機動戦士ガンダムSEED REVERSE   作:meitoken

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いよいよその時が近づいてきました。そして、今回は際限のない殺し合いの応酬の始まりともいうべき、アレです。


尚、ネタバレですが自由のあるキャラと名前被る新キャラがこの後出てくる予定です。

元々がリマスター放送前に掲示板でやったやつと古すぎるもので、今更変えるのも躊躇してしまったので。只、英語の場合綴りが違うと思ってお読みください。申し訳ございません。


PHASE-31 神のいかずち

満身創痍のアークエンジェルはオーブへ向かった。結局、敵前逃亡艦の彼らはパナマへ行く事もできず、オーブに頼る他なかったのだ。

 

アラスカを目指していた頃は、誰もがこんな事になるとは思いもしなかった…

 

上陸したアークエンジェルにカガリは急いで駆け込み、フブキも足早に後を追って別れた。

 

フブキは足早に艦内を探すと、レナを見つけた。

 

「レナ!」

 

「フブキ…!」

 

フブキはレナに歩み寄り、頬に触れた。

 

「本当に、お前なんだな?」

 

レナの顔がやや赤くなり、頷いた。

 

「…う、うん。」

 

そして、軽く平手打ちを食らわせた。

 

「どれだけ心配をかけたか、分かっているか?俺も…カガリも!」

 

「…ごめんなさい。」

 

「………シオンに、お前の兄に会った。」

 

「え?」

 

レナが目を丸くした。

 

「兄妹で…殺し合っていたんだな?」

 

「……ごめんなさい、騙すつもりじゃ。」

 

そうだろう。シオン本人も言っていたことだ。あの様子だと、シオンも抱え込んでいたしレナもおそらくは……

 

「レイラさんに……つい、漏らしたけど。他は。」

 

「………そうか、分かっている……言えるわけないさ。そんなの。」

 

自分でも驚く言い方だ。カガリやウズミ以外…どうでも良いと思っていたのに、今彼女やキラが無事でいるということを素直に喜んでいる自分がいる。そして、シオンがレナを殺していなかったことを。

 

「あ、お邪魔だった?」

 

後ろから声をかけられると、そこにはユリがいた。

 

「別に、お前が考えているようなことじゃない。」

 

「…そ、そうよ!ユ、ユリこそシュウは!?」

 

「なんで、そこでそうなるの!?それより…カガリは一緒じゃないの?」

 

「ああ、多分キラを探しているんだろう。」

 

 

 

別れて艦内を探し回るとカガリは探していた顔を見つけた。

 

「キラ!」

 

探していた少年が振り返ると、カガリは相手の意図など考えずに抱きついた。

 

「この、バカァ!!」

 

キラが痛みを堪えるが、そんなのを無視してキラの胸を弱々しく叩く。

 

「お前…お前!…死んだと思ってたんだぞ…この野郎!」

 

「……ごめん。」

 

微笑するキラを涙で顔を見下ろしながらカガリはもう一度問う。

 

「本当に…生きてるんだな?」

 

「生きてるよ……戻ってきたんだ。姉さんや、レナと一緒に…」

 

「おい、キラ。それならもう一度地獄に墜としてやろうか?」

 

不機嫌そうな声がすると、フブキがレナやユリと一緒に見下ろしていた。

 

「お前ならカガリを任せても良いが、ある程度の節度は守ってくれよ。」

 

「ち、違います兄様!私とキラはそういう関係じゃ…!!」

 

「そうよね…キラは、もうラクスがいるから。」

 

真っ赤になって弁解するカガリと、突然聞き覚えのある名前をユリが出した。

 

「ラクス…ラクス・クラインか?」

 

確認するフブキにレナが頷く。

 

「そうよ、私達プラントにいたけど…ラクスのキラを見る目、私やユリと違ったわよ。」

 

「全く、アルスターの娘がいるかと思いきや……プラントの議長の娘に俺の妹、お前…女絡みでは最低だな。」

 

フブキに軽蔑の視線を向けられるキラは完全に弁解できなくなってしまい、カガリも少し不憫に思った。

 

 

 

食事を済ませたサイはようやく一息をついた。

 

「ねえ、これから……」

 

カズイがごにょごにょした口調で言葉を発する。

 

「これから俺達、どうなるの?」

 

「どうした?」

 

シュウの問いにカズイが確認する。

 

「俺達、もう軍人じゃないんだよね?」

 

「どうして?」

 

サイの問いにカズイが明るく問いかける。

 

「だって軍から離れちゃったんでしょ、アークエンジェル。だったら…」

 

