機動戦士ガンダムSEED REVERSE   作:meitoken

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今度は紅海で、アレが目前。そして、ここからちょっとオリジナルのメカも出します。


PHASE-17 紅海

『明けの砂漠』と別れたアークエンジェルはカガリとフブキ、キサカの三人を途中まで乗せる…という形で砂漠を離れて、紅海へ出た。

 

これまでの砂漠と打って変わって、一面に広がる生命の母たる海……これは絶景だ。よく見れば、イルカもはねている。

 

「少しの間なら交代でデッキに上がることを許可します。」

 

「先に行ってこいよ。」

 

「良いんですか?」

 

「ああ。」

 

ノイマンがトールに頷き、子供達は先にブリッジに出た。

 

 

 

「気持ちいい!」

 

「地球の海、すげえ久しぶり!!」

 

子供達ははしゃいでおり、シュウも作業着を着崩して出ていた。

 

「お、イルカがはねている。」

 

「ほんと、可愛い!」

 

「イルカか、魚でもあんなに大きいのか。」

 

「イルカは魚じゃなくて、哺乳類だぞ。」

 

カズイの感想に地球育ちのトールは訂正する。生粋のコロニー育ちのカズイにしてみれば、地球自体が未知の世界なのだろう。プラント生まれのプラント育ちのコーディネイターも、地球の知識を一世代目の親かナチュラルの祖父母から習う、軍学校などで習うことはあっても行く機会はそうないだろう。

 

「ここは紅海だけど、人類が宇宙に巣立つ前には大西洋で深海四千メートルに豪華客船が沈んだ、って言う事故もあったんだ。」

 

「よ、四千メートル?」

 

「ああ、そういえば映画にもなったんだよな。その豪華客船…」

 

「も、もしこの艦が沈んだら?」

 

カズイの質問にシュウはバッサリと現実論を言う。

 

「その時は全員、軍法会議だな。見つけてもらえればだけど。」

 

「大西洋には魔の海域にもあるのよ?深いところには怪獣がいるかも?」

 

ミリアリアのからかいにシュウは少し笑った。

 

「そういえば、地球の神話や伝説には海の化け物がいたな。巨大な蛇やイカ。」

 

「怖いこと言うなよ。」

 

「俺は人魚姫には会いたいな…あの歌姫様位可愛いなら沈んでも良い。」

 

「トール…今ここで海に沈めてあげようか?」

 

「冗談だって…」

 

と、そういえばシュウはユリだけでなくキラとレナもいないことに気づいた。ソナーと第八艦隊がザフトのフライトユニットを参考にした飛行ユニットの調整をやっていたが、どうしたんだろう?

 

 

 

キラはバルトフェルドの事を思い出した。殺したくない…殺したくなかった。あの人を……

 

彼からは、敵でも偉大な人間の器を感じた。あれほどの人が敵に……

 

だけど、やらないと僕が。みんなが……

 

そうして、彼のような人を…僕はもう何人も!

 

涙をこらえきれないキラの背中から声がした。

 

「なんだ、お前もデッキに来ていたのか。」

 

カガリだ。涙を見せまいと立ち去ろうとするが……カガリが抱き締めてきた。

 

「よしよし…大丈夫、大丈夫だから。」

 

子供をあやすようにするカガリのぬくもりに…キラは思わず戻るのをやめた。なんだろう、不思議と心が落ち着く。小さい頃、母が頭をなでてくれたときのような。

 

 

 

ソナーの調整を終えたレナは厨房を借り、コーヒーを入れていた。あの後、バナディーヤで仕入れたコーヒー豆も挽いており、ブレンドしているが中々美味くいかない。今回はバルトフェルドがくれたブレンドコーヒーを入れており、強烈だが良い香りが漂う。しかし、それが余計に心を曇らせた。

 

これをブレンドしてくれた人はもういない。キラが殺した……そうしなければ、キラ自身も殺されていたのだから。

 

「レナ…それ、バルトフェルドさんの?」

 

「ユリ………うん、気分転換で…アイスで飲む?」

 

「ちょうだい。」

 

ユリが一口のみ、一息つく。

 

「おいしいわ……こんな良いコーヒーを入れてくれる人が…敵だった………もう、いないのね。キラ…どうしてるのかしら?」

 

キラのことを考えるのは弟思いのユリらしい。

 

「無神経な気もするけど……キラにも持って行く?」

 

「なら、俺も付き合うぞ。」

 

フブキが入ってきた。

 

