四大企業 アトラース   作:スキル素材年中枯渇ニキ

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お待たせしました……

今回は結構独自解釈が多めです。(設定捏造とも言う)


10:よかったな……で……それが何の役に立つ!

 ギュンターと握手をした日から数日が経ち、私は今日もまた研究に勤しむ。

 

 今回は、前にゲルトルートが持ってきた成果を解析している。ロストセクターにまだあるかもしれないと当を付けてゲルトルート達に探らせていたが、彼女達は見事ビンゴを引き当ててみせた。

 

 ハーモニーキューブ。

 

 原作では一種の装備でしかなかったが、本来はアーク建設のための巨大演算装置。小型化した物はニケの戦闘補助デバイスとして使われている。

 

 私が是が非でもこのハーモニーキューブを研究したいと考えた理由が、原作の31章で見せたAピラーだ。

 

 クリスタル地帯を一掃する為に、アークの基礎構造物で上書きするという……あの技術正式名称なかったな……なんて言えばいいんだ? ……建造物や資源を分解再構築して出力しているっていう話だった筈だから、仮に錬金術とでも名付けようか。やってる事まんまハガ〇ンの錬金術だし……

 

 で、そうだ。私が原作をやってて頭に浮かんだのが、その錬金術で分解、再構築出来るのは、果たしてアークの基礎構造物だけか? という疑問だった。

 

 だってそうだろう? この錬金術が物理法則やエネルギー法則から逸脱した技術だとしても、アークの基礎構造物という、()()()に限定される理由としては弱い。何故そこで著しい汎用性の欠如が現れる?

 

 そして私は、この世界に転生してから考えた。もしも錬金術で錬成出来るのは、アークの基礎構造物だけとは限らないとしたら?

 

 例えば、多くのビルが建ち並ぶ都市をPCでモデリングしたとしよう。そのモデリングしたデータをハーモニーキューブに入力して、相応の材料を用意して錬金術を使ったら?

 

 そこには、モデリングした通りの、多くのビルが建ち並ぶ都市をその場に錬成できるのではないか?

 

 もっと分かりやすく、衝撃的な例えをしてみよう。もしもあの錬金術の規模を縮小して、そうだな……例えば、歩兵銃のモデリングを入力して錬金術を行ったらどうなる?

 

 資源と電力の問題さえ解決できれば、100丁でも10000丁でも、下手をすれば1兆丁だって殆ど時間差もなく作れるのではないか!?

 

 本当にそんな事が出来るとしたら、究極の生産、建築技術だ。全く新しい産業革命とさえ言っていい。

 

 中央政府も秘匿する筈だ。恐らく政府としては、アーク内にAピラーか何かをぶち込まれまくって、錬金術でしっちゃかめっちゃかにされるというシナリオを恐れているのだろうが、それを抜きにしてもテロリストが武器を大量に好き放題に生産できるというのは統治者にとっては悪夢でしかない。

 

 ……まぁ、希望的観測を言い連ねておいて何だが、既に一個分解してダメにしている。解析の進捗は……36%……普通だな! 流石今現在アークでも解析できていないロストテクノロジー。手ごわい相手だ。

 

 だが不可能とは思わない。亀のような遅さだが解析は進んでいるし、それに将来的にアークと肩を並べていくなら、アークにはない優位性は絶対に確保しておきたい。産業革命を起こしてアウターリム内での経済を盛り上げるという意味でも、戦力を整えるという意味でも、ロストテクノロジーの解析資料でアークと交渉するという意味でも……

 

 尤も、交渉材料として使うのは本当に最後の手段になるだろうが……

 

「……ふぅ」

 

 ……アウターリムに会社を作ろうと決めたのは私自身だ。後悔とかはない。だが、自由な研究というものはもう手の届かない所にあるのかもしれない。

 

 母さんをニケにして、16人ニケを作って、そしてエリシオン・ハーパーとギュンターを味方に引き入れた。味方が増えるにつれて、助けなければいけない人達が増えて、段々と、私の研究は()()を帯びてくるようになった。

 

 中央政府に、私達の存在が露呈するかもしれないという可能性を考えると、そう悠長にしていられない。そうでなくとも、今飢え死ぬ者が大勢いる。

 

 時間がない。

 

 このハーモニーキューブの研究が、それを解決してくれればいいが……

 

「はぁ……結局のところ、私が生き生きしていたのは、前世の小学生だった時だけですか……」

 

 今付いた溜息も、これで何度目になるか分からない。

 

