転生機族の異世界記∼機族に転生したら異世界に飛ばされました∼ TSならぬTM-トランス・メカ-転生者な星船は、ヤマト世界で何を成す? 作:オーキッドとグロリア欲しい
『以上が私たちの提供できる支援と要求の内容ですにゃ。できれば全て受け入れて戴けるとこれ以上嬉しい事は無いですにゃ』
「さて、事前に共有していたと思うが、改めて以上が彼女と私の映像会談の内容だ。諸君らは彼女の支援と要求の話をどう見る?
受け入れて問題は無いと思うかね?関係する各省の実務者である君等と、実際に会った沖田君から受け入れるべきか否か端的な意見を聞きたい。
あくまでも非公式の場として名簿や議事録等の記録は一切残さないが、発言の前に一度は挙手を行い、所属官庁と姓名を名乗って欲しい」
アカシが映し出されて居たモニターの映像が途切れると会議室の照明が明るくなり、集った面々に対し極東方面管区で行政長官を勤める藤堂は話を切り出した。
「非常事態省、資源・資材管理局の朝倉です。率直に言っても受け入れない手は無いかと、そうでなければほぼ1年で地球人類の殆どがエネルギー不足による食料難で絶滅します」
40代程の背広の男が手を上げてそう発したのを皮切りに発言が続く。
「国連軍、軍務局の芹沢です。それについては先方からガミラス艦艇とその技術の無条件提供が内諾されており、感触からして、これだけでも先に受け取る事は可能かと思います。
それを利用すればエネルギーと資源不足は解消できるかと。しかしそれにしても地球全土での解消には時間が掛かるので、その間の事を考えれば全面的な支援と要求の早急な受け入れ以外は無いかと」
「厚生省、保健衛生局の佐々木です。先行して提供されたナノマシンの安全性は、少なくとも我々の検査技術内では確認され、遊星爆弾症候群の末期患者での臨床試験を始めて居ます。
現在のデータとしては、症状の悪化が明らかに止まり、副作用も無く、細胞に浸透していた有毒胞子の成分が明確に排出され始めてます。
また、地下都市の住環境悪化によるストレス値上昇は明らかな治安悪化として数値にも出ており、これの改善提案は非常に魅力的かと。
支援と要求は全て受け入れるべきと思われます。受け入れない選択を行うと、極東管区内だけで約80万人の遊星爆弾症患者は既に1年も保ちません」
「行政府、幕僚監部の真田です。先行提供された彼女たちが把握してる銀河系連盟加盟国、アバロン合星国、ロシア連星国や並行世界の21世紀の地球の歴史や文化、社会やその規制のデータや
ベクトルドライバと呼称される空間制御技術から、彼女たち機族が並行世界から来たのが事実かは不明ながら、少なくともガミラスとは異なる恒星間文明から来たのは疑いようも無いかと。
ただ気になるのは彼女たちが来た事により、蛇と呼称され文明の発展を促すとされてる高次元の機械知性と因果が繋がり干渉を受ける恐れがある事ですが、
これは、こちらを蛇が認知したから彼女たちが跳ばされて来た可能性も有り、いずれにせよ既に手遅れと思われます。支援と要求に関しては全て受け入れるべきかと。
提供されたベクトルドライバや医療ナノマシン製造技術だけでも、我々の数十世代は先を行くテクノロジーです。これらの技術を地球が自力で至るには、少なく見積もっても数百年は掛かったでしょう。
受け入れた場合は、安全な取り扱い方法含めて、銀河系連盟やアバロンが培ったそれら有用な技術が手に入る事になります」
「国連宇宙軍、第一艦隊司令官の沖田です。彼女達の技術と戦力はガミラスと比べても圧倒的でした。
彼女らに悪意が有るのなら、この様に回りくどい要求を行う必要は無いと思えますし、実際に会った感触としては、好感の持てる人物たちです。
彼女達の話や支援と要求にそれ以上や裏の意図は無く、寧ろ切実に地球を助けたがって居たようにさえ思えます」
「機族の本能、いや根幹命令か」
「恐らくそうで無いかと」
やはり当事者として働く者達は全面受け入れの方向か。
地球には後が無い、後が無いが、一度受け入れたら後戻りがほぼ不可能という事と、余裕が出来てしまった事が行政長官として自分の決断を鈍くする。
最良は支援と要求の全面受け入れだという事は分かっている。
だが彼女ら機族は、地球人と共存したいと言うが未知の機械種族だ。
沖田君の言う様に裏がないのだとしても、彼女たち自身とそれが齎すガミラスを圧倒する技術力は、
既存の社会制度は勿論、これまで培った地球の文化なども暴力的なまでに大きく変えてしまう事だろう。
それを懸念する声は各行政区でもそれなりに大きい。
私の足元である極東管区行政府内でも、今の状態ならば並行世界のアンドロイドの手を借りずとも、地球は自力でガミラスを撃退して復興できるという自力復興派とでも呼ぶべき声が既にある。
それが彼女達により齎された太陽系ガミラス鎮圧と、提供してくれるという140隻を越えるガミラス鹵獲艦艇をあてにした非現実的な皮算用だとしてもだ。
「うちを含めて各行政府や国連内では、機族の力を頼らずとも既に地球は復興できる段階に居るという声が出ているが、これについて意見を聞きたい。まずは芹沢君から頼む」
「軍政方面から申しますと、非現実的な妄想と言う他ありません。