「カガリもデッキに出ていたが、いるとすれば後部デッキの方だろうな。前の方にはいなかった。」

 

「そう、じゃあ行ってみましょうか。」

 

 

 

「お前さ、なんかおかしすぎ。」

 

「え?」

 

「この間は偉そうに人のことをひっぱたいておいて、今度は一人で泣いて…」

 

「あ、えぇと…」

 

どうもカガリには頭が上がらない。同じくらい安心感も得られるんだが…困惑していたところに、レナ達がやってきた。

 

レナが何か気まずそうに聞く。

 

「あ、キラ……えぇと、お邪魔だった?」

 

「ち、違う!そういうんじゃない!!れ、レナの方こそ…ユリと一緒に兄様をデートに誘っているのか!?」

 

「なんでそうなるのよ!違うって!……あの人からもらったコーヒー、アイスにしてキラにもって…」

 

よく見れば、数人分のカップにアイスコーヒーが入っていた。確かに、海風に当たりながら飲むのも良さそうだ。

 

「じゃあ、もらうよ。」

 

砂糖とミルクを前もって入れてくれていたのか、あの屋敷の時よりマシだ。彼を殺した葛藤が蘇るが、カガリやユリがいる分少し気が楽だった。

 

五人とも虎の形見とも言うべきコーヒーを飲んで少し落ち着いていたところで、カガリがキラに聞く。

 

「お前さ、何でコーディネイターなんだ?」

 

「え?」

 

「あ、じゃなくって…」

 

「コーディネイターなのに何故地球軍にいる。だろ?」

 

「あ、そうそう。」

 

「おかしいのかしら…やっぱり。」

 

レナの言葉にフブキは答えた。

 

「別にそういう訳じゃない。」

 

フブキの言葉をカガリが続けた。

 

「ええと、コーディネイターとナチュラルが敵対しているから、この戦争が起きたわけで、お前にはそういうの無いのか?」

 

「君達には?」

 

「別に…」

 

「私も同じさ!」

 

フブキはまだよく分からないが、カガリは不思議だ。彼女と話していると、ユリと同じように不思議と心が落ち着く。なんというか、親戚のような……

 

「コーディネイターだって同じなのにね…みんなと……」

 

ユリの言葉にキラは心の中で同意した。それは開戦前から考えていた事だ。何故自分は人と違うのだ?どうして憎まれなければならない?思い起こしていると、フブキが口を開いた。

 

「全くだ。化け物呼ばわりをし、理解を示す者も殺す。そんな連合やブルーコスモスの思想が理解できん。」

 

「兄様…」

 

「大体、大昔の地球は宗教や肌の色で同じようなことをしていた。今の時代は肌の色が遺伝子操作に変わっただけだと俺は思う。」

 

肌の色が遺伝子操作…凄い極端だが……

 

「うん、フブキの言うことも分かる…コーディネイターだって、赤ん坊の頃からなんでも出来るわけじゃないもの。怖い病気にはかからないけど。」

 

今も地球で猛威を振るうS2型インフルエンザは身体機能の高いコーディネイターは殆ど感染しなかった……それが逆に軋轢にも繋がっているのはキラも知っているが、誰だって好き好んでコーディネイターに生まれたわけじゃない。

 

以前、ハルバートンが言っていた……『どんな夢を託して君達をコーディネイターにしたのだろうか』

 

もし、会う機会があったら…僕は………

 

と、その思考をユリが遮った。

 

「そういう病気はないけど、この子はある意味病気よ?……月の幼年学校じゃ宿題サボってあたしや同じクラスの子に泣きついてたんだから。これはプラントの医学でも治せないわ。」

 

「それは今も同じね…ヘリオポリスでもその気になれば主席を取れるのにダラダラやってたんだから。」

 

ユリとレナが昔のことを暴露して、キラは慌ててしまう。

 

「ちょっと、姉さん!レナも…姉さんこそ、手伝ったら僕の小遣い減るようなケーキ買わせるくせに。」

 

「サボったあんたが悪い。」

 

「確かに。すぐ泣いて、勉強サボる…コーディネイターでもそういうところは変わらないな。」

 

「怠け者のコーディネイターなら、頑張り屋のナチュラルは充分勝てるな。」

 

「二人共、僕の味方しないの?」

 

「本当のことだろう?」

 

「だったら、少し勉強しろ。」

 

五人の間に和やかな空気が流れ、いつの間にかコーヒーを飲み干していた。

 

