転生機族の異世界記∼機族に転生したら異世界に飛ばされました∼ TSならぬTM-トランス・メカ-転生者な星船は、ヤマト世界で何を成す? 作:オーキッドとグロリア欲しい
「あ、ブリッジから2名、陽電子衝撃砲制御室から2名がこっちに来るにゃ」
「思ったよりも対応が早いですね」
ホワイトバーズ隊長の山名美代が、私の言葉に感心した様子を浮かべる。
「現在地は火星軌道に差し掛かる直前で、地球と通信するには超空間通信でも傍受される可能性が高いから、隠密行動中のこの艦隊は指揮官だけで判断するしか無いのにゃ。
そしてこの艦隊の司令官は経験と実績共に兼ね備えた名指揮官と言われる沖田十三提督にゃ。この世界の英雄にゃ」
私が国連極東軍管区のデータベースから頂戴したデータを、美代と同じく随員として付いてきたアタランテに送付して示す。
しかし、皆の納得が直ぐに得られて良かった。
私は地球軌道に現れてからの事を思い出す。
「もう元の世界に帰れないのね」
「にゃあ。繋がり-縁-を表す事が可能な超空間路線走査機(ダイアグラムスキャナー)が有れば帰れたかも知れないけど、知っての通り銀連議会が遺物を恐れて破棄してしまったからにゃ。
アバロン合星国のロストホームと同じにゃ。つまり、私たちは自分の世界-故郷-を見失ったのにゃ」
ソーニャちゃんの質問に私は答える。
超空間路線走査機が有れば星門回廊崩壊現象だって、星門を開ける星船を作るだけで簡単に解決したのに。
まあ、そのお陰で銀連議会が叩かれ、私が惑星日本の所属に戻れた事に繋がったのだけど。
「アカシさんは介入すると仰るのですね?」
「そうにゃ。私が介入しなければこの世界の惑星地球とその生命は絶滅するからにゃ」
ムラクモさんの確認の様な問いに私はハッキリと答え、さらに地球の現状とあと2年も保たないという予測データを付け加える。
「地球人類の払った犠牲が大き過ぎ。また隕石による遠距離攻撃という敵の見えない攻撃方法と、宇宙人という事が相手の善意に期待出来ないと考える要因となって、降伏が選択肢になり得ないのにゃ。
実際に地球の敵であるガミラスは隷属させた種族を尖兵として使ってるみたいだから、降伏してもあまり愉快な扱いを受けられるとは考えにくいにゃ」
「具体的にどう介入するのです?」
「取り敢えずは、侵攻の排除と地下都市群の建て直し、そして地球浄化システムをマゼラン銀河のイスカンダル星に取りに行くヤマト計画への参加にゃ。
勿論、同時に地表の浄化もしたいけど、地下都市群が立て直せるなら地球艦隊の再建を先ずは優先するにゃ。
正直、生態系が大気レベルで破壊された上に、未知の植物が放出する侵食性、浸透性の高い有毒胞子に汚染され尽くしてるから。下手なテラフォーミングより手間が掛かるにゃ。
私でも人間が問題なく呼吸可能な大気状態に戻すのにも最低5年は欲しいにゃ。所がイスカンダルの環境再生装置を使うと、一瞬で植生まで戻るらしいにゃ」
「それはどういった仕組みで?」
「不明にゃ。私たち機族の使える環境制御技術の発展や派生か、蛇の遺物であるテトラちゃんの様な望んだ並行世界を取り寄せる技術かもしれないにゃ。
ただ一つ言える事は、イスカンダル人は確かに地球へと来訪し、単独でワームホール生成が容易に行える波動エンジンを始めとした銀連を上回るの技術を持ってるということにゃ」
「あと、この世界に来た事で私は機族の女王に成ったみたいにゃ。つまり、人類守護は使命になったのにゃ」
そして最後にこの世界に来る狭間で任せられた事を話す。だって、絶対に大騒ぎに成るからだ。
機族を生み出せる女王は、銀連でも人間機族問わず人気が有ったから、どういった反応をされるか分かってる。
「「「「え?えーーー!?」」」」
そして案の定、大騒ぎだったにゃ。
精神以外は機族と同じ身体(完全機械化サイボーグ)なソーニャちゃんとイーラちゃん以外、ムラクモを含めて機族達はクラスメートがアイドルに成った様なリアクションだった。
いま思い出しても面映ゆくなる。
あ、来たみたいにゃ。
