機動戦士ガンダムSEED REVERSE   作:meitoken

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遂に砂漠の決戦です。あの二人も参加します。MSが多い分、バクゥも少し多めです。


PHASE-16 砂塵の果てに

「クルーゼ隊、イザーク・ジュールです。」

 

「同じくディアッカ・エルスマンです。」

 

バルトフェルド隊にはジブラルタルから増援が送られてきた。が、バクゥを要請したのに送ってきたのはTFA-2ザウート……ジンよりも遙かに劣る旧式のMSで、火力は申し分ないがどちらかと言えば後方支援向き、アークエンジェルの三機と戦うには力不足だ。その埋め合わせのつもりか、同系統のMSに乗っており、第八艦隊との戦闘で地球に降りてきたクルーゼ隊の二人を送ってきた。

 

「ようこそレセップスへ、アンドリュー・バルトフェルドだ。」

 

バルトフェルドはイザークの顔を見た。

 

「戦士が顔の傷を消さないのは、それに誓ったものがあるから。」

 

腫れ物に触れられたかのように顔を背けた。

 

「顔を背けるのは屈辱の証、か。」

 

大方、あの三機のどちらかにやられた傷だろう。

 

「それよりも、足つきの動向を!」

 

これ以上は触れられたくない、と言っているようなものだ。が、アークエンジェルの動向は気になる。おそらく、『明けの砂漠』と共に今度の戦闘を最後にするつもりで来るだろう。

 

 

 

アークエンジェルと『明けの砂漠』は虎との決戦に出た。アークエンジェルも紅海へ出るためにも、これ以上時間をかけられない。タッシルを焼かれた『明けの砂漠』も弔い合戦もかねてこれを最後にするつもりだ。

 

戦場へ向かうバギーでフブキがカガリの持っているものを見つけた。

 

「マラカイトの原石……どうしたんだ、それ。」

 

「アフメドが…加工して私に渡すつもりだったんだ。さっきお袋さんから……」

 

「……そうか。」

 

アフメドがこれに何を込めたのかは分からない。だが、そのアフメドはあの男に殺された。あんなふざけた男に!

 

「……どうやって終わらせれば良い、か?」

 

「兄様?」

 

「いや、なんでもない。」

 

 

 

アークエンジェルの食堂でキラは中々食事が進まない。ユリとレナも似たようなものだ。

 

「キラ、食べないといざって時に力出ないわよ。」

 

レイラがムウと一緒にケバブを食べていた。あの後、もう一度バナディーヤで買い出しに出て買ってきたのだろう。

 

「ほら、お前も食えよ。ソースはヨーグルトが良いぞ。」

 

「それとも、こっちのチリソース?」

 

ムウはヨーグルトソース、レイラがチリソースを勧めてきた。

 

「あ……虎もヨーグルトが良いって。」

 

「ふーん、味が分かる男だな。でも、忘れた方が良いぞ?」

 

「忘れるって…?」

 

「これから命のやりとりをする相手のことなんざ、知ってたってやりにくいだけだぜ。」

 

ムウの言うことは正しい。そう、敵の素性なんか知らない方が良いんだ。

 

「少佐…」

 

「大尉、俺達はお互いにクルーゼ隊のあいつらを知っているが・・・・・・顔は見たことないんだ。」

 

「でも、この子達は顔を合わせてしまったんだから。」

 

レイラが窘めるが……

 

「なんなら、俺が虎を撃つか?そんときは、恨まれてやるからよ。」

 

「少佐…そんなこと…無理ですよ。」

 

「なら、お前らがやるしかないんだ。」

 

レナにあえて厳しいことを言い、ムウはケバブを頬張った。レイラも食べて、水を飲み干した。

 

それと前後し、警報が鳴り響く。

 

 

 

作戦では工場区跡地にある地雷原に誘い出すはずだったが、レセップスの砲撃で一気に地雷原それ自体を吹き飛ばされてしまった。これでこちらの作戦の一つが潰されてしまった。

 

「『砂漠の虎』、本気を出してきたのか。」

 

アークエンジェルを撃つ意味でも、奴は本気だ。フブキは宿敵が今までちらつかせていた爪や牙を本気で見せたことを確信した。

 

今までのような小規模な戦闘ではない。レジスタンスごとアークエンジェルを討つべく、全力を出してきた。

 

 

 

レセップス以外に二隻の駆逐艦・・・ピートリーとヘンリーカーターがともに行動し、アジャイルが発進、更にレセップスからバクゥが8機出てくる。ザウートは両機の艦上で砲台として配置されている。

 

だが、ヘンリーカーターは控えにバクゥを三機抱えて所定の位置へ向かう。

 

 

 

出撃直前のパイロットアラートでムウとレイラはマードック達とスカイグラスパーについて指示を出していた。

 

「そうだよ!一号機にランチャー、二号機にソード!」

 

「後、三号機にはガトリング!四号機にアックス!私達が乗り換えた方が、換装する手間が省けるでしょ!!」

 

スカイグラスパーについての指示だ。ムウはストライクのために一号機と二号機、レイラはフレイムの装備を三号機と四号機で掛け持ちだ。長期戦に備え、四機のスカイグラスパーはストライクとフレイムのストライカーパックを装備しての出撃である。

 

「さあ、行きましょう。」

 

レイラとムウが出ていこうとしたところでキラは「あの…」と呼びかけた。

 

「バーサーカーって、知ってますか?虎が…キラがそうだって……」

 

ユリの言葉にムウが何か思い出すように応えた。

 

「バーサーカー?それは、なんかの神話に出てくる狂戦士の事だよ。」

 

「狂戦士?」

 

レナがポカンと問い返す。

 

「そ。普段は大人しいのに、戦いになると途端に興奮し、人が変わったように強くなる。」

 

その言葉にキラはぞくりとした。バナディーヤで会った時、バルトフェルドは自分を狂戦士と言った。僕が……そんな怪物みたいな存在?

 

 

 

一方、レセップスではバルトフェルドがアイシャと共に新型機ラゴゥで出撃する手はずになっていた。クラウドも既に出撃する準備が整っている。だが、イザークとディアッカも納得できなかった。不本意で地上に降りてきて、ようやくあいつらと戦えるかと思えば自分達はレセップス甲板上でバクゥの援護だ。

 

「バルトフェルド隊長!何故我々の配置がレセップス艦上なんですか!?」

 

イザークがバルトフェルドに詰め寄った。

 

「クルーゼ隊では、兵士が上官に文句を言えるのか?」

 

バルトフェルドと同じ様に、MSに乗ろうとしていたクラウドにやり過ごされたイザークは勢いをなくした。

 

「いえ…しかし!奴らとの戦闘経験ならば俺達の方が…」

 

「負けの経験でしょ?」

 

アイシャの辛らつな批評にイザークは「なにぃっ!」と叫び殴りかかろうとしたが、バルトフェルドは彼の不満を正面から受け止めるように諭した。

 

「君達の機体は砲戦仕様だ。高速戦闘を行うバクゥにはついて来られまい。」

 

「そんなことは……!」

 

なおも不満そうなイザークをディアッカは抑えた。

 

「もうよせ、イザーク。命令なんだ。…失礼しました。」

 

ディアッカはイザークを引っ張りながらこっそりと耳打ちをした。

 

「なに、乱戦になればチャンスはあるさ……」

 

その言葉に納得したのかイザークは大人しくなった。

 

 

 

二人が立ち去るのを見たクラウドはバルトフェルドに問う。

 

「素直に従ってくれるようには見えませんね。」

 

「何、あの少年のような真似が出来れば良いだけさ。ま、誰にでも出来るようなことでもないがな。」

 

バルトフェルドとアイシャが乗り込むのを確認し、クラウドもバクゥに乗り込む。クラウドの機体はOSを専用に調整したおかげで外観はともかく、スピードは通常のバクゥより20%程上がり、武器もレールガンに変えている。

 

「では隊長、先に行きます。」

 

〈ああ、頼むよ。〉

 

 

 

スカイグラスパーが先に出撃し、アジャイルを迎撃する。アークエンジェルに近づく機体もイーゲルシュテルンで撃ち落とされ、エールで出撃したユリはバクゥを分析する。

 

「バクゥは全部で八機……私とキラで三機ずつ…!?」

 

一機のバクゥが遅れてやってきた。いや、速い。ビームサーベルとレールガンで武装した後期生産型だが……

 

「この間の奴!?」

 