「キラぁ、こんなところにいたのぉ?」

 

フレイが来た。しかも、何故か上着を脱いで豊かな胸を見せるようにキラに話しかけ、あたかもカガリ達に見せつけるかのようにしがみついた。

 

「気持ちいいわねぇ。でもあんまり長くいたら日に焼けちゃうわね。」

 

キラはいつもより積極的なフレイに戸惑った。カガリ達が気になり、横を見やると、案の定全員しらけている。

 

ユリとレナは無言で立ち去り、フブキも後に続いた。

 

「じゃあな。本当にお邪魔みたいだから。」

 

カガリはそのまま中へ戻ってしまった。

 

 

 

それから、アークエンジェルのブリッジではソナーの扱いで揉めている時にカズイが報告する。民間機かと思われたが、速度からして民間機ではないことから、第二戦闘配備が発令された。

 

レナはウインドのコクピットに飛び込んで、マードックを呼ぶ。

 

「マードック曹長、第八艦隊から送ってくれたあのフライトユニット…オワゾは使えますか!?」

 

オワゾ…ザフトが地上で運用するフライトシステムを参考にしたMSを乗せる飛行ユニットだ。砂漠では調整が間に合わず、バクゥとの地上戦闘を重視したから使う機会がなかったが、今ならそれを使った方が良い。問題は二機しかないうえに今すぐ使えるのが一機だけ。いきなり全部飛ばして、失うわけにはいかないからだ。

 

「使えるには使えるが、ぶっつけ本番だぞ!」

 

「分かってます!でも、もしMSならこれを使うしかないから!!」

 

「分かった!お前さんが行くんだな!?」

 

「はい!」

 

 

 

マルコ・モラシムはラウ・ル・クルーゼからアークエンジェルがバルトフェルド隊を破って紅海に出た知らせを受けている。見え透いた挑発ではあるが、それに乗ってやった。

 

AMF-101ディン……シグー系列の機体だが、高い機動力を誇る空中戦用のMSだ。これ一機あるだけで制空権の確保には優位に働く。ディン四機で先制攻撃を仕掛ければ、かなり有利になる。

 

だが、それだけではない。

 

「足つきを確認した!グーン隊、発進準備!」

 

UMF-4Aグーン……水中用としてザフトが主力とするMSだ。ディンと並び、地上戦闘におけるMSの優位性を確保する機体だ。

 

母艦からグーンが発進し、アークエンジェルへ向かうのを聞きモラシムもアークエンジェルに迫るが、戦闘機が二機追ってきた。

 

「戦闘機ごとき…!?」

 

情報にあった機体…ウインドがフライトユニットに乗って現れた。

 

「えぇい、グゥルの猿まねか!」

 

だが、空中の機動力ならばディンの方が上だ!ディンの機動力はフライトユニットを攪乱するが、それでもMSがいるだけでかなり厳しくなる。

 

「こいつは私が抑える!お前達は戦闘機と艦をたたけ!!」

 

 

 

「く!なんて機動力!これじゃあ……!」

 

オワゾで出たのは良かった。しかし、速いが小回りではディンに勝てない。なんとかビームライフルで一機をこちらに引きつけることは出来るが、それ以外はムウとレイラが相手をしているが、カガリは砂漠での損傷が直らず、フブキの方も無茶な機動をさせたせいでエンジンが悲鳴を上げ、出せないとのことだ。

 

この機体だけは他のより動きが速い。多分、指揮官機だ。只でさえ、厄介な相手な上にこちらは足をやられれば海に真っ逆さまだというのに!

 

突撃銃をかわし、バルカンで応戦するがディンの機動力を追い切れない。幸い、後一機のディンはストライクとフレイムが迎撃を行っているが、センサーが別の機影を捕らえた。海の中だ。

 

「水中用のMS!?」

 

 

 

水中からの攻撃をアークエンジェルは浮上して躱すが、グーンは海面から顔を出して攻撃を繰り返す。ストライクが迎撃するが、潜られてはビームライフルは意味をなさない。

 

「マードック曹長!第八艦隊からの補給にバズーカがありましたよね!?」

 

〈あったが、どうした!?〉

 

「用意してください!海に降ります!」

 

〈降りるったって、ストライクは!〉

 

そんなことは分かっている!だが、顔を出したところをビームライフルで撃っていてはとてもきりがない。ユリはデッキの上からガトリングストライカーに換装して迎撃しているが、砲台同然の状態ではディンを近づけないようにするのがやっとだ。

 

 

