ページ1:閉ざされた真実 前編
ある昼下がり、駆逐艦朝潮は提督の仕事を手伝うため、倉庫に荷物を運んでいた。隣にはイギリスからやってきた駆逐艦ジャーヴィスが、朝潮に話しかけている。彼女も来たばかりの頃はまだ日本語も不慣れだったが、今ではペラペラ話せるようになっていった。
「それでね、吹雪が〜」
朝潮が少し顔をムッとして朝潮がジャーヴィスに話す。
「後にしてもらえませんか?」
「えー、だって暇なんだもん!」
朝潮が荷物を持ちながら鎮守府の廊下を歩いていると、部屋から艦娘が出てくる。
「随分と大きな荷物だな。」
ドイツからやってきた空母の艦娘、グラーフ・ツェッペリンだ。朝潮、ジャーヴィス、グラーフの三人は同じ艦隊に所属しており、一緒にいることが多い。
「司令官から頼まれたんです。」
「そういえば、提督は見ていないか?」
「それが、紙だけ置いてあって、いないんですよ。」
「そうか、ありがとう。」
グラーフが朝潮にお礼を言って、執務室の方に歩いていく。朝潮もジャーヴィスにまた後でと伝えて、倉庫に向かっていった。
倉庫につき、朝潮が段ボールを降ろす。戻ろうとした時、朝潮は倉庫に謎の鉄扉がついているのを見つける。ドアノブに手をかけてみると、音を立てて空いた。そこには、先が見えないほど地下にのびる階段を見つけ、朝潮は倉庫に置いてあったライトを手にとって、地下への階段を降りた。
「…!!」
扉の軋む音と共に、朝潮が入ってきた扉が閉まってしまった。その扉は開かず、朝潮はドアを叩いて誰かのイタズラなら許さないと怒鳴る。
「進むしか、ないのね…」
朝潮は、いつか出られると思いながらも、地下に進む。
「な、なんなのここ…!!」
扉を開けると、そこは廃墟と化したビルのような室内だった。電気は消え、壁や天井は崩れそうなくらいボロボロになっている。
朝潮はふと携帯を見る。
「繋がらないか…」
朝潮がしばらく辺りを見回していると、突然近くの部屋から声が聞こえる。
「はーっくしょん!!」
朝潮は、近くの部屋から聞こえたくしゃみをはっきり聞いた。朝潮は勢いよくドアを開けると…
「え?おぉ、朝潮〜」
そこにいたのは鎮守府の邸宅だった。埃っぽいソファに座って、朝潮に手を振る。
「司令官!?なんでこんなところに…?」
朝潮は提督の横に座って、提督から話を聞く。
提督も倉庫でものを探していた時この地下を見つけ、せっかくならここを自分だけの秘密基地にしようとしていたらしい。それに提督は、新しく建てたのではなく古くなった鎮守府を買い取り、その時に、地下があることは教えられていなかったという。
「司令官も、知らなかったんですか?」
「まぁな。なぜか急に扉があってさ。」
朝潮は提督と地下の廊下を歩いていると、木の板が無造作に貼られている扉を見つける。
「司令官、またここに来ませんか。鎮守府にこんな地下があるのは危険だと思います。私たちが見に行かないと。」
朝潮はそう提案すると、ジャーヴィスとグラーフも連れてまた来ようと話す。しかし朝潮がこの地下の先が気になったのは、好奇心や鎮守府の為というわけではなかった。
朝潮はこの地下に、何故か知っている雰囲気を感じていた。それを確かめるためだった。
数日後、朝潮は提督、ジャーヴィス、グラーフの三人を連れて、地下に向かうことになった。提督は三人に護身用の拳銃を渡し、いざとなったら使うように言う。
そして、あの時のように朝潮は、階段を降りる。
「鎮守府とは大違いな場所…世界が変わったみたいね…」
ジャーヴィスが呟く。朝潮はあの板がはられていた扉の前に、案内する。グラーフは、明石から借りてきたパールを使って、板を剥がそうとする。
「はがすぞ!」
板が剥がれ、扉が剥き出しになる。朝潮は、この扉の先に感じる不思議な感じが強くなっていることを感じた。
四人は、奥に進む。
奥に進むと、そこはまるで病院であるかのような場所だった。四人がロビーを探索していると、提督はあるファイルを見つけて、パラパラとめくっている。
「ここ、何かの研究所だったようだな。」
提督から発せられた言葉に、三人は提督の方に近づく。提督がファイルを広げると、そこには艦娘を実験台として使用し、何かを研究していたと思われる書類があった。書類を見ると、ほとんどの艦娘は実験段階で処分されていた。しかし、実験台の艦娘リストの中に、一つだけ保存と赤文字で描かれている艦娘の名前を見つける。
「駆逐艦…朝潮、だ。」