「いやー、さっきは助かったよ〜」
「………別に、あいつらがうるさかったからな。あと、ラーメン奢ってくれたし…」
少し汚れた服を着た少年とアビドスの制服を着た少女が柴大将のラーメンを食べながら会話をしていた。
「ねぇねぇ、君はなんで
「………わからん」
「えぇー!?」
「ん?坊主はアビドスの生徒じゃないのか?」
「そうなんですよ大将。この人、私が何度も勧誘しても『まだ
──────────
「俺は……」
「あ、ごめんね。無理強いはしないから安心して!」
「ったく、それで廃校寸前になってちゃ意味ないだろ………」
「あはは………」
どうやら彼女の学校は廃校寸前らしい。だが、彼の頭の中に直接伝えてくる
「ねぇねぇ、また貴方に会いに来ていい?」
「………何?」
「え?またこうして一緒にご飯食べない?」
「…………………」
「俺は全然構わない」
「うん、ならまた食べよう!!」
─────これは、かつて少年が答えを見つけるまでの記憶。そして……
「何で、死んでしまったんだよ……」
─────────────────────────
「─────見事に言葉がズレているな。実際言った言葉は『貴方の生徒じゃない、だから貴方も私に関わるな』だったのが、『俺は貴様の生徒じゃない、これ以上は意味はないから関わるな』に変わっていたな」
「えっと、それは勘違いしても仕方ないね……」
戦闘前に起こった先生と無銘の会話を
「微妙に変えることでお互いに違和感なく会話させていたのだろう………全く、無駄な戦闘をしてしまったな」
「それでケガしたのはアンタじゃなくて私達でしょ!?」
「まぁまぁセリカちゃん。私達に対して傷をつけないように無銘さんも手加減していたみたいだし………」
現在、先生たちは無銘によって受けた傷をアビドス高校で手当てをしている。生徒達が手当てしておる背後には、無銘が拘束されて床に座っていた。
「申し訳なかった。こちらの不手際でこのような事になってしまって」
「いやいや、こちらこそ武力で無効化しようとしたことは申し訳なかった」
「キヴォトスではそれが当たり前のことだから気にするな」
「────私達は許してないけどねー?」
無銘はアビドスの生徒を見る。セリカは石化していた体を確かめるように手を閉じたり開いたりを繰り返していて、アヤネは槍によって怪我した場所に絆創膏を貼っている。ノノミは一番怪我をしたシロコの蹴られた腹の部分に湿布を貼っている。ホシノは逆に臨戦用の服を着てずっと無銘を警戒していた。
無銘は未だに警戒しているホシノに対し、誠心誠意謝罪する。
「
「今まではなかったんですか?」
「なかった……いや、気付いていないだけであったのだろうな。(思えば黒服との会話でも
「ふ〜〜ん」
ホシノ達はどうやら信じてはいないみたいだ。だが、先生はそうではないみたいだ。
「無銘、私は君を救いたい。どうか私の手を取ってくれないかい?」
「……
「──────────わかった。私は絶対に約束を守るよ。必ずブラックマーケットにいる生徒達を全員救って見せる」
「フッ、ならば完了した報告を楽しみに待っているぞ」
無銘は縛られていた縄をあっさり引きちぎり、懐から銀行の帳簿を取り出す。
「さて……アビドス学校の諸君、この度は迷惑をかけて申し訳なかった。コレはお詫びの印だ、ここにある金は君たちが好きに使ってくれて構わない」
「えっ、一千万!?こんなにいいの!?」
「ちょ、セリカちゃん!無銘さんも流石にこんな大金受け取れません!!」
「いや、受け取ってもらわないとこちらも引き下がれない」
「──────────ん、ならお願いがある」
「……シロコちゃん?」
ホシノは嫌な予感を感じながらノノミに手当てされているシロコの方を見る。案の定目をキラキラさせながら………
「────今度ブラックマーケットの銀行に強盗に行くから見逃して」
案の定、トンデモナイ発言をする。その発言を聞いて、無銘を含めたその場にいたシロコ以外の全員の顔を引き攣らせた。
「ちょ!?シロコ先輩!?」
「さ、流石にそれは……」
「ホシノ先輩、私達育て方間違えました?」
