明日から中間テスト。皆、一生懸命最後の詰め込みをしている。その中で私は最後の復習をしていると言い張りたい。でも、無理だ。私にも苦手な科目はある。魔法史や魔法薬学だ。
魔法史は実技が無く、先生の話を聞くだけの授業なのでテストも筆記だけ。だから、暗記が重要になる。私は、暗記はそんなに苦手じゃないけど、歴史が覚えられない。同じ学年の生徒の名前を覚えることでさえ、一苦労の私だ。歴史上の知っていても役に立たない偉人の方々のお名前なんて覚えるのは大変だ。それに、名前を覚えても、歴史上の出来事の順番がまた、覚えられない。一年間、少しずつ少しずつ復習していたからこそ、出来事の内容は覚えているけど、それが起こった順番が厄介だ。
魔法薬学は実技と筆記がある。魔法史と比べて、まだ、内容は覚えやすいが、問題がある。担当の先生である。私はスネイプ先生が好きではない。なんと言えばいいか分からないけど、一言で言うと、苦手なのだ。そのせいでやる気も出ない。
他の科目は落とすことは無さそうなので気にしない。
「ねぇ、大丈夫かなぁ」
声の主は私の隣で不安な顔をするダフネだ。不安なのは私も一緒だから。
「大丈夫だよ。ただのテスト。百点を取る必要も無いんだから」
「そ、そうだけど」
まだ、不安ですか。
「大丈夫。ネビルよりはいい点は取れるから」
「う、うん」
後、一歩かな。
「それに成績が悪くても、他の人は気にしないと思うけど」
「……アリアも?」
「ん? 私? 私が成績で友達を選ぶ人に見える?」
「見えない」
即答だ。どこにそんな根拠が……。
テストは思っていたよりも簡単だった。ハーマイオニーから教科書を全て丸暗記しないと、テストは落ちると聞いたので必死に教科書を暗記した私が馬鹿だった。その馬鹿事につき合わせてしまったダフネにはありったけの謝罪をする。でも、そのおかげでダフネも多少緊張で解けなかった問題もあったみたいだけど、全く解けなかった訳ではないと言って許してくれた。彼女の広い心には感謝だ。
テストが終わると、途端にやる事が無くなる。
「今日から何する?」
「久しぶりにハグリットに会いに行くのは?」
「私から聞いておいてあれだけど、ダフネ、行きたい?」
「……嫌かも。でも、この前のユニコーンの子供も見たいし……あのシチューさえ無ければ」
この前……訂正、かなり前にハグリットを尋ねた際に、おめえら、運がいいな、と言って、彼はユニコーンの子供を見せてくれた。ダフネが言うにはユニコーンそのものが珍しい動物で子供なんて見る事はほとんどできないそうだ。馬を実際に見た事が無かったので比べることはできなかったけど、多分、マグルが知っている馬よりも何か神秘的な動物だった。ダフネも私もその時はすごくはしゃいでユニコーンの子供を触った。その後だ。その思い出を見事に書き換えたシチューが登場したのは……。
シチューを思い出してしまったダフネは少し嫌そうな表情でこちらを見る。え、私に決めろ、と。
「……今日は止めようか」
ダフネほどではないけど、私にとってもあれはトラウマだ。今から行ったら間違いなく、夕食に巻き込まれる。
せっかくテストが終わったんだから今日は校庭でひなたぼっこしながらテストの後の開放感を楽しむことにしよう。今日は久しぶりにのんびりできるんだから。ハグリットの家への訪問は明日にしよう。
私とダフネがテストの後の一時を過ごした日の夜、私達が部屋でのんびりと会話を楽しんでいたその時間、ホグワーツの四階の立ち入り禁止の部屋の奥ではあり事件が起こっていた。そんなことを私は全く知らなかった。ましてや、それにハーマイオニーが関わっていること等。
私達は次の日、ポッターが医務室に運び込まれたと情報が入ってくるまでそれに気付くことはなかった。
ポッターは何故怪我をしたのか、最初に皆が知りたがったのはそれだ。その答えとして浮上したのが、四階の部屋だった。ダフネがどこからか仕入れてきた情報では、ポッターは立ち入り禁止の部屋の中で護られていた何かを悪人から護った。その時に怪我をした。
ダフネに情報の出所を聞けば、ラベンダーだったのでほぼ間違い無しだろう。さらに、ラベンダーの情報ではハーマイオニー達も一緒だったらしい。これは本人に確かめればいいのかもしれないけど、皆考えていることは同じでハーマイオニー達は皆から質問攻めにあっていた。なので彼女と話す機会がなかった。実際、聞いても何も答えてくれなかったと聞いた、ラベンダーから。
「否定しないってことはそういうことだよね」
「そうだよね」
私としては気にはなったけど、それ以上、真相は分かりそうに無いので、最後の日のパーティまでハグリットを尋ねたり、廊下を一人で歩いていたラベンダーを捕まえて、会話したり、試験の結果を確認したり。ちなみに、試験は、私はまあまあいい点数だった。ダフネも全科目平均以上だった。一位はハーマイオニーだった。それはそうだ。あんなに勉強して一位じゃなかったら、彼女はきっと壊れる。色んな意味で。
今日は学期末のパーティだ。明日には汽車に乗って帰るので皆大騒ぎだ。スリザリンのテーブルは他の寮よりも盛り上がっている。なぜなら、寮対抗戦で優勝したからだ。私も自分の寮が優勝したので嬉しい。
ある程度、食事も終わり、最後のダンブルドア校長の話を残すのみになった。
校長先生はグリフィンドール贔屓だと思う。それが校長の話が終わった後の私の感想。あの後の話で先生はポッターやハーマイオニー達に大きく加点して、最終的に一位はグリフィンドールになった。そして、順位が変わったので、大広間の垂れ幕をスリザリンからグリフィンドールに変えてしまった。その後はスリザリン以外の寮は英雄のポッターを讃えて大盛り上がり。逆にスリザリンはポッターを恨みつつ、どんよりとした空気だった。それにしても、皆がスリザリンをどれほど嫌っているのか、よく分かる光景だった。