 あの頃はよかった。ある程度お利口にしてたので、そこまで高くない物であれば何でも買ってくれた親。私が自由研究で作った小型ロボットを、すげーすげーと褒めてくれたクラスメイトや先生。その小型ロボットで表彰されたっけな……本当にいい思い出だった……

 

「……また、褒められたいな……」

 

 小学生の時に書いた作文に、大きくなったら皆を笑顔にするような発明がしたいです、なんて書いたかな……それがどうしてこうなってしまったのかな……

 

 作文で書いた事に大人になった後も偽りはなかった筈なのに、前世でも、そして今世でも……

 

 考えなければならない事が、多くなり過ぎた……

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「企業を作るという話だったな。であれば、幾つか問題があるぞ」

 

「問題?」

 

 昨日行われた、ギュンターを説得した日。説得したその続きの話。企業を作るという話にギュンターは賛同しつつも、問題があると指摘する。

 

「まず大前提として、この企業は中央政府の目に留まってはならないという事だったな」

 

「そこまで厳重ではありませんが、そうですね……いつ私がニケを作っている事がバレるか分かりませんから、なるべく大きな企業という認識は持たれたくはないですね」

 

「であれば、ここアウターリム内でも潰さねばならない勢力が幾つかある」

 

「勢力……ですか」

 

「ああ。これを見ろ」

 

 ギュンターは机から地図とチェス版と駒を取り出した。その地図を見るに、アウターリムの地形を描いたものだ。心当たりのある大通りが幾つもある。

 

「まず此処。獅子会だ」

 

 地図のある場所に指差し、その上でチェスの駒を置く。ポーンが在庫に多い中ルークを敢えて選んで置いた辺り、重要な場所だ。

 

「獅子会……バッドドリームですか」

 

 バッドドリーム。アウターリムで唯一富が集まる歓楽街。大分エグい賭博や風俗があるらしい。客にはロイヤルや中央政府の高官もいる。転生してから知ったが、そのバッドドリームは獅子会というマフィアが運営しているらしい。

 

 私にとって、少し因縁のある場所だ。

 

「ああ。ここの客層が誰か分かっているだろう?」

 

「中央政府の高官、ですね?」

 

「そうだ。政府からしてみれば、利用しているという事実自体憚られる事ながらも、使っている人間を貴重に考えている。何せ、アウターリムから生きて帰ってこれる訳だからな」

 

「そしてアウターリム内の情報を、生きて持ち帰る事が出来る。つまるところ中央政府にとって、バッドドリームは監視カメラとして、政府にとって数少ない情報源になっている……と」

 

「ほう、その様子を見るに、前々から考えていたか」

 

「まぁ、獅子会とは絶対に対立するだろうというのは分かっていたので」

 

 本当の所、母さんに性病を移した恨みでしかないのだが……

 

「百も承知という訳か。では次だが、現在分かっているのは、ここと、こことあと――」

 

 ギュンターが地図に次々とポーンを置き始める。私の知らない場所。小規模なアジト、或いは政府と繋がりのあるマフィアといった所か?

 

 だがある一箇所に、ビショップを配置した。ある意味有名で、私も知っている場所だった。このアウターリムに不釣り合いな屋敷。四六時中警備の人間がおり、屋敷に入った人間は生きて帰れたという話を聞かない。

 

 態々ビショップの駒を選んだ、その真意は……

 

「……カルト教団のアジト、でしょうか?」

 

「うむ。まず、この屋敷を拠点としている大規模な物が、そしてそれに連なる、或いは関係ない小規模な物が点在しているという具体だ。何れも、ラプチャーを信仰しているという共通点がある」

 

「それは、確かに由々しき事態ですね。ですが……正直優先度は低いように思えるのですが……」

 

「それだがな……ワシ独自の調べで、こやつ等が中央政府から資金を受け取っているという事が分かった」

 

 ……耳を疑った。思わず目の前にいる老人が耄碌している可能性さえ考慮してしまった。

 

「……資金を? 中央政府が……?」

 

「気持ちは分かる。ワシも最後まで信じられなかった。だが、ワシの部下が、変装した政府の人間がこの屋敷から出ていくのを確認している」

 

「この屋敷は、確か入った人間は生きて帰れないという噂ですが……?」

 

「7〜8割本当といった所だな。ましてや政府はニケを使って繁栄している。ラプチャーを信仰している人間からすれば憎悪の対象である筈だ。にも関わらず、そんな人間を生きて返す理由は?」

 

「味方……? 資金提供してるから……? いやいや、だとしても!」

 

 頭が混乱してきた。政府と教団、行動理念に信じがたい矛盾がある。

 

「っ……これは多分、政府の本意じゃない。政府だって一枚岩じゃない筈。どんな取引があったとしても、統治者側がラプチャーを信仰するような気狂い集団、支援する理由がない!」

 

「……まぁ、尤もだな。ただ一つ言えるのは、ここ全部、政府の監視カメラと考えるべきだという事だ」

 

「政府の人間が、入り込んでいるからですか……」

 

「これだけではない。ワシらの敵は、まだいる」

 

 そうしてギュンターは黒と白一つ、そしてプロモーション用の予備と思われる一つのクイーンを地図上に配置した。

 

「ここは……清明会、牡丹会、それにヘッドニアの拠点……アンダーワールドクイーンですか?」

 

「知っていたか。最近結成されたばかりだがな。この三つの組織のボスがメンバーを務めるアンダーワールドクイーン、奴らもまた我々という存在を許しはしないだろう。他よりやり方や思想は上品だが、アークとアウターリムのパワーバランスをひっくり返すやり方に賛同するとは思えん。特に、奴らの元締めのマスタングがな」

 

 そこから更にエリシオン・ハーパーが自分の覚えている知識で捕捉した。

 

「加えて言えば、そのアンダーワールドクイーンを構成しているメンバーは全員ニケ。それもかなり強力なニケよ。生半端な戦力じゃ返り討ちに会うわ」

 

 ああそうか……正直な話、アウターリムでも倫理観が多少は真面なアンダーワールドクイーンの事をあんまり脅威に感じていなかったが、冷静に考えてみればあのマフィアトリオも敵だった……しかもそこそこ重要な原作キャラとか、バックにEnter---------tainment!!!!!!の人がいたりと、面倒な要素が多い分潰せばいいだけの連中よりずっと厄介だ。

 

 また考える事が増えた……マフィアトリオに関しては説得で何とかなるんじゃないかとか死ぬほどアバウトな考えでいたが、いい加減この辺も真剣に答えを出さないと……

 

「そして、一番厄介なのがここだ」

 

 最後に置かれたナイト。それが置かれた場所は、()()()()()()()()()だった。

 

「エンターヘヴンにも、中央政府の目が?」

 

「お前ならもう分かるのじゃないか? 生ける偶像と言えば分かるか?」

 

 ……エキゾチックか! クソッ、何で頭から外れていた! 奴らとは絶対に対立する事は分かり切っているのに! それにエキゾチックは一応は中央政府所属の諜報部隊だ。何かあれば中央政府に対して報告義務があるだろう。

 

「……とまぁ、目立つ組織だけでもこれだ。起業には間違いなく年単位での準備が必要になるだろう」

 

「年単位……気が遠くなる様なものでなければいいんですが……」

 

「仕方あるまい。エンターヘヴンがお前を支援してやるには、エキゾチック以外にも問題がある」

 

「以外にも……?」

 

「アークに対する意趣返しが目的の人間も多数いるという事だ。アウターリムに住まう人間を何とかしたいと考える人間ばかりではないのだ」

 

 復讐……まぁそりゃいるだろうな……。何せ主な活動内容がテロなんだから……,

 

「中でも度が過ぎる人間は、粛清しなければならないだろう。その為に味方……つまり我々の派閥を増やす必要がある。そうすれば多数決で押し切れる。そこでだ、お前に一つ頼みたい」

 

「何でしょう?」

 

「何でもいい。テロではなく、平和的な活動をする事で目に見える利益が生まれるという事を手始めに示してほしい。テロは、アークに対する意趣返しの機会という褒美があったから成立していた。だがこればかりは目に見える実入りがなければ、人は動けん」

 

 それなら、とエリシオン・ハーパーが話に入る。

 

「私達も地下農場を運営する予定でいるわ。そこで成果が出れば、賛同者が出てくるかもしれない」

 

 その話を聞いたギュンターは、半ば呆れている様だった。

 

「そんな話聞いた事もないが……さてはノープランだな?」

 

「いいじゃない。個人的に信頼できる人間は何人か居るし、こんな掃き溜めだもの。土地なんていくらでもあるわ」

 

「……まず先にワシに話が行ったのは幸運だったな。もう少し慎重に立ち回れ」

 

 2人がちょっとばかり言い争っているのを尻目に、私はアンダーワールドクイーン、及びエキゾチックに対する対応について考えていた。

 

 利益を示すというギュンターの頼みには、正直そこまで障害に考えていない。農作物が生産できれば、普通に食料なのだからそのまま食べられる。足りなければパーフェクトを農作物と交換すればいい。カロリーを基準に考えると、間違いなく高レートで取引が可能な筈だ。

 

 それよりも問題はマフィアトリオと反社トリオだ。なるべく話し合いで解決したいが……

 

 ……アンダーワールドクイーンに関しては、まず牡丹会から切り崩して行くべきか……? 私達がやろうとしている事の理念からして、恐らくモランが一番説得が容易い。

 

 清明会も……起業してからの実績でもあれば、傾くかもしれない。サクラも、暴力で抑えつけるのを是としながらも、好き好んでやるキャラとも思えない。

 

 ロザンナの行動が予測し難いヘッドニアが一番の懸念点だ。だが、アンダーワールドクイーンの内の過半数を説得できれば、マスタングも説得が可能かもしれない。……アークとアウターリムとの戦争を止める為にアンダーワールドクイーンを作ったマスタングが、アウターリムがアークの兵力に比肩しうる力を持つリスクを許容できればの話だが……

 

 対してエキゾチックはどうか? 私の会社を作るという計画が、クロウのテロ計画の邪魔にならないだろうか?

 

 ……いや、邪魔になるのは歓迎したい所なのだが、その場合私達を消す為にエキゾチックが中央政府に全部チクったらパァだ。主導権はあちらにある。

 

 寧ろこちらは、私達の起業が、いかにアークに危険を齎すか。それをアピールするべきなのかもしれない。

 

 ……出来るだろうか? 闇を知り尽くしたクロウに。

 

 悩むな! 止まっている場合じゃない!

 

 一応の方針は決まった。後は、賽を投げるだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……やはり、ダークヴェールのニケ調達ルートは見つかりませんか」

 

「はい。……ここまで探して無いとなると、やはりブラックネットでは……?」

 

「いいえ、普通に動けるニケというだけでもかなり高額な物になります。とてもじゃありませんが、アウトローの資金では賄えません。それにそれはそれでニケを売った動きがアークにある筈です。それが尻尾さえ掴ませないとは……」

 

「……またその辺のごろつきをけしかけてダークヴェールにちょっかいを掛けてみますか?」

 

「そうですね……今まで私達のルールに抵触してこなかった為、多めに見てきましたが……ダークヴェールがエンターヘヴンと接触してから一年、彼らの動きが何かおかしい……まるで嵐の前の静けさです」

 

「ダークヴェールは、エンターヘヴンを使って何かを企んでいる? ……ダークヴェールもテロを?」

 

「何を企んでいるかは、皆目見当もつきません。ですがまがなりにもそのテロを生業にしている組織と手を携えているのです。

 

 ……いい加減、彼について真剣に調査すべきかもしれません」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……また収穫なし。これで何度目? あれだけ自信ありげにお任せくださいって言っておいて結果がコレ?」

 

「ま、待ってください! 収穫はありました! ヤツに付き従ってる女は全員ニケです! これだけでも分かれば、いくらでも対策は……」

 

「寝ぼけてる? 言ったよね? ダークヴェールの仕入れルート探ってこいって。それで何でヤツの下っ端の情報が収穫になんの?」

 

「ッ……ボ、ボス!」

 

「ん?」

 

「このままで、このままでいいっていうんですか!?」

 

「ええ、このままじゃ良くないよね」

 

「で、でしょう!? 目には目を、歯には歯を、血には血を! それがヘッドニアのヴェンデッ――ガッ!?」

 

「あんた、やっぱ寝ぼけてるよね……? 聞いてるよ、ダークヴェールに襲撃を仕掛けて、返り討ちにあった挙句それはもうご丁寧に治療薬やら痛み止めやら奇麗な包帯やらを奮発してもらって治療してもらったんだってねぇ? んで? 目には目をって何? ダークヴェールに薬と包帯返してやるべき? それともアレかな? あたしダークヴェールに治療費払ってやれって言われてる? あたしが? 仕事に失敗したあんたに?」

 

「ち、ちがっ! ボス、そういう事じゃなくて――ガハッ!?」

 

「あんま甘えた事言ってんじゃねぇぞ。ここまで情け掛けられといて何がヴェンデッタだ!!」

 

「ゴハアァッ!!!」

 

「……チッ、そのバカ下げて。追って沙汰を下すから」

 

「はい」

 

「それと、コンシリエーレは居る?」

 

「ボス、ここに」

 

「このバカの仕事、あんたが引き継いで」

 

「了解です、ボス。しかし……コイツの言った通りダークヴェールに付き従ってる女が全員ニケだとしたら、正直に言えばかなり面倒です。制圧するとしたら組員に甚大な被害を覚悟しなければならないかと……」

 

「いや、いい。暫くは強硬策は取らなくても。無理そうなら正直にそう言って。こっちも後で手を考えるから」

 