まずい……砂漠の時でも薄々感じたが、このバクゥは見た目は変わらないがパイロットも別格だ。

 

〈ユリ!私がこいつをやるわ!キラとユリで他のバクゥを!〉

 

〈レナ!…でも!!〉

 

〈ウインドじゃバクゥを何機も相手に出来ないわ!一対一が限度よ!〉

 

キラが止めるが、レナの言うとおりだ。

 

「分かったわ…キラ!私達でバクゥを四機ずつ!」

 

〈…うん!〉

 

 

 

クラウドはウインドが相手をするのを睨んだ。

 

「良い判断だな……あの機動力重視の装備でバクゥを四機ずつ相手にするか。」

 

既に接地圧を何度も調整しているのか、ウインドもストライクに引けを取らない動きではある。だが、ここは砂漠。砂丘を影にビームライフルを躱す。

 

顔を出してレールガンを撃ち、直撃させてノックバックを発生させてパイロットを気絶させようとするが、やはり駄目だ。だが、その隙を逃さずに突っ込んで今度は突進して再びパイロットにダメージを与える。が、これでもまだパイロットは怯まずにバルカンで応戦する。

 

一端距離を置き、アジャイルが援護のミサイルを撃って怯ませる。

 

 

 

「あぐ!!」

 

アジャイルをバルカンで撃つが、すぐに離脱されてその間にまたバクゥがレールガンを撃つ。今度は左腕のパンツァーアイゼンで防いで、先ほどより衝撃は弱い。

 

「っ、パワーダウンと私の気絶を狙ってる!?」

 

左腕でウルカヌスを抜いてバクゥと斬り結ぼうとするが、バクゥはこちらの間合いに入ろうとせずにアジャイルの援護射撃に合わせてレールガンを撃つ。入ってきても、それより先にキャタピラで殴られて間合いから逃げられる。

 

「ビームサーベルじゃないから、取り回しが悪い!」

 

引きつけるだけならば可能だが、このまま行けばいずれパワー切れになってしまう。

 

 

 

キラはレジスタンスのバギーに迫るバクゥを一機、上から踏みつけて撃ち抜いて今度は突進してきたバクゥをビームサーベルで両断する。

 

「次!」

 

ミサイルを撃ってきたバクゥにビームサーベルを投げつけて目を奪い、そのままビームライフルで撃ち抜く。隣の機体はミサイルを撃ってきたが、一気に間合いを詰めて頭を蹴り飛ばしてそのまま撃ち抜いた。

 

 

 

ユリはレールガンを撃ってきたバクゥの砲撃を躱し、間合いを詰めたと見せかけてエールのスラスターで土煙を巻き起こした。視界を遮られたバクゥはジャンプするが、そこからシールドの縁で殴りつけ、装甲がひしゃげる。そのまま至近距離でバルカンをたたき込んだ。ひしゃげた装甲の上からではいくらバクゥでもひとたまりもなく、コクピットが蜂の巣になり、そのままバクゥは倒れた。

 

「っ!」

 

中の人間はミンチなのがわかり、苦しくなるがすぐに次の機体に意識を向ける。ミサイルをバルカンで撃ち落とし、そのまま敵がビームサーベルで突進してきた。機体をかがめてサーベルを躱してそのまますれ違いざまにこちらもサーベルで右の前足と後ろ足を両断して倒れさせた。もう放っておいて問題はない、三機目もミサイル装備だ。今度はミサイルを躱して間合いを詰めてそのままビームライフルでミサイルポッドに撃ち抜いてバクゥを諸共に吹き飛ばす。残りの一機がビームサーベルで突進してきたところをギリギリまで引きつけ、首にアーマーシュナイダーをたたき込んだ。振動波を発するナイフによってバクゥは操縦系を破壊され、倒れて爆発した。

 

「はぁ、はぁ……バクゥは、これで全部。キラとレナは…」

 

レナはまだあのバクゥと交戦中で、かなり手こずっている。キラの方は、バクゥより大型のオレンジの機体と戦っていた。

 

「隊長機……まさか、あの人が出てきたの!?」

 

キラの援護に行こうとした時、センサーが別の艦影を捕らえた。

 

「陸上艦がもう一隻!?」

 

後ろと前から攻撃を受けている。援護に行こうとしたら、バクゥが三機、隠れていた陸上艦と一緒に現れた。

 

