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「ククク、これはこれは守護者さん。私を呼び出すなんて、明日は槍でもするのですかね?」
「御託はいい、単刀直入に聞こう。──────世界の危機、これに該当するものをお前は知っているか?」
「…ッ!?─────どこでそれを?」
「詳しくは言えん。それに、半信半疑だったのだが、貴様の反応を見て確信した」
「……カマをかけましたか。これはやられた」
「それで、該当するものはあるのか?」
「あります。私達ゲマトリアはそれを『色彩』と読んでいます」
「『色彩』……一体どういったのだ?」
「『色彩』は先生やゲマトリアと同様に「キヴォトスの外」に属する存在です。そして、ゲマトリアにとっての本来かつ最大の敵です」
「それは人物か?」
「わかりません。我々からしても、ほとんどの部分が不明であり、実体なのか存在なのか概念なのかすらわかっていません。ただ、我々は『色彩』を『アレ』や『意識』と呼んだりしています」
「意識?意思ではないのか?」
「はい、意思が考えや思いだとするならば、意識はいろいろなものを認識し、思考する心の働きの事を指すします。故に意識なのです」
「退治できるものなのか?」
「わかりません」
「『色彩』はもうキヴォトスに存在しているのか?」
「いいえ、ですが、必ず来ます」
「そうか、では最後だ。『色彩』を利用しようとしているのは誰だ?」
「………何故、そう思いで?」
「『色彩』に関して明確なことは理解していないくせに来ることだけは確信している。これは誰かが意図的に呼び寄せた事を知っていないと不可能だ」
「クックックッ、お見事です守護者さん。そこまで見破るとは!」
「で、いるのか?いないのか?」
「います。名を「無名の司祭」です」
「………何だソイツ?」
「キヴォトス以前の世界の主であり、現在では既に淘汰され痕跡を残すのみとなった筈の存在……でした。ですが彼らの生き残りが未だ存在し、ギヴォトスに生きる人々を消滅させることを目的としているようです」
「ソイツらの場所の特定は……」
「不可能です」
「そうか……、それで私は『色彩』対策の為に何をすればいい?」
「貴方の神秘を調べさせて──「それは無理だ」──何故?」
守護者は無言で愛用する黒拳銃*1を取り出す。
「触れてみろ」
「……はい?」
「触れてみろと言っている」
黒服が恐る恐る黒拳銃に触る。すると黒拳銃は煙の様に消えてしまった。
「なんと!?」
「どうやら私以外に触らせる気は無いみたいでな。武器と武器のぶつかり合いなら消えないが、奪おうとする感情が少しでもある奴が触ろうとすると自動で消える仕様になっているみたいでな。どうやら私の神秘は干渉されたくないらしい。もし私に対して人体実験をした場合、私の神秘が何をするかわからんぞ」
「……それは貴方の意思とは無関係なのですか?」
「あぁ、昔金稼ぎの為に質屋に出そうとしたら消えてしまってな。あの時は苦労した……」
「それはそれは、ご愁傷さまです……」
「あの時は金に困っていてな。その日の食事がとれるかどうかは己の行動次第だったからな……あの時は絶望したよ」
よく見たら守護者の目が死んおり、壊れた機械みたい笑っていた。
「っと、いかんいかん。とにかく、人体実験等は無理だ。なので他に協力できることはあるか?」
「そうですね…………でしたら、私達の仲間の1人に強力な兵器を作るものがいます。彼の兵器の試運転に力を貸してくれませんか?」
「いいだろう。対価は?」
「お金はもちろん、仕入れた情報はすぐに貴方に共有いたしましょう」
「……もう一つ、聞いてもいいか?」
「何でしょう?」
「『先生』、奴は何者だ?」
「
「…そうか。黒服、追加条件だ。もしゲマトリアと対立することがあっても、それが先生の生命の危機に関わる問題だった場合、不問とする」
「それは……」
「
「それはそうですね……わかりました。契約する対象はゲマトリア全体から
「…ゲマトリアの中には先生に死んでほしいと願っている者がいると自白しているぞ」
「仕方ありませんか。ゲマトリアは元々ある目的の為に集まった集団、仲間ではありません。ですので私としても、
「
「
「あぁ、構わんぞ」
「この話は持ち帰って他のメンバーにも共有させます」
「頼んだぞ」
黒服は一礼したのち、ゲートを作り出し転移した。
「さて、これから忙しくなるぞ」
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数日後……
「すみません、本来であれば来る予定でしたゴルコンダとデカルコマニーが急用で来れなくなってしまった為、マエストロだけつれてきました」
指定された場所に来てみれば黒服とタキシードを身に纏った双頭のマネキン人形のような姿の人物がいた。
「貴様がマエストロか」
「そういう貴方がブラックマーケットの守護者ですか……名は?」
「無いな、強いて言うなら守護者か?」
