古代から生けし狐の大妖   作:紡縁永遠

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総隊長の壁

 「今日だな」

 「そうですね」

 「行きますか」

 

 とうとう綿月さん直々の訓練の日が来てしまった。お互いに出来ることはやり、それでも不安がぬぐえない中授業に向かう。どうやら今日何をやるかを想像できているのは、俺たちだけだった。

 

 「しょくん、おはよう」

 「おはようございます」  

 「知っての通り、魔浄隊総隊長、綿月龍浄だ。いきなりだが今日は私と戦ってもらう。本気で構わないしAクラス対私といった構図だ」

 「えっ」「いやでも」「それって」

 

 やはり急に言われて灰となるはずがなかった。いつものことなのか、火翼先生も何も言ってこない。

 

 「急に言われても分からないと言ったところだな。なら依姫、陽月くん。本気でこい、予想比しているだろう。一本取れたら褒めてやろう」

 「「了解」」

 「やっぱりこうなったか、依姫、出し惜しみは無しだ。最初から全力で行くぞ」

 「ええ、行きますよ、総隊長」

 

 二人同時に駆け出す、はっきり言って勝ち目はない。クラスのやつを動かさなきゃ話にならない。

 

 「狐刀術〈冬章(とうしょう)浸冬(しんとう)〉」

 「〈浄月流・弥生〉」

 「〈浄月流・睦月〉」

 「ぐっ」

 「がっ」

 

 二対一の状況を一太刀で壊しやがった。がそんなことは百も承知、どれだけクラスの奴らの目を慣れさせられるか、いきなりこの速さは追いつけないだから十分は剣のみで、持たせる。

 

――――――

 「なあ、あれ見えるか?」

 「人は見えますけど腕から先は見えないです」

 「見えるようになっておけよ」

 「先生!?」

 「あいつらお前らのために武器のみで戦ってんだ。早く慣れろよ」

 「「「「「はい」」」」」

 

――――――

 「狐刀術〈冬章・吹雪(ふぶき)〉」

 「〈浄月流・長月〉」

 

 二人同時に連撃を繰り出す。呼吸が合ってきたのか、相手の行動が何となく分かる。が、そんな奇跡にも近い時間が続くわけもなく、俺の鉈が弾かれる。

 

 「もらった」

 「陽月!」

 「〈秋章(しゅうしょう)落葉(らくよう)〉」

 

 弾かれるが霊力操作で、鉈を地面に叩き落とす。さすがに予想外だったのか。動きが止まる。鉈を拾う時間はない、ならば

 

 「依姫、下って作戦を立てろ」

 「陽月はどうするんですか」

 「能力を使う」

 「は、はい」

 

 神楽鈴を取り出す。ここからは俺の独壇場、さぁご覧あれ。

 シャンッ、  シャンッシャンッ

 「〈霊桜神楽(れいおうかぐら)雷章雨章、風添えて(らいしょううしょう かざそえて)〉」

 

 風が吹き込み、雨が振り始める。ただの雨ではない。雷も交じった雷雨、嵐だ。その中心でオレは舞い続ける。

 

――――――

 「本当にすごいですね、しかし、いっそう女らしくなってませんかね」

 「綿月さん、どうするんですか?」

 「陽月ができるだけ削ってくれるから、小隊をくんで、目標は5分生き残ること」

 「アバウトだな」

 「どんな策を練っても、パワーで粉砕される恐怖を味わいたいなら、考えてみてもいいんじゃないか?」

 

 今回の作戦、それはできるだけクラスの目を慣れさせ、陽月が足止めをする。これだけだ。作戦という作戦ではないが、陽月の負担が大きいが、父様を止められるのが現状一人しかいない。しかし、もう災害だな。

 

――――――

 舞始めてどれくらいだったかわからない。それでも雷を落とし、風により雨を叩きつける。基本的に直撃しているのに、疲れた様子がない隊長、本当に化け物だ。それでも削る、勝てないのは分かっている、それでも依姫達に少しでも有利になるように。

 

 どれくらい舞ったか分からなくなってきた。天候が安定しない、なら最後のあがきだ。受け取れ

 

 「〈白雷・琥珀(びゃっこ)〉あと任せるぞ依姫」

 

――――――

 天候が不安定になっている、そろそろ限界か。

 

 「皆さん、そろそろです準備をしててください」

 「了解」

 

 「〈白雷・琥珀〉あと任せるぞ依姫」

 「はい、行きますよ」

 

 陽月の意志を汲み取り、すぐさま攻撃を仕掛ける。初めての指揮、成功するかわからない、それでも倒す。

 

 「B隊は正面から引きつけて、C隊、D隊は側面から、A隊準備をして」

 「「「了解」」」

 「真正面からは受け止めないで、すぐに死ぬわよ」

 

 まずは陽月の回復が最優先、思ったより疲労しているのか何とかなっている、だがそれも時間の問題だ。あの人はすぐに回復する。

 

 「ぐぁっ」

 「〈浄月流・弥生〉」

 「ありがとう」

 「一旦下って体制を立て直してください。玄武さん、いけますか?」

 「やれるだけ」

 

 玄武さんの能力が防御系統でよかった。これで少しは持つ。風花さんなるべく早くしてくださいよ。

 

 「〈浄月流・長月〉」

 「〈亀甲盾(きこうじゅん)〉重い」

 「そのままお願いします〈浄月流・師走〉」

 「甘い〈浄月流・睦月〉」

 「〈浄月流・朧月(おぼろづき)〉」

 

 これで無理なら、こちらの負けだ。

 

 「ハァ゛」

 「なっ」

 「これくらいじゃ総隊長の壁は越せんぞ」

 

 ここまで「依姫!!」陽月!回復したのですか、なら

 

 「〈浄月流・静月(しんげつ)〉今です」

 「〈集雷(しゅうらい)一点突破(いってんとっぱ)〉」

 

――――――

 「〈天包息吹(てんほういぶき)〉」

 「んお?」

 「じっとしててください回復させています」

 「風花か、まだ終わってないのか」

 「はい」

 「もういい、残りすべてを叩き込む」

 

 今までのやり方じゃだめだ。遠くから確実に仕留めなくては、ならば集中し一点を貫く。

 

 「〈集具(しゅうぐ)黄の覇弓(おうのはきゅう)〉〈集具・黄燐方天戟(おうりんほうてんげき)〉」

 

 雷の弓に雷の方天戟をつがえる

 

 「依姫!!」

 

 「〈浄月流・静月〉」

 「〈集雷・一点突破〉」

 

 マズイ意識が遠のいていく。

 

 「二人とも倒れてしまうとは、文字どうり全力だったわけか。今日はこれで終わりだ。評価は後日送ろう。聞ける状態ではないものもいるしな」

 

 俺と依姫が目を覚ましたのは翌日で、負けたことを告げられた。全力をぶつけたのにも関わらず負けてしまった、あの人は化け物だ、それ以外に表しようがないと実感したのだった

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