私の過ごした7年間   作:潜水ラクダ

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試験よ終われ

 あれから、パーキンソンは私に手出しはしていない。目の敵にはしているけど。

 

 理由は簡単で、期末試験が近いのだ。彼女も頑張っている様だ。私も初めてのテストとあって必死で一年間の授業内容を復習している。ダフネは勉強が苦手な様で、試験の影響で多くなった宿題とうんうんと唸りながら、苦戦している。私も同じ状況なので二人で助け合いながら、どうにか宿題を終わらせる。魔法薬学と変身術はいつも私達の前に立ちはだかる。きっと、あの二人の先生は生徒の目の下にクマを作りたいのだろう。全く、若い頃の睡眠不足は肌に悪いって、ラベンダーが言ってたのに。

 

「ねぇ、ここ分かる?」

「ダフネ、私に人狼について聞かないで、狼人間がいるってだけで私にとって驚きだったんだから」

 

 闇に対する防衛術も大変だ。どの科目にも言えることだけど、魔法界の常識の無い私にとって、いきなり狼人間がどう、だとか、この植物がどう、だとか、ハグリットの料理がどう、だとか、言われても分からない。あ、そう言えば、ダフネがようやく今朝、私にシチューの毒味をさせずにシチューを食べれる様になったんだ。試験のせいで忘れているだけかもしれないけど……。

 

 他の生徒も私達と同じで試験勉強で忙しい。そのおかげでハーマイオニー達へのいじめ(?)も無くなった様だ。これも忘れているだけの様な気もするけど……。

 

 この機会を逃さず、ハーマイオニーに話しかけにいこう。友達なら本来、こういう時じゃなくて、つらい時に話しかけにいくのが普通なんだろうなぁ。

 

 彼女は図書館にいた。机には彼女と、ポッターと、え〜と、グリズリー、何か違う様な、でも、こんな響きだった様な……。私が考え事をしていると、男子二人がいなくなった。今がチャンス。

 

「ハーマイオニー、元気にしてる?」

「! ちょっと、アリア。びっくりしたじゃない、驚かさないでよ」

「え〜、びっくりしたハーマイオニーの反応、面白いのに」

 

 私が意地の悪い笑みを浮かべて、残念そうに言うと、ハーマイオニーは止めて、と怒りだした。はぁ、仕方ない。私の楽しみが減るけど、友達の頼みなら。今度、新しい楽しみでも見つけよう。

 

「それで、アリア、今日は何の用かしら?」

 

 特には無いんです、これが。ハーマイオニーと話したいから来たのはいいけど、友達を見かけたから話しかけてみた、って感じだし……。それでいいや。

 

「ううん、ハーマイオニーがいたから話しかけてみただけ」

「……それだけ?」

「うん、それだけ」

 

 ハーマイオニーはその言葉を聞いて、はぁ、とため息をついた。ん? 私、何かした?

 

「人前で話すのは避けようって言ったのあなたじゃない。それをあなたから破ってどうするの」

 

 ああ、そんなことも言いました、私。

 

「……確かに言ったけど、周り見てみなよ。皆、勉強中だし、ハーマイオニーが少し離れた席を取ってるおかげで、話も聞かれない」

「でも、見られているかもしれないわ」

「……大丈夫、大丈夫。今までの会話を思い出してみてよ。仕草と表情で談笑してるとは思われないから」

「そうかしら?」

「端から見ると、私がハーマイオニーをからかって、それで彼女が怒って、さらに私が何か言って、それを聞いた彼女は呆れてため息をついた。完璧。しかも、服から私達がグリフィンドールとスリザリンだと分かるから、それ以外の解釈は不可能」

「……」

「自分で言ってから考えた結果、こんな結論になりました。どう?」

「本当にそう思うのかしら?」

「まあ、そこは皆の想像力に賭けるしかないね」

「……そうね」

「さて、私も忙しいから行くね」

「えっ……ええ。分かったわ、また」

「うん、また」

 

 ポッターとグリズリーが帰ってくる前に消えようっと。やっぱり、あまり話さない友達と話すのもいいなぁ。今度、ラベンダーとも時間を見つけて話したいなぁ。その時はダフネも一緒に。

 

 ダフネは最近、試験という言葉に敏感だ。最初の試験だから緊張している部分もあるけど、自分に自身が持てない様だ。心配しなくてもいい、と言ったら、そう言うアリアはいっぱい勉強してるけど、と半目で睨まれた。私の場合は良い成績を取らないといけないんだ。援助金が増えないから。成績がいいと援助金が増えるんです。勉強を頑張るだけでお小遣いが増える。これはやらないと。ダフネは私が勉強を頑張る理由を聞いて、黙ってしまった。

 

「ダフネ、急に黙ってどうしたの?」

「ねぇ、アリア?」

「クリスマスにもらったプレゼント、もしかして無理して買ったの?」

 

 私がダフネに贈った小物入れのことだ。ダフネは気に入ってくれて、大切に使っている。ダフネはそれを買うために私が買いたい物を我慢して買ったとでも思っているのだろうか?

 

「お金が無いのに「お金はたくさんあるけど」……」

 

 援助金ってちゃんといっぱい出てますよ。ダフネと私の仲なので、どれくらいもらっているのか、声に出して言う。

 

それを聞いたダフネはお金持ってるじゃん、と言って怒った。どうも、私が貧乏で苦しんでいると思っていた様だ。ダフネから向けられる怒りをおさめて落ち着かせる。

 

「でも、それだったら、何でお金がほしいの?」

 

 落ち着いたダフネが私に尋ねてくる。

 

「え、だって、いっぱいある方がいいじゃん」

「……そうだね」

 

 何? 私、変なこと言った? いやいや、少ないより多い方がいいに決まってますよ。そうでしょ、ダフネさん。

 

 そこから謎の話し合いが始まった。内容は、『アリアは何で少しずれているのか?』だ。これはどんな手段を使っても否定しなければ、と私は思った。私達が夜更かしして話し合った結果、私がダフネを言い負かして、『皆が少しずれている』という結論になった。

 

 次の日の授業はすごく眠かった。ちなみに私は意地で起きてしっかりとノートを取った。援助金のために。ダフネは隣で船を漕いでいた。

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