 

「キラ、無茶よ!」

 

〈無茶でもやらないと!姉さんはディンを食い止めて!〉

 

キラはユリの制止も聞かず、バズーカを装備したストライクで飛び込んだ。

 

「キラ!っ、ああもう!」

 

ディンのランチャーが当たり、揺さぶられるがユリは負けじとガトリングとビーム砲で迎撃した。が、やはり艦の上からでは狙いをつけられない。レナの方は隊長機と思しき機体を釘付けにしているが、やはり苦戦している。

 

 

 

ストライクは海に飛び込んだものの、砂漠とはまた勝手が違い、水の抵抗で思うように動けない。バズーカで狙いをつけるが、グーンのスピードについて行けない。対して、相手は魚雷や体当たりでこちらを消耗させ、衝撃でバズーカを手放した。しかし、グーンにしがみつくことが出来てアーマーシュナイダーを突き刺した。中の気圧変化でグーンは水圧で圧壊した。もう一機を狙うが、魚雷の攻撃でアーマーシュナイダーを落とした。このままでは手がないと思われたが、空中で撃破されたと思われるディンのパーツが落ちてきた。ちょうどストライクとグーンの間だ。キラは咄嗟にディンの突撃銃を手にしてグーンの体当たりをあえて受けた。そして、零距離で突撃砲を撃った。

 

「くそ!後二機残っているのに!!」

 

〈キラ!〉

 

「姉さん!?アークエンジェルの方は!?」

 

「大尉がディンを一機撃ち落として有利になったから、こっちに回ったの!」

 

フレイムはよく見れば、アックスストライカーだ。確かに実体剣を使えば水中での接近戦にはなるが……

 

「姉さん、そっちに来る!」

 

グーンが一機、フレイムに肉薄した。ビームアックスを構えて打突攻撃のために突き出すが、外れてしまう。しかし、同じようにグーンにしがみつき、ビームナイフを抜いてビームの展開口を密着させた。その状態でエネルギーを送って限定的なビーム兵器の使用…グーンは中をビームで焼かれて爆散した。最後の一機はこちらにかまわずに撤退していった。

 

先ほど自分が撃破したグーンと、ユリが撃破したグーンにも……

 

分かっている…でも、僕がやらないとみんな!

 

 

 

休暇を終えたクルーゼ隊は地球のジブラルタル基地へ向かうことになった。ニコルは両親に見送られ、ヴェサリウスに搭乗しようとしていた。キールも一緒だ。

 

「二人共、今度も無事で。」

 

「はい。」

 

「キール、私にとっても君は息子だ。無理はしないでくれ。」

 

「ありがとうございます。」

 

そして、監視付きで見送りに来たメイも……

 

「この間のコンサート、ありがとう。」

 

少し顔が熱くなった気がした……

 

「いえ、気分転換になったようでよかったです。」

 

ニコルとキールは搭乗する間際、アスランと合流した。

 

「アスラン、寝てませんでした?」

 

「あ、そんなわけないだろう。」

 

「図星だな。」

 

キールに指摘され、アスランは謝罪する。

 

「ぅ…すまない。次の機会があれば、ちゃんと聞く。」

 

「……本当はもっとちゃんとしたのをやりたいんですけどね。」

 

「『オペレーション・スピットブレイク』が成功すれば情勢も変わるよ。」

 

キールが先日議会で決定した地球攻撃の作戦名を口にし、途中でシオンが追いついてきた。

 

「こんな形で地球に帰るとは思わなかったよ。」

 

「地球って言っても、お前はオーブだろう?」

 

イリアが合流し、ミサキも来た。

 

「『スピットブレイク』の攻撃目標は多分、パナマよ。そこを攻略すれば、和平交渉もこぎ着けるわ。そうすれば、もっと長い休暇で帰る機会もあるわよ。」

 

「その時は一緒に連れていって?」

 

イリアが茶々を入れ、ミサキが顔を赤くする。

 

「もう、余計なこと言わないで!」

 

「お互い降下作戦は初めてなんだ。リラックスさせようとしたのに。」

 

「嘘おっしゃい!」

 

そんないつもとかわらないやりとりをする彼らを乗せ、ヴェサリウスは地球へ向けて出港した。

 

 




アスラン達も地球に降ります。

モラシム隊は数増えてますが、ちょっと色々つじつま合わせも大変です。

水でのビームサーベルですが、もしあの海中で不用意に展開したら多分ガンダムでも木っ端微塵でしょうね
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