転生機族の異世界記∼機族に転生したら異世界に飛ばされました∼ TSならぬTM-トランス・メカ-転生者な星船は、ヤマト世界で何を成す? 作:オーキッドとグロリア欲しい
初めはキリシマ通信員の一言だった。
「ん?レーザー通信?」
「通信、どうした?」
「本艦の水平面9時方角3000メートルの何も無い空間からレーザー通信、それも国際モールスが発信されてます」
当直で艦橋に居た艦長の山南の問いに通信員が不可解そうに答える。
「索敵!最大出力でその空間を走査しろ。全艦戦闘態勢!司令を艦橋へ。通信、相手は何と言ってる?」
「了解。……駄目です。各種電磁波、重力波共に全て反応無し!」
「メッセージを読みます。コチラギンガケイレンメイショゾクカンアカシ、スガタヲミセルノデコウゲキスルナ。これを繰り返してます」
「……銀河系連盟…アカシ?これは……ファーストコンタクトなのか?」
「沖田司令、入られます!」
山南の頭に疑問符が浮かび、どうするべきか考えようとする前に艦隊司令の沖田十三が艦橋に現れた。
「山南、説明してくれ」
「はっ!先程、本艦の水平面9時3000メートルの何も無い筈の空間からレーザー通信を受信し、モールスによるメッセージを受け取りました。内容は銀河系連盟所属艦アカシ、姿を見せるので攻撃するな。これの繰り返しです。通信、今も同じか?」
「同じです。繰り返してます」
「……ふむ。敵ならこんなメッセージを送らずに攻撃してる筈だ。ガミラスとは別の勢力によるファーストコンタクトか……。艦隊全艦に通達、これは別勢力によるファーストコンタクトと想定する。
不明船が表れても攻撃するな。通信、不明船の位置にレーザー通信で攻撃しないとモールスでメッセージを送れ」
「了解。……送信完了」
「さて、どんな船だ?」
沖田も山南も双眼鏡を持ち、艦橋の右側を注視する。
その船は滲み出る様に現れた。
「でけぇ」
沖田らと同じく見ていた艦橋の誰かが率直な感想を呻く様に漏らす。
「おいおい」「うむ」
山南も沖田もその巨大な船を目を奪われた。
その船は白亜に太く赤いラインを螺旋状に入れた細長いライフル弾の様な円錐型の中心船体に、同じく白地に赤い柄をした6つの巨大な長方形のモジュールが取り巻いている様だ。
沖田や山南に理解出来ないのは、後部のエンジンらしき部分が棒としか言い様の無い構造体で出来てる事で、ガミラスとは設計思想や技術が違うのは明らかだった。
そして何よりきりしま乗員達を混乱させたのは、主船体の艦首付近に書いてある、アルファベットとアラビア数字でJPDF-002と書かれた艦番号と亜科詩というアカシの当て字にした漢字の艦名表記だった。
「JPDF……まさかジャパンディフェンスフォース、自衛隊か?それにあの当て字は……。サービスにしては過剰な気もしますが、少なくとも敵対的な意思は無さそうですな」
「そうだな。恐らくは彼らの持つ情報が古いのだろう」
モールスを知っていた事と言い。地球から漏れ出た電波情報を収集していたから、こんな微妙に的外れのサービスをしたのだろう。
沖田も山南もこの時はそう考えて居た。
宇宙物理学者の沖田も、まさか並行世界の惑星日本の船だとは想像できる筈も無かった。
「あの船の大きさと質量は?」
「全長は1250メートル、最大幅310メートル。質量は…質量が計測出来ません」
山南の問いに、今までの敵や沖田の経験では有り得ない非常識な答えが返ってきた。
「実はホログラムか?」
「不明船より新たなメッセージ!キリシマへノイホウモンキョカモトム。です!」
山南の疑問に応えてでは無いだろうが、狙った様なタイミングで実体が無ければ有り得ないメッセージが来た。
「どうします?司令部に許可を取りますか?」
