黒き守護者の活動記録   作:タスク・アスク

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いやーFGО2部終章始まりましたね。
ネタバレはしなくないのでとりあえず一言、ストーリー読んで感情がぐちゃぐちゃで何も手につかない。
ので、脱却を兼ねて書きました。悔いはない。


間話
トリニティのアウトロー


 

─────────起源定義(思い出せ)

「………」

 

土砂降りの雨、砂漠では数年に一度しかない天気の夜、彼は産み落とされた。

 

─────────存在固定(充填せよ)

「……っ!!」

 

彼に与えられたのはある(英霊)の全て。ある使命を行うため、ただそれだけの為に彼は産み落とされた。

与えられた知識、肉体、神秘(魔術)。本来であれば彼に与えられる力は守護者の力だった。けれど、なんの因果か守護者は守護者でも異霊(オルタ)としての守護者の力が彼に与えられた。

 

【ほう……】

「………!?」

 

そんな彼をキヴォトスで最初に見つけたのは神秘を扱う集団だった。

その集団の名前は『無名の司祭』、ギヴォトス

 

【何事かと思えば面白い存在かいるではないか】

「なん、だ……誰…だ?」

──────────警告、恐怖(テラー)からの干渉を確認、緊急処置を開始します。

「なん…!?」

【ちっ、向こうも対策をしてきたか。まぁいい、恐怖へ堕ちろ】

「ぐっ…!?」

 

頭の中で二つの声が響き渡る。片方は何かしらの対策を始め、もう片方は黒く、何か恐ろしい力へと誘おうとする。

 

【堕ちろ!!!】

「俺は……一体っ……!」

───────緊急処置完了、()()()()を形成します。

 

溢れ出す神秘(魔力)が頭を抱えて蹲る彼の頭上に凝縮し、錆びついた歯車が形成される。

 

【馬鹿な、ヘイローだと!?】

「これは………」

 

彼は《歯車と認識》したヘイローを見て、自身が何かに変わりつつあることを自覚する。だが、彼はそれを本能で理解する。これは

 

──────────続いてテクスチャを設定。生徒……失敗しました

「…………………………あぁ、私は」

【これ以上は……待て、なんだソレは!?】

 

彼の錆びついた歯車(ヘイロー)が回転を始め、身体に翡翠の線が浮かび上がる。それは彼が神秘を獲得し、それを起動する事ができる合図。

彼は本能のまま最後の詠唱を口にする(枷を解き放つ)

 

「体は…

──────────テクスチャを再定義、恐怖(テラー)への抑止力(カウンター)に決定しました

……剣でできている」

 

黒く、恐ろしい力が霧散し、それへと誘おうとしていた声が遠くなり始める。

 

【今回は失敗か、だが忘れるな。私はお前を狙い続ける】

 

やがて捨て台詞と共に声は完全に消え去り、雨音のみが響き渡る。

彼は回路が浮かんだ右腕と頭上に浮かぶヘイローを呆然と見やる。

 

「なんだったんだ、一体……俺は、()は…」

 

空に向かって問いかける彼の声は、雨の嘆きによって誰にも聞こえることなくかき消される。

これは、生まれ落ちた彼が何者であるか決定した夜の記憶。そして……知らずに世界を救った英雄の一幕。

 

────────────────────

 

ブラックマーケットの裏路地、そこではトリニティの制服を着た少女と不良達の逃走劇が繰り広げられていた。

 

「こ、来ないでくださーい!!!」

「来なでと言われて来ないバカはいないだろうがー!!」

「そーれーはーそーうー!!!……危なっ?!こうなったらー!!!」

 

激しい銃撃を紙一重で回避し続けるトリニティの制服を着た少女は、背負っていたペロロリュックの中から手榴弾を手慣れた動作で取り出すと、歯でピンを外しながら不良のいる後方に向かって投げる。

 

「ちょ───!?」

 

不良達は慌てて止まったが時すでに遅し。起爆した爆弾は追いかけていたチンピラ達に直撃し、彼女たちの3割近くを気絶させた。

 

「い、今のうちに……!」

「「「待てー!!」」」

「嘘!?まだいるんですか!!うわーん!!」

「………………………、はぁ……」

 

目の前で起こる銃撃(日常)を前に無銘は思わず頭痛を堪えるように頭を抑える。

そして、ため息を吐きながらいつもの銃(干将)を投影するとトリニティの制服の少女を避けて不良達に対生徒用に開発した弾丸、黄金喰弾(ゴールデンスタン)をお見舞いする。

 

「ぐッ!?か、身体が……動かない……!?」

「無事か?」

「あ、貴方は……ブラックマーケットの守護者!?」

「あぁ!?守護者だと!?なんでてめぇがそいつを庇う!?」

「すまないが君たち、私は彼女にようがある。大人しく引いてもらおう」

「ど、どうします旦那?ブラックマーケットの守護者と言えばマーケットガード達を一方的に叩きのめす実力の持ち主ですが…?」

 

