【完結】FFX もう1人の物語&Re:FFIX 帰る場所を求めて 作:ウルハーツ
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死闘の末、現れたマーカスと彼が助けたがっていた盗賊のブランクが現れた事でレイナ達は彼らが見つけた抜け道を通って城を脱出する事が出来た。しかし無傷の生還とはいかず、負傷したり疲れ切っていたりと真面に動く事が出来なかった4人。逃げたジタン達の安否を確認したいと思っても、それが叶う事は無かった。
そしてあの戦いから数日。アレクサンドリアの女王、ブラネの死と共にジタン達はアレクサンドリアへ戻って来た。
アレクサンドリア城。
「それでね、クジャって奴を追い掛けてまたあの鉱山から外に出る事になったのよ」
「はは、かなりの大冒険だな」
「もう、本当に色々大変だったんだから!」
ブラネ女王亡き後、ジタンを始めとした王女誘拐に関する指名手配は全て解除された。べアトリクスやスタイナーも反逆者として暫しの間隠れていたが、表立って行動できる様になった中。レイナはダガ―とした約束を果たしてもらい、城の中にあった図書館で自身の世界へ戻る術を探していた。学者たちが入り浸るそこに現れた少女の存在は異質であり、なにより彼女について来たエーコの声は静かなこの場所で非常に響く。中には嫌な顔をする者も居るが、殆どの学者たちは優しい目を向けていた。
エーコが語るのは、アレクサンドリア城を逃げてからの大冒険。本来であればトレノで降りる予定だったガルガントが魔物に襲われて止まる事が出来ず、リンドブルムに近い場所へ飛び出てしまった事から始まる。その際、エーコがリンドブルムでレイナに買ってもらった帽子を失くした事は彼女にとってとても辛い思い出である。
実はダガ―の身体の中には召喚獣が宿っており、ブラネ女王の命令で道化師達は彼女に宿っていた召喚獣を取り出していた。そしてそれを使ってブラネは他国ブルメシアの王を亡き者とし、次にリンドブルムへ侵攻。目覚めた場所で改めて新たな召喚獣と契約を交わしたダガ―は、ジタン達と共に遠くからリンドブルムが崩壊する様を目にする事となった。
「ブリ虫って言ったか? あれになった偉い奴は無事だったのか?」
「お城は被害を受けなかったんだって。でも街は皆ボロボロだったの。レイナと一緒に食べたあの美味しいスープのお店も無くなっちゃったみたい。それに……レイナの武器を直してくれたお爺さんも、黒魔導士に手をやられちゃったって」
「……そうか」
崩壊したリンドブルムへ向かったジタン達はシド大公と再会。そして彼らは大公の口から『クジャ』という者について聞かされる。ブラネが力を付けて他国へ侵攻した裏には、力を与えた彼の存在があると。故に彼を倒す事がブラネを止める手段に繋がる、と。
「エーコ、ビックリしたんだから! 皆、霧の大陸から出るって。その為の方法が廃鉱で、外に繋がってるかもしれないって」
「それでまたあそこに行った訳か」
話を聞いていたエーコはその場で告げた。自分達はその鉱山を通ってリンドブルムへやって来たと。ジタン達はそこで初めてエーコが自分達の居る大陸、霧の大陸とは別の未開の地……『外側の大陸』の住人であると知る。そして廃坑へ向かう最中、ク族と呼ばれる種族の仲間を増やしてエーコに導かれながら外側の大陸へ。最初に寄った場所は、コンデヤ・パタであった。
「相変わらず皆のんびりしてたわ。でもあの黒魔導士がまた居て、ビビが追っ掛けてあの人達の村へ行く事になったの」
「ビビ……あぁ、あいつか」
小さな黒魔導士の少年、ビビ。彼は自分と同じ特徴を持つ黒魔導士兵の姿を見て、アレクサンドリア城で戦った心を持たぬ者とは違う話の出来る黒魔導士を見て、話をしたいと願った。そしてドワーフからクロマ族と呼ばれる彼らの住む場所を教えてもらい、そこへ向かう事になったのだ。
「エーコ達が会った人はもう居なかったの。土の下に埋まっちゃったんだって。それって……死んじゃったって事なのかな?」
「……」