思考に埋没していた私は、エアロックの向こうに4人が揃った事で正気に戻った。
「先ずは最初に自己紹介しますにゃ。私は銀河系連盟、惑星日本所属の星船、工作艦アカシですにゃ。並行世界からこの世界に流れ着いた漂流船にゃ。
そして彼女たち、山名美代とアタランテ・ライオネルは戦闘機にゃ。私たちは機族と称されるロボット種族なのにゃ」
あれからエアロックが開いて、検疫や所持品確認を受ける事も無く、真っ直ぐ会議室に案内された。
そして最初は自己紹介からという事で、私たちから始める。
そして、恐らくは並行世界や惑星日本という言葉に衝撃を受けたのか、それを呑み込む様に少し間が空いてから向こうの自己紹介が始まった。
「私は沖田十三、地球、国連宇宙海軍宙将です」「自分は山南修、同じく国連宇宙海軍一等宙佐です」
と、交互に挨拶と握手を交わしながら会談は始まった。
「あー、予め言って置くけど。工作艦亜科詩と私は同じ存在で、今は艦長は居ないにゃ。惑星地球の有名なSFだと、アン・マキャフリーの歌う船と似た感じにゃ。
まあ、亜科詩という工作艦のインターフェースやアバターが眼の前の私と認識して欲しいにゃ」
「……なるほど、所で地球のデータベースに侵入したのですか?」
山南さんが敢えて意識した様に少し硬い声を出しながら質問して来る。
沖田提督は此方の反応を観察してる様子だ。
「それに付きましては、ごめんなさいにゃ。支援の為に地球の現状把握を行うのは必須なので、必要な事と呑み込んで許して欲しいですにゃ」
「貴方がたは地球を助けて下さると?」
山南さんの代わりに沖田提督がそう返して来た。
「そうですにゃ。そちらの協力が前提ですが、それが得られるのなら、わたし工作艦亜科詩-アカシ-の保有する銀河系連盟やアバロンの全技術情報開示に医療分野含む多目的な工作艦としての能力提供、
この艦隊の冥王星基地攻略という目的達成、地下都市の復興と機能拡張、遊星爆弾症候群の予防薬と治療法提供、
Y計画艦の戦力及び機能強化、Y計画艦の機関と私たちの技術を使用した地球艦隊の再建を取り敢えずは考えてますにゃ」
沖田提督と山南さんは、お互いに目配せしてうなずき合い、そして。
「君たち、退室してくれ。これ以上は君たちに聞かせられない機密情報が含まれる」
「は?はい。了解しました」
そう言って、山南さんが立ち会いの2名を退室させた。
「幾つか聞かせて頂きたい」
「どうぞですにゃ」
2名の退室を見届けた沖田提督は、そう切り出す。
当然だが色々と聞きたい様だ。
「最初に惑星日本というのは、日本人が入植した惑星なのですかな?」
まあ、気になるよね。
自分たちの未来かも知れない、その未来は地球を失った末かもと。
「ハッキリ言うと分かってませんにゃ。私たちは並行世界や時間移動が可能な事を知ってますが、惑星日本を含む銀河系連盟加盟国やアメリカ合衆国と似たアバロン合星国という惑星地球以外の人類惑星で人類の出自は既に散逸してますのにゃ。
一般意味論に普遍言語、夜空に浮かぶ衛星を月と伝えるのにも様々な試みが有ったと伝わってますが、出自は残ってませんにゃ。
状況証拠からは惑星地球をルーツとしてるなら矛盾が無いのだけど、単に古いから様々な要因で散逸したのか、蛇と称される先史文明が作ったと"言われてる"機械に記録や記憶を"食われたり"、"改編された"末なのかとか、
更には星門を利用する事で時間や並行世界移動を可能とするテクノロジーが存在してややこしくしますから、記録や記憶が信用に足るという前提が怪しく成るし、卵が先か鶏が先かという矛盾も許容しうるのにゃ」
「……凄まじいですな」
「いやはや、SFというか何と言うか……」
「何せ私たちの中にも近似した並行世界や大きく違う時代と歴史から来た存在が居るくらいにゃ。こっちの山名美代も、近似した並行世界から蛇と呼称される敵船の移動に巻き込まれて飛ばされた一人にゃ」
「うむ……」
「それは……」
二人からの同情的な視線に美代は頭を掻きながら恥ずかしそうな苦笑いで答えた。
まあ、この件に付いては年数経って吹っ切れてるのを知ってるから言えるんだが。