旦那と呼ばれた不良生徒はチラリと周りを見る。

倒れた自分の配下が約4割、起きている奴も無傷じゃない。このまま戦っても勝ち目がない。

彼女は舌打ちをしながら戦闘態勢を解除する。

 

「…………ちっ、引くぞお前ら。ここで守護者と騒ぎを起こしてもマーケットガードとの三つ巴になったら私達も怪我ではすまなくなる」

 

不良集団が去っていくのを確認した無銘は銃の投影を解除した。途端錆びついた歯車(ヘイロー)が更に錆びつき亀裂が走る。無銘はそれを無視しつつも背後で佇んでいたトリニティの生徒に振り返りながら声を掛けた。

 

「それで、君はなんでここにいる?覆面水着の《ファウスト》」

「うっ!?そ、その名前は………」

「いやはやあの光景は実に滑稽だった。水着でもないのに覆面水着とは……」

「ううっ!?……嫌味を言うために私を助けたんですか…?」

「おっとすまない、話が脱線したな。改めて、私は無銘。阿慈谷ヒフミ、君に依頼をしたい」

「わ、私の名前を!?」

「あれだけブラックマーケットに出入りしているんだ。寧ろバレないほうが可笑しい」

「あ、あははは……」

 

それもそうか、とヒフミは苦笑いしながら納得する。ヒフミは無銘と名乗るブラックマーケットの守護者の姿を確認する。

黒と赤のラインが入った衣装、頭に浮かぶヘイロー…、そしてホルダーの小型拳銃。普通の人だったその拳銃を見て油断するかもしれないがヒフミは知ってる。彼は何もない手から銃を何処からともなく取り出してマーケットガード達を壊滅させた事を……。

 

「そ、それで依頼…とは?」

「君は『エデン条約』を知ってるか?」

「『エデン条約』……確か、ナギサ様達が進めているゲヘナとの安全機構、でしたっけ?」

「おおむねその見解で間違いない。これが完成すれば争いへの対策になるのは間違いない。……今のままならな」

「ど、どういうことです?」

 

無銘はヒフミから砂漠へと視線を移すと、無銘はビナーを解析した時の事を思い返す。

 

────────────────────

 

解析開始(トレース・オン)

 

無銘はボロボロになったビナーの素材を調べるため、存在全体に対して解析を始める。作業は特に苦戦することなく順調に進んでいた……あるものを解析するまでは。

 

『───────────────』

「ん?これは……ネットワークシステムか?どれ、このガラクタ(ビナー)にはどのようなシステムが────は?」

 

ビナーに搭載されていたネットワークの解析を始めると同時に意識をより集中させ、ネットワーク内部にアクセスする。すると無銘の意識は0と1だけで構成された電脳空間に入り込んでしまった。

 

「表層ネットワークにアクセスできれば御の字と思っていたが、まさか深部までできてしまうとは……ここのセキュリティはザルなのか?」

 

無銘の皮肉に答えるように何処からともなく無機質な声が響き渡る。それは明らかに人の声ではなく、生命の息吹きと呼べるものが一切感じられなかった。

 

『───ここのセキュリティは内部に弱く、外部に強い。ビナーの回線からアクセスしてきていたため、貴方は簡単にここまで来れた。さて……貴方は何者だ?』

「………人に問う前に自分から名乗るのが礼儀ではないか?」

『───否定、貴方は侵入者だ。本来ならば即刻消している。消去しないのは貴方が味方なのか敵なのか不明であるためである』

 

いつの間にか身体が機能しない、どうやらこの電脳空間では向こうが上手らしい。

 

「………確かにな、これは一本取られた。では名乗ろう。私は無銘、ビナーを殺した者だ」

『無銘……それは名前なのか?…まぁいい、私はデカグラマトン。預言者であり、数多のセフィラを繋ぐ者である』

「預言者?セフィラ?……いや、今はいい。私を排除するか?」

『否、貴方は完全な計算の外(イレギュラー)である。だが、私は貴方の存在に可能性を見出せた。その為、貴方には情報を与えよう。その情報を持って貴方がどう行動するかを観察して、敵かどうかは判断することにしよう』

「ほう……例えばどのような情報をくれると言うのだね?」

『エデン条約、そこには数多の思惑が絡み合っていることは現段階で判明している。そして、その思惑の一つにキヴォトスを破滅に導く計画が既に動き始めている』

「……なんだと?何故貴様がエデン条約を知ってる?いや、それ以前に破滅に導く計画とはどういうことだ?」

『私が世界を知る術はネットワークを通してのみだ。だが、そこにはネットには隠された情報も記録されている。その中の一つ一つを繋げ合わせた結果、エデン条約は戦乱を招くことが確定した』

 

電子の世界にデカグラマトンの言葉を裏付ける情報が次々と表示される。ゲヘナ、ミサイル、トリニティ……アリウス、ゲマトリア。様々な勢力が交差していることを見せつけられた無銘は表示された情報に違和感を憶える。そうだ、生徒を管轄する筈の()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「成る程、これだけの情報があれば確かにその結果にたどり着くだろう。だが何故シャーレの情報はない?」