 

 

「アークエンジェルが!」

 

隠れていたもう一隻に狙われるアークエンジェルの近くに着くが、アークエンジェルは船体が工場跡に引っかかってしまった。

 

「狙い撃ちだな…!おい、カガリ!?」

 

カガリが飛び出し、アークエンジェルに向かう。

 

「すまない、キサカ!行ってくる!!」

 

地球軍の艦など助ける義理はないが、カガリは放ってはおけない。それに考えてみれば、ヘリオポリスで助けてくれたあの三人の母艦だ。義理は返さないと。

 

「お、おいなんだ!?」

 

カガリがマードックに目もくれずにスカイグラスパー二号機に乗り込んだ。

 

「機体を遊ばせていられる状況か!?こいつで出る!」

 

確かにカガリはシミュレーションで好成績をたたき出した。しかし、実戦ならば喰らったらそれで終わりだ。フブキは呆れると同時に放ってもおけず、四号機のコクピットに飛び込んだ。

 

「俺も出る!!ハッチを開けてくれ!!」

 

 

 

「スカイグラスパー、二号機と四号機が発進!」

 

〈ちょっと!誰が乗っているの!?〉

 

ムウもレイラもまだ一号機と三号機だ。じゃあ、誰が?

 

「パイロットはカガリさんとフブキさんだそうです!」

 

 

 

カガリは二号機のソードストライカーで三隻目の陸上艦にアンカーを打ち込み、その牽引を利用してシュベルトゲベールで砲台を破壊した。フブキの四号機も小回りを活かして艦の上にいるザウートにアックスストライカーのビームアックスで肉薄し、両断した。

 

「どうだ!?」

 

少しは仲間の無念を晴らせた。と思ったところでミサイルを撃たれ、二号機は被弾した。

 

「しまった!」

 

二号機は高度を起こし、工場跡地の近くに不時着した。一号機と三号機はまだ飛び続けており、三隻目に攻撃を続けている。

 

フレイムは増援のバクゥを相手にしているが、アークエンジェルへの砲撃の迎撃も行わなければならず…今度は苦戦している。

 

「カガリ、大丈夫か!?」

 

こちらを心配して離脱した四号機からフブキが降りてきた。

 

「兄様…ええ、大丈夫です。」

 

 

 

〈ち!ビームの減衰率が高すぎる!大気圏内じゃこんなかよ!!〉

 

渋々レセップスの甲板で戦っていたイザークとディアッカだが、宇宙と違い動かせてくれない。これじゃあ只の砲台だ。オマケにビームの減衰率が宇宙の比ではない。オマケにどういうわけか狙った場所からビームがそれる。

 

「くそ!こんなところでこんなことをしている場合じゃ!!」

 

命令無視だろうとかまうものか!直接足つきと奴らをたたく!

 

〈おい、イザーク!〉

 

ディアッカの制止も聞かず、イザークは着地をさせる。だが……

 

「な、なんだこれは!?」

 

突然足を取られ、デュエルは膝をつく。立とうとしても、また足を取られてしまい…戦うどころか歩くのがやっとだ。

 

気づけば、レジスタンスのバギーがこちらを狙ってくる。

 

「こいつら!」

 

バルカンで撃つが、たかがバギー相手にも狙いが定められない。

 

どうなっているんだ、ここは!?

 

 

 

「くそっ!いい加減墜ちろ!」

 

苛立ちを込めて対装甲散弾砲を撃つが、その砲撃はアークエンジェルではなく、アークエンジェルが引っかかっていた廃工場の骨組みを破壊してしまった。

 

まずい!

 

ディアッカはバスターをレセップスから離脱させた。予想通り、アークエンジェルは主砲で攻撃をかけてきた。動きの遅いザウートはビームに呑まれ、更に追撃でレセップスはスピードが落ちていった。他の二隻も追い込まれている。

 

「おいおいおい!何が『砂漠の虎』だよ…おぉ!?」

 

今度はどうなってるんだ!?

