機動戦士ガンダムSEED REVERSE   作:meitoken

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ヘリオポリス崩壊です。原作と比較して、アークエンジェルはMSも人間もちょっとだけ充実しています。

その分クルーゼ隊も増えており、ミゲルに並ぶ兄貴分でアスランの古なじみというオリジナルも出ます。


PHASE-3  崩壊の大地

「ラミアス大尉!」

 

格納庫に地球軍の将校が駆け込み、キラもタラップを使ってMSから降りた。

 

「子供?」

 

キラ達の姿を見て地球軍の兵士達がざわめき、サイ達が寄るのと前後し、背後からまた別の声が聞こえた。

 

「へえ、こいつは驚いたな!」

 

紫のパイロットスーツを着た二十代後半と見られる男と二十歳前後の青いパイロットスーツを着た若い女性が現れた。

 

「地球軍第七機動艦隊ムウ・ラ・フラガ大尉、よろしく。」

 

「同じく、レイラ・ウォン中尉よ。」

 

「第二宙域第五特務師団所属、マリュー・ラミアス大尉です。」

 

「同じく、ナタル・バジルール少尉であります。」

 

二人の女性が敬礼に答えた後、ムウが問う。

 

「乗艦許可を貰いたいんだがね。ここの責任者は?」

 

ムウの問いにナタルが顔を伏せる。

 

「艦長以下、主立った士官は皆戦死されました。よって今はラミアス大尉がその任にあると思われます。無事だったのは爆発の時に艦艦内にいた下士官と十数名のみです。私はシャフトの中で運良く難を……!!」

 

「最悪ね…私達の艦もやられたのよ。ラミアス大尉、許可をもらえるかしら?」

 

「あ…はい、許可します。」

 

形式が整ったところで、ムウがキラ達に歩み寄る。

 

「な、なんです?」

 

「君達、コーディネイターだろう?」

 

そこにいた地球軍将兵達の顔がこわばるのが分かった。が、それでも…

 

「はい、そうです。」

 

認められた途端、三人に銃が向けられた。

 

「な、なんだよそれ!コーディネイターでもキラ達は敵じゃねえよ!」

 

トールが真っ先にキラ達を庇い、サイも間に入ってきた。

 

「僕たちはこのコロニーの民間人です!コーディネイターがいることが悪いんですか?」

 

「銃を下ろして。この子達は工業カレッジの学生よ。それに、ヘリオポリスは中立のコロニー。戦争に巻き込まれたくないから、移住したコーディネイターがいてもおかしくないはずよ。そうでしょ?」

 

マリューが庇い、キラが応える。

 

「あ、はい。僕と姉さんは一世代目のコーディネイターです。」

 

一世代目……つまり、それは両親がナチュラルということだ。だが、キラとユリが一世代目だということはレナは。

 

「私は、二世代目です。」

 

レナがばつの悪そうに応えると、再び銃を向けられた。

 

「いい加減にしてよ!!二世代目のコーディネイターだから全部ザフトなの!?」

 

遂にミリアリアも激高して、レナの間に立った。

 

「…悪い、そういうつもりじゃなかったんだ。俺と中尉はこいつらに乗るヒヨッコ共の護衛で来たんだが、連中ノロクサ動かすのにも四苦八苦してたからな。」

 

「ええ、正直……遠巻きで彼らじゃないのはすぐに分かったわ。」

 

 

 

被弾したラウとレイスの帰還後、ヴェサリウスにて緊急のブリーフィングが行われた結果、残った三機と新造艦破壊のために再びコロニー内に攻撃をかける事となった。今度は艦内待機だったミゲルの同期キール・フロックも出撃だ。

 

「ミゲル、キール、オロール、マシューは出撃だ!D装備の使用許可が出ている!」

 

D装備だと!?

 

アデスの言葉にシオンは驚いてラウに問いかけた。

 

「隊長!D装備は要塞攻撃用の武装です!コロニーの中で使えば!」

 

「シオン、君の言いたい事はわかるが…出身国という理由で納得がいかない、というのか?」

 

「い、いえ…そういうつもりでは。」

 

だが自分は軍人である以上私情を挟んではならない。地球軍のMSがD装備を使わせる程の相手だという事だ。それでもシオンはこの判断に疑問を抱かずにはいられなかった。

 

 

 

D装備での出撃の件はガモフのイザーク達の耳にも届いた。イリアとミサキは万一に備えて、艦内待機だ。

 

「D装備だって。」

 

「おいおい、要塞攻略でもする気か?」

 

「でも、そんな事をしてヘリオポリスは……」

 

面白がっているようなディアッカとイリアに対してニコルは不安そうな声を出したがイザークは馬鹿にしたような口調で流した。

 

「自業自得です。中立とか言っておいてさ。」

 

「だけど、住んでる人達に罪はないのよ?」

 

ミサキが異議を唱えたが、イリアは小突いた。

 

「シェルターに退避する時間は十分あったんだ。ユニウスセブンよりはマシだろう?」

 