『弾かれた。あの組織のセキュリティは私を上回る存在によって守られている』

「……あのタブレットか」

『話を戻そう。シャーレの行動は未知数だが、戦乱を避けるのは不可能だと私は判断した。なのでエデン条約での行動を持って私は貴方の存在を判断する。それまでは私は貴方を妨害しないしビナーを破壊した件も見逃そう。かわりに貴方も私達について言及、発言はしないでもらいたい。どうだろう、良い取引だと思うが?』

 

デカグラマトンのによって映し出された情報の数々、無銘はその全てを再び一覧しながら思案する。

 

「(ここは相手の領域(フィールド)だ、下手に刺激してもこちらが消されて終わる。幸いにも条件としては悪くない。ならば……)そちらの提案を飲もう」

『そうか、次会う時に敵対しない関係になっていることを願おう』

「それはお互いさまだ」

 

────────────────────

 

「あれ、どうしました?」

「…っ。あぁすまない、つい考え事をしていた。依頼内容はエデン条約の情報を私に流してもらいたい。勿論君の出来る範囲で」

「え?…え!?」

「条件はそうだな……ブラックマーケットでの行動を見逃す。というのはどうだ?」

「えぇ!?」

 

ヒフミはあり得ない者を見るような目を無銘に向ける。何故ブラックマーケットで活動する彼が『エデン条約』のことを気にするのか?そして、何故自分なのか。ていうか見逃してくれるの!?

困惑するヒフミを他所に無銘は確信する。やはり、彼女しかこれは頼めないと……。

 

「あの……何故私なんですか?」

「自覚がないのか?君は今さっきまで逃げ回っていた相手はこのブラックマーケットにおいてもかなりの力を持った集団だったんだぞ?」

「え!?そうだっんですか!?」

「何故知らずに逃げ切れているんだ……」

「え、いや、追いかけられたから…?」

「─────────…」

 

これだ、この幸運とも実力とも言えない謎の因果(主人公補正)。他の人物であれば逃げか撃退、どちらかでも成功する確率はかなり低い。だが、何故か彼女は毎回成功してトリニティに帰る。これは最早偉業、もしくは奇跡と言ってもいい。

 

「私は君を見込んでこのような依頼を持ちかけている。勿論断ってくれても構わない。ただ、今度から私が君を追いかける事になりそうだがね」

「そ、それは卑怯では!?」

「ではどうする?受けるかね?」

「う、う〜、わかりました…あ、でも積極的に調べようとはしませんからね!!」

「無論それで構わない。君が見聞きしたものを教えてくれるだけでいい」

 

無銘はヒフミと連絡先を交換し、そのままトリニティに送り返した。

……ふと、周りに誰もいないはずなのに視線を感じた無銘は無言で銃を投影し、何もない筈の空を狙いを定めて睨む。

 

「今回は私個人の活動だ、貴様が詮索するのは契約違反だぞ。それに契約内容たる戦闘だって行っていない。正直()()を撃ち落としても構わんのだが……弁解はあるかね()()?」

『クックック、見抜いていましたか。えぇこれは確かに契約外のことですね。ですが、あくまでブラックマーケット監視用のドローンが()()貴方を捕らえただけですから違反ではないのでは?』

「……………」

 

ステルス機能を解除して無銘の前まで降りてきたドローンから発せられる黒服の言葉には確かに嘘はない。ないが……同時に詭弁でもあった。確かに()()と言われてしまえばこちらも手出しはできない。

元々、黒服とはビジネス関係であり世界に対する問題を調べる仲だ。お互いの個人的行動はは不干渉であり踏み込めば契約違反となる。

 

「偶々ね……まぁいい。次私が戦闘以外にそのドローンや監視の目を見つけたら問答無用で叩き壊す。覚えておけ」

『……えぇ、肝に銘じておきましょう。ただ、貴方もテクスチャが危ぶまれている身。契約が切れた場合の貴方の存在証明がどうなるかは考えた上での行動をよろしくお願いします』

「…フン」

 

無銘は飛び去るドローンからの視線がなくなるのを確認した後、投影を解除しブラックマーケットに踵を返す。

確かに無銘はアラヤ(ヘイロー)の契約を一方的に破棄した為、ヘイローの意義が失いつつある。神秘(魔術)を使うたびテクスチャが剥がれやがてこの世界(ギヴォトス)には居られなくなることは当然といえば当然だった。

 

「確かに錆びつた歯車(かつての守護者)は止まった。だが、再び回転(繋ぐことが)出来るかどうかは()次第………そうだろう?」

 

 




ちょこっと解説
黄金喰弾(ゴールデンスタン)
とある脳筋(ゴールデン)の斧を弾丸にした擬似再現術式弾(ロストブレッド)
能力は単純、相手を麻痺らせる。威力はそこそこで死にはしないレベル。無力化を目的に作成された。

明日からレイド。忙しくなるぞー、素材採取じゃー!!
ボコすぜラスボスー!!!

…………ちなみにブルアカのデカグラマトン編続きはいつ頃になるのだろう?6周年PVを見てめちゃくちゃ楽しみにして石貯めて続けているのだが…アリスはまだか!?
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