 

バスターの体勢が崩れ、別の場所でレジスタンスのバギーの的になっているデュエル同様バスターも他のバギーの的になっていた。

 

 

 

一方、ストライクとラゴゥの戦いも佳境に入り、ラゴゥの右前足をストライクのビームが撃ち抜いた。

 

「熱くならないで!負けるわ!」

 

「分かっている!」

 

ラゴゥを突進させ、ストライクとすれ違った。二機のビームサーベルは交差し、ストライクは右の翼を…ラゴゥはビーム砲を失った。

 

モニターを見ると、工場跡から浮上したアークエンジェルの砲撃でレセップスはもはや満身創痍……ピートリーも同様でヘンリーカーターはアークエンジェルが自由になった上に新たに出撃した戦闘機の攻撃で爆発寸前、随行したバクゥ三機もヘンリーカーターを守ろうとしてフレイムに撃破され、クラウドのバクゥはまだ粘っている。そして、デュエルとバスターは案の定、足を取られて満足に動くことも出来ない。

 

「ダコスタ君、退艦命令を出したまえ。」

 

〈隊長!?〉

 

「勝敗は決した。残存部隊をまとめてバナディーヤに引き上げ、ジブラルタルと連絡を取れ。クラウド君も撤退するんだ。」

 

〈そんな!隊長、せめて私だけでも!〉

 

「命令だ。私が殿を持つ。」

 

〈隊長!〉

 

ダコスタとクラウドがまだ何か言うが、それを聞かずにバルトフェルドは前の席にいるアイシャを見る。

 

「君も脱出しろ、アイシャ。」

 

「そんなことするくらいなら、死んだ方がマシね。」

 

彼女もあの少女と同じタイプだったか。だが、本当にいい女だ。

 

「君も馬鹿だな…」

 

「なんとでも。」

 

「では、付き合ってくれ!」

 

 

 

「バルトフェルドさん!」

 

〈まだだぞ、少年!〉

 

ラゴゥが突っ込んでくる姿にキラは戦うのを躊躇してしまう。もう、勝敗は決している。なのに、何故!?

 

「もうやめてください!勝負は付きました!降伏を!」

 

だが、バルトフェルドは戦いをやめず、突進してきてエールの翼がもう一機斬られる。

 

〈言ったはずだぞ!戦争に明確な終わりのルールなど無いと!〉

 

「バルトフェルドさん!」

 

なおも呼びかけるが、モニターでパワー切れを告げた。ストライクのPSが落ち、こちらに気づいたブレイズとウインドが来るがそれより先にラゴゥが来る。ビーム砲の損傷箇所が爆発し、ラゴゥもいつ爆発してもおかしくない。

 

〈戦うしかなかろう…互いが敵である限りどちらかが滅びるまでな!〉

 

バルトフェルドの覚悟を受けたのと同時に、キラにまたあの感覚が来た。

 

キラは素早くエールを排除してアーマーシュナイダーを抜き、ラゴゥの突進に合わせてアーマーシュナイダーを露出したビーム砲の接続部分に突き刺した。ラゴゥが突っ込んできた衝撃で機体が吹っ飛ばされるが、その頃には既にナイフの刺さった箇所から火花が吹き出し、ラゴゥは爆散した。

 

 

 

「アンディ!」

 

アイシャがパイロットシートから飛び出し、バルトフェルドも反射的に飛び上がり、抱きしめた。そしてその直後……二人の身体は炎の中へと消えていった。

 

 

 

「キラ!……」

 

〈……ぼくはっ…殺したくなんかないのに……!!〉

 

キラがうめいていた。殺すために戦っているわけではない。守りたいだけなのに。なのに守るには戦うしかない。戦争にルールなど無い。互いに相手を滅ぼすまで戦うしかない。

 

なら、その先には…?

 

ユリはキラのうめきを聞きながらバルトフェルドの言葉を考え続けていた。

 

「バルトフェルド…さん。」

 

 

 

レナもまた、ラゴゥの爆発を眺めた。

 

死んだ…あの人が。初めて出会った敵の指揮官……同じコーディネイターで、大きな器を感じさせる人が。

 

もう一度、あの人のコーヒーを飲みたかった。

 

キラが殺した…でも、だからといって…キラが死んで良い理由にはならない。

 

「キラ…バルトフェルドさん…!」

 

レナもまた、機体のコクピットでうなだれるしか出来なかった。

 

 

 

 




偉大な敵将…言うべきバルトフェルドが倒れました。

やはり、本編での彼はキラの大きな転機の一つでしたね。

次は紅海だから、もうすぐあそこですね。
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