大蛇討伐にあたって、正面を素戔嗚尊が引き受け俺が首を落とすということになった。同時に首を落とさないと死なないことは確認済みなのでその事を伝えたら、素戔嗚尊が無理だと言ったのだ。同時に八ヶ所は攻撃できないと、ちなみに俺はできる。妖狐の尾はそれなりに便利なのだ。ただ問題は頭が八あるせいで並大抵の潜伏ではバレてしまうのだ。というわけで、絶対に隙ができる上空で待機すると言った。
さて嵐の武神のお手並み拝見といきましょうか。
「貴様が八岐之大蛇だな。貴様のせいで神にも被害がでている。対峙させてもらう」
「たかが一人(一柱)で何ができる」
ぶつかる二柱の神、上空で高みの見物をする俺はあることを危惧していた。嵐を司る素戔嗚尊と雨を呼ぶ八岐之大蛇、同属性の場合練度が高いほうが勝つ。そしてもう一つ、神が同時に雨を呼んだ場合のことだ、一柱が呼ぶのなら問題ないただの紙の雨、では二柱が別々の意図で読んだ場合は?材料で混ざった雨、最悪雨とはほど遠い何か取る。その前に首を落とす。
神の力を使わずに純粋な技術のみで戦う二人不利なのは素戔嗚尊で自身の剣撃が効かないかと思ったが、少なからず攻撃となっている。神の蛇のうろこを傷つけるとすると素戔嗚尊が持っているのは神器となる。
俺の神楽鈴は神の加護を受けた武器であって神器ではない、俺もいつか欲しいな。
そんな呑気なことを考えている間に戦いは激化、嵐が起きる、力の流れからして無意識に展開しているのだろう。仕方ないので出雲にある村(もう一つしか無いが)に結界を、張っておく、ついでに白狐の幻影を人目に数瞬入れて。
嵐がさらに強くなり大蛇の真の死滅の雨が振り始める。俺のとは違い生命を削ることに特化しているようだ。他人の力なので少なからず俺にも効力がある。仕方なく尾を最大まで出す。つまり縮むので雨水を受ける面積を減らせることが出来る。
「おっ、これは」
素戔嗚尊が大蛇の首を一つ落とす。再生力が少し鈍るがこれでより一層素戔嗚尊への警戒心が強くなり周りが見えなくなる。あと三回ほど首が落ちれば完全に意識が素戔嗚尊に向けられる。
気づけば嵐の範囲も狭くなっていた。雨粒一つ一つの重みが増える。大蛇に太刀が届く回数も増えるが回復する早さも上がる。素戔嗚尊は自己再生がそこまでできない、神は信仰があれば死ぬことはないが傷の再生は信仰の強さに起因する。何百年出雲にはびこった神殺し蛇への恐怖がけた外れなだけで素戔嗚尊の信仰が少ないわけではない。
一回目の首が落ちたときから一刻、首がまた落とされる。素戔嗚尊が着実に攻めれるのは俺という後ろ盾がいるからだろう、対して大蛇は恐怖によって支配してきた立場なので後ろ盾も仲間もいない。焦りが見え始めてきた。さらに半刻、三度目の首狩、あと一回行えば。焦りで前が見えなくなるだろう。それでもさすがに疲労が見えているなもう少し頑張ってほしいが、そうもいかなさそうだ。明らかに太刀が届いていない。少しばかり手助けをしますかね。
「〈
大蛇の死滅の雨の効力を落とすこれだけでかなり変わるはずだ。もう少し頑張ってもらいますか