機動戦士ガンダムSEED REVERSE 作:meitoken
一部外伝とキャラ名が被るのがいますが、ご容赦を。また、キャラは容姿やイメージCV。オリジナルのガンダムは後発のガンダム(といっても00で止まってます)からもイメージモデルとして出てます。何せ、掲示板でやってた頃は00の映画も終わった頃だったので。
因みにイメージCVは2002年まで遡りますので、現在既に鬼籍に入っている方もありますがどうかお許しください。
C.E.71……L3のコロニー、ヘリオポリス。地球の中立国オーブ連合首長国が保有するこのコロニーで人々は『血のバレンタイン』以前と変わらぬ平和な時を謳歌していた。
焦げ茶色にアメジストの瞳の少年…キラ・ヤマトはあの日受け取ったペットロボット、トリィを肩に乗せてニュースを見ていた。先週、東アジア共和国の高雄基地陥落を報じるニュースだ。
「キラ、ここにいたのね。」
母と同じ色の髪と瞳の少女が駆け寄ってきた。一つ年上の姉ユリ・ヤマトだ。
「姉さん、今日は助っ人に行かないの?」
「ええ、流石に私に頼りっぱなしじゃ駄目でしょ?」
同じカレッジに通う傍ら、姉のユリはアウトドア派でいくつかのスポーツクラブの助っ人に出ている。報酬は専ら、食堂のメニューをキラの分もおごるか市街のカフェをおごる条件だが、コーディネイター故の容姿の良さと面倒見の良いこの性格、スポーツクラブの間ではアイドルに近く、何度か交際を申し込まれたが全て断っている。
「また、見てるの?」
「うん、高雄の。」
ユリと一緒に付いてきた友人のトール・ケーニヒ、ミリアリア・ハウもそれを覗きこんできた。
「先週のだろ、これ?」
「うん…」
「高雄って言えば、結構近いじゃない。大丈夫かな、本土?」
ミリアリアは不安を口にするが、トールは楽観的だった。
「ああ、それは大丈夫。近いったって、ウチは中立だぜ。オーブが戦場になることなんてないって。」
「だと、良いんだけどね。」
ユリも流石にこれには不安だった。
あの『血のバレンタイン』でプラントと地球は本当に戦争を始めてしまった。別れ際にトリィをくれた彼の言葉は崩れ去ってしまった。
「キラ?」
突然トールがのぞき込んで、キラは倒れた。
「何やってるのよ、遅れるわよ。」
「もう、姉さん!教授のプログラミングを手伝いもしないくせに!」
「私はスポーツクラブの助っ人が忙しいからね。インドア派のあんたと違って!」
「姉さんだって、プログラミングできるくせに。」
「あんたの方が上でしょ?」
そうして、エレカの乗り場へ向かう途中でウェーブがかかった赤紫の髪と灰色の瞳の少女と出会った。キラとユリと同じコーディネイターで、一期下のレナ・クールズだ。成績優秀ということで、特例としてキラ達と同じカレッジに所属している。プログラミング能力もキラとユリには及ばないが非常に高く、何よりも明るい子で人気トップの彼女には及ばないが、人気も高い。
「キラ、カトウ教授の宿題は?」
「まだ…」
「貴方って、本当に怠け者ね。年下の私にここまで言われるなんて、みっともない。」
「だったら、少し手伝ってよ。」
「いや。」
「人でなし…」
そうしてエアカーの乗り場にたどり着くと、キラは三人連れの少女…より正確には長い赤髪をあげた少女に目を奪われた。大西洋連邦外務次官の娘で、カレッジのアイドル的存在…フレイ・アルスターだ。
「ねえ、ミリアリアなら聞いてるんじゃない?」
「ちょっと、やめてよ!」
友人を止めようとするフレイに何事かとキラは訝るが、その内容はキラにとって衝撃的なものだった。
「この子、サイ・アーガイルから手紙をもらったんだって!」
衝撃だった。只でさえ、想い人が手紙をもらったというのにその相手が同じカレッジの友人と来た。
そうして、少女達が騒いでいるところに後ろから声がかかる。
「乗らないのなら、先によろしい?」
「あ、はい。すみません。」
真ん中の女性と左右の男性がエレカに乗るのを見届けた後、フレイ達もエレカに乗り込んでいくのを見送り……