「………いけない、それはいけない!名が無い者など芸術家たる私には受け入れられぬ!!」
「ならば『無銘』という名でどうでしょうか?」
「………無銘、確かにいいな。これからは無銘と名乗ろう」
「うむ、承知した。では無銘殿、貴方は武器を作り出す時己の神秘を使っている。これに間違いはないか?」
「違いないな」
「どうやって神秘をかたどっている?」
「私の能力で投影でね、
「ふむ…………異端だな」
「わかるか」
「もちろんだとも。これは通常の投影とは違う、決定的に”何か“が違う。明確には言えないが芸術家たる私の勘がそう言っている」
「では私の神秘を否定するか?」
「否、否である!私の作品の為、貴方の力を存分に借りよう!」
「契約内容は……」
「黒服と同じで構わない。そのため、私の作品が先生を殺そうとするのならば迷わず壊したまえ」
「………いいのか?」
「恐らく貴方は
「……………………………………」
「これはこれは、無銘さん一本取られましたね」
「…チッ!!」
「では、契約内容内容を確認しよう。
【一、双方が獲得した情報は定期的に提示する。また、戦闘訓練等も定期的に行うものとする。
ニ、無銘は黒服、マエストロ、ゴルコンダ、デカルコマニーに対し理由もなく攻撃することは禁じる
三、黒服、マエストロ、ゴルコンダ、デカルコマニーは、無銘不在の際のブラックマーケットへの警備を代理で行う
四、万が一、ゲマトリアと対立することがあっても、それが先生の生命の危機に関わる問題だった場合、不問とする】
この契約内容に関してはゴルコンダとデカルコマニーにも了承を得て彼らのサインは既に記載されている」
「私はこれで構わない。あぁ、ブラックマーケットの警備に関しては基本的に監視で構わない。何かヤバい事件が発生したら即座に私に知らせることはお願いするが……」
「わかりました。しかし、ブラックマーケットにそこまで執着があったとは……」
「私としても
「では、この契約でこれから頼む」
「了解した」
「それはそうと、このあと貴方に別件で依頼を頼みたいのですが…」
「……何の依頼だ?」
「私の護衛です」
「……ん?そんな危険な場所に行くのか?」
「いえ、このあと先生が私のオフィスに来る予定なんですよ」
「…は?先生って、シャーレの先生か?」
「はい」
「
「言いましたね」
「なら、何でお前から関与させようとする?」
「おや、何故先生と会うのにアビドスが関係するのですか?」
「とぼけるなよ、どうせお前のことだ。アビドスの借金を軽減する代わりに、生徒に人体実験に身を捧げることを要求し、それを取り返す為に先生が来るんじゃないのか?」
「クックックッ、本当に貴方は私をよくわかっていらっしゃる。その通りです、私はキヴォトス最高の神秘を持つ小鳥遊ホシノさんの身柄を要求しました」
「生徒を大事にする先生なら取り返しにくるだろうな」
「…私自身には戦闘能力を持ち合わせておりません。そのため、貴方に護衛をお願いしたい」
「それは絶対に必要か?」
「いえ、あくまで保険です」
「ならば断る。私としても先生との直接対峙は遠慮させてもらいたい。その代わりにだが少し離れたところから監視するのならばよいが……」
「では、それでお願いします。報酬は後ほど渡しますので」
「………了解した。芸術家、そういうことなのでブラックマーケットの監視はよろしく頼む」
「フッ、別に構わないとも」
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「完敗だったな黒服」
「えぇ……先生と生徒、それに“大人のカード”。向こうの方が手札が上でしたか」
「生徒達のことは研究、あるいは利活用する対象としか見ていないお前は先生にとっては絶対に相容れることのない存在だろうな」
「貴方もそう思われますか……。小鳥遊ホシノがアビドスに戻ったのならば、残念ながらカイザーPMCに勝ち目はありません」
「そうか、ならば私もブラックマーケットに帰らせてもらおう」
無銘が黒服のオフィスから退出しようとしたその時、突如空間に穴が空き、マエストロが現れた。
「───緊急事態だ」
「マエストロ?貴方がアポなしとは」
「余程の事態か…何があった?」
「ビナーが起きた」
「……ビナー?」
無銘は知らない言葉に首をひねったが、黒服は違った。
「───────なんと…奴が……」
「出現したのはブラックマーケット付近でな、偶々レーダーに捉えたのだが、周囲は奴の攻撃で瞬く間に壊滅してしまった」
「……ッ!?どういうことだ、ビナーとはなんだ!?」
「落ち着かれよ無銘殿、ビナーとは超高性能人工知能のことである。姿は巨大な機械、現在はブラックマーケット付近で暴れているが、マーケットガード達が対応している」
「…………私も速く現場に向かいたいので手短に頼む」
「了解した。先ずはこれを」
「これは……イヤホンマイク?」
「左様、ソレを着けたらこのゲートをくぐってくれ。このゲートはブラックマーケットに通じている」
