機動戦士ガンダムSEED REVERSE   作:meitoken

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キラ達がやられた後のアークエンジェルとザラ隊メインで行きます。


PHASE-25 途切れた交信

「キラ?トール?聞こえますか?応答して!ユリ、レナ!返事をして!」

 

ミリアリアは通信が途切れた四人に呼び続けていた。しかし、今の爆発と三機のGとスカイグラスパーとの交信が途切れた事実を全員が悟っていた。

 

ミリアリアはそれを認めたくないかのようだった。

 

〈今の爆発音は?〉

 

帰還したムウから問われ、マリューは呆然としながらも答える。

 

「爆発は分かりません。ですが、現在ストライク以下全MS及びスカイグラスパー二号機との通信が途切れています。」

 

〈そ、それって!〉

 

〈まさか…!〉

 

モニターでレイラがこわばり、応急手当を受けて頭に包帯を巻いたシュウが青ざめる。

 

ミリアリアはまだ呼び続けるが、ナタルが通信を切った。

 

「もう、やめろ。」

 

マードックの方からエンジンの応急修理が終われば飛べる報告があがり、パイロットが脱出しただけでもよしとするべく、四号機は放棄してバスターは回収、パイロットも既に連行されていた。

 

「ろ、六時の方向!レーダーに機影!数三!」

 

カズイの報告をトノムラが続けた。

 

「ディンです!会敵予測、15分後!」

 

マリューが咄嗟に叫ぶ。

 

「迎撃用意!」

 

「無茶です!現在半数以上の火器が使用不能です!これではディン三機相手に十分ともちません!」

 

ナタルが反論した直後、ミリアリアが再び通信をオンにした。

 

「キラ!ユリ、レナ!聞こえる!?応答して!ディンが…」

 

必死に呼び続ける彼女の声をナタルが再び通信を切り、冷徹に告げた。

 

「いい加減にしろ。キラ・ヤマト少尉以下の四名は全員MIAだ。わかるだろう?」

 

MIA。それは以前カガリに下すべきかが論ぜられた事実上の戦死扱いであった。ミリアリアは「そんな…」と呟くが、ナタルは言い聞かせる。

 

「受け止めろ。割り切れなければ、次に死ぬのは自分だぞ。」

 

ミリアリアはブリッジからふらふらと出ていった。それを誰も止めなかった。規律に厳しいナタルも、今の状態では無理だと判断したのだろう。

 

「パワー、戻ります!」

 

「離床!推力最大!」

 

ノイマンの報告を聞いたマリューが再起動を命じると共に四人の安否を問う。

 

「二号機とGの最後の確認地点は!?」

 

「ストライク及びフレイム、二号機は七時方向の小島です!」

 

「ウインドはそこから数キロ北方の離れた島です!」

 

トノムラとチャンドラが答えるが、ナタルは心外そうにあげた。

 

「この状況で戻る事などできません!」

 

その通りだ。戻ろうとすればディンに捕まり、全滅してしまう。ならば。

 

「少佐!大尉!一号機と三号機は!?」

 

〈駄目だ!まだ出られん!〉

 

〈せめて、四号機が使えれば!〉

 

二人の報告はマリューを更に絶望させた。

 

「艦長!離脱しなければやられます!」

 

ナタルが急かす。

 

「でもっ…もしかして、みんな脱出してたら…」

 

サイは望みを込めた声を出すが、ナタルは一瞥しただけだ。

 

「アラスカ本部とのコンタクトは?」

 

「応答ありません!」

 

戻る事もできず、援軍も呼べない。どうすれば……

 

「艦長!クルー全員に死ねと仰るつもりですか!?」

 

そんな事できるはずがない…、マリューはカズイに声をかけた。

 

「……打電を続けて。それと、島の位置と救援要請信号をオーブに!」

 

「オーブ!?」

 

「人命救助よ!オーブは受けてくれるわ!」

 

「しかし、あの国に…」

 

ナタルは不満そうだ。同盟関係でもない国に頼むのが納得いかないのだろう。しかし、彼らは元々オーブの学生だ。

 

「責任は私が取ります!」

 

 

 

アークエンジェルが浮上したのを感じたレイラはミリアリアがシミュレーターに歩み寄るのが見えた。そうだ…シュウと交代でトールは真剣に訓練していた。少しでもキラ達の負担を減らしたくて、シュウはおそらくユリを助けたいから。そして、シュウは助かったのに…トールは戻ってない。

 

「トールは?」

 

「ミ、ミリィ…」

 

「そんなはず、ないんです。キラも…ユリも…レナも、MIAなんて…だから……!」

 

ムウも来て、泣き崩れるミリアリアの肩に手を触れようとするが、すぐに止めた。レイラも出来なかった。

 

二人共、シミュレーションの成果は完璧だった。最初の出撃の時も支援にとどめ、それをこなしていた。だから、パイロットとしての出撃を許した。

 

認めるんじゃなかった…!二人がスカイグラスパーに乗るのを…!