ユニウスセブンの名前を聞き、ミサキは顔を伏せる。

 

確かに…そうだ。あそこは核攻撃で避難すらままならなかったのだから。私の、両親も……

 

 

 

一方、アークエンジェルは外部との通信を試みたが、以前電波妨害で通信は出来なかった。

 

「状況は最悪ね…ところで、あの子達はどうするの?」

 

レイラの問いに士官達は沈黙する。マリューが軍の機密を見たために拘束したものの、ムウとレイラは難色を示している。

 

「シェルターはもうロックされて退避させることは出来ない。オマケに外のクルーゼ隊相手に私達のMAは出られない。消去法で答えは決まってるでしょう?」

 

それは遠回しに、彼らのもう一度Gに乗ってもらうしかないという事だ。

 

「今度はフラガ大尉とウォン中尉に乗ってもらえれば!」

 

「おいおい無茶言うなよ。あんなもんが俺達に扱えるわけねえだろう?」

 

「あの子達の書き換えたOS、特にストライクは別格よ。完全にあの子達専用機になってるわ。」

 

「なら、元に戻させて!」

 

「そんで、ノロクサ出て行って的になれって?」

 

「貴女は見てないから言えるんでしょうけど、あんなOSで動くMSなんて只の足の着いた鉄屑よ?」

 

ムウとレイラの容赦のない正論にナタルは押し黙るが…

 

「しかし、民間人の…それもコーディネイターの子供になど。」

 

「まだあの子達がザフトだと?」

 

「いえ……そういう、わけでは。」

 

このままいっても平行線だ。マリューは立ち上がり、居住区で休んでいるキラ達の元へ向かった。

 

 

 

「お断りします!もう僕たちを戦争になんて巻き込まないでください!」

 

「そうですよ!貴女達の言った事は正しいのかも知れません!私達の外の世界は戦争をしている。でも、それに巻き込まれるのが嫌で中立のここを選んだのに、貴女達軍の都合でこんな目に遭わされた上に戦えなんて!」

 

予想通りの反応の上、レナの抗議にマリューは返す言葉がなかった。確かに自分達のせいでこのコロニーで平和に暮らしていた人々を戦争に巻き込み、今も年端のいかない子供達を戦わせようとしている。軍の都合で……言葉につまるマリューの元にブリッジのムウから通信が入ってきた。

 

〈MSが来るぞ!早くあがって指揮を執れ!君が艦長だ。〉

 

「え、私が?」

 

〈先任大尉は俺だが、この艦の事はわからん!〉

 

マリューは意を決した。

 

「わかりました。では、アークエンジェル発進準備。総員第一戦闘配備、大尉達のMAは?」

 

〈だめだ、出られん!〉

 

「では、フラガ大尉とウォン中尉にはCICをお願いします。」

 

「……卑怯よ、あなた達は。」

 

ユリの悲痛な言葉がこぼれ、自棄になったように言った。

 

「そしてこの艦にMSはあれしかなくて、今扱えるのは私達だけだって言うんでしょう!死にたくないなら、乗れって!だったら乗るわよ!」

 

 

 

結局、三人は選択する余地も無く、MSに乗る事となった。キラのストライクは近接戦闘用のソードストライカー、レナのウインドは二本の専用対艦刀ウルカヌスでの迎撃となった。ユリのフレイムはビームライフルだけ持って艦の上で迎撃することとなった。ユリが機体のチェックをしていると、ユリをフレイムに乗せた少年兵シュウが声をかけてきた。

 

「度々だけど…こんな事に巻き込んで…悪かった。俺には機体の整備くらいしかできないけど、無理するな。」

 

頬を赤めて詫びるシュウにユリは「…ありがとう。」とだけ答えた。

 

 

 

「接近する大型の熱量。熱紋照合、ジンです。」

 

ジャッキー・トノムラの報告と同時にモニターに映ったジンの映像を見てレイラが声を荒げた。

 

「拠点攻撃用の重爆撃装備!?あんな物を使うなんて正気なの?」

 

更に別部隊が侵入、内一機は黒く塗装されたジンだ。二機のジンは現在ザフトで数少ないビーム兵器…特火重粒子砲まで装備し、更に二機……イージスとシューターまで投入されていた。

 

 

 

〈オロールとマシューは戦艦を!アスラン!シオン!無理矢理着いてきた根性、見せて貰うぞ!〉

 

「ああ。」

 

〈分かっている。〉

 

あの後、アスランとシオンは命令を無視して強引にミゲル達に着いて来ていた。彼らにはそれぞれ確かめたい事があったから。

 

〈シオンは俺と一緒に来い。〉

 

月に行く前からの数少ない友人で、先輩でもあるキール・フロックはシオンを連れていった。

 

 

 

ジンはストライクにビーム砲を撃ち、他の機体がアークエンジェルにミサイルを撃つ。ブレイズがビームライフルで迎撃するが、艦の上からでは狙いが定めにくい上にユリがシャフトに当てるのを躊躇して中々撃てない。相手はコロニーへの損害などお構いなしで、このまま行けば徐々に追い込まれていく。

