黒き守護者の活動記録   作:タスク・アスク

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やばい、他にやらなきゃいけないことあるのに書いてしまう


3話

─────────────────────────

 

「………お腹空いた………」

「ねぇそこの君!何をしてるの?」

「……………誰だ女?」

「あ、ひっどーい。私には梔子ユメって名前があるの!!」

「そうか、どうでもいい」

「えー…って、あいた!?」

 

どうやら頭を撃たれたらしい。だが、そこはキヴォトス人、傷はなく「痛い」だけなのだ。

 

「おいおい、アビドス生じゃねえか。今日はあのチビはいねえのか?」

「イタイな、もー……今日はホシノちゃんは別行動中だよ」

「…ハハハ、今日はついてるぜ!お前を人質にとって、いつもスカしたあのチビに一泡吹かせてやる」

 

どうやら彼女達は、梔子ユメの仲間にボコボコにされた過去があるヘルメット団みたいだ。

 

「私だってタダで捕まるほど私だって優しくないよ」

 

ユメは抵抗する為にアタッシュケースになっていた盾を展開する。

 

「ハッ、テメェだけなら時間をかければ私たちでも倒すことはできるんだよ!!」

 

ヘルメット団の面々は各々の銃を構え、一斉に乱射する。

ユメはすぐさま盾に隠れ、迫りくる弾丸を全て受け止める。

 

「くぅぅぅぅ!?」

「ハッ、いつまでそうしていられるからなぁ!?」

 

 

「──────────うるさい」

 

 

やけに響く男性特有の低い声が銃撃音を止めた。

 

「ちょ!?君……!?」

 

ユメは驚いた顔で彼を見る。

 

「俺はお腹が空いているんだよ。そこを通りたいからさっさと退け」

「………あ?そんな…そんな理由で私達は退かないといけないのか!?」

「いいから退け」

「ふざけんなぁ!?」

「いけないリーダー、()()()()()()()()()()()()!殺しちまう!!」

「知るかぁ!?」

 

怒り狂ったヘルメット団のリーダーは部下の言葉を無視して、彼に向かって撃った。

 

「だめぇ!?」

 

彼に向かって放たれた弾丸が容赦なく彼の脳天を射抜く──────────ことはなかった。

 

「……………神秘投影(トレース・オン)

 

赤黒い光が右手から迸り、黒く短剣がくっついた拳銃が現れ、短剣の部分で銃弾を防いた。

 

「な、なんだよそれ……?それにお前、なんでさっきまでなかった()()()()()()()()()()()()!?」

「それ、お前に関係あるか?」

 

彼は何の躊躇いもなく、ヘルメット団リーダーの脳天を撃ち抜いた。

 

「ガッ!?」

「リ、リーダーが一発!?野郎!!」

「おい盾女」

「ふぇ!?な、なに?」

「こいつら倒してやるから盾は盾らしく俺を守れ」

「え、えぇ〜!?」

「撃て撃てぇ!!」

「ほら速く」

「ひ〜ん!」

 

これは無銘が守護者になる前の話、人と関わる楽しさを教えてくれた人との…出会いの記憶………

 

 

───────────────────────────────────────────────────

 

 

──────────ハカイセヨハカイセヨハカイ…

『無銘さん、無銘さん!!!』

「ハッ!!」

『急ぎ着地の対策を!?』

「くっ!?神秘投影(トレース・オン)!!」

 

無銘はすぐさま巨大なクッションを投影し、着地時の衝撃を緩和した。

 

「私は……」

『ほんの数秒だけでしたが気絶していました。まさか、あの熱線がフェイントだとは…』

「すまん、流石に回避できなかった」

 

無銘は回想する。

あの時、空中にいた為回避行動ができなかった無銘は回避を諦め、防御を行った。防御の為に投影したのは熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)。自身が持ちうる最大の防御だったが、咄嗟の投影だった為、本来は七つのはずの花弁は三つだけだった。そして、投影の完了と共にビナーの熱線*1が直撃した。

槍に対して絶対的な防御を誇る盾がビナーの熱線を罅が入りつつも防ぎきった。

だが、アイアスが役目を終えて消えた瞬間を狙って密かに放なたれた一発のミサイル*2が無銘に直撃し、彼の意識を吹き飛ばした。

 

「それより、ビナーは?」

『砂の中に潜りました。レダーで確認する限り、逃げたわけではないようです』

 

────────────────────

 

一方ビナーは焦っていた。

自身の頑丈な装甲が一発で剥がされた挙句、自身のミサイルも全て迎撃され、熱線も防がれた。苦し紛れに放ったミサイルが着弾し、その隙に潜ることが出来たが回復には時間がかかってしまう。このまま撤退……否、否否否否否否否否否である。あの男は敵、あの男は敵あの男は敵あの男は敵あの男は()()()()()()()()()!!

