【悲報】貞操逆転世界のドスケベ配信者、事故物件の心霊現象が効かない模様   作:ナロウ・ケイ

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第2話

 

 とある警察の調査記録より抜粋。

 

 Aさん「ええ、それはとても暗い夜のことだったと思います」

 

 Aさん「その日の夜は、すっかり土砂降りの雨でして、ええ、そうなんですよ、帰りはもうタクシーに乗って帰らないとなと思っていたんです」

 

 Aさん「トンネル、あるじゃないですか」

 Aさん「そうです、そうです、あのK村に繋がるトンネルです」

 Aさん「最近、トラックとの玉突き事故で女性が亡くなった、例のトンネルです」

 Aさん「本当に可哀そうな事件でしたね」

 

 Aさん「あのトンネルの近くに女の人がぽつんと立っていたんです」

 Aさん「白い服の女性でした。白装束っていうんですかね。あと、生気のない顔立ちでした」

 Aさん「もうずぶ濡れですよ。ええ。怖いですよね。深夜に出くわしたくないですよね」

 

 Aさん「少年がいたんですよ」

 Aさん「なんかね、その子ね、傘を持っててね、その白装束の女の人に傘を差しだそうとしてたんですよ」

 Aさん「いやあ、もう、怖くて仕方なかったですよ」

 Aさん「危ないよ、祟られるよ、って思っちゃいました」

 

 Aさん「案の定ですよ、その女性、少年を襲おうとしたんですよ」

 Aさん「がばーって、両手を広げてね」

 Aさん「ああ、怖い怖い、もう私は見てられん」

 Aさん「そう思って目を伏せたんです」

 

 Aさん「そしたら、絶叫ですよ」

 Aさん「ぎゃあぎゃあ女の人が狂ったように叫ぶんです」

 Aさん「命からがらというか、悲鳴というか、もうあれは獣の声でしたね」

 Aさん「お゛お゛お゛ん、お゛お゛お゛ん、……みたいな声でしたね」

 

 Aさん「少年も必死に叫んでましたよ」

 Aさん「『危ない!』『体温がほとんどないじゃないですか!』『温めないと!』『ほら逃げないで!』って」

 Aさん「そりゃあもう、必死でしたね」

 Aさん「少年の方はね、女性を逃すまいとがっちり抱き着いていたんですよ」

 

 Aさん「『たすけて たすけて 死んじゃう』」

 Aさん「そう聞こえました」

 Aさん「女性の身体からね、ぎぎぎ、って軋むような音が聞こえてきてね」

 

 Aさん「少年もね『助けます! 助けます!』ってね」

 Aさん「暴れて逃げ出そうとする女性を頑張って抑え込んでね」

 Aさん「多分ね、善意だったんでしょうね」

 

 Aさん「救急車ね、来たんですよ」

 Aさん「真っ黒のね、霊柩車みたいなやつ」

 Aさん「ばん、ばん、って壁をたたくような音がずっと続いてね」

 Aさん「そこから先はね、見てないですね。もう怖くて見られなかったですね」

 

 Aさん「いったい何だったんでしょうね」

 

 

 

 

 

 担当官追記:

 なお当時の調査記録によると、霊柩車の目撃情報は他には見当たらず、同時刻の監視カメラなどの電子記録からは確認されなかった。

 

 

 




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