 

シュウも同じく、泣き崩れた。

 

「まだ…ユリに、好きだって……言ってないのに!」

 

「くそぉ!」

 

ムウがシミュレーターを殴りつけ、レイラも機材に座り込んで弱々しく殴りつける、何度も。

 

先遣隊の時に兄のことを聞いて以来、それとなく面倒を見ていた。いつしか、あの子達を弟妹のように思っていた。

 

だが、間違った。第八艦隊と合流した時に無理矢理でも、あの子達を降ろせばよかった。もう、後悔しても遅い。四人とも、死んでしまったのだ。

 

 

 

「艦長!」

 

クストーの司令室にイザークとニコルが駆け込んできた。

 

「アスランとディアッカとシオンは!」

 

「艦が動いて…この進路は、カーペンタリア!?」

 

ニコルがパネルを睨んだ。艦の進路はアラスカではなく、全く逆。カーペンタリアの方角だ。

 

「…三人は不明だ。我々には、クルーゼ隊長からの帰投命令が出ている。」

 

ニコルが「え?」と呟いた。イザークも一瞬意味が分からなくなり、目を見開いた。

 

「不明?…不明とはどういう事だ!?」

 

「一体、何が?」

 

「詳しい状況は分からん。…まずバスターとの交信が途切れ、やがて大きな爆発を確認した後、イージスとシューターからの交信も途切れた。」

 

淡々と述べられる状況を二人は呆然と聞いていたが、やがて我に返り、イザークは問いかけた。

 

「エマージェンシーは!?」

 

その問の答えも淡泊な物だった。

 

「いずれもでていない…」

 

エマージェンシーがない。それはつまり……

 

「嘘……」

 

入り口からの高い声に気付き振り返ると、ミサキとイリアが立っていた。

 

「あ……足つきは!?ストライクとフレイムは!ウインドはどうなったんだ!!」

 

イリアが血の気を失いかけた顔で食いかかった。

 

「足つきはボズマン隊が追跡している。」

 

「そんな!そんなこと!」

 

遂にニコルが愕然とした声を上げた。

 

納得できない。ここまで来て逃げられた挙げ句、帰投命令で戻ることになったこと。そして今また、仲間がいなくなった事に。

 

「そ、そんな……すぐに艦を戻して!せめて、私だけでも!あの三人がそう簡単に!ザフトの赤なんですよ…!」

 

ミサキがすがるように艦長に申請したが、逆に諭された。

 

「ならば、冷静な状況判断もできるはずだ。我々には帰投命令が出ていると言った。捜索の別働隊も出ている。オーブも動いているという報告もあるのだ。」

 

「だが…!もし、それであいつらが別の場所にいるなんて事なら…!」

 

イリアはまだ可能性を探っていた。いや、イザークとニコル同様に認めたくないだけだ。

 

「言っただろう。彼らも冷静な判断ができるはずだと。」

 

正論に四人は反論を封じられた。ミサキは目に涙を浮かべて真っ先に飛び出していき、三人も後に続いてとぼとぼと司令室を出て行った。背中越しに感じる艦長からの哀れみを含んだ視線をイザークは忌々しく感じた。

 

 

 

「シオン…シオン……!」

 

シューターがあった場所に来たミサキは泣き崩れた。アカデミーの頃、女という理由で軽んじられた上に叔父が評議員だったから赤になったと男子が因縁をつけてきた。そんな中、シオンが横槍を入れてきた。地球出身で、ミサキより酷い嫌がらせを受けていたにもかかわらず。

 

『ナチュラルに囲まれた俺に負けるんじゃ、プラントのコーディネイターも大したことないな。』

 

両親はナチュラルに対して寛容な考えだった。それでも、『血のバレンタイン』で多少なりと敵意は生まれた。それを溶かしたのが、ある意味でナチュラルと一緒に当たり前のように過ごしていたシオンだった。

 

親戚が『血のバレンタイン』で死んで、教官や上級生にも嫌がらせを受けながらも努力で教官達を黙らせて、赤になった。そんなシオンの熱意にミサキは惹かれた。戦争が終わったら、オーブへ連れて行ってもらいたいと思った……

 

なのに…!

