今回の裏タイトルは『猫耳エンカウント』……ですかね?
「美味しい匂いがするが……大将、やってるか?」
無銘は屋台で麺を仕込んでいる二足歩行の柴犬に声をかける。
「お、いらっしゃいボウズ。久しぶりだな」
「久しぶりだな、とりあえず柴関ラーメンを一杯」
「あいよ!」
「…店が爆破されたと聞いたが……大丈夫だったか?」
「まあな、色々あったけど何とか無事だ。一時期は店を畳むことも考えたが…初心を思い出し、屋台から再出発することを決めたってわけだ」
「そうか、私に出来る事があったら是非言ってくれ。ここのラーメンは絶品だからな」
「そうか……へいお待ち!!」
「お、きたきた。では……いただきます」
無銘は丁寧な所作でラーメンを口にする。
「ふむ……やはり美味いな」
「そうかい、それはよかった!」
無銘は淡々とラーメンを啜り始めた。
「ユメの嬢ちゃんがいなくなって、ボウズもブラックマーケットの守護者と呼ばれるようになったと聞いた時、俺はもうここには来ないのかと思ったよ」
「……私もそのつもりだった。けれど、最近現在のアビドス生に会ってな、懐かしくなってまた来てしまった」
「………そうかい。そう言えばうちに…「ごめんなさい柴大将、遅れました!!」…噂をすれば来たな」
「ん?この声は……」
無銘はラーメンを啜りながら後ろに振り返る。するとそこにはアビドスの制服を着た猫耳の少女がいた。
「君は……」
「あー!!!」
彼女は無銘を指差しながら叫ぶ。
「無銘じゃん、あの時逃げたんじゃないの!?」
「人聞きが悪い、撤退しただけだ。……ん?待て、何をしている」
「何って電話だけど……あ、先生?今大将の屋台で無銘がラーメン食べてる。……え?そうそう、柴大将の屋台」
「………大将
「ちょっ、逃さないわよ!?」
スマホで先生に連絡しているのを確認した無銘はすぐさま立ち去ろうとするが、セリカが無銘の腕を掴んで行動を阻害する。
「……チっ!!」
「ちょっと舌打ちしないでよ!!」
「で、何の用だ」
「えっと、ちょっと待ってて。……うん、捕まえたよ。え?そこで待ってて?……うん、うん、わかった。それじゃまた後で」
彼女はスマホをポケットにしまうと無銘を見る。
「あの時の弁解をする機会をあげるからここで先生を待ってもらうわよ」
「…………」
「そんな嫌な顔をされてもこっちが困るだけよ。私は言われたことを言っただけだから」
「………はぁ。大将、替え玉くれ」
「はいよ!」
替え玉を汁に染み込ませ、無銘は再び麺を啜り始める。
「……それで、アンタはなんでここにいるの?」
「…ん?それは私がここの大将のラーメンが好きだからだが?」
「……はぁ?私が店でバイトしている時、一回もアンタを見たことはなかったけど?」
「ここ数年は行っていなかったからな」
「ま、ボウズにも事情があったからな」
「大将は知っているんですか?」
「ある程度はな」
大将はそう言った後、料理の仕込みを始めてしまった。
「う〜ん………ねぇ無銘」
「なんだ?」
セリカの真摯な目つきに、無銘はラーメンを食べる手を止めセリカを見つめる。
「アンタはなんでブラックマーケットを守ってるの?」
「……そうだな、ブラックマーケットを守っているのはあそこでしか暮らせない人たちがいるから…だな」
「…どういうこと?」
「…ブラックマーケットには様々な事情で表に出れなくなった生徒、居場所がなくなった生徒が数多くいる。私は彼女達に少しの安らぎを与えたいと考え、開始した。ま、今は別の理由だがね」
「…………………」
「そういうことだから覗き見は止めてもらえますか、シャーレの先生?」
「へ、先生?…どこに?」
「君のスマホ」
「はぁ!?」
セリカは慌ててスマホを取り出す。だが何も反応はない。
「何よ、いないじゃない!!」
「何?…逃げるのが速いな。どうやら君のスマホにハッキングして私たちの音声だけ拾っていたみたいだな。全く、過保護な先生だ」
「ちょっと、スマホ返しなさいよ!!」
「はいはい…」
無銘はセリカのスマホを奪い、詳しく見つめた後、セリカに返しながらため息をつく。
「─────よかった、間に合ったみたいだね」
背後から男性特有の低い声が背後から聞こえた。
「あ、先生!」
「いやー、このあとアビドスの学校に寄ろうと思っていたからちょうどよかったよ。あ、大将、私にもラーメン一杯」
「あいよ〜……セリカちゃん、買い出し頼んでもいいか?」
「え?わ、わかりました」
「私のことは気にしなくていいよ」
