【悲報】貞操逆転世界のドスケベ配信者、事故物件の心霊現象が効かない模様 作:ナロウ・ケイ
とある警察の調査記録より抜粋。
Aさん「ええ、それはとても暗い夜のことだったと思います」
Aさん「その日の夜は、すっかり土砂降りの雨でして、ええ、そうなんですよ、帰りはもうタクシーに乗って帰らないとなと思っていたんです」
Aさん「トンネル、あるじゃないですか」
Aさん「そうです、そうです、あのK村に繋がるトンネルです」
Aさん「最近、トラックとの玉突き事故で女性が亡くなった、例のトンネルです」
Aさん「本当に可哀そうな事件でしたね」
Aさん「あのトンネルの近くに女の人がぽつんと立っていたんです」
Aさん「白い服の女性でした。白装束っていうんですかね。あと、生気のない顔立ちでした」
Aさん「もうずぶ濡れですよ。ええ。怖いですよね。深夜に出くわしたくないですよね」
Aさん「少年がいたんですよ」
Aさん「なんかね、その子ね、傘を持っててね、その白装束の女の人に傘を差しだそうとしてたんですよ」
Aさん「いやあ、もう、怖くて仕方なかったですよ」
Aさん「危ないよ、祟られるよ、って思っちゃいました」
Aさん「案の定ですよ、その女性、少年を襲おうとしたんですよ」
Aさん「がばーって、両手を広げてね」
Aさん「ああ、怖い怖い、もう私は見てられん」
Aさん「そう思って目を伏せたんです」
Aさん「そしたら、絶叫ですよ」
Aさん「ぎゃあぎゃあ女の人が狂ったように叫ぶんです」
Aさん「命からがらというか、悲鳴というか、もうあれは獣の声でしたね」
Aさん「お゛お゛お゛ん、お゛お゛お゛ん、……みたいな声でしたね」
Aさん「少年も必死に叫んでましたよ」
Aさん「『危ない!』『体温がほとんどないじゃないですか!』『温めないと!』『ほら逃げないで!』って」
Aさん「そりゃあもう、必死でしたね」
Aさん「少年の方はね、女性を逃すまいとがっちり抱き着いていたんですよ」
Aさん「『たすけて たすけて 死んじゃう』」
Aさん「そう聞こえました」
Aさん「女性の身体からね、ぎぎぎ、って軋むような音が聞こえてきてね」
Aさん「少年もね『助けます! 助けます!』ってね」
Aさん「暴れて逃げ出そうとする女性を頑張って抑え込んでね」
Aさん「多分ね、善意だったんでしょうね」
Aさん「救急車ね、来たんですよ」
Aさん「真っ黒のね、霊柩車みたいなやつ」
Aさん「ばん、ばん、って壁をたたくような音がずっと続いてね」
Aさん「そこから先はね、見てないですね。もう怖くて見られなかったですね」
Aさん「いったい何だったんでしょうね」
担当官追記:
なお当時の調査記録によると、霊柩車の目撃情報は他には見当たらず、同時刻の監視カメラなどの電子記録からは確認されなかった。
■解説: