【完結】FFX もう1人の物語&Re:FFIX 帰る場所を求めて   作:ウルハーツ

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Chapter9 最後の戦い

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 イーファの樹、近郊

 

 黒魔導士の村を出たジタン達は飛空艇、インビンジブルに乗って最後の戦いへ挑もうとしていた。イーファの樹上空に出現した謎の光。その先に何があるのかは分からないが、間違い無くクジャは居る。暴走して世界を破壊しようとする彼を止める為に、負けられない戦いが始まろうとしていた。

 

「行くぞ!」

 

 ジタンの声と共にインビンジブルは光へ近づき始める。しかし、そんな光の中から何かが大量に出現し始めた。……それはテラでガーランドが差し向けた銀竜。しかし1匹どころでは無い数百以上は居そうな数を前に、全員は戦慄する。ブリッジから見える外には大量の銀竜。数十匹が飛空艇へ攻撃を開始しようとする中、横から飛来した大砲が銀竜を撃ち落とした。

 

「あれは、レッドローズ!?」

 

「そんな、ヒルダガルデ3号も……シド叔父様」

 

 ダガ―はこの戦いへ出向くに当たって、これ以上迷惑は掛けられないと彼らに何も告げずに来ていた。だが全て御見通しだったのだろう。プルート隊をスタイナーの代わりに率いたベアトリクスがレッドローズに乗って。リンドブルム大公のシドが自ら指揮を執ってヒルダガルデ3号に乗って。加勢にやって来た。

 

 沢山の艦隊が現れては銀竜を撃ち落としていく。そんな光景を前に、レイナは一瞬感じた感覚に胸を押さえた。そして人知れず頷いた彼女は、ブリッジを飛び出す。突然の行動にエーコが声を上げて驚く中、レイナが向かった先は……上陸する際に使う転送装置。

 

「何をする気じゃ!?」

 

「ここは思いっきり空の上アルよ!」

 

「悪いな。どうにも、我慢出来ないらしい。安心しろって。俺、飛べるからさ」

 

「何を言って!」

 

「レイナぁぁ!」

 

「はっ? お前、馬鹿っ」

 

 フライヤとクイナの制止も聞かずにレイナがそれを使った時、転送される寸前でエーコが飛び込んだ事でレイナは驚きの声を上げる。そしてそれが遮られる様に2人の姿はインビンジブルから消えた。

 

「た、大変アルよ!」

 

「本当に、何を仕出かすつもりなのじゃ……」

 

 クイナが大慌てでジタン達へ伝えに行く中、誰も居なくなった転送装置を見てフライヤは頭を抱えた。

 

 

 

 

 

 

 

 インビンジブルから飛び降りたレイナは当然の如く落下していた。彼女の上には両手両足を広げて同じ様に落下しているエーコの姿があり、レイナは強風に髪を振り乱しながらも彼女の元へ近づいた。エーコも同じ様に近づき、やがて2人は手を取り合う。

 

「こんな所までついて来なくて良いんだよ!」

 

「今までずっと一緒だったんだから、最後まで一緒に決まってるでしょ!」

 

「あぁー! ったく! しっかり捕まってろよ!」

 

 レイナはエーコを抱き締める様に抱えると、左手を胸の前に掲げる。やがてそこから生まれた光は彼女の手の中に淡い光を放つ宝石を生み出した。そしてレイナはそれを上空へ放り投げると、左手で銃を構える。右腕でしっかりとエーコを掴んだまま、発砲した弾丸は宝石に当たり……弾けた。

 

 

「っ! 何か来ますっ!」

 

「あれは……召喚獣……?」

 

「ガーネット姫が? いや、向かう先は飛空艇の下……むっ!?」

 

 レッドローズで指揮を執っていたべアトリクスが、ヒルダガルデ3号に乗っていたシドが空から舞い降りる召喚獣……ヴァルファーレの存在に気付いた。そしてシドは双眼鏡で落ちて行くレイナとエーコの姿を見つける。ヴァルファーレは真っ直ぐに彼女達の元へ近づくと、何時かの様に浮かぶ板(ホバーボード)へと姿を変えた。

 

 足元へやって来たそれに乗ったレイナはエーコにしがみ付いている様に言うと、上へ舞い上がる。そしてインビンジブルのブリッジへと迫る銀竜へ一気に近づき、黒鬼徹を構えて振り払った。悲鳴を上げながら落ちて行く銀竜を前に、レイナは改めてインビンジブルと並行する様に飛び始める。

 

「一気に飛ばすぜ。振り落とされんなよ!」

 

「うん!」

 

 エーコが腰にしがみ付いたと同時に宙を走り出したレイナは迫る銀竜を相手に戦いを始める。時には大砲が。時には斬撃が銀竜へ襲い掛かれば、インビンジブルへ近づく余裕のある竜は一匹も残らなかった。

 

「は、はは……流石に驚いたぜ」

 

「世界が違うと、こんなに違うものなのね」

 

「いや、流石にあれが普通な世界は無いと思うぜ?」

 

 インビンジブルから眺めていたダガ―とジタンの会話に、見ていた者全員が頷いた。

 

 光へ入るのも後少し。そんな時、更なる銀竜とそれを従えた巨大な竜……神龍が姿を見せる。大砲の攻撃が届く範囲に居ないそれらはインビンジブルとレイナ達へ向かって攻撃を仕掛ける中、その場で回転するなどして攻撃を避けていたレイナは突然、ヴァルファーレから飛び降りた。

 

「何やってんだ!?」

 

 ジタンが思わず声を上げる中、レイナは落下しながら黒鬼徹をヴァルファーレを向ける。するとヴァルファーレの嘴部分から魔法陣が浮き上がり始め、それがレイナの黒鬼徹に向かって光を放ち始めた。それは知る者は知る、シューティング・パワー。しかし攻撃では無く、まるで彼女の武器へ力を与える様に放ち続けた光。やがてそれが終わった時、レイナの持つ黒鬼徹は淡い紫色に発光していた。

 

「これが俺の、全力だぁぁぁ!!!」

 

「いっけぇぇぇ!!!」

 

 レイナの声とエーコの声が同時に木魂する中、レイナは発光するそれを身体ごと何度か回転した後に全力で振り払う。シューティング・パワーの力が全て込められた斬撃は距離を追うごとに巨大化していき、やがて神龍の元へ到達する頃にはその巨体の数十倍になっていた。

 

 光の中に別の光が生まれる。思わず見ていたジタン達は眩しさの余り目を庇い、そして次に見たのは……大量の銀竜も、それを率いていた銀竜も居ない光の中だった。

 

「どうよ?」

 

「名付けて、シューティング・ブレイカーってところね!」

 

 ヴァルファーレへ再び着地したレイナの言葉にエーコが技の名前を命名する。そして彼女達はインビンジブルと共に光の中へと消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 光の中にあったのは不思議な空間だった。今尚その様相が形作られているところであり、先にインビンジブルを降りていたジタンだけがその場所を姿無きガーランドの声によって聞かされる。……記憶の場所。そう呼ばれた空間には、誰も知らない真実が眠っているとガーランドは語った。

 

「よっと」

 

「お疲れ様!」

 

「何だったんだよさっきの!」

 

「エーコの召喚獣、じゃないわよね?」

 

「ふふん! レイナも召喚獣が呼べるのよ! 一体だけだけど」

 

「ふむ。お主、召喚獣は嫌いだったのでは無かったか?」

 

「誰も好きで呼べる様になった訳じゃない。成り行きでそうなっただけだ」

 

 レイナとエーコも着陸した時、ヴァルファーレは元の姿へと戻って空へと消えてしまう。エーコがそれに手を振って見送ると、当然ながら先程の戦いについての話になるが、レイナは余り語りたがらない様子だった。それを察してジタンはそれ以上聞く事無く、ガーランドから知らされた内容を全員へ説明。分からない事が多いまま、それでも奥へ進むために全員は足を進めた。

 

 記憶の場所の道中には様々な違和感が存在した。まるで知らない筈の場所なのに、何故か知っている様な感覚。進む度に前の部屋とは全く異なる景色。中にはダガ―が幼い頃に経験した光景が流れる瞬間もあったが、不思議な事にそれをジタンや他の面々も見る事が出来た。そして進む毎に現れるカオス達。以前は手分けして向かった祠で戦ったガーディアン達が、強化されて立ちはだかったのだ。しかし、全員の力を合わせれば難なく彼らに打ち勝つ事が出来た。そうして、進み続けたジタン達はまた不思議な空間を訪れる。

 

「っ! ここは……」

 

「レイナ?」

 

 見えるのは夜空と建物の明かり。その建物はガイアには存在しない作りであり、ジタン達は何時の間にか人混みの中に紛れ込んでいた。すれ違う者達は一様に身体をすり抜け、実際には存在しない事が分かる。そしてそんな人々は何かを一点に見つめ、騒いでいた。

 

『大召喚士の誕生だ!』

 

『俺は信じてたぜ。ブラスカならきっとやるってな!』

 