「手紙だってさ、強敵だぞ?」
「はあ…私に言わせればあんな子のどこが良いのやら。」
ユリがため息をつき、エレカに乗り込む。
「ユリは可愛い弟君を取られるのが気に入らないだけでしょ?」
「違うわよ!キラ、置いてくわよ!?」
先ほどの学生達を見届けた女性、ナタル・バジルールは冷めた目であの光景を見ていた。
「なんとも平和なものだな……あれくらいの歳でもう前線へ出る者もいるというのに。」
ヘリオポリスの宇宙港に一隻の輸送艦が入港した。民間船だ。
「追尾してきたザフト艦は?」
「二隻、先ほどからこちらを睨んでいる。」
艦長の安心しきった言葉にムウ・ラ・フラガはため息をつく。中立国のコロニーには手が出せないからだ。
「中立国、ですか。聞いてあきれますね。」
「オーブとて地球の国家ということだ。」
「だから、協力するのが普通……ちょっと傲慢が過ぎませんか?」
東洋系の黒髪の美女レイラ・ウォンが自分達の陣営を暗に非難する。
「おや、『新星の隼』ともあろうものが随分ないい草だね。」
「貴方こそ、思うところはありそうだけど?『エンデュミオンの鷹』さん?」
一歩間違えれば、彼らの上層部に非難が集中するような事を彼らは行っていた。無論、多くは自覚しているが……同時に地球の国だから、当然という意見も多かった。
ヘリオポリスからほど近い小惑星の影に二隻の戦艦が隠れていた。ザフトが運用するナスカ級ヴェサリウスとローラシア級ガモフだ。
「そう難しい顔をするな、アデス。」
「はあ、しかし評議会からの返答を待ってからでも遅くはないのでは?」
ヴェサリウスのブリッジで最上級指揮官の白服に仮面をつけた金髪の男、ラウ・ル・クルーゼが艦長フレデリック・アデスの懸念を切り捨てる。
「遅いな、私の勘がそう告げている。」
「ええ、ここで見過ごせば代価は私達の命よ?」
同じ白服にバイザーをかけた黒髪の女性レイス・シェイドが切り捨てた。二人共同等の実力を持つザフトのエースパイロットであり、ラウはこの部隊の隊長だ。レイスも隊長を務められる人材なのだが、付き合いが長く補佐役としての彼女の能力を惜しんだラウの意見で副隊長の枠に収まっている。
地球連合軍が新型機動兵器を開発しているという情報を聞きつけたクルーゼ隊はヘリオポリスに向かい、内部調査を行っていた。その結果、中立国のコロニーが密かに地球軍の新型機動兵器…………ザフトが戦争に投入したものと同じ、MSを開発していたことが判明する。
数で劣るザフトが優位を保っていたのはこのMSあってこそ。地球軍で開発、量産化されればそのアドバンテージは一気に覆されることとなる。ならば、今ここでそれを潰すしか道はない。
パイロットスーツを着たザフト兵……大半が20歳前の若者だ。成人が15歳で認められるプラントでは珍しいことではない。彼らは統制の取れた動きで無重力ブロックを移動し、MSと共に開発されていた新型の戦艦を発見した。地球軍で運用されるどの艦とも違う、優美にさえ感じる白い戦艦だ。
ザフトがこのコロニーに侵入していた事実に密かにここでMSと母艦を開発していた地球軍も、市民も、コロニーの管制室も気づいていなかった。そして、住民達は自分達の平和が後数時間もせずに崩されると言うことなど、夢にも思っていなかった。
カレッジに到着したキラ達は先ほどフレイの話題に出ていたサイ・アーガイルともう一人の仲間カズイ・バスカークと出会うと共に見かけない顔に目を奪われた。金髪の少年に、銀髪の少年……二人共顔立ちはよく整っている。
「誰?」
トールの問いにカズイが答える。
「教授のお客さん、ここで待っててくれって。」
「へえ……」
レナが二人の少年、より正確には銀髪の少年の方を見ていた。その視線に気づいたのか、銀髪の少年は顔をそらした。照れている、という風には見えない。どちらかと言えば無愛想だ。
「それより、手紙のこと聞けよ!」
トールがキラに組み付き、先ほどの事を問い詰める。ユリはそれを微笑ましく眺めながら、客人の二人を見る。
学生……には見えないけど、なんなのかしら?
