「ちょいと休憩にするぞい」
数時間後。オヤジはどっこらせいと小さい岩場に腰掛ける。膝には風呂敷が乗っていた。
「ふう~」
俺も、ひとつ息をついて岩場に腰掛ける。その隣にミルーカ様がちょこんと座る。
「お疲れさまです。唐傘さん」
ミルーカ様は俺に微笑みながら労いの言葉をかけてくださった。
「あ、ありがとうございます」
ドキドキだぜやっぱ。胸高鳴る~。
「あんぐばっ!」
オヤジが風呂敷を開けて取り出したドデカイ三角おにぎりを大口開けて食っていた。モンスターみてえだな。
「唐傘さん、よろしければどうぞ」
「え!?」
ミルーカ様の膝の上に乗っかってるのは……。
「うおお!!」
笹の葉の上にちょこんと鎮座してる小さめのまん丸おにぎり、たくあんってマジっすかあ!?
「い、いいんですか? いただいても?」
これってミルーカ様がにぎにぎしたおにぎりってことだろ? 俺はおそるおそるミルーカ様に確認する。
「はい。ちょっと不格好ですけれども」
「ありがとうございまあす!」
俺はおにぎりをしっかり掴むと、ツヤツヤに輝くミルーカ様お米に挨拶をした。
「いただきます!」
バクっと一口。俺はよく噛み締めながら味わう。え? おにぎりって軽食だからパクパクいけるんちゃいますの? って? 馬鹿言うなって。ミルーカ様のおにぎりだぞ? ゆっくり味わうに決まってんだろ。
俺はおにぎりを咀嚼してゴクンと飲み込む。そして一言。
「美味しいで~~~~~~す!」
俺はテンション高めにミルーカ様にそう言うと、ミルーカ様は目をパチパチさせていた。
「そ、それはよかった、です……」
俺がバクバクおにぎりを食べるもんだから喉に詰まりかけたのを見計らい、ミルーカ様はどこからか水筒を取り出して、コポポとお茶を注ぐ。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます!」
俺はミルーカ様が差し出して下さったお茶をありがた~く受け取る。ゴクゴク。ぷはー、うまうま。ご馳走様でした。
俺がおにぎりをモグモグ、たくあんをポリポリしていると、大ジョッキを傾けていたオヤジがおしっ! と気合を入れて立ち上がる。ってかちょっと待て。酒飲んでやがったのか?
「ウィ~ヒック。そんじゃ続き始めるぞ~い」
酔っ払いが何か言ってやがる。
「おいおいオヤジ。そんな状態で……」
「唐傘さん!」
俺がふらつくオヤジに声を掛けると、ミルーカ様が突如警戒の声を上げた。
「!?」
ふらつくオヤジがいきなり俺に突きを繰り出してきた! あっぶね!
俺は寸でのところで何とか躱して、後ろに飛び、距離をとる。
「てめえ! いきなり何しやがる!」
「実践練習に決まっとろうが」
オヤジは赤らめた顔をニヤリとする。
「カラカサアゲユキよ。お主ドラゴンの強さを知っておるかえ?」
「す、すげー強いんだろ?」
俺は、オヤジの只ならぬオーラに一瞬怯みながらそう答えた。
「ご名答。然らば、あっち向いてホイ修行の仕上げは実践練習になるであろう」
マジかよ。
「唐傘さん! 大丈夫ですか!?」
ミルーカ様がハラハラとした声を上げる。
「大丈夫ですよ」
俺は即答する。かっこ悪くてもかっこつけてーのが俺の性だ。
「やってやる」
俺は戦闘の構えをとる。完全に自己流ですが何か?
「ふっ!」
「ぐっ!」
ドガガガガガッ! オヤジは踏み込みからの怒濤の連撃を俺にブチ込んできた。俺はそれを腕をクロスさせてなんとか衝撃をいなす。
「脇が甘いぞい!」
「ぐあっ!」
オヤジの俊敏な裏拳により、右脇に、ダメージを食らった俺は横に吹っ飛ばされた。
「いてて。どこのバトル展開だよ……!」
俺は、ゆっくりと立ち上がりながら、そう独りごちた。
ミルーカ様のおにぎりまいう~。揚幸、オヤジとバトルだ~。次回に続きます~。