除隊の話はキラ達がMIAになってからカズイがしていた話だが、まだ希望を捨てていないとは。サイは半ば呆れてその希望を切り捨てる。

 

「敵前逃亡は軍法では重罪、時効無し。」

 

カズイはならばと、今度は一枚の紙を取り出す。

 

「俺さ、実はこれ持ってるんだけどさ。前の除隊許可証。」

 

そんな物を後生大事に持っているとは…サイは呆れてトイレに席を立つ。そして、シュウもトレイを戻しながら釘を刺した。

 

「その除隊許可証はアークエンジェルが第八艦隊所属時の物。アラスカ守備軍の今は、多分無理だよ。」

 

 

 

オーブ軍本部の一室では、アークエンジェルからナタルを欠いた士官三人とパイロットの少年少女が、オーブはウズミとカガリ、キサカ、フブキが会合を行っていた。

 

「サイクロプスを使用するなど……正気か…!」

 

アラスカでの経緯を聞いた途端、フブキが罵った。

 

「うむ…いくら敵の情報の漏洩があったとはいえ、そのような策、常軌を逸しているとしか思えん。」

 

「ですが、アラスカは確かにそれでザフト攻撃軍の八割の戦力を奪いました。」

 

キサカが事実を述べ、吐き捨てるように付け加える。

 

「立案者に都合の良い犠牲の上に…机の上の冷たい計算ですな。」

 

「それでこれか。」

 

ウズミはテレビのスイッチを入れた。そのチャンネルでは現在アラスカの件についての公式発表が報道されていた。

 

〈守備隊は最後の一兵まで勇敢に戦った。我々はこのJOSH-A崩壊の日を、大いなる悲しみとして、歴史に刻まなければならない…〉

 

画像が切り替わり、そこには先日後にしたJOSH-Aの跡地があった。あそこで敵味方問わず何百何千もの兵士が死んだ。

 

〈が、我らは決して屈しない!我々の生きる平和な大地を、安全な空を奪う権利が一体コーディネイターのどこにあるというのか……!この犠牲は大きい。が、我々はそれを乗り越え、立ち向かわなければならない!地球の安全と平和、そして未来を守るために!今こそ力を結集させ、思い上がったコーディネイターらと戦うのだ!〉

 

「分かっちゃいるけど、たまらんね。」

 

ムウが言うように発表が耐え難い物になってきた時、ウズミは電源を切った。

 

「JOSH-A崩壊は…ザフトが新型兵器を投入したという事になっている。」

 

「でしょうね……」

 

フブキの暗い言葉に応えたレイラも震えていた。真相を知っている彼らにしてみればそんなのは茶番でしかない。そして、ウズミから大西洋連邦が中立国への参戦を呼びかけており、連合につかねば敵と見なすとまで言ってきている事態を聞かされた。余りにも無茶苦茶だ……コーディネイター全てが悪と定義して、味方をしなければ全て敵。政治や戦争の枠を超えている。地球連合の腐敗と暴虐を知らされ、彼らは改めて自分達の属する組織への疑念を認識した。

 

 

 

パナマ…地球連合軍の最後のマスドライバーが残された場所であり、『オペレーション・スピットブレイク』の当初の目標でもあった。

 

「しかし、これだけの戦力でパナマを落とせとは…本国も無茶を言いますわ……」

 

レイスは苦々しさなどいささかも感じない口調で呟いた。

 

「仕方あるまい。アラスカで調子に乗った奴らの足下をすくっておかねば議長もプラントも危ない。」

 

ザフトはアラスカの弔い合戦としてここを攻撃目標とした。

 

「ま、勝算がなければ議長もやらせはしませんね。グングニールはどうなっているの?」

 

前半はラウに、後半はオペレーターに向けた言葉だった。

 

「はっ、予定通りです!」

 

「そうか、後はこちらですね……」

 

レイスは不適に微笑んだ。

 

 

 

フレイ・アルスターは士官室に入れられており、事実上軟禁だ。あの時、アークエンジェルに戻りたくて飛び出して、この男に出くわした。そして、捕まった。

 

逃げ出そうにも、ここはザフトの潜水艦。逃げられないことくらいは分かっている。しかし、だからといって父と同じ声のこの男は銃を奪うことすらしない。捕虜に関する条約の詳しい内容は知らないが、普通武器くらいは取り上げるだろう。

 

「なんで、なんで私を!?」

 

銃を向けられても、仮面の男ラウ・ル・クルーゼは全く意に介さない。

 

『何故、あの時殺さなかった?』

 

敵の兵士なんだから殺しても良いはずなのに。

 

「ふ……君は既に死んだ身だよ。フレイ・アルスター。」

 

既に死んだ身?