「う〜ん、これは否定できない」
「これは……いや、お詫びとしてなら……だが……」
「無銘、そこは拒否してくれ」
「ん、皆ひどい」
仲間であるはずの先生達からの発言にシロコは憤慨する。
「シロコちゃん、流石に銀行強盗を見逃すのは無銘のキャリアにも傷がつくからダメだよ〜」
「ん、残念。でも大金を貰うのはよくない」
「そうなんだよな〜」
「………無銘さんははいくつもの武器を呼び出していました。アレは何なのでしょう?」
何かを思いついたノノミは怖ず怖ずといった感じで無銘が戦闘中に行っていた摩訶不思議な技について質問する。
「アレか?アレは投影神秘と呼ばれる私の神秘によって発動する能力だ。解析したものをスケールダウンして投影できる」
「そ、それは何でもですか?」
「……流石に細かいものとかは投影出来ないし、解析出来ないもので出来ている物も投影は出来ない」
「では……お金はいりません。代わりに私達が救援信号をだした時は助けてください。ホシノ先輩達もそれでいいですか?」
「ん〜私は別に構わないよ〜」
「ん、仕方ない。ならそれでいい」
「私もいいと思います」
「わ、私も!」
「コレはアビドスの問題だから私からはノーコメントで」
「ということなので無銘さん。よろしいですか?」
「勿論構わないとも。しかし、救援信号とはどういうことだね?」
「それは………」
ノノミはホシノとアイコンタクトで会話した後、無銘の方に向きなおす。
「アビドスは借金があるのはご存知ですか?」
「勿論」
「私達はこの借金返済の為にお金を稼ぎに別々に行動することがあります。そんな時に限ってヘルメット団の連中がこの学校を占拠しに襲撃してくることがあります。無銘さんには私達が学校を空けている間の学校の防衛をお願いします」
「…………承った。連絡方法はモモトークでいいか?」
「はい、ありがとうございます」
「では、私はこれで帰らせてもらおう」
「え?もう行くんですか?」
「元々、今日の午後は休暇だったんだ。速く帰って休みたい」
「あはは、本当に色々とすまなかったね」
無銘は何処か疲れた空気を纏わせながら呟いた言葉に先生は申しわけなさそうに謝罪する。
「こちらも色々と迷惑をかけた─────先生」
「ん?」
無銘は教室のドアを開けながら振り返った。
「ブラックマーケットの子達を頼む」
「────あぁ、責任を持って預かろう」
先生の言葉に満足したのかドアが閉まるときチラッと見えた無銘の口元には笑みがうかんでいた。
──────────────────────────
「全く、今日は散々な一日だった───────」
ブラックマーケットに帰って来た瞬間、目の前をトリニティの制服を着た少女とそれを追いかけるヘルメット団が通り過ぎていく。
「待てコラァァァァァ!!!」
「いーやー!!!」
トリニティの制服の少女は逃げ惑いながら背中の
「──────────────────────」
その余りの光景に無銘は頭が回らず困惑する。
よく耳をすませば、他の場所でも喧騒やバカ騒ぎする声が響き渡たっていた。
「……はぁ、本当に
そう言いながら無銘は無法者達を抑えるため、
ひとまず、アビドス編終了。
すごく難産だった。先生と無銘との関係を最終的にどうするかめちゃくちゃ迷った。
正直、敵対もアリと考えたけどそれだと書くのが凄く難しくなり、完全に味方だと面白くない。ましてやシャーレに入るなんて絶対に嫌だ。
だったらあくまで利害の一致や、ある程度恩義があるから助けるキャラにすることで完全なる味方といえない関係にすることが一番いいと考えました。
次からは間話
「(1)トリニティのアウトロー」
「(2)新装備と神秘」
「(3)ゲヘナと守護者」
の三つを更新した後「エデン条約」に入ります。
その為、間話の時間軸は「時計じかけの花のパヴァーヌ」となり、すみませんがパヴァーヌには参加しません。
感想、評価、誤字報告よろしくお願いします。
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