朝潮改二の鎮守府活動記録   作:ミサキサクサク

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ページ2:閉ざされた真実 後編

「私の名前…!?なんで…!」

資料に書いてあった名前、それは朝潮のものだった。といっても艦娘は、絶対に一人では無い。ドッペルゲンガーのように、複数人いるものである。しかしそれをわかっていても朝潮は驚きを隠せなかった。

「駆逐艦朝潮、実験における第一段階完了のため、第二段階まで保存とする。」

提督が資料を読み上げる。すると第二実験室、というところの名前が出てくる。

「第二実験室、すぐそこだ。」

提督が指を指したその先にはプレートに第二実験室と書かれていた。

「近い…もうすぐ…。」

ここに来て、第二実験室に来るたび、朝潮か感じていた知っている感じ、がどんどん強くなっていくのを感じていた。

 

「何もなさそうだけど…」

第二実験室には、椅子と机が乱雑に並んでいた。その光景を見たジャーヴィスがそう呟くと、朝潮が話す。

「いえ、ここにあります。」

朝潮の自信。それは朝潮がこの地下に来てから感じている、「知っている感じ」が、この部屋で強く反応していたからだ。

「これが制御盤か。」

淡く光る大きな機械。それはこの部屋にある秘密に繋がっている。

提督はまるで知っていたかのように、制御盤の操作を始める。

制御盤から小さく警告音がなると、何の変哲もない壁が下がり、奥にある真実を曝け出した。そこには冷凍ポッドのようなものがあり、朝潮はその中を覗く。

 

「あ…私だ…」

 

朝潮は後退りしながら声を震わせる。冷凍ポッドの中に入っていたのは、あの資料に書いてあったもう一人の朝潮だった。まだ冷凍ポッドはかすかに動いており、触ってみると少し冷たく感じた。

「起こしてみよう。」

提督がそう言って、冷凍ポッドを解除して朝潮を起こそうとする。

「これは、もう死んでいるな…」

提督がそう呟くと、朝潮は地面にへたり込む。このポッドを見つけた時、朝潮が感じていた知っている感じが消えていた。

「こんな酷いことを、一体何をしようとしていたんだ。」

グラーフが提督に向けて話す。提督は古い椅子に座って、資料を広げる。

「艦娘と深海棲艦を融合させて、艦娘の強化を図っていたらしいな。」

提督は淡々と資料の内容を話す。

艦娘に深海棲艦の血を取り込ませれば、艦娘に何か特別な力に目覚めるかもしれない。そんな噂から始まった実験だった。

この地下で行われていたのは、噂を鵜呑みにした海軍が艦娘を使って実験を始めただけという、艦娘に対する酷い仕打ちの実験だった。

結局誰も、力に目覚めることはなく次々と処分され、朝潮だけが残されていた。しかしその朝潮も結局、冷凍睡眠をされたまま忘れ去られる結果になった。

「くそっ!噂だけで艦娘を処分したり、冷凍保存までしていたのか!」

グラーフが怒りを露わにして、壁を叩く。温厚なジャーヴィスも、その話を聞いて震えているのが分かった。

そして、提督が海軍に入る際に提督が手に入れたこの古い鎮守府。それはかつて海軍が鎮守府という名前を使って隠していた、実験施設だった。

「司令官、お願いがあります。実験に使われていた朝潮を弔わせてください。」

提督は頷き、冷凍保存を解除してポッドが開く。朝潮はポッドの中に入っていた自分を抱き抱える。

「あなたにも司令官がいて、大切にされてきたのね…」

そして朝潮達は、地下施設を後にする。

 

「よし、これでいいだろう。棚の後ろに隠しておこう。」

鎮守府の地下倉庫に戻ってきた四人。提督は倉庫にあった工具で鉄扉を開かないように溶接し、棚の後ろに隠した。これで地下は封印された。

 

外に出ると夕方になっていた。夕焼けが鎮守府と海を染める。そして水葬が行われた。

「これで自由。さようなら、私。」

しばらく四人は海を眺めていた。

 

深夜の事、提督は自分の執務室で、地下施設から持ってきた書類を眺めていた。机のランプだけが照らしている中、提督は書類を見てつぶやいた。

 

「親父…」

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