 

「あの時私に撃たれていても、あのまま見逃していても君は死んでいた。ここで私を撃っても、その直後に君は死ぬ。兵に撃たれてね……気に入らぬと言っても、後はその銃口を自分に向けて引き金を引くくらいしか出来ることはないな。弾は入っているのだろう?」

 

アラスカ本部があの後、壊滅したのは聞いている。アークエンジェルのみんなも、サイもミリアリアも死んでしまった。ムウとナタルとレイラはどうなったか分からない。無事だとしても、会える保証などない。

 

「戦場では命など安いものだ。一瞬で失われる。だが皆…祖国のため、大義のために命を賭けて戦っているのだよ。」

 

一瞬で失われる…戦場では。そう、父もそうだった。ザフトの戦艦に乗っている艦を撃たれて、艦もろとも跡形もなく多くの乗員と一緒に死んでしまった。あの時、キラとトール、ユリとレナもきっと。

 

「しかし、君には似合わんな……そんなことは。」

 

銃を向けられても、動じることなくラウは横を通り去る。

 

「軍服を着ていても、君は兵士ではない。違うかね?」

 

そう……フレイは兵士になろうとして志願したわけじゃない。父を殺された復讐の道具としてキラに目をつけ、サイ達が軍に残留するように仕向ける、いわば賭けだった。その賭けにフレイは勝って、サイ達は残留。目論見通り、キラもサイ達を守るために残った上にユリとレナという嬉しいオマケまで着いた。

 

あの志願の時に言った言葉など、サイ達をその気にさせられそうな言葉を考えただけの詭弁だ。その報いが、これだとでも?みんなを騙して、自分だけ助かって敵の艦で生殺与奪を握られて飼い殺しになっている。嫌でも思い知らされた……自分が招いた結果だと。

 

 

 

「パナマが攻撃されてるって、本当ですか!?」

 

「ああ、らしいな。」

 

サイ達はノイマンにパナマが攻撃されているのを聞いて、言い知れぬ感情を抱いた。騙され、殺されかけたというのに。あのまま行っていれば、自分達も巻き込まれていた。行かなくてよかったという安堵さえ抱けない。

 

「アラスカで…人が沢山死んだばかりなのに!」

 

ミリアリアの言うとおりだ。つい先日、アラスカで敵も味方も何千人もの兵士が死んだ。なのに、新しい生け贄を求めるかのように今度はパナマだ。

 

 

 

パナマ基地にザフトのMS部隊が上陸した。ザフトの部隊はアラスカ攻撃軍の残存部隊で元の二割程度の戦力しかないが、従来の兵器しか持たない地球軍には十分で攻め込む一方であったが、状況は一変した。

 

森の中から一群のMS部隊が現れた。背中に一本のビームサーベルとグレネード付ビームライフルで武装したダークブルーの機体。GAT-01ストライクダガーだ。ストライクのデータを元に地球軍が開発した量産機である。

 

ストライクダガーはナチュラルの操縦とは思えない機動性でザフトのMS部隊を翻弄し、一機ずつ確実に撃破していった。

 

「なめるなぁぁーー!」

 

イザークはグゥルから飛び降り、ビームサーベルでストライクダガーを一機撃破した。その後も数機の敵を撃墜したが、見慣れない機体が現れた。その機体はデュエルと瓜二つであるが、全身を白く塗ってアサルトシュラウドのような増加装甲を付けていた。

 

「くっ、偽物があぁ!」

 

イザークは敵機にシヴァを撃ったが、その敵は他の機体とは比べ物にならない機動性でかわし、ビームライフルで後方のジンの頭部と武装のみを破壊した。正確な射撃だ。パイロットはアラスカに現れた三機に迫ると見て良いだろう。

 

その時、敵機から通信が入った。

 

〈デュエルのパイロット、私は手加減ができない。万が一、あなたを殺してしまう事もある。どうか……ここは退いてくれないか?〉

 

退けだと!?敵に、しかもナチュラルに情けをかけられるだと!

 

「何をふざけた事を!ナチュラルが!」

 

〈すまん、最初に言っておくべきだったな。…私はコーディネイターだ。〉

 

「な、何だと!」

 

イザークは愕然とした。コーディネイターが地球軍のパイロット!?同胞を裏切ったというのか!