 

 

 

「くそ!これ以上撃てばコロニーが!」

 

オーブ出身のシオンにとって、故郷のコロニーを撃つのは躊躇われていた。だが、軍人である以上は…命令無視までして出たのだから。

 

「艦のエンジンを撃ち抜けば…最悪崩壊だけは。」

 

シューターは先ほど持ち帰ったビームライフルと着脱可能なレールガンがある。少なくとも、特火重粒子砲よりはコロニーへの損害が少ない。

 

艦の後方へ回ろうとするが、艦上の機体……取りこぼしたフレイムがビームライフルで迎撃してきた。

 

〈シオン!新型が来るぞ!〉

 

キールに声をかけられ、工場で起き上がるのを見た機体。ウインドが二本の剣を持って斬りかかった。

 

「接近戦重視の機体……キール、D装備じゃ無理だ!」

 

〈シオン、しかし!〉

 

その時……

 

〈ミゲルーーー!!!〉

 

「な、ミゲル!?」

 

 

 

アスランはイージスのコクピットでストライクの牽制を主に行い、ミゲルが狙うがストライクはジンを遙かに超える機動性で躱し続ける。

 

〈ち、素早い!回り込め、アスラン!〉

 

ミゲルの指示に従い、イージスはストライクの背後に回った。

 

「キラ…君なのか?」

 

ミゲルに聞こえない小声でつぶやきながら、イージスがストライクとすれ違い…その隙を突いてミゲルが再びストライクを狙った。

 

〈もらった!〉

 

が、完全に虚を突かれた攻撃でもストライクはそれを躱し、左肩から武器を投げた。投擲武器かと思われたそれは戻ってきた。ブーメランだ。

 

今度は完全にミゲルが虚を突かれ、足をブーメランで両断されて体勢を崩した。その隙を逃さずにストライクが対艦刀でジンを両断した。

 

「ミゲルーーー!!!」

 

 

 

ムウが照準を定め、主砲ゴットフリートでジンを撃った。しかし、戦艦の主砲はジンを撃ち抜くどころかそのままシャフトに直撃してしまった。

 

「これ以上コロニーに損害を与えられないわ!」

 

「では、どうしろというのです!沈められろとでも!?」

 

マリューとナタルの意見がぶつかるが、残りの機体が撃ってくる。

 

 

 

ユリはビームライフルで迎撃しながら、住み慣れたコロニーが崩壊していく様を目の当たりにした。

 

「こ、こんな…!」

 

ジンが脚部のミサイルを撃ってきた。すぐに思考を戻して、バルカンで迎撃するが外れてしまう。アークエンジェルが回避運動を取るが、また地表に当たってしまう。

 

「このままじゃあ、本当にコロニーが…!」

 

 

 

レナはウルカヌスでビーム砲を装備した黒いジンを狙った。だが、経験で相手が勝っており狙いを定められない。相手はこちらの都合などお構いなしだ。

 

そこへ、シューターが目に入った。

 

「兄さん…本当に?」

 

そちらに気を取られた間に黒いジンが再び、ビーム砲を撃った。左腕に装備されたシールドで受け止め、その余波から飛び込んで剣を振り下ろした。

 

相手の反応が早く、右腕を切り落とした。だが、その反動でビーム砲が暴発してシャフトに当たってしまった。

 

「そんな!」

 

ジンはそのまま撤退していき、今度はシューターが相手になる。レールガンが直撃し、強い衝撃で揺さぶられる中……

 

〈そこのMS…乗っているのは、レナ・クールズか?〉

 

「やっぱり…シオン兄さん!?」

 

工場であったザフト兵、それはやはり……

 

「何故なの、兄さん!何で兄さんがザフトに!!」

 

〈それはこっちの台詞だ!お前だって何故地球軍のMSに乗っているんだ?〉

 

二年前、プラントに渡った兄とオーブに残った妹は最も不幸な形で再会を果たした。戦場という残酷な場所で。

 

 

 

ジンを撃破したキラはイージスと戦闘に入った。

 

〈キラ…キラ・ヤマト!〉

 

この声は、まさか!

 

「やはりキラ!キラなのか!」

 

「アスラン。アスラン・ザラ!」

 

間違いない!やはり工場で会ったのは見間違いではなかった。月で別れた親友アスラン・ザラであった。

 

「どうして、どうして君が!」

 

〈お前こそ、どうしてそんな物に乗っている?〉

 

思いもせぬ形での再会は両者を困惑させ、二人の耳には僚機と母艦からの声も聞こえなくなっていた。

 

 

 

が、二つの再会は長くは続かなかった。最後のジンがアークエンジェルのゴットフリートに撃ち抜かれたが、手にしていたミサイルが発射されてシャフトに直撃した。それがトドメになり、警報レベルがMAXに達したことでヘリオポリスのシェルターは救命艇としてパージされていく。

 

「く!キラ、レナ!!」

 

ユリはフレイムをかがませ、崩壊するコロニーの急な気圧変化で揺さぶられるアークