機動戦士ガンダムSEED REVERSE 作:meitoken
尚、イリア、キール、ミサキの三人も地球に行きますが流石にジンでは厳しいから乗り換えは起こります。何かはお楽しみを
第八艦隊と地球軌道上で合流を果たしたアークエンジェル。旗艦メネラオスの隣に着くというだけでようやく味方と合流できた、という実感がより強く持てる。何せアルテミスは味方ではなく実質的だったからなおのことだ。
だが、合流できたところでマリューとナタルの間で議論が生じた。アークエンジェルに残った三機のGについてだ。
「あの性能だからこそ、彼らが乗ったからこそ我々はここまで来られたのです。」
要は、三人を手放したくない。軍に留まらせるべきだとナタルは主張するのだ。
「貴女の言いたいことは分かるわ…でも、キラ君達は正規の軍人ではないのよ?」
「ですが、彼らの力は貴重です!」
最初は難色を示していた彼女もコーディネイターのあの子達を認めた、というのは分かるがそれはあくまで軍としての視点だ。志願を強制すれば、それは徴兵になる。彼女とて、それは分かっているはずだ。
そして、アークエンジェルに第八艦隊司令官デュエイン・ハルバートンがやってきた。彼からの通達はまず、アークエンジェルを第八艦隊所属の艦として編入するということ。これによって、最大の問題であった識別コードは解決した。
その途中で、ナタルはキラ達を地球軍に残すべきだと主張した。
「レナ・クールズは二世代目のコーディネイターではある以上、困難でありましょう。ですがキラ、ユリ・ヤマトの姉弟は一世代目です。」
「何が言いたいのだ?」
「彼らの両親は今地球にいます。それを軍が保護して…」
「ふざけたことを言うな!そんな兵がなんの役に立つ!」
ナタルが言おうとしたことは、つまりキラ達の両親を人質に無理矢理入隊させようというのだ。いくら何でもむちゃくちゃだ。軍に忠実すぎる、と言えばそうだろう。レナをあえて除外したのは二世代目=両親もコーディネイターの彼女は地球軍将兵の感情面で困難だというのを理解しているのだろうが、それでも道徳面でもやってはいけないことだ。
「過去のことなどいい。問題はこれからだ。」
クルーゼ隊はガモフとツィーグラー二隻のローラシア級が合流していた。
レイスも搭乗機ごとヴェサリウスに移乗してパネルを見ていた。
「随分と地球に近づいているようね……となると、アラスカに直接降りてもらうつもり?」
アラスカは地球軍の総本部がある。あそこに降りられては、もはや手を出すことは出来ない。
「こちらから仕掛けるとして…デュエルは無理だとしてもガモフにはバスターとブリッツ、キール達のジンが三機。ツィーグラーにも六機いて、こっちは私とラウを抜いてイージス込みで五機……いけるかしら?」
アデスも頷いた。元々ナスカ級とローラシア級の積載数をオーバーしているだけのMS。過剰戦力でもあるし、相手がメビウスと戦艦だけなら充分にやれる。
「智将ハルバートン…そろそろ退場願おうか。」
ハルバートンから伝えられたのはアークエンジェルは現状の人員のまま、アラスカに降りて欲しいとのことだった。
「どうにもならん。補充要員を送った先遣隊も沈み、今の我々にはアークエンジェルに割ける人員はないのだ。」
副官のホフマン大佐の痛い正論に士官四人は黙るしかなかった。
「だが、ヘリオポリスが崩壊した今…アークエンジェルとGはなんとしてもその全てのデータを持ってアラスカに降りねばならん。」
「し、しかし我々には。」
「アレの開発を軌道に乗せねばならん。ザフトは次々と新しい機体を投入してくるのだぞ。なのに、利権絡みで役にも立たんことにばかり予算をつぎ込む馬鹿な連中は戦場でどれだけの兵士が死んでいるのかを数字でしか知らん!」
それは、現場を見てきたマリューも理解できることだ。先遣隊ですら、イージスとシューターを抜いても、ほんの数機のジン相手に一方的にやられてしまったのだ。
「閣下のお心、しかとアラスカへ届けます。」
彼女に続きムウとレイラも敬礼をした。
「アーマー乗りの生き残りとしては、お断りできませんね。」
「閣下の言う馬鹿な連中の目を覚ましてご覧にいれます。」
ナタルも三人に続いて敬礼し、彼らを見回したハルバートンは最後に「頼む…」と頭を下げた。
「除隊許可証?」
「私達、軍人だったの?」
子供達はナタルと第八艦隊の副官のホフマン大佐から手渡された書類を見て、目を丸くした。
「例え非常事態でも民間人が戦闘行為を行えば、それは犯罪となる。」
「ええっ!」
驚く子供達に別れの挨拶をと思っていたシュウが納得した表情になる。
「それを回避する措置として、君達をあの日以前に志願兵として入隊した事にした。なくすなよ?」
志願兵とはいえ、ある程度そうした知識を持っているシュウもそれは分かる。だが、これで彼らと…ユリと別れるかと思うと辛かった。
「なお、軍務中に知り得た情報は…」
「あの……」
フレイがホフマンの言葉を遮り、次に意外な言葉を口にした。
「私、軍に志願したいんです。」
「え?」
キラは耳を疑った。急に無人の部屋にユリとレナに呼び出されたかと思えば、自分は降りろと言ってきたのだ。
「貴方は一番下なんだから。お姉ちゃんとしてはやっぱり弟を守ってあげたいの。」
「でも…」
戸惑うキラをよそにユリは明るい表情を浮かべて肩を叩く。
「大丈夫よ。ストライクのOSは何とか大尉達でも動かせるようにしてみるから、父さん達に私のことは上手く伝えて。」
「あの、キラ…私からも。帰って私の家族に会うことがあったら心配しないでって言っておいて。」
「レナ…」
「じゃあ、キラ。これはお姉ちゃんからの命令よ。」
第八艦隊との戦闘準備を進めるザフト軍でイザークは医務室を飛び出し、デュエルのコクピットに入った。奪取してから艦内でジンのものをベースに組み立てていた増加装甲アサルトシュラウドが完成しており、既に装備された状態になっていた。
「おい、イザーク!?」
「貴女はまだ安静にしてなきゃダメよ!」
イリアとミサキが気づいて呼び止めるが、それを振り払った。
「うるさい!」
ナチュラルの分際で、この俺にこんな屈辱を…!あのパイロット、絶対に地獄に送ってやる!!
「イザーク、よせ!傷が悪化するぞ!」
キールが外から止めようとするが、イザークはそれを聞かずにデュエルを歩かせた。
「邪魔だ、どけ!」
キラはメネラオスに移乗する列に並んでいた。その時、小さな女の子がこちらに来た。あの戦闘前に駆け回っていた子だ。
「はい、今まで守ってくれてありがとう。」
小さな折り紙の花を手渡した。
「ありがとう。」
その子を見送ると、後ろからトール達の声がした。
「みんな、もう向こうに行ったんじゃ……どうしてまだ?」
「ああ、それな…」
「フレイが軍に志願したんだ……それで、俺達も。」
カズイからそれを聞き、キラは背筋が凍った。
「フレイが!?」
「うん、本当の平和が来るまで戦うしか出来ないなら、そうするって。」
「この艦、人手不足だし…ユリとレナも残るっていうから。」
ミリアリアとサイもそれぞれ事情を話し、トールが手に持っていた書類を渡した。
「お前の除隊許可証だ。オーブに戻ったら、家族に伝えてくれ。」
トールが手渡し、仲間は去って行った。
このまま…僕だけが艦を降りる?アスランのことも放っておいて、姉さんもレナも…フレイも…みんなを見捨てて、僕だけ?
「君、どうするんだ?」
メネラオスの兵士に呼びかけられ、キラはあの花を見つめる。
「すみません、僕も残ります!!」
ユリとレナはナタルを見つけ、志願した。
「良いのか?」
「はい、私が残るから…キラは、あの子だけでも降ろしてあげてください。」
「……こちらはそれでかまわぬが…」
「お願いします…このまま、降りられない。もう、無関心は許されないから。」
レナもナタルを真摯に見つめる。ナタルはため息をついた。
「分かった…ただし、除隊許可証は取って置けよ?アラスカに着けば、また必要になるやもしれぬ。」
「はい。」
ユリとレナはぎこちなく敬礼をして、返した。
シュウはフレイの志願に何か妙なものを感じた。先日、あのラクス・クラインにさえむき出しの敵意を晒して…どう見ても、只の我が儘なお嬢様。とても義憤や正義感に目覚めたようには見えない。
「おい、どうした?次が来たぞ。」
「あ、はい。」
マードックに呼びかけられて、ストライクとフレイムの予備パーツに装備、そしてストライカーパックを装備できる戦闘機…スカイグラスパーが四機運ばれていた。
「シュウ。」
「ユリ、降りたんじゃないのか?」
「志願したの。キラだけは降りてもらうけど。」
志願したって……
「どうなってるんだ、フレイも志願したんだぞ。」
「ええ!?あの子がって…どうして!」
「俺にも、よく分からない。」
だが、どうも嫌な予感がする。それを言うべきか悩んでいるとき、警報が鳴り響いた。
スカイグラスパーは四機……ストライクとブレイズで二機ずつムウとレイラでシェアします。
尚、シュウは小説版のミリアリア同様にフレイの志願に不気味さを感じました。