ストライクウィッチーズ-乙女たちにジュラルミンの翼を- 作:社畜新兵
ヘルムート・ビッツ:ウィッチ隊戦闘隊長
アレクセイ:技術主任
ロイ:設計主任
小早川:戦闘員ウィッチ
ナタリア:戦闘員ウィッチ
巨大な工房の中で、クレーンに機関砲がつられていた。主任工作員アレクセイと設計者のロイが説明をはじめる。
「俺たちからの贈り物だ!!使ってくれ!ヘルムート嬢ちゃん!!」
「40mmAUTOCANNON!! 40mm機関砲を持ち運べるようにしたんだ!片腕でも扱える!!君ならね」
興奮した様子で二人は新兵器について説明をはじめた。
「待ってください!!あなたたち避難は?」
二人の説明を遮ってヘルムートは言った。
「ああ、俺たちはな」
「街に残ることにしたんだ。整備要員は必要だろう?」
二人を含め、開発チームの30名全員がこの街に残る決断をした。
「いいんですか?明日もネウロイの空爆があります。今のところは誤魔化せてはいますが」
ヘルムートは心配そうだ。
「ああ、いいんだよ。君のおかげで家族たちは避難した。全員な。あとは戦い抜くのみ」
「そうだよなぁ!!!おまえら!!」
「「おう!!」」
工房の皆は一蓮托生で、一致団結してこの危機を乗り越えようとしている。
「後ろにいる嬢ちゃんにはこれだな!!」
アレクセイが武器を持ってきて机に並べた。
「ナタリアちゃんには、シモノフ対戦車ライフルとSTEN短機関銃だ、持てるかな?」
ロイがナタリアの名を呼んだ。
「え??持てます!!」
返事だけは立派なナタリアちゃん。彼女の固有魔法は「魔弾」魔力を弾丸として発射できる。その分魔力消費は大きいが、魔力の総量は上げられる。マラソンで。
「ヒロ!!コハヤカワ!!お前さんにはこれだ!!20mmAUTOCANNON!!エリコン20mm機関砲を改造したんだ!!照準器も特注で作ってもらったんだぜ!!」
ノリノリで大きなRIFLEを抱えて持ってくるアレクセイに、小早川は固まっている。
「ああ、ありがとうございます、ナニコレ??」
目を白黒させている、とにかく重い鈍器のような機関砲だ。性能は折り紙付き。
「よーし!!試し撃ち!させてくれよ!!」
ヘルムートは巨大な「鉄柱」のような40mmオートキャノンを片腕で軽々と担ぐとそう言った。
「そう来なくっちゃな!!射撃場に集合だ!!」
「重いです隊長」
「私も」
弱音を吐くナタリアと小早川の二人。
「何やってる!!魔力を使え!!魔力を!!」
「あ!!そっか!」
「そうでした~おお!軽い軽い!!」
三人のウィッチは魔法力で筋力を増強する。訓練の成果だ。華奢な少女の体に鬼が宿る。どんなに重い装備もこれで軽々と持てるのだ。
「到着!!よし!撃つぞ!!」
屋外射撃場についた3人とその取り巻き達、射撃訓練が始まる。まずヘルムートが40mmオートを構える。
「気を付けてくださいね。反動が強いですから」
ロイが心配そうに見守る。
「心配ご無用!!反動制御を実行!!誤差修正!!ファイエル!!」
ズドン!と大きな音をたてて、標的のBT戦車が吹っ飛ぶ。
「はは!!すごい威力だ!!たまらないな!!」
おもちゃの鉄砲で遊ぶ子供みたいに無邪気にはしゃぐヘルムート。それを見て、二人のひよっこウィッチは戦々恐々だ。
「この人、壊れてる」
ナタリアがつぶやく。
「しっ言っちゃダメ!」
小早川が短くしかった。
「お前らも撃てよ!!もたもたすんな!!」
二人のほう向かずに、標的も見たまま、ヘルムートが短く言った。
「「Ja!!」」
カールスラント語で二人は返事をした。
「小早川!!撃ちます!!反動制御!!よし!!安全確認!!よし!」
「さっさとしろ!」
「Ja!」
Ba!Ba!Ba!BAN!!短く連射、細かく撃つ、標的のトラックが木っ端みじんだ。
「すごい、でも反動もすごいですね」
「そうだな、だから今みたいに短く撃てよ、心がけろ」
「ヤボール!!」
小早川が撃ち終え、入れ替わりでナタリアが射撃位置についた。
「ナタリー、お前はあの遠くの的を撃て」
ヘルムートが40mmオートのさきで遠くの的をさす。1000m先の的だ。
「Ja!!ナタリア!撃ちます!固有魔法実行!!」
そういうとナタリーのシモノフ対戦車ライフルは空色に輝く。ダーン!!という銃声の後にバスッという着弾の音が聞こえた。
「命中だ!!いい腕だな!!」
素直にほめるヘルムート、珍しい。
「STENは?使わないのか?」
アレクセイが不満そうに言う。
「そいつは俺が使おう。片腕でも撃てるだろう?」
ヘルムートがそう言うと、40mmオートを「ウマ」に置く。ステン短機関銃を持つ。PAPAPAPと片腕で撃つ。すると50m先の鉄板に全弾命中させて見せた。
「なんて腕だ!片腕で」
その場にいる全員がその御業に見ほれた。
「この程度で驚くな、ブリタニアにはこれぐらい出来るウィッチが、ごろごろいるぞ」
ヘルムート鼻高々だった。
「そうだ!!忘れるところだった!!おい!あれもってこい!」
咄嗟にアレクセイが手を叩き、部下に命じた。暫くして、銀色の義手を持ってくる。
「これは?義手か?」
ヘルムートは自分の「短くなった左手」と義手を交互に見つめる。
「そうです!我々からの最後の贈り物は、ヘルムート大尉!!あなたの義手ですよ」
ロイが堂々と言った、相当自信があるらしい。
「義手か、じゃあつけてみようかな」
渋々ヘルムートは義手をつけ始める。
「はいはい!手伝うわ」
いつの間にかヘルムートの後ろにいた、ヨアヒムが手伝いだす。
「これはね、ストライカーユニットみたいに、あなたの腕に履かせるのよ」
カチャリ、フォンっと音とともに義手が着けられる。
「おお、この義手、動くぞ、すごい」
つけた義手が失った腕のようにカタカタと動く。これは小型のストライカーユニットなのだ。
「最新の魔導技術を応用した、筋魔導義手よ。ブリタニアの職人が作ったの」
ヨアヒムが丁寧に説明した。
「お前が用意してくれたのかヨアヒム」
ヘルムートが目を丸くする。
「ええ、あなたのためにね」
「ありがとう」
「貴方がお礼を言うなんて、明日は雪が降るわね」
「そうだよな?冬なんだから」
どっと辺りが笑いに包まれた。「お披露目式」はお開きに、明日、ネウロイがやってくる。
今回登場した兵器
40mmオートキャノン
20mmオートキャノン
シモノフ対戦車ライフル
STEN短機関銃