「分かりました。すぐに仕事にかかります」

 

「ええ。……ふう……。悪いね、ダークヴェール……組員を治療して返したのは、あたしと敵対する意思はないっていう意思表示なんでしょうけど、でも残念。あたしにはあるんだ。あんたと敵対する理由。

 

 いつまでも……あんたみたいな時限爆弾を抱えておけないのよ」




現在公開可能な情報

ハーモニーキューブ研究日誌

■■月■■日
ゲルトルートがロストセクターで調達してきたハーモニーキューブだが、流石に表面だけ見てこれは何々だ~とか、これはこうなってるんだ~とかは分からない。なのでまずはニケに持たせて実験する事にした。

こういった小型のハーモニーキューブは、戦闘補助デバイスとして使えるというのが原作であった設定だ。早速レイチェルに持たせてみたが、その結果なんか手先が器用になったというのが本人の感想だ。マガジン装填が0.7秒だけ早くなったらしい。確かに原作でリロ速キューブがあった。とは言えプラシーボ効果でなければいいが……

■■月■■日
ハーモニーキューブは電子製品の筈なのだから、PCに繋げて調べられるのでは? という考えから、古いPCに繋いでみた。古い……というのは、新しく作ったPC(安い買い物ではなかったが、ブラックネットで結構質のいい部品を調達できたので性能はゲーミングPC並)があるからだ。

でまぁ、出てきたのは案の定難解なプログラミングだ。C言語はおろか、恐らくこのプログラミング言語は前世にはないタイプだ。

これだけ難解なプログラムを作れる地上時代の技術力に敬意を表すと同時に、時間がかかるであろう解読に、なんか腹立ってきた……

■■月■■日
埒が明かないので、一個分解して調べてみる事にした。電子回路を直接調べた方がいくらか話が早いだろう。

中にはナノマシンが入っていたようだった。コイツを直接調べるのは今の設備じゃ限界がある。まずはキューブ本体の調査だな……

■■月■■日
詰まった……分解という手段を用いたのはこれで二回目だ……。あらゆるコードがごちゃ混ぜになっているとかそんな説明があった気がするが、そんなレベルじゃないぞ本当に。これ本当にプログラムとして成立してるのか!? というかコレ作った奴一体何者だ!? 地上時代は技術力ムキムキでしたーで片づけたくないぞ!?

……落ち着こう。アークが百年かけて調査してもお手上げな代物だ。そう簡単に解析出来れば苦労はない。……しかし、アークは多分、ここら辺で調査が詰まってるな……。となると、ここからが正念場だな……。アークと大きく差をつけるチャンスだ。絶対に解析してみせる。

■■月■■日
研究を始めてから5カ月、執念と根性で到頭使われてるプログラミング言語をマスターした。それにキューブ本体に使われている材料も分かった。しかしまだ足りない。プログラムの解読は相変わらず。その上このプログラム、どうもキューブの種類ごとに違うようだ。まぁ性能がキューブごとに違うんだからそらそうだわな! 

だが希望は見えてきたぞ。電子回路がどうなっているかは大体わかった。どういう仕組みで出来てるのかも解析が進んでる。後はプログラムだ。全部を理解する必要はない。ハーモニーキューブという形、たとえ性能が違っていても根本は同じな筈だ。ならば違う種類のハーモニーキューブを見比べてみて、共通点を見つけ出すんだ。絶対に共通点がある筈だ。見ていろ地上時代! 転生者の頭脳を嘗めるなよ!!

■■月■■日
研究を始めてから9カ月、ついに成し遂げた……。
そして言いたい。もうちょっと解りやすいプログラミングを作れえええええええ!!!!

……疲れた。ハーモニーキューブの根本的なプログラムの解読に成功してからは話が早かった。ごちゃまぜなコードとやらが芋づる式に法則性を見つけ出せた。今なら自信を持って言える。

ハーモニーキューブは作れる。

なので燃え尽きてる場合じゃないんだなぁこれが!!

■■月■■日
研究を始めてから丁度一年が経つ。ついにハーモニーキューブの試作品が完成した。

……いや、正確には分解したハーモニーキューブを修復……いや、これも正確な表現ではないな。

というのも、分解したやつを材料にハーモニーキューブを作ったんだ。だが分解前と同じなのはガワだけでな……独自に改造を施すために内部は相当弄った。戦闘員をより()()()に補助する為にだ。もう前のやつとは殆ど別物と言っていい。

ベアトリスが明日地上に出るから、その時に持たせてみるか……? いやまだ駄目だ。まずは性能テストだな……。実戦はその後だ。
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