 

「この…裏切り者め!」

 

〈やはり、話し合いでは決着はつけられないか…〉

 

敵機から憂いの声が聞こえた。どうやらあのパイロットは本気で退いてほしかったようだ。しかし、あのパイロットに事情があるようにこちらにはこちらの事情がある。

 

「連合のコーディネイター…?敵にとって不足ない……行くぞ!」

 

イザークはコーディネイターのパイロットの駆るMSにデュエルを突っ込ませた。デュエルはビームライフルとミサイルを撃つが、白いMSは回避してバルカンで応射する。シールドでそれを防ぎ、シヴァを連射するが、やはり回避され、ビームサーベルで斬りかかってくる。デュエルもビームサーベルを抜いてシールドで斬撃を受け止め、押し返す。

 

 

 

「ええい!」

 

ニコルはランサーダートを発射した。放たれた一本の貫徹弾はダガーを貫き、別の一本を上空の戦闘機に投げた。突然の攻撃に対応できなかった戦闘機は貫かれ、墜落した。彼は息をつく間もなく、更に後ろにいたダガー二機をビームライフルで屠った。

 

「……流石に多いな。」

 

背中に装備はない分、簡易型の量産機なのだろう。ストライクやフレイムと戦ったニコルはぼやきながらグレイプニールでダガーの頭部を潰し、ビームサーベルでもう一機を真っ二つにする。そして、ミラージュコロイドを展開してスラスターを使わずに足で移動した。

 

スラスターならば熱で探知されるが、足ならばそうそう感づかれない。幸い、近くに友軍機がいないから誤射される危険もない。

 

こちらを探そうとするダガー隊の背後に回り、一機をビームサーベルで貫いた。

 

 

 

〈全軍に通達!グングニール起動します!〉

 

グングニール……強力な電磁パルスを発し、あらゆる電子機器を停止するEMP兵器であり、この作戦におけるザフト軍の切り札である。

 

強力な電磁パルスはマスドライバーを破壊し、司令室をはじめMSや砲台、戦闘機の機能も停止した。

 

ザフトのMSは前もってEMP対策を施しておいたため、何の問題もなかった。潜水母艦から放たれたミサイルは司令室と動かなくなった戦車やMSを潰していき、ザフトのMS隊は投降した兵士達を見つけ次第片端から撃ち殺した。逃げようとした兵士達もMSに見つかり、撃ち殺された。

 

 

 

イザークは丘に立つデュエルのコクピットで手当たり次第に兵士を撃ち殺す仲間を汚い物を見るように見ていた。先程の機体もグングニールで機能を停止したが、イザークはそれにとどめを刺さずに今この丘にいた。

 

〈いいざまだな!ナチュラルの玩具共!〉

 

〈ナチュラルの捕虜なんかいるかよ!〉

 

兵士の声と共にライフルを撃つ音が聞こえた。いや、既にあちこちでMSの銃声が聞こえ、今聞いた声の主が撃った物かさえ判らなかった。ゾノとグーンは逃げる兵士を踏みつぶし、ディンは落下していく戦闘機を捕まえ、コクピットを潰した。中には逃げようとする兵士を空から撃って遊ぶMS隊もいる。

 

「動けない敵を撃って何が面白い…!」

 

あれでナチュラルより優れた理性的な存在などと言えるのだろうか?あんな飢えた獣のような……

 

「グングニール…『神の雷』だかなんだか知らんが、敵の足下をすくうというやり方…アラスカでのあいつらと我が軍、何ら変わらん……」

 

イザークは機体を母艦へ向けた。既に戦闘は終了した。だが、仲間達は無抵抗の敵を撃って面白がっている……理性的である自分達があんな事をするなど…

 

理性的だと言うのなら、アラスカに現れた敵味方問わず救おうとしたあの三機のMSのパイロットの方が遥かに理性的で優越性すらも感じる。

 

彼は自分達コーディネイターの優越性と軍の掲げる正義に疑問を抱き始めていた…

 

 

 

ニコルは投降した兵士を確認し、連絡を取ろうとした時…

 

今投降の意思を示していた兵士達が彼の後ろから飛んできたミサイルで消し飛んだ。

 

〈よっしゃあ!やったぜぇ!〉

 

スピーカーからまるでゲームをクリアしたような声が聞こえた。ニコルは撃ったのが友軍のジンである事を知った。彼は怒りに燃え、回線を繋いだ。

 

「何をするんですか!彼らに戦闘の意思はなかった!それを撃つなんて…!」

 

