最初のクエストは荷物を指定の場所まで届ける、という内容のものだった。俺とミルーカ様は町を外れた草原のある一本道を並んでテクテクと歩いている。
「いい天気ですね」
ここは無難に天気の話題から入る。テンプレか?
「そうですね。絶好のクエスト日和ですね」
ミルーカ様はコクリと肯く。よっしゃ!
「ギルドから受け取った荷物って中身は何なんでしょうか?」
俺が手にぶら下げているスーツケース? みたいなものを掲げてみる。中身が飛び出さないように厳重にロックがかかっているみたいだが……。
「それは依頼人の意向で秘密になっています」
プライバシーってこと? 危険なもんじゃないよな? お好み焼きでもないだろうし。何だろうな。
「これをどこに届けるんでしたっけ?」
「あそこに塔があるのが見えますか?」
ミルーカ様が指差した方向に目を凝らしてみると確かに白い塔らしきものが見えた。
「はい。見えます」
「あれは監視塔。町にモンスター等が攻め込んでこないか監視するための場所なんですよ」
「ほえ~~」
俺はますます興味をそそられた。
「やっぱモンスターとかいるんですね?」
「はい。……なんだか楽しそうですね」
「はい! ミルーカ様とのクエストはどこでもなんでも楽しいですよ!」
「! も、もう……調子いいんですから」
俺の偽りなき本心で顔をふいっとするミルーカ様。フラグ立ちました? まだ? まだか。
そんなこんなで塔に到着っと。
「とーーーーーーうっ!!」
しゅたっ。かっちょよくジャンプして着地する俺。塔だけに。
「唐傘さん。中に入りますよ」
「はい」
引率の先生感やば~~。そんなとこも素敵だ~~。
監視塔の中は、理路整然としていた。まあ、つまり綺麗ってことだな。監視っていうくらいだから、望遠鏡でもあるのかと思ったけど、そんな小洒落た物はないらしい。じゃあどうやって監視するんだ? 目視? ドローン? いやさすがにドローンはないか。
「ご覧ください。唐傘さん」
ミルーカ様が俺に塔の窓を指し示す。外見てみろって? どれどれ……。って。
「ええええええええええ!!!!!!」
なんか浮いてるんですけどっ!?
それは赤紫色の球を嵌めた箱っぽいのに六枚羽をつけた……ゴメン、よく分かんね。
「あの……あれ何ですか?」
俺がよく分からない物体を指し示してミルーカ様に訊ねると、ミルーカ様は小さくコクリと頷く。
「はい。あれは……ドロンコプターです」
「ドロンコプター!?」
おいおい大丈夫か!? 色んな意味で!!
「はい……土属性の魔法で形成され、飛行補正を施した魔導具のことですが……」
冷や汗だらだらの俺を余所に解説を続けるミルーカ様。いやネーミングよ。
「な、なるほど。つまりドロンコプターは、魔力感知の効果と監視カメラの役割を持っているってわけですか」
「ええ、そういうことです……。では参りましょうか」
一通りの説明を聞いて、俺がちょい理解出来たと思われたであろうミルーカ様は監視塔の案内を続けた。
初クエストの内容は〖荷物のお届け〗です。はてさてどんなことが起きるのでしょうか……。次回に続きます。