ある日の正午。俺は大学のキャンパス内にある学生食堂でA定食をがっついていた。400円ってのは財布に優しいぜ。モグモグと俺がしていると、向かいにいるダチの水片(みずかた)が目をパチクリしていた。天パ野郎だ。
「おい唐傘。そんなに急いでどうしたんだ?」
「水片。俺は今な……絶賛、恋ってやつをしているかもしれない」
水片は、へえ~と生返事。
「今度はどのアニメだ?」
「ちっっげーーよ! モノホンの3次元女神だっつーの!」
「お前……頭大丈夫か?」
「だーー! ちくしょーー! 共有出来るやつがいねーー!」
「何か悩みがあるんなら相談乗るぞ?」
「違うっつってんだろ! 今日俺、異世界行くからお土産買ってきてやるよ! じゃあな!」
俺は食べ終え、空の食器を持って水片に別れを告げた。
「おい、唐傘頭」
「正常だっつーの!」
俺は空の食器を返却口に出して、学生食堂を出て、外に出る。するとマイスマホにピロピロリと着信が入った。
「はい、もしもし!」
『あ、あーあーもしもしこちらミルーカです。唐傘さん聞こえていますかーー? マイクテスマイクテス』
「ばっちりです! ミルーカ様の麗しいお声が鼓膜に響いています!」
『ちょ、声が大きいですよ。唐傘さん!』
ミルーカ様は慌てた声を出して俺に注意する。
「す、すみません。連絡が来てめちゃんこ嬉しかったのでつい……」
『もう、しょうがないんですから』
ミルーカ様のやれやれと言った様子がスマホの向こうで感じる。きゃわいい。
「それで、ミルーカ様。俺はどこに?」
『はい。キャンパスを抜けた先にモニュメントがありますよね? そこまで行っていただけますか?』
「分かりました!」
大学の卒業生が作ったって言うハート型のモニュメントのところまで向かう。よく知らないけど映えスポットらしい。
「着きました」
『はい』
俺がミルーカ様に到着した旨を報告すると、ピカッ! と辺りが光りだした。
『転送致します』
「うわっ!」
俺が驚くのも束の間、辺り一面が光に包まれて、俺はその場から掻き消えた。
てゆうかこの時の移動時間って周りの景色はグニャアってしてるんだよな。おお、レポートに書けるかも! 異世界へ飛ぶときの感覚は、時空を駆け抜けていくようなものです、ってな! バビューン!
やがて景色が真っ白に染まり、あの〖女神ルーム〗が出現した。そこにおわすは白い羽衣? を来たミルーカ様だ。
「こんにちは、唐傘さん」
「はい、こんにちは! ミルーカ様!」
俺はにこやかに応える。
「な、なんだか元気ですね」
ミルーカ様は俺の勢いに若干気圧されているようだ。
「はい! A定食ご飯大盛り食べましたから! 元気モリモリです!」
俺があんまない力こぶを見せつけながら言うとミルーカ様はパチパチと瞬きをする。
「わ、わんぱくですね」
「成長期なんで」
男としても、冒険者としても。俺がキリッと言うと、ミルーカ様はクスッと笑う。
「期待、していますね」
「はい!」
「それでは、唐傘さん。本日なんですが……」
「クエストですか?」
「ええ。そうなんですが、その前に……」
ミルーカ様はクルッと後ろを向いて手を差し出す。あれ? なんか扉がある? どこかと繋がっているのだろうか?
急にガチャッと扉が開いて、現れたのは――
「ミルーカ~~。冷蔵庫にあったプリン隠れて食べたなかもかも~~! 大事に取ってたのにかもかも~~!」
青い羽衣? を身に纏ったきれーな御方が登場しなすった。ん? てゆうかプリン?
俺がチラリとミルーカ様の方向を向くと、かああと顔を赤くしながら固まっていた。なるほど食べたんだなと俺は察した。
「ん? あっ、もしかして……」
その青い羽衣? を身に纏った御方は俺を見て言った。
「ミルーカのお気に入りのカラカサクンかもかも~~!」
なぬ!? 俺が衝撃を受けると、ミルーカ様ははっと我に返り、まくし立てる。
「ち、ち、違いますよ! 何を仰ってるんですか!? カミレラ先輩!!」
ああ、この方が。ミルーカ様の仰っていたカミレラ様なのか。ミルーカ様みたく凄まじい美貌を誇っている。かもかも~~~~~~って言ってるしな。
「プリン食べたのは本当かもかも~~?」
カミレラ様がじ~っとミルーカ様を見つめる。
「うっ……」
ミルーカ様がちょっぴり汗をかいてたじろぐ。
「本当なんですかもかも~~~~~~?」
俺もそれに参加してみた。
「もうっ。唐傘さん真似しなくてもいいです! あと語尾長いですし!」
「そのパターンもありかもかも~~」
ミルーカ様は俺に少し頬を膨らませて、カミレラ様は感心したように頷いていた。
ミルーカ様から呼び出しだ~。カミレラ様登場だ~。また次回です~。