しかし、ジンは彼の言葉に耳を傾けず、近くにいた兵士にライフルを撃った。目の前の凄惨な光景から目をそらすようにサイドモニターを見ると、倒れたダガーがジンに重斬刀で滅多刺しにされていた。重斬刀は機体のオイルとパイロットの血が混ざった液体に染まっている。

 

〈どうした?反撃しないのか、ナチュラル共!〉

 

既にパイロットは死んでいるのにそんな事を言う兵士の口調は笑っていた。

 

楽しんでいる。無抵抗の兵士を殺すのを心の底から楽しんでいる。別のモニターではシグーとジンが戦車を何度も踏みつぶしていた。

 

ニコルは見ていられなくなり、ジンの肩を掴ませた。

 

「いい加減にしてください!もう、戦闘は終わりました!!」

 

〈何だ、お前?おい、こいつは裏切り者だぜ!!〉

 

ジンの一機がライフルを撃ち、トリケロスで防御する。だが、他のジンが攻撃をしてきた。

 

〈邪魔するなら、お前も死にな!!〉

 

ニコルは恐怖した。既に戦えない相手を遊びで殺し、戦争のルールに従った仲間さえ攻撃しようとする友軍の兵士に。

 

ジンは重斬刀で斬りかかり、ニコルはトリケロスで受け止めるが後ろから他の機体が撃ってきた。

 

「やめてください!友軍を攻撃するなんて!!」

 

〈裏切り者が何抜かしやがる!!〉

 

二機のジンは攻撃をやめない。仕方ない!ニコルは何とかブリッツのビームサーベルでジンの足を斬って動きを止め、更にビームライフルでもう一機の足を撃ち抜いた。

 

ニコルの心に初めて戦場に出た時の恐怖が甦った。いや、この恐怖は違う。怖いのは殺戮を楽しんでいる同胞達だ。そして、仲間を撃った恐怖だ。

 

こんな事をするために、僕は軍に志願したんじゃない。これじゃあ、戦争じゃなくて只の虐殺だ!

 

プラントを守るためなら、何をしても良いのか?違う!そうじゃないはずなのに!

 

ニコルもまた、戦争に対する疑念の霧がかかり始めていた。

 

 

 

イザークとニコルがこの戦場の凄惨さに憂いを感じているのに対し、ラウとレイスの心中はまるで違った。

 

「これで、新たな舞台の幕開けになるわ…」

 

「ああ…次は、どうなるのかな?」

 

 

 

 

アークエンジェルの格納庫でパナマの件をムウとレイラから聞いたキラ達の元にカガリがやってきた。

 

「エリカ・シモンズが来て欲しいってさ!何でも見せたい物があるって。」

 

その言葉に従い、モルゲンレーテにやってきた彼らを待っていた物は…

 

ストライク…フレイム……

 

キラとユリがかつて搭乗していた機体だ。

 

「改修の際に貴方達のOSを乗せてあるけど…その、別のパイロットが乗るんじゃないかなって…ウインドやシューターも今修理してて、データ収集のためにイージスとデュエルも組んでいるの。」

 

「例のナチュラル用の?」

 

ムウが聞くと、エリカは「ええ。」と答えた。

 

「私が乗る!」

 

「俺が…」

 

カガリが威勢良く、フブキが静かに名乗り出るが、カガリが「あ。」と気付いた。

 

「もちろん、そっちが良いならの話だが…」

 

だがマリューが許可を出すよりムウとレイラが早かった。

 

「駄目だ。」

 

「なんで?」

 

カガリが問いかけると、レイラはさらりと答えた。

 

「私達が乗るから。でしょ?」

 

ムウがにんまりと答えた。

 

「そういうこと。」

 

そして、ムウはストライク。フレイムにはレイラが搭乗した。二人は早速テストを兼ねて前任者のキラとユリを相手に模擬戦をやることにした。

 

〈いきなり僕達との模擬戦はいくら何でも早すぎると思いますけど。〉

 

〈あら、パイロットとしてのキャリアなら私達の方が上よ。〉

 

〈それは、そうですけど…〉

 

〈生意気言ってられるのも今のうちだ!行くぞ!!〉

 

ストライクとフレイムがフリーダムとアフェクションに模擬戦用の剣で斬りかかった。




ジャン・キャリー本人は出てきませんでしたが、当時PS2ソフトでやった場面を使いました。原典のMSVは読んだことがないので。

ただ、イザークが戦った相手で見逃されたのは知っています。

ニコルは投降を認めようとしたところで発生した虐殺で自軍の正義を疑い始めています。イザークが侮蔑したのに対し、ニコルは止めようとして撃たれました。
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