「いや、今地球と通信すると敵に傍受される可能性が高い。あの船、アカシも気付かれたくないからレーザー通信を使った筈だ」
「それに付いてですが、本艦以外はあの船をセンサー、目視共に全く捉えてません」
「はあ、選択的なステルス能力か、また凄まじいな」
通信員の言葉に山南は何度目かの衝撃を受けると共に考えた。
彼らは何の為に接触してきた?もしかして我々を助けてくれる積りなのか?と。
そこまで考えて思い出した。
今の地球に選択肢は無いのだから、例えそれが毒まんじゅうでも食らうべきだろうと。
少なくとも警告を無視して星系に侵入し、地球を赤茶けた星に変えた侵略国家に隷属するよりはマシだろう。
そう考えながら山南が沖田の方を見やると、沖田は深くうなずき返した。
「許可すると返信しろ。船務、右舷第一ドッキングポートの外部ハッチを開け。そうすれば場所が分かるだろう」
「了解」
山南の指示にエアロックを管理する船務課員がコンソールを操作して、艦橋に一番近い第一エアロックの外部ハッチを開けた。
エアロックが減圧して開いた事で、艦内状況モニターに映る第一エアロックの表示が赤く変わる。
「さて、どんな船(内火艇)が出て来るんだ?」
これからほぼ死にに行く様なこの艦隊の状況を変えてくれるかも知れない。
そう考えたら途端に気持ちが楽に成った。
あの巨大船に乗る宇宙人はどんな姿をしているのだろうか?
それこそ天使の様に美しい女性ばかりだったら男としては嬉しいが……。
山南がそんな下らない事を考える余裕も出て来た時、状況に動きが有った。
「第一ドッキングポートに侵入者!これは…、生身の女の子が3人カメラに映ってます!あ!カメラに向って手を振ってます!!」
「はあ?いやステルスか、取り敢えずメインモニターに映せ」
船務課員が理解し難い事を言い出したが、自分の目で確かめた方が早いと考え直ぐに指示を出す。
「これは……」「はは…」
そして、船務課員の言葉通りとしか言えない状況が映し出され、沖田も山南も言葉を失った。
腰に銃を挿し、ベレー帽を大きくした様な特徴的な帽子に小型のマント付きの水色の制服らしき服装をした中学生位の少女2人と、
黄緑色の髪に猫耳を生やした泣き黒子が印象的な、赤と紫の中間の様な色味のダボっとした服装の少女が画面に映し出され、3人でカメラに向って笑顔で手を振っていたからだ。
「船務、エアロックは減圧されてるよな」
「は?はい!外扉も開いたままです!」
山南の問いに、上の空だったらしい船務がはっとした様に答える。
人間にしか見えないが、明らかに人間とは違う。
あそこまで人間に似てるのは、収斂進化か?
いや、似せていると考えた方が自然だな。
なら……
「恐らくロボットかサイボーグだろう。山南、出迎えに行くぞ。船務、エアロックの与圧と会議室の準備を行え」
「護衛はどうしますか?あちらの随員と思わしき2名は武器を所持してる様ですが……」
エアロックに入っても気付かれないステルスを持ってる相手にしたら、形式的な意味合いしか無いだろうが、それはそれで此方も合わせるのが筋という物でもある。
「うむ、我々も合わせた方が良いだろう。2名に拳銃を持たせてくれ」
「副長、拳銃装備の2名で立ち会いだ。どんな会談に成るか分からんから、一応特に自制の効く人物を選んでくれ」
「了解」
相手が友好的に振る舞ってるとは言え、不安要素は可能な限り低くすべきだろう。
此方が交渉に使える材料は殆ど無いとは言え、相手の心象を損ねたりする要素など無い方が良い。
今は異星人というだけで敵愾心を抱く人物も居るだろうしな。
しかし、天使の様に美しい女性という想像は当たってるかもな。
自分の好みには、少し、いやかなり若すぎるが……。
そんな事を考えつつ、モニターに映る美しい少女達を横目に見ながら山南は沖田と共にエアロックへと出迎えに向かうのだった。