まず前提として、彼女らの本能をあてにして要求を突っぱねた我々を都合良く防衛する保障がない点で、
これは人間が理性で本能を抑えつけられる様に、機族がそうでない保障が無い事です。
彼女らのハッキングから齎されたガミラス本星の情報が正しいとすれば、ガミラスが動員可能な航宙戦力は2万隻を越える事が判明してます。
彼女らの言う、ガミラス、いやデスラーが評価してる地球の価値や別の侵攻の動機が今回の損失を負ってでも上回るのなら、太陽系ガミラスの制圧が露見した段階で前回を上回る戦力が派遣される事になるかと。
そうなると、我々は彼女ら機族の助力無しに、ガミラス艦を戦力化し、数に上回るガミラスを撃退する必要が有りますが、些か実現性がなさ過ぎる。
これを行うなら、鹵獲ガミラス艦で太陽系外の移住先を探した方が現実的かと」
芹沢君の言う通り、理性で本能を抑えつける可能性は、もっともな話だ。
自力復興派は、機族に地球人を助けたい本能が有ると聞いて慢心してるのかも知れない。
いや、その様な事をせずとも、彼女達がその気なら我々上層部の首を無血で挿げ替える事が簡単だという現実が分かって無い可能性も有るか。
「沖田君、鹵獲ガミラス艦が全て手に入った場合、どれ程の期間が有れば戦力化が可能かね?」
「そうですな。翻訳されたマニュアルは機族側から提供されてますから、機材操法の練達だけ見ても最短半年、艦隊での纏まった戦闘行動には最低でも一年という所でしょうか。
因みにこれは第一艦隊の人員を転用した場合で、促成人員の場合は、良くて1.5倍の期間は必要かと」
なるほど。これでは芹沢君の言う通り、非現実的に過ぎるな。
「朝倉君、復興の観点からはどうかね?」
「そうですね。可能は可能でしょうが、現在から数億単位で人口の損切りを行う必要が出ます。既に多くの地下都市の資材と設備は維持可能な破断点を過ぎてまして、
電力が十分に使えたとしても、今の人口を維持するには140隻ぽっちの軍艦やガミラス本国からの補給を前提とする冥王星の基地設備をフル活用した所で焼け石に水でしょう。
亜科詩が保有する建設機械や工廠としての機能はそれだけ莫大です。
何せ単独で全長数十キロのコロニーを3週間で作成したという設備能力ですから、さもありなんという所でしょう」
「分かった、ありがとう。では、次に真田君。イスカンダル星へと行くヤマト計画において、この際イスカンダル星の立ち位置は考慮せず、
ガミラスとは敵対するという前提での機族の協力の有り無しは、キリシマでの会談の内容以外でどう変わるか聞かせて欲しい」
彼女たちから齎されたガミラス星とイスカンダルの情報は、衝撃と安心と疑心を同時に齎した。
衝撃はガミラスの版図の広さと航宙戦力の数、安心はガミラスの機関関連技術と一部を除いた基礎技術力は地球とそう変わらない事、疑心はイスカンダルとガミラスの関係性だ。
太陽系で捕虜としたガミラス軍人の個人端末や艦内ライブラリーから、ガミラス人はイスカンダルを主星として崇めている事が分かったのだ。
そして、ガミラス艦の機関と波動エンジンの類似性にイスカンダル星とガミラス星が二重星だと言う星図情報から、ガミラスはイスカンダルから技術供与を受けた可能性を推測されている。
これはイスカンダル人の罠という者も居たが、今さら来いと手を差し伸べるのは流石に不自然すぎるので、イスカンダルとしてもガミラスの動きは不本意というのが主流意見ではある。
「それ以外の点としますと帯同を予定していた改造ガミラス艦が無くなり、戦力的な柔軟性が無くなるか不慣れなシステムの艦に人員を乗せて帯同する事と成るでしょう。
先ほど沖田司令も仰っていましたが、艦隊戦力として運用するには1年は欲しい所ですし、それにしてもガミラス艦では予定されてるヤマトの性能に対して大きく見劣りします。
これはガミラス製波動エンジンの心臓部を構成する中核部品性能が、2週間後に火星へとイスカンダルから持ち込まれる予定のそれよりも劣る事が大きいかと。
少なくとも、ヤマトで予定されてる陽電子衝撃砲の連続射撃性能や波動防壁の装備は不可能でしょう。
機族の協力が得られた場合は、これらはガミロイドよりも高度な制御体と呼ばれるアバロンのロボットと作業ロボットでの無人化、
反物質/ベクトル機関搭載による高出力化や武装その他の設備強化や載せ換えで補う予定なのでしょう。その程度は手を入れなければ帯同させる意味は薄いですから」
「分かった。有り難う」
反対意見が1つ位は有ると思っていたが、ここまで全員が受け入れ容認だとは思わなかった。
かくいう私自身もそうだが、現実と触れてる者は受け入れる以外に道がない事が分かってるからだろう。
何より機族の受け入れはメリットが大きく、デメリットが少なくとも短期的には無いに等しいのも有る。
いや、機族を人類の新たな隣人として受け入れる変化も、その地球人類が続いてこそだという事を理解してる可能性も高いか。
何にせよ、踏ん切りが付いた。
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数時間後
極東管区行政府は、市民に対して異世界から来た機族の存在を公表し、その要求と支援の全面受け入れの声明を発表する事となった。