『お前、アルベドの女と結婚した奴に出来る訳が無いとか言ってた癖に都合が良いな。でもめでたい話だぜ!』

 

『また、あの平和なナギ節が来るのね!』

 

「……」

 

「大召喚士? ブラスカ?」

 

「アルベドにナギ節。聞いた事無いな」

 

「レイナ……ぇ……?」

 

 人々の声を聞きながら、何も言わずに目を閉じて進み始めたレイナ。ダガ―やジタンがその言葉を聞いて首を傾げながらも進む中、レイナを心配したエーコは自分の目の前に小さな少女の姿を見る。自分と同じ大きさの少女は、喜び合う人々の姿を睨み付ける様にして見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 クリスタルワールド

 

 記憶の場所を超えてジタン達が訪れた場所は、一面が光輝く結晶で出来た空間であった。それはガーランド曰く、クリスタル。全ての始まりはクリスタルからであり、クジャが破壊しようとしているのもクリスタル。それが破壊されれば、世界は崩壊する。

 

 最奥へ辿り着いたジタン達の前に、クジャは浮かぶ様にして待っていた。そして彼が差し向ける巨大な魔物を退けた時、彼との戦いは始まった。トランスしたクジャの力はやはり圧倒的であったが、それでも何とか食い下がって攻撃を与える。そして彼が自身の死を間近に感じた時、何時かの様に究極魔法・アルテマを放った。

 

「僕の存在しない世界なんか、必要ないんだ。全部、全部破壊してやる!」

 

「クジャ!」

 

 ジタンが彼へ立ち向かう様に放った一撃が当たると共に、空から降り注ぐ光がジタン達へ襲い掛かった。

 

 

 絶望の丘

 

 そこは見覚えのない場所だった。目を覚ましたジタンは周囲に仲間達が倒れているのを確認して、何処かから聞こえる声と言い争いを始める。……それはクジャの死に対する恐怖が呼び出した存在、永遠の闇。ジタンはそれに立ち向かうべく、崩れそうな足を奮い立たせる。そして彼の声に答えて、1人1人が同じ様に立ち上がった。

 

 それは紛う事無き最後の戦いだった。己の全てを出し切って、絶望の具現化した存在とも言える巨大な相手へ立ち向かった9人はボロボロになりながらも遂にそれを倒す事が出来る。そして爆発する様に消えていく存在を前に、再び彼らの意識は遠くなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 イーファの樹

 

 再び目を覚ました9人はイーファの樹へ繋がる道の入り口に立っていた。上空では爆発を見ていたレッドローズとヒルダガルデ3号に乗る者達が、既にジタン達は死んでしまったのではないかと絶望する中、彼らの生存に気付く者が1人。それはテラでジタンを導き、ブラン・バルで最後に彼によって救われたジェノム……ミコトであった。

 

 レッドローズに乗っていたべアトリクスからの通信を受けて、ヒルダガルデ3号は彼らを救出する為に降りて来る。既に上空にあった光は消えており、世界の危機は退けられたのだろう。飛空艇へ乗り込もうとする中、ジタンだけはその足を止めた。

 

「悪い、先に行っててくれ」

 

「ジタン?」

 

「あいつ、まだ生きてるんだ」

 

 それが誰の事なのか、その場に居た全員には分かった。世界を壊そうとして、自分達をも殺そうとしたクジャ。しかしそれでもジタンは彼が生きていると感じた事で、助けに向かう事を決める。救える命があるのなら、放ってはおけないという彼の性分に同行しようとする者も居たが、ジタンはそれを止めた。

 

「ふん、勝手な奴だ」

 

「お主のそういうところ、嫌いでは無かったのじゃ」

 

 サラマンダーとフライヤは、もう彼を止める事が出来ないと悟る。そして飛空艇に乗り込めば、他の面々もジタンへ改めて視線を向けた。

 

「もっと美味しい物を教えて欲しかったアルよ」

 

「ジタン。色々な事を教えてくれて、ありがとう」

 

「ちゃんと生きて帰って来ないと許さないわ! ダガ―も寂しがるんだから!」

 

「なんだかんだ、世話になった。……死ぬなよ?」

 

 クイナ、ビビ、エーコ、レイナの順で彼に声を掛けると、4人もまた飛空艇に乗り込む。そしてスタイナーはダガ―が乗り込むのを騎士として待ち続け、ジタンはダガ―と互いに言葉を交わす。やがてスタイナーと共にダガ―が飛空艇に乗り込めば、ジタンはウォーミングアップをする様に身体を解して……イーファの樹へ飛び込んだ。




常時掲載

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