先生は優しい笑みを浮かべながらセリカを見送ったあと、何の躊躇いもなく無銘の隣に座る。
「………貴様はバカなのか?」
呆れた声で無銘は先生に問いかける。当然だ、無銘ならば距離にいる先生を一瞬で仕留めるのは造作もないからだ。
「確かに今この瞬間、私の命は君に握られている。だが、君はここで撃たないだろう?」
「……嫌な信頼だ」
「それで、何故街を破壊したんだい?」
「…アレはビナーが暴れた結果だ。私が駆けつけた時には今の被害の約七割の状態になっていた」
「……つまり、残り三割は君とビナーの戦いの余波だと」
「その通りだ。寧ろあそこで止めなければブラックマーケットにまで影響が出ていただろう。感謝は受けても罵倒される謂れはない」
言いたいことを言ったのか、無銘はラーメンの汁を啜り始める。
「……何故黒服と契約を?」
「私が欲しい情報を
「それは私ではダメだったのかな?」
「……無理だな、確かに貴様は頼られたことに専心誠意応えるだろう。だが、それでは困るのだ」
無銘は食べ終わったラーメンの皿を大将に返しながら拒絶の言葉を口にする。
「私にとって無償な行いほど怖いものはない。だからこそ先生、生徒というだけで無償で助ける
「………おう、またな!!」
「待ってくれ、話はまだ……」
「くどい」
席から立ち上がった無銘を引き留める為に左腕を掴んだ先生の頭に、振り返りながら右手に持った黒拳銃を突きつける。
「…ッ!?」
「私は
「……みが」
「ん?」
「君がッ、救いを求めている目をしていたからッ……」
「────────────────────」
無銘は目を見開く。そして何かを飲み込んだ後、突きつけていた銃を降ろす。
「いい加減、腕を離せ」
「あ、あぁ……」
先生は掴んでいた手をどける。次の瞬間、無銘が目の前から消えた。
「……え?どこに…?」
『先生、すぐそこの路地裏です!!』
「…ッ!ごめん大将、後でお金払うから!!」
「おい先生!!」
先生は大将に一言詫びると近くの、路地裏へ急ぐ。
「ふむ、やはり生徒の位置は
路地裏にいた無銘の手にはセリカのスマホが握られていた。
『先程、セリカさんが買い出しに行ったにも関わらずスマホの位置が変わりませんでした。そして先程、無銘さんが消えた瞬間セリカさんのスマホも移動しました。つまり、無銘さんがセリカさんのスマホを持っていると判断しました』
「…どうして君がセリカのスマホを?さっき返していたはずなのに……」
「アレは偽物だ。まぁ形だけの投影だからな、今頃スマホが反応しなくて慌てているだろう。それに……」
無銘は先生が持つタブレットを凝視する。
「やはり不思議だな、私の目で見ても何も映さない。まるで‘’何が‘’阻害しているみたいだ」
「……ッ!?」
「答えろ。貴様、そのタブレットに
「…………………………」
『あわわ、まずいですよ!この人、私の存在にほぼ感づいています!!』
「…ごめん、
「………そうか」
無銘は、セリカのスマホを先生に向かって投げる。
「危なッ!?」
「ナイスキャッチだ。では、
「え、待っ……「二度」……え?」
「貴様を見限った回数だ」
「……なんで見限ったんだい?」
「人の心にズカズカ入るな、そして入るなら自分の秘密も開示するのが
無銘は黒拳銃の銃口を先生に向けながら叫ぶ。それは確かに無銘の心からの言葉だった。
「ち、違う………私はそんなつもりで言ったんじゃ………」
「最後に一つ訂正しておく、私は身体は生徒と同じヘイロー持ちだ。たが、宿している知識、精神は既に大人だ。そのため黒服はかつて私を
「それじゃあ、君は……」
「貴方の生徒じゃない、だから貴方も私に関わるな」
「………………断る」
「…何だと?」
「断ると言ったんだ。君が生徒でなかろうと、助けを求める目をしている限り私は君に手を差し伸ばし続ける!!」
先生の宣言に無銘は項を垂れながらため息をつくと、構えていた黒拳銃で先生を撃つ。
『先生ッ!!』
「……ッ!何を!?」
アロナが咄嗟にバリアを張って防御する。先生は無銘の突然の行動に難色を示す。
「今の貴様の発言は、今後私の邪魔をするということだろう?ならば、ある程度痛めつけて私に関与させないようにするだけだ。あぁ安心しろ、殺しはしない・・・殺しはな」
無銘は右手に持っていた黒拳銃を消し、新たに
「待ってくれ、話をっ……!!」
「ハッ!先程までは穏便に言葉で説得していたが、聞く耳を持たなかったのは貴様だろう?ならば後は暴力で命令するしか無理だ。話?その可能性を潰したのは貴様だ先生!!」
