疲れた。アリスは凄く有能だし顔もスタイルも良い美人なんだけどこれがあるのが問題だよ…
とりあえず着替えよう…
今日は、というより今日“も”白いカッターシャツ?(ボタンの両サイドに飾りがついてる)とゆったりとした長ズボンに着替えた。というかドレス数枚以外こんなのしか持ってないんだけどね。服はドレスが嫌すぎて駄々捏ね続けて家に限りOKもらいました。
「着替え終わったよ、アリス。ご飯お願い」
「はい。しばらくお待ちください」
「そうだお嬢さま、旦那さまがお呼びでしたよ。なんでも6歳の誕生日会の事だとか。もうあと一月程ですね。楽しみですか?」
「……」
すっかり忘れてた…めちゃくちゃ嫌だ。一日笑顔じゃないといけないしドレス強制だし大して興味もない大人に挨拶しなきゃならないし…
「この前カフィを飲んだときみたいな顔してますね。そんなに嫌ですか?」
カフィはこの世界のコーヒーだ。元いた世界よりだいぶ苦い。この前飲んだ時は酷い目にあった。
「嫌だよ。ドレス着なきゃいけないし一日笑顔でいなきゃならないし」
「普通のご令嬢であれば半年以上前から爵位でも貰ったかのようにはしゃぐというのに…。お嬢さまは変わり者でいらっしゃいますね」
「ねぇそれ貶してない?」
「いえいえ気のせいですよ。それよりも朝食の準備ができました。どうぞお召し上がりください」
「……本当に気のせいであることを祈るよ。じゃあ、“世界の創造主たるいと高きお方よ、あなた様と今日という日を生きてゆける幸福に感謝を捧げます”。いただきます。」
もう慣れたけど昔は忘れがちだったな。この世界では、毎日創造主たるいと高きお方に感謝を捧げる。国全体が個人差はあれど同じ神様を信仰してる。その分教会が結構な力を持ってたりする。
それはそうと今日の朝食は小さめのロールパン、ポタージュ、スクランブルエッグ的なやつにベーコン、サラダ、紅茶だった。なんかお高いホテルの朝食みたいなの。もう慣れたけど豪華な朝食ってテンション上がるよね。
「うん、美味しい」
やっぱりうちのシェフ(名前はヨセフ。今年で53歳。恰幅のいい垂れ目のおっちゃんである。たまに夜食を作ってもらいに行ってるのは内緒)は料理が上手い。こういうシンプルな料理でこそ料理の腕が出ると思う。
そういえば前世の姉ちゃんは料理が壊滅的にヘタだった。殺人的マズさというのはああいうのをいうんだと思う。
「相変わらず食事中は良い顔をなされますね」
「いっつもは仏頂面だっていうの?」
「いえ、そういうわけではございません。食事中は年相応の表情でおられるということです。」
「そんな普段年に合わないようなことしてるかな」
「普通お嬢さまぐらいのご令嬢というものはもっと言葉遣いが拙いですしドレスやお菓子に夢中で好き嫌いでシェフを悩ませるというのが普通だと思いますよ」
「へ、へ〜その人たちが子供すぎるんじゃないかな」
なんでこのメイドはこうも感が鋭いんだ…
「ご馳走さまでした。お父さまは?」
「今日は執務室におられるそうです。午前中に来るようにと」
「わかった。早めに行くことにするよ。ありがと、アリス」
「いってらっしゃいませ、ハレーティアお嬢さま」
こんこんこん
「お父さま、ハレーティアです。入っても良いですか?」
「む、来たか。入りなさい、ハレーティア」
「失礼します。お父さま、今お仕事大丈夫?」
ん〜やっぱりいつ見てもカッコいい。背が高くてしっかり筋肉のついた髭の似合う渋いイケメン。声もいい。小○力也さんをもうちょい低くした感じ。
「ああ、大丈夫だぞハレーティア。ちょうどひと段落ついたところだ。私がアリスに伝えていた件だろう?」
うわあ、書類だらけ。夏休み最終日にに全然課題やってなくてヤバかったときの三倍ぐらい積まれてる。
「はい。お…私の6歳の誕生日に貴族間でのお披露目会をすると」
やべ、一人称漏れるとこだった。まだ慣れないな…アリスの前以外じゃ言葉遣いにも気をつけないと…
「よし。クラム、しばらく休憩にしよう。厨房に行って軽食をもらって来るといい。私はハレーティアと話すことがある」
「承知しました。半時間ほど席を外します。お話が終わりましたら部屋の外に控えておりますのでお声がけください」
「きっちり休憩もするように。休憩も立派な仕事の一つだ」
「承知しました」
クラムはお父さまの…お付き?秘書?補佐?みたいな人だ。七三分けにした白髪とふちのないメガネが特徴的な60代半ばから70歳ぐらいの男性だ。前公爵、つまりは俺の爺ちゃんのころから我が家に仕えているらしい。
いい感じのイケオジだけどもうちょい若くて筋肉がしっかりしてる方が好き。
「さて、と…」
「……」そわそわ…
「おいで、ハレーティア!」
「お父さま〜!」
たったったっ、ぎゅ〜
はぁ〜好き、超カッコいいのに子ども大好きとか。最高かよ。
ファザコンかよとか思ったそこのお前!自分の親がある日いきなり最推しの俳優になってしかも自分に駄々甘とか甘えたくなるだろ!俺はなる!
前世は父親居なかったし。
「可愛いなあ、また少し大きくなったか?」
「そんなにすぐ変わらないよ、昨日の夕食のときにも会ったでしょ?」
「ははは、そうだな。ところで…今日もシャツとズボンなんだな。ドレスには興味がないのか?我が家には相応の金もあるし数十枚程度のドレスなら問題ないぞ?」
「そ、それは…ドレスは動きづらいし普段はこの格好でいる方が楽だから…」
あんなすーすーする上に重たい妙にボリューミーな服普段着にしたくない…
「普段はそれでいいが、7週間後の誕生会ではそういうわけにはいかないぞ?」
「……………はい」
「このあいだ私のカフィを間違えて飲んだときのような顔をするじゃないか」
「ドレス好きじゃないから…」
「まぁそうだな。見ている分には可愛らしいが、私も着ろと言われれば全力で拒否するだろうな。だから普段は無理して着なくて良いと言っているだろう?」
「うん……一生に一度のお披露目会だし、我慢して着るよ…」
「ああ、父にハレーティアの晴れ姿を見せてくれ。そうだ、デザインはどうする?」
「もうお母さまとアリスに任せたよ。お…私はそういうの選ぶセンスないから」
「そうか。フィナとアリスなら信用できるな。当日を楽しみにしておこう」
「うん。お仕事頑張って、お父さま」
「ああ、頑張るよ。ハレーティアも勉強頑張るんだぞ」
「はーい。あ、忘れるところだった」
「どうかしたのか?ハレーティア」
ぎゅ〜〜
服の上からでも分かる鍛え上げられた筋肉。良き…
「よし。じゃあまた夕食のときに。頑張って、お父さま」
たったった、ガチャ
「あっ、トーマスさん。お父さまの補佐よろしくお願いします」
さてと、お披露目会、頑張るか!
最近なんだか筆が進みます。これが続いてくれたら良いんですが。