黒魔導士兵の秘密を知る事になったビビは、彼らに外の世界を伝える為に改めてジタンと行動を共にする様になる。そして同じ村でクジャに関する情報を手に入れた彼らはコンデヤ・パタに戻り、山道へ入ろうとした。だがそこはドワーフ達に取って聖域への道であり、条件を満たした者しか入る事を許されない場所であった。
「その条件がね、男女が誓いを交わす。だったのよ! ジタンとダガ―がそれをしたんだけど、行けないエーコ達に『お前らもしたら?』って! もう、信じらんないわ!」
「でも、やらなきゃ通れなかったんだろ?」
「そもそも、エーコの家に帰るのに何でそんな儀式が必要なのよ! それに、そう言う事は……大事な人とするんだから。チラっチラッ」
「……結局、どうしたんだ?」
「むぅ……エーコは何度かあそこへ忍び込んだ事もあったから、抜け道なんていくらでも知ってるの。だから簡単に通り抜けられたわ」
態々言葉に出してまで思わせぶりな態度を取るエーコを前に、レイナが特に触れる事も無く続けた事でエーコは少々頬を膨らませながら答える。
山道を通ってマダイン・サリへ帰った彼女をモーグリ達は喜んで出迎えた。そしてそこで休憩をすると共に、イーファの樹へ行きたいと言ったジタンの言葉を受けてエーコは悩む事になった。
「イーファの樹って、あの山道で見た馬鹿デカい奴か」
「うん。クジャがそこに居るかも知れないって。でもあそこは
「けど、結局は入ったんだな」
エーコはレイナの言葉に頷いて、冒険の続きを話す。
イーファの樹へ入ったジタン達はそこが霧の大陸に広がる『霧』の発生源であると知る。人体に有害で、魔物を生み出す霧。黒魔導士兵も霧から作られており、彼らは霧を止める為に巨大な敵と対峙する事になった。ダガ―の為に、母親を止める為に、人殺しの兵器を作らせない為に、ムカつくから。各々の思いを胸に戦い、勝利した事で霧は世界から消える事となった。
「それじゃあ、今この大陸には」
「霧が無いのよ。レイナは街の外に出て無いからまだ見て無いんでしょ?」
「あぁ。でも、それなら面倒な魔物は居ないって事だな」
霧を消してクジャが来るまで、マダイン・サリで休息を取る事にしたジタン達はブラネ女王に雇われてダガ―の持つ宝石を狙う女に襲われる。……そして彼女はエーコの首にぶら下げていたそれも狙い始めた。しかし同じくブラネに雇われた焔色の髪をした男が、ジタンと戦いたいという思いを優先して妨害。決闘をする事になる。
「捕まえたエーコを投げたり、餓鬼だって言ったり。本当に失礼しちゃうんだから!」
「大きい奴ってのは、大概そんなもんなんだよ」
子供扱いされる事は日常茶飯事。簡単に持ち上げられてしまった事も数知れず。故にレイナはエーコの言葉に同意しながら、諦めた様子で告げる。
決闘の勝者はジタンであり、男は止めを刺す様に言うもジタンをそれをしない。そして撤退する姿を見てから、改めて休息を取った彼らはイーファの樹へ再び向かう事にした。その際、再び現れた焔色の髪をした男にジタンは自分達と一緒に来る様に誘う等する場面もあり、人数を増やしながら到着したイーファの樹で……目的の男、クジャと対面する。
「何か、自分大好き~! って感じの奴だったわ。ムカつく奴なのは確かね!」
更にアレクサンドリアから遥々彼の命を狙いにブラネ王女が艦隊を連れて現れ、クジャへ攻撃を仕掛けた。そして竜王バハムートを召喚した彼女の勝利は決まった……そう誰もが思う。しかしクジャが何かをした時、空に突如として現れた赤い瞳に魅入られたバハムートは暴走。召喚主であるブラネ達に襲い掛かった。
「ダガ―、あの人は本当のお母さんじゃないって言ってた。自分を殺そうともしたのよ? なのに、助けたいって。だけど結局……」
「……」
ブラネは死んだ。自分達が今、自由に動ける様になった背景にはダガ―の涙があった事をレイナは改めて知る。
「ダガ―は召喚獣が使えるんだよな?」
「うん。ダガ―はね、エーコと同じマダイン・サリで子供の頃は住んでたみたいなの」
「は? じゃあ、同郷って事か? なら、ダガ―も」
「召喚士一族なんだと思う。エーコと違って角が無いのは何でか分からないけど」
「全く。召喚獣ってのは面倒を呼ぶものなのか……?」
「……レイナは、召喚獣の事。嫌い?」
「あぁ。嫌いだ」
ジタン達と行動していた間、エーコは戦いの中で何度も召喚獣の力を借りていた。ダガ―と共にアレクサンドリアを目指していた際に使わなかったのは、レイナが召喚獣を嫌っていたためだ。エーコは少なくとも、召喚獣に。召喚士一族に誇りを感じている。だからこそ、レイナが嫌う事は悲しくて仕方が無かった。
「別にお前が嫌いな訳じゃねぇ。気にすんな」
「うん。レイナはエーコの事、大好きだものね!」
「……」
「そこは頷くところでしょ!」
エーコの抗議する声を聞きながら、レイナは改めて元の世界へ帰る為の情報を探す為に苦手な本を読む事にする。無視されていると分かったエーコが騒げば、流石に学者からの注意も入り、彼女は肩を落としながらレイナの隣にあった席へ座るのだった。
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アレクサンドリア城
「もう! レイナったらせっかくまた会えたのに本ばっかり!」
図書室を出て来たエーコは面白く無さそうに1人、怒りながら地団駄を踏む。冒険の話に関しては聞いてくれていたものの、本格的に本を読みだしてからというもの。苦手な事もあってか理解するのに必死だったレイナはエーコの話を聞く余裕が無かった。その結果、エーコの話を流してばかりで真面に聞いていなかったのである。
「どうにかしてレイナを意識させないと駄目ね! それに、もしレイナが自分の世界に帰る方法を見つけちゃったら居なくなっちゃうかもしれない。その時はエーコがついて行くか、レイナがこの世界に残りたいって思える様にしないと。うーん」
城のエントランスで悩みながら2階へと上がり、無意識に考えながら徘徊していたエーコは同じ様に考え事をしながら歩いていた人物と激突してしまう。自分の不注意も棚に上げて突っかかりに行ったエーコだが、その相手を見て少々嬉しそうに話し掛けた。
「あ、トレノに居た偉そうな人!」
「おやおや、あの時のお嬢さん……ん? んん?」
「エーコの顔に何か付いてる?」
「いや、顔では無く頭に……その角は一体」
相手はトットだった。彼はブラネ女王亡き後、
「そうだ! 貴方は物凄く頭が良いんでしょ?」
「? 何かお困りですかな?」
「好きな人にエーコを意識させたいんだけど、忙しそうで相手にして貰えないの。そんな時に上手い方法って何か無いかしら?」
「ふむ」
エーコの言葉にトットは考える。トレノで出会った際にレイナへ懐いていた姿を見ていた彼は、現在レイナが城の図書室に入り浸っている事も知っていた。故にエーコの相談に関連する相手が彼女である事は彼にもすぐに分かる。書物を読むのに四苦八苦する彼女の気を引く方法……少し考えた後、彼は1つの方法を思いついた。
「手紙を書くのは如何ですかな?」
「手紙……ラブレターね!」
「それを相手の本に忍ばせておけば、自然と読む事になるでしょう」
「良いわ! それじゃあ、どんな文面にすれば良いかしら?」
トットはエーコの角に興味があり、エーコは手紙の内容を考えるのに彼の手伝いが欲しい。そんな互いの目的から共に行動する様になる。……そうして出来上がったエーコ力作のラブレターが、巡り巡って2人の男女を結ぶ事など今は知る由も無い。
「~~~っ! 駄目だ、分かんねぇ」
読んでいた本を勢いよく閉じて大きく背伸びをしたレイナはそのまま頬杖を突き、本の表紙に触れる。『世界の起源』と書かれたその表紙の中身は確かにその通りの内容だった。この世界を知る事で、自分の世界に関する何かが見つかるかも知れない。そんな思いで手に取った本だが、開いて見ればそれはただの歴史書。レイナの思っていた内容とは全く違うものであった。
「エーコもどっか行っちまったし、このまま本の虫になってても意味があるとは思えないんだよな……俺、帰れるよな……?」
彼女の問いに答えられる者は恐らく、世界中何処を探しても居ないだろう。不安に胸が一杯になりながらも何とか諦めないで来たレイナだが、現状は彼女に厳しかった。
霧の大陸と呼ばれている今の場所には、3つの大きな国がある。1つはリンドブルム。1つはアレクサンドリア。1つはブルメシア。当然巨大な国故に必然的に知識なども集まり、既にレイナはリンドブルムとアレクサンドリアで目的の情報が手に入らないと知った。最後の国はブラネによって滅ぼされてしまった為、今は荒れ果てた場所となっているだけ。他に情報を手に入れられるとすれば、それは未開拓の地とされる外側の大陸だけだった。
本を片付けて少し外の空気を吸う為に城を出る事にしたレイナは、アレクサンドリア兵が漕ぐ小舟に乗って城下町へと向かう。
アレクサンドリア城下町
最近は他国へ侵攻を開始するなど、様子の可笑しかった今は亡き女王ブラネ。しかしそれでも彼女を慕っていた民達は多く、少々重苦しい雰囲気が街にはあった。
小舟から降りたレイナは水面を眺めるフライヤの姿に気付いて声を掛ける。彼女も城での戦いでかなり疲労を抱えていたが、十分に休息を取る事が出来たのか今まで通りの様子を見せていた。
「知りたい事は知れたのか?」
「いや、正直駄目そうなんだよな」
「そうか。お主は何について調べているのじゃ?」
「あー、もしこの世界とは別の世界があるって言ったらフライヤは信じられるか?」
「別の世界? そんなものがある等、聞いた事も無いが……」
「だろうな。まぁ、そんな感じのあり得ない様な話だ」
その後、一言二言言葉を交わしてからフライヤと別れたレイナは、その通りすがりに焔色の髪をした男とすれ違う。相手は子供だったレイナに興味が無いのか何もせずにすれ違うが、レイナはその姿を見てエーコの話を思い出した。
「まさかな」
アレクサンドリアへ戻って来るまで、一緒だったという話は聞いたものの同一人物かは分からない。故にそれ以上気にする事もせず、レイナは街の中へ向けて足を進めた。……その後、フライヤと焔色の髪をした男が喧嘩を始めてジタンが止めに入る騒ぎがある事はレイナの与り知らぬところである。
「今日は災難続きだわ!」
トットの協力を得て無事に作り上げた手紙を手に図書室へ向かったエーコ。しかし途中で大男と激突してしまい、飛ばされた彼女はエントランスの装飾に引っ掛かってしまった。そしてその拍子に『レイナへ』と書いてあった手紙を落としてしまった事で、「届けておいてやるよ、がはははは!」と言いながら持って行かれてしまう。相手は隣の部屋に居るにも関わらず、外へ出てしまったその男に怒り心頭になったエーコ。引っ掛かった場所が非常に高い場所だったため、降りる事も出来ずに騒いでいた彼女に気付いたスタイナーによって救出されるも……図書室へ戻っても既にレイナの姿は何処にも無かった。
城へやって来たジタン達と出会って女王となるガーネットと面会する事になり、彼女と宝物だった宝石を分け合ったエーコは改めてレイナを探す。しかし城の何処にも居なかった事で、彼女はジタン達と共に城下町へ向かう事にした。するとそこで自分を探していたトットと再び出会い、彼から話をしたいと持ち掛けられる。アレクサンドリアでは無く、彼の自宅があるトレノで。
「レイナが居ないの。探してるんだけど……」
「アイツは今、何かは知らないけど調べ物で忙しいんだろ? 邪魔しちゃ悪いんじゃないか?」
「うーん。そうね、それじゃあ行こうかしら」
レイナを見つけたところで、今の彼女はきっと真面に相手をしてくれないと思ったエーコはトレノへ行く事を決める。話を聞いていたジタンも、現在カードゲーム大会がトレノで開かれている事から同行する事になり、ビビやフライヤ、焔色の髪をした男も同行する事になる。そうして全員は城の地下からガルガントを使ってトレノへ向かう事となった。
まだこの時、誰も知らず気付けない。トレノへ向かうジタン達も、新たな女王となる事に不安を抱くガーネットも、彼女を守ると改めて決意するスタイナーとべアトリクスも、そして民家の屋根の上で横になりながら空を見上げて欠伸をするレイナも。
アレクサンドリアに新たな災厄が襲い掛かる事を。