「わかった」
無銘はイヤホンマイクを着けた後、ゲートをくぐってブラックマーケットへ向かった。
ゲートを抜けるとかなり離れているのに全体が見えるくらいには超巨大な、大蛇と鯨が混ざったような形状の化け物が暴れていた。
──────────破壊セヨ
(……ッ、何だ!?いつもは
「ヘイローを持った機械……?」
『あー、テステス。聞こえるか?アレがビナーだ。デカグラマトンの一体にして預言者。目的や元々どういった存在なのかは私達ですら把握できていない』
イヤホンマイクからマエストロの声が聞こえる。
『私達二人は戦闘能力を持たないのでな、すまないがドローンで観測しながら対応させてもらう。まず、奴がブラックマーケットを攻撃するまで時間がないので移動しながら聞いてくれ』
「了解した。ではまず、アレを止める方法はなんだ?」
『破壊しかない。我々はそう考えている』
─キヴォトスにあってはならない存在、ハカイセヨ
「そうか……ヘイローを持つ理由は何だ?」
『説明が難しいのだが、簡潔に言うと奴は神秘を獲得した機械だ』
「つまり、アレの装甲は学生かそれ以上というわけか」
『そうなりますね。しかし無銘さん、奴の最大の攻撃は口腔内の砲門から発射される熱光線です。射線にいたらいくら貴方でもマズいのでは気をつけてください』
「了解した」
『無銘さん、どうやら騒ぎを聞きつけて先生達もこちら側に来ているみたいです』
「黒服、先生達が来るまでにかかる時間は?」
『およそ三十分です』
「かなりかかるな」
『ここは持久戦で、先生が来るまで耐えるのが得策かと……』
「……………なぁ黒服」
『………はい、どうしました?』
「ああ。時間を稼ぐのはいいが─────────── 別に、あれを倒してしまっても構わんのだろう?」
『──────────えぇ、そうですね。そうでなければ面白くありません。貴方の力、存分に我々に見せてください』
「フッ、任された!!」
ドローンから映る無銘を見ながら黒服は呟く。
「ところで、彼のヘイローの歯車……あんなに速く廻っていましたっけ?」
────────────────────────
──────────ハカイセヨ
「
無銘は左手に弓、右手にねじれ曲がった剣を投影する。
──────────預言者、ハカイセヨ
「前回は簡略化して撃ったからな、今回は本気で撃たせて貰うぞ」
(とりあえず、
無銘はねじれ曲がった剣を弓に番える。すると膨大な神秘が吹き荒れ、辺りには赤雷が走る。そして、剣は矢のように細くなる。
「────我が骨子は捻れ狂う」
『ビナーに気づかれました!!』
《■■■■■■■!!!!》
膨大な神秘が集まっていることに気付いたビナーがこちらに向かって咆哮をあげる。
「もう遅い、
放たれた矢は音速に超え、瞬く間にビナーに突き刺さる。
「まだだ、
突き刺さった矢がすぐさま爆発し、ビナーの装甲を吹き飛ばす。
『直撃しました!この隙に奴に追撃を……な!?』
《■■■■■■■■■■■!?!?!?》
「……ッ!?」
ビナーは絶叫し、仰け反りつつも己を狙撃した不届き者に対し、あらん限りのミサイル*2を放つ。その数、約100。
『バカな!?アレほどの損傷なのにすぐさま行動するだと!?』
「回復よりも追撃を優先したか!!」
無銘は脚に神秘を付与し、ミサイルを振り切るため、屋根から屋根へと移動を開始する。
『ダメです!あのミサイル、追尾しています!』
「ええい、やっかいな!!なら─────」
無銘は高く跳躍し、すぐさま1メートル以上の刺々しい矢を投影する。無銘は空中で矢を番えながら黒服達に尋ねる。
「黒服、ミサイル到達まで何秒だ?」
『ミサイル到達まで後…5秒!』
「なら……チャージ4秒、走れ!
ミサイルが直撃する寸前に放たれた矢は、マッハ6以上のスピード叩き出しながら空中を自由自在に動き回り、全てのミサイルを撃ち抜いた。そして、そのスピードを維持したままビナーに突き刺さり爆発する。
「よし!このまま……」
『高熱源反応、熱線です。避けてください!!』
黒服から警告がマイクイヤホンから響く。
爆発の煙から晴れたビナーは、既にチャージを貯めた口元をこちらに向けて構えていた。
《■■■■■■■■!!!》
「な、クソっ!?」
回避行動をとろうとするが、空中にいる無銘は避ける事ができない。
「チッ、間に合え!
《■■■■■■■■■■!!!!!!》
空中にいた無銘に対し、無慈悲な熱線*3が放たれた。
やってることがエミヤオルタではなくエミヤだった。
言い訳を含めた推測なんですけどエミヤオルタとエミヤの違いは在り方もですが、投影魔術でどこまで投影できるのかも重要だと思うんでよ。
なので、恐らく本家が使える投影は「Extraの無銘」ほどではないと思うんですけど、一通りできると解釈して書いています。ご了承ください。
そして、エミヤオルタの武装は割と中距離や近距離がメインなので遠距離戦だった今回は弓主体となりました。
感想、評価、誤字報告、よろしくお願いします。