 

 

 

イリアは部屋に行って、それとなくシオンの机を見た。写真立てなどもない、殺風景なものだ。ユニウスセブンに住んでいたから、殆どの私物はあそこで失われたからだ。あるのは、ヴェサリウスから来る時に持ってきたアカデミーで比較的良好な関係だったアスランとニコル、男子との騒動以来外野から見ても、好意を寄せているのが分かるミサキと撮った写真だ。他には配属間もなくミゲルが勧めてラスティを入れた赤八人の、卒業時のもの。他は植物学の資料だ。研究が高じて、ガーデニングでもやっていそうだ。

 

「………淡泊すぎだろ。」

 

そして、イリアの中でもう一つの喪失感があった。レナだ……もし、レナがアークエンジェルのクルーなら…いや、もしかしたらあの戦闘機のパイロットかもしれない。そうだ、そうに決まっている。

 

あの三機のいずれかにレナが乗ってるわけがない。だって兄妹かもしれないんだぞ。

 

 

 

カガリとフブキはアークエンジェルから人命救助の要請があったのを聞いた。その対象者はキラ・ヤマト、ユリ・ヤマト、レナ・クールズ、トール・ケーニヒの四人だ。

 

四機の輸送機が飛び立ち、カガリはストライクとフレイム、フブキはウインドをロストした島に来ていた。

 

「あ…」

 

カガリは島を呆然と眺めていた。所々にある残骸は見覚えがある。海岸にも以前見た機体の頭部があった。イージスだ…

 

「あいつが?」

 

無人島で過ごしたザフト兵…アスランがやったのか?そして、ストライクが無残な姿で横たわるのが見え、すぐそこでフレイムも倒れていた。どういう状況か分からないが、イージスが自爆して二機が撃破されたのだ。

 

ストライクのコクピットをカガリは覗き込んだ。

 

「カガリ、よせ!」

 

キサカが後ろから呼び止めた。彼にしてみれば、中は蒸し焼き。無残な姿になったキラの遺体があると思われたが……

 

「いない、あいついない!もぬけの空だ!放り出されたのか!いや、脱出したのかも!フレイムの方は!?ユリは!?」

 

「こちらも同じです!外部から、開けられたような形跡があります!」

 

「キラだ…キラが助け出したんだ!どこかで倒れているかも!!」

 

その時、捜索隊から呼ばれて、カガリは海岸に向かった。

 

 

 

フブキは言葉を失った。見つけたのは、無残な姿に倒れたウインドの姿だ…先日、モルゲンレーテで修繕されたばかりなのに。すぐそこでシューターが倒れていた。二機とも対艦刀やビームサーベルを持ったままだ……

 

あの時、背中から抱きついたレナの感触が蘇った。誰かに、善意で助けられたなどフブキにとってはウズミの時以来だった。あの三人は本当に命の恩人だった。特に、レナは砂漠の時から、よく声をかけてきて……バルトフェルドに送られたコーヒーのブレンドをして、飲まされた。

 

「レナ…!」

 

ふらふらとウインドのコクピットを覗き込んだ。中にあるのは、ビームサーベルで焼け焦げた肉片……と思われたが、

 

「…ハッチが、空いている?」

 

ビームサーベルで斬られた後はあるが、それにしては不自然だ。

 

「……いない!?」

 

コクピット内部も傷だらけだが、溶けたパイロットスーツや焼け焦げた肉片らしきものもない。蒸発してしまったなら、もっと酷い有様のはずだ。

 

「脱出したのかもしれない!付近の捜索を!!」

 

もし、脱出しているのならどこかで倒れているかもしれない。そう思ったとき…

 

「フブキ様!こちらの機体はコクピットハッチが開いておりません!」

 

シューターだ。この機体はうつ伏せに倒れている。この状態では空いたとしても、出られないだろう。

 

「パイロットがいるかもしれない。重機を持ってきて開けるようにするんだ!」

 

「は!」

 

数時間後……重機によって仰向けになったシューターから赤いパイロットスーツの少年が発見された。ヘルメットを脱がせると、フブキは息をのんだ。

 

コーディネイターだから顔は整っている。だが、髪の色と…性別は男と分かるが、顔立ちがレナに似ていた。

 

「誰だ…こいつ?」

 




フブキはレナと絡んだように、シオンとも絡みます。

下手くそなりにレナはフブキに揺れて、一方でイリアも印象に残っている。

ユリはあくまでアスランに比重が行かないためにキラとレナの間になってます。
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