 

《■■■■■■■■!!!》

 

己が壊れようと、命題を果たせずとも、奴は殺す。そう決定づけたビナーは、砂漠(地面)の下からの攻撃を開始した。

 

───────────────────────

 

『高熱源反応!場所は……下です!!』

「…ッ!?」

 

黒服の警告を聞き、すぐさま別のビルに飛び移る。。次の瞬間、先程まで自分がいた場所に地面から熱線が建物を突き破って空に向かって放たれた。

 

「奴め、地面下という攻撃できない場所からの遠距離で倒すつもりか!?」

『いえこれは……ビナー、上昇してきます!!』

「…ッ!!」

 

広範囲に砂ぼこりを撒き散らしながらビナーが砂の下から顔を出す。

無銘はすぐさま付近で一番高いビルに飛び移ることで回避した。

 

《■■■■■■■■■■!!!》

 

『解析したが、奴の機体は限界に近い。度重なる損傷によりミサイルの砲門は大破、あの硬い装甲も大分ガタが来ている。本来であれば砂漠の下から攻撃を続けていただろうが……砂の圧力に耐えられず、地上()に出てきたのだろう』

『ですが、油断は禁物です。奴にはまだ熱線(ビーム)が残っています』

「わかってる!」

 

《■■■■■■■■■■!!!!》

 

咆哮とともに、ビナーを中心として砂嵐を巻き起こす。

 

「ここに来て砂嵐だと!?」

『視界を限定させる気です。……ッ!?砂嵐の中に高熱源反応!!』

「フンッ、そっちがその気ならこっちも向かい撃つだけだ!」

 

無銘は再び弓を左手に呼び出す。そして……

 

神秘投影(トレース・オン)

 

彼は右手に神々しい長剣を投影する。

 

「先程貴様の熱線はアイアスで防げた。ならば大英雄の投擲に使われた槍の後進ならば……!!」

 

剣を弓に番えると同時に、神秘が溢れ出て稲妻が走る。ビナーも己を倒しうる一撃と確信し、熱線を限界までチャージする。

 

《■■■■■■■■■■!!!》

 

『臨界点到達、きます!!』

「光を穿て、絶世の名剣(デュランダル)!!!」

 

神秘が一点に凝縮し、絶世剣と謳われた剣が迫りくる熱線に向かって放たれた。

ビナーも臨界点に達した熱線(ビーム)砂嵐を突き破りながら放つ。

放たれたタイミングはほぼ同じだった。剣の形をした矢(デュランダル)極大熱線(アツィルトの光)が瞬く間に衝突する。

──────────均衡は一瞬だった。

 

『なんと!?』

 

無銘が放った(デュランダル)熱線(ビーム)拡散、打ち消しながらビナーに向かって伸びていく。

 

《■■■■■■■■!?!?!?》

 

ビナーも負けじと熱線にエネルギーを更に込める。たが、相手が悪い。「所有者の神秘(魔力)が尽きても切れ味が落ちない」という性質を持ったこの剣(デュランダル)はスピードを一切落とさず熱線(ビーム)の中を突き破り、口腔内の砲門に突き刺さる。

 

壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)

 

刀身が輝き、中に内包していた神秘が溢れ、爆発する。その爆発により、ビナーの口元は完全に破壊された。

 

《■■■■■■■■■!!!!!》

 

口元が破壊されたビナーは声にならない怒りを抱きながらこちらに向かって突進してくる。

 

「そうだよな、ミサイルも熱線も破壊されたお前はその巨体を活かした突進しか武器がない。確かに今までの戦闘から弓を撃たせる暇もなく攻撃すればこちらも超火力の一撃が撃てない………そう思ったんだろう?」

 

突進してくるビナーを見つめながら無銘は一丁の黒拳銃を右手に投影する。

 

「だが、私の最大の切り札は()()なのでな」

 

滑らかに、見惚れるほどの手つきで弾丸を装填(ロード)する。

 

「I am the bone of my sword」

《■■■■■■■■■!!!!!》

 

迫りくるビナーに対し、無銘は発砲音とは思えないほどの轟音と共に(ひび)がはいった、血のように赤黒い弾丸を放つ。

 

「So as I pray」

『無銘さん、避けてください!?』

 

直撃。だが、全くダメージがないのかビナーはスピードを落とさず。こちらに向かって進み続ける。

 

──────────ハカイセヨ!!

「悪いな、そういうわけでサヨウナラだ。Unlimited Lost Works(無限の剣製)!!」

 

ビナーの体内に侵入した弾丸から無数の剣が溢れ出し、内側から破裂していく……

 

『…な!?ビナーが……止まった?』

 

ビナーは、無銘に攻撃が届く目前で停止した。

 

「さて……討伐完了だ」

《■■■■■■■■■■■!?!?!?!?!?》

 

ビナーの体内からの溢れ出ていた剣の中から血のように赤い空にドス黒い大地、空の歯車には鎖が絡まった風景が一瞬外界へ顕現する。

ビナーは大絶叫とともにその頭上に浮かべていたヘイローが……

 

 

──────────パキン!

 

 

砕けた。

無銘はビナーが完全に沈黙したことを確認して、未だ溢れ続ける剣を停止、消滅させた。

 

『ビナー、ヘイローも含めて全壊です』

『見事、見事であるぞ無銘殿!!()()ビナーを殺すとはッ!!!』

(…………うるさい)

 

右耳から黒服による事務的報告、左耳からマエストロの称賛が聞こえる。

 

「………流石に疲れた」

『お疲れ様です無銘さん、ですが、警戒は解かずにそのまま右を向いてください』

 

無銘は黒服の言葉通りに右を向く。そこには、ヘイローを浮かべた少女達とタブレットを持った先生が警戒した表情でこちらを見ていた。

 

 

*1
アツィルトの光

*2
大道の劫火




はい。ということで、ビナーさんはお陀仏です。
まぁ、『恐怖(テラー)』という便利な奴がいるのでそのうち復活するでしょう。

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