彼らがいつも通り過ごしている中、コロニーの管制室は慌ただしくなっていた。突如現れた二隻のザフト艦がヘリオポリスへ接近してきたのだ。ザフト艦はコロニーの警告に耳を傾けず通信妨害を展開し、ザフトの主力機…ZGMF-1017ジンを発進させた。
同じ頃、港に停泊していた輸送船の艦橋でもこれを察知していた。
「敵は!?」
ムウ・ラ・フラガ大尉の問いかけに先に艦橋に上がっていたレイラ・ウォン中尉が緊迫した声で答えた。
「二隻です!ナスカ及びローラシア級。電波妨害直前にMSの発進を確認しました!」
「ルークとゲイルはメビウスにて待機!まだ出すなよ!」
「アークエンジェルへの通達、忘れないでください!!」
クルーに念を押しながら二人は艦橋を出て行った。一般船として入港したこの艦は実は地球連合軍の艦であり、クルーも全て軍人だ。彼らはとある極秘任務の為此処を訪れていた。
同じ頃、ザフト侵攻を聞いた別のドックでも一隻の白い戦艦が物資の搬入と司令室からの指示が飛び交い慌ただしくなっていた。この艦こそ地球軍がMSと共に極秘に開発していた切り札と呼ぶべき戦艦、LCAM-01XAアークエンジェルである。
「ラミアス大尉を呼び出せ!Gの搬送を開始させい!」
「ハッ!」
艦長の指示を受け、ナタル・バジルール少尉とアーノルド・ノイマン曹長が司令室を飛び出し、彼らと入れ違いで地球軍の新型兵器、Gと呼ばれるMSのパイロットが司令室に入ってきた。が、その直後に起こった爆発で彼らは司令室と共に焼かれた。
突然の振動に加え、職員からコロニーがザフトの攻撃を受けていることを聞いたキラ達は避難しようとしたが、先程の少年達が工場区へと向かった。
「君!」
キラが後を追い、ユリとレナもそれを追って行き、キラが金髪の少年の腕を掴んだ。
「何してるの!そっち行ったって…」
「何で着いてくる!?そっちこそ早く…!」
少年が言い終わるまえに背後から爆発が起こり、銀髪の少年がユリとレナを庇い、キラは身構えた。爆風が収まり、目を開くと少年の帽子が吹き飛んで、帽子の中から出てきた顔と髪を見てキラ達は自分達の認識が間違っていた事を知った。
「女…の子?」
キラの言葉で少女はむっと来て睨み付けてきた。
「なんだと思ってたんだ、今まで!」
そう言われてもその服装や物腰では仕方ないだろうと思ったが、今はそんな事を言っている場合ではない。
「いいから早く行け!私達には確かめなければならない事がある!!」
「行けって言ったって!もう戻れないわよ!!」
レナの言うとおりだ。今の爆発で道が塞がれてしまい戻る事はできない。キラとレナが考えている間にユリが少女の腕を引っ張って走り出した。
「こっち!此処にいたら巻き込まれるわ!工場ならまだシェルターもあるはずよ!」
「そうね!急がないと!!」
「ああ…そうだな。」
レナも賛成し、一行は工場区へと向かった。
工場区では戦闘が開始されていたが、ジンに対し戦車などの旧兵器しか持たない地球軍は刃が立たず、遂にトレーラーに積まれていたMSを奪われてしまった。それを確認したマリュー・ラミアス大尉は悔しさを押し殺し、生き残った兵士達に向かって叫んだ。
「くっ、工場に戻って残った五機を起動させる!続け!!」
「ほう、凄いものじゃないか。」
銀髪のザフト兵イザーク・ジュールは自分が奪ったGAT-X102デュエルのスペックに舌を巻く。OSは随分と杜撰だが、基本スペックは高い。どれも現行主力機のジンを遙かに凌いでいる。
「どうだ、ディアッカ?」
〈OK、動ける。〉
褐色肌の少年ディアッカ・エルスマンもGAT-X103バスターを起動させた。
「ニコル。」
〈待ってください、もう少し。〉
ライトグリーンの髪の少年ニコル・アマルフィも二人より遅れてGAT-X207ブリッツを起動させた。同僚のキール・フロックが乗る黒いジンが三機を守るように付いた。
〈アスランとラスティはまだみたいだな。ミゲルが援護に行ったようだが。〉
「奴なら大丈夫さ、イリアとミサキもいる。ともかくこの三機、先に持ち帰る。クルーゼ隊長にお渡しする前に壊すなよ。」
キラ達はシェルターへ向かおうと工場へ出た。そこで、キラは信じられないものを目撃した。巨大な人型……MSだ。だが、ニュースで見たジンとはまるで異なるタイプなのは一目瞭然だ。
「これって、MS?」
ユリが呆然とつぶやき、レナも困惑している。
「どうして、ヘリオポリスにこんなものが?」
「……っ、やはり本当だったのか。」
銀髪の少年は舌打ちをして、下にあるMSをにらみつける。まるで知っていたような口ぶりだ。しかし、金髪の少女は膝をついてうなだれた。
「ああ、やはり…地球軍の新型機動兵器。お父様の裏切り者!!」
声に気づいた女性がこちらを振り向き、銃を向けてきた。キラが慌てて少女を引っ張り、工場区のシェルターへ連れて行った。
「すみません!僕たちも入れてもらえませんか!?」
「お願いします!友達も、全部で五人いるんです!」
キラとユリが呼びかけると、中から応答があった。
〈ご、五人!?ここは、もう無理だ!左ブロックの37シェルターはいけるか!?〉
レナはそちらを見た。向こうへ行く橋はまだあるが、五人で行くのは……レナは割り込んだ。
「じゃあ、友達を二人!一人は女の子です!」
〈分かった、すまん!〉
ドアが開いた。キラが金髪の少女を押し込み、ユリとレナが銀髪の少年を押し込んだ。
「待て!入るならお前達二人のどっちかが!」
銀髪の少年が異議を唱えるが、レナは遮る。
「私達は左ブロックに行くから!」
三人がかりで押し込み、キラがドアを閉めた。
ユリは一息つくが、左ブロックを見た。ザフトの攻撃があるこの状況下で行くのは命がけだ。とはいえ、死にたくない。サイ達の安否も気になるが、今からはもう戻れない。
「キラ、万が一の場合は私を置いて逃げてね。」
「姉さん、無茶言わないでよ!」
三人は左ブロックのシェルターへ向かう中、ザフト兵が先ほど銃を向けてきた女性に銃を向けるのが見えた。
「後ろから狙ってます!!」
レナの警告のおかげで間一髪のところで彼女はザフト兵を撃ち殺した。そしてキラ達に目がとまった。
「さっきの子達、なんで?」
彼女は撃ち返すとキラ達に怒鳴った。
「来い!」
「私たちは左ブロックのシェルターに行きます!お構いなく!」
レナが怒鳴り返すと女性は応戦しながら叫び返した。
「あそこはもうドアしかない!」
彼女の言葉を聞くとキラ達はすぐに飛び降り、何とかMSの上に着地した。
「こっち!そこの少年は私と来て!あなた達は向こうの機体に!まだ部下がいるわ!」
「はい!」
キラがまっすぐ女性について行ったところで、MSを守っていた彼女の部下らしき男がザフト兵を撃った。
「ラスティ!うおおおお!!」
仲間を失い激高した赤いパイロットスーツを着たザフト兵が仲間を殺した男を殺し、銃弾は女性の肩もかすめた。咄嗟にキラは彼女の元に駆け寄ったが、ナイフを持って襲ってきたザフト兵の顔に目を疑った。
「アスラン?」
「キラ?」
ナイフを持ったザフト兵は三年前に月で別れた友人アスラン・ザラであった。
なぜ彼が此処に?ザフトの兵士?
考えていたところで女性がザフト兵に発砲し、キラをコクピットへと押し込んだ。
ユリは女性の指示に従い、残った機体の内一機へ向かっていた。そこには作業服を着た自分より一つ二つ年下の少年が銃で応戦していた。
「大丈夫か?」
「はい。」
答えたが、少年の顔が一瞬硬直した。しかし、すぐにその顔は我に返った。
「こっちだ!早く!」
少年に促され、ユリは機体のコクピットに飛び込んだ。
「シートの後ろに居ろ!こいつを動かすだけなら、俺達にだってできる!」
機体のプログラムが立ち上がっていき、【General Unilateral Neuro-link Dispersive Autonomic Maneuver】という言葉が浮かんだ。ユリはシステムの頭文字を繋げて呟く。
「ガンダム……?」
レナは機体の方へ向かっており、ザフト兵と応戦する作業員に近づいた。
「よし、付いてこい!」
だが、直後に彼は撃たれた。
「ひ!」
胸から血を流し、その光景に腰を抜かしてしまった。が、作業員はまだ生きていて…左手に抱えていたファイルを差し出す。
「た、頼む……これで動…にげ、ろ。」
ファイルを受け取るより先に彼は事切れた。名前を聞く間もなく、人が死んでしまった。レナは呆然とファイルを拾い、MSへ向かう。だが、ザフト兵に出くわしてしまった。銃を向けられ、やられると思ったその刹那、兵士の顔が見えた。
「え、兄さん?」
「……レナ、か?」
その顔は血のバレンタインの事件から連絡が取れずにいた兄、シオン・クールズであった。何故?という言葉が頭に浮かんだが近くで起こった爆発で二人は遮られた。レナは困惑するが、今は逃げる方が先だ。先ほど作業員が向かった機体にファイルを持って飛び込み、猛スピードでページを開くと起動方法を見つけた。自分でも驚くほどの早さでスイッチを押して行く。OSが立ち上がり、カメラもオンになった。爆発で遮られた側の機体が起き上がるのが見えた。先ほどの兵士はあの機体に乗り込んだようだ。
兄さん?…まさかね。
レナは先程の兵士の事を考えながら機体を起動させた。そして、五機のMSは炎上する工場から飛び出した。
元々大雑把に書いていた部分もありますが、盛りだくさんです。本編の設定無視などもあって、ごめんなさい。
レナのMS起動ですが、いくらコーディネイターで工業カレッジでも所見で起動方法なんて分かるわけないから。ファーストのアムロだってマニュアルを見て起動しましたから。