無銘は機関銃を先生に向け掃射するが、先生もタブレットを前に出しながら
「……存外硬いな、流石は神秘と科学が融合した奇跡の産物が生成する盾だ。だが……
無銘は左手に歪な形をした短剣を投影する。
「最初は使い道がないと放棄していたのだが、ふと思いついてな。これ、色んな事象を初期化できるのでは?……とな」
無銘は未だ展開する
「───術理、摂理、世の理。その万象、一切を原始に還さん……
突き刺された場所から亀裂が入り、
『な!?私のバリアが破られた!?まだ
「ふむ……やはり弄れば色んな事象が初期化できるな」
『……ッ!先生、逃げてください!!』
「……くっ!!」
先生はとりあえず裏路地から離れようとする。
「させるわけないだろう」
だが、逃げ出すよりも速く右手に持った機関銃の銃口が火を吹く。
「ガッ!?」
撃たれた先生は撃たれた衝撃で仰け反り、その後仰け反った方向とは真逆の方向にあり得ない動きで倒れ込む。
「何が……!?」
「安心しろ、弾丸はゴム弾に変えてある。撃たれた痛みと転んだ痛みしか発生しないため死にはしない、死には…な」
無銘は先生に対し絶対零度の視線を向けながら、一切油断せずに先生が立ち上がった瞬間にゴム弾を撃ち、衝撃で仰け反り、仰け反った方向とは別の方向にあり得ない動きで転ばせることを先生が立ち上がる姿勢を見せる限り何度も、何度も繰り返す。
やがて、先生が立ち上がらなくなる。体力が切れたみたいだ。
無銘が砂ぼこりでボロボロになったスーツを着た先生にしゃがみ込みながら話しかける。
「最終通告だ。諦めろ、そして私に関わるな」
「………こと、わる……」
先生の目は諦めるどころか更に熱を持っていた。
無銘はその目を見て、諦めた顔で白拳銃を左手に呼び出す。そして、先生の頭に突きつける。
「なら、もう殺すしかない。残念だ、貴方にはまだまだ活躍してもらう予定だったのに……最後に何か言い残す言葉あるか?」
「絶対に、諦めない……」
「──────────その通りだよ先生」
「………グッ!?」
無銘は突如死角から放たれた弾丸に吹き飛ばされる。無銘が飛ばされたことで押さえつけられていた先生が解放される。
「ゴホッ、ゴホッ!」
「先生、ご無事ですか!?」
「とりあえず水飲んでください!」
「アンタ、よくもやってくれたわねー!?」
「ん、反撃開始」
無銘はすぐさま立ち上がると、状況を確認する。そこには五人の生徒がそれぞれの武器を持って対峙していた。
『よかった、間に合いましたか。無事ですか先生!?』
「アロナ、君が?」
『はい、アビドス生のモモトークに先生を迎えにきてもらうように連絡しました』
「助かったよ」
先生も水を飲んで少し回復したのか、ゆっくり立ち上がりながら無銘と対峙する。
「アビドス生か、ちょうどいい。君たちも先生に言ってくれないか?これ以上私に関わるなと」
「……そうですね、確かにこれ以上
「ここでアンタをボコボコにしとかないと私たちの気が収まらないの!」
「ん、そういうことだからボコさせてもらう」
「覚悟はいいですか〜」
「──────────貴方は私の大事な先生を傷つけた」
「皆、戦闘体勢!!」
アヤネは無銘の意見に賛同しつつ敵意を向ける。
セリカはスマホを奪われた怒りと自分が見張っておけばよかったという後悔からくる怒りを無銘にぶつける。
シロコは先生を傷つけた相手をボコボコにすることを決意する。
ノノミは穏やかな声色だが目が一切笑っていない。
ホシノは……敵を排除するために臨戦状態となる。
先生もタブレットを構え、皆に指示を送り出す。
「……はぁ、結局こうなったか。仕方ない、纏めてかかってこい」
こうして、無銘とアビドス生徒との戦闘が始まった。
今回、ホシノに臨戦状態となりましたが、臨戦ホシノではありません。あくまで強さがそれぐらいになったと表現する為にそう書いただけです。紛らわしくてすいません。
ちなみに今回もアンケート取ります。
議題は『無銘に乗り物乗せるなら何?』です。
アンケートの項目以外に乗せたい乗り物がある人はよかったら活動報告で教えてください!
活動報告への行き方は【目次】→【タスク・アスク】→【無銘に乗せる乗り物募集中】を順にタップしてください。
最後に感想、評価、誤字報告よろしくお願いします!!
無銘に乗り物乗せるなら何?
-
車(普通)
-
車(オープンカー)
-
バイク(普通)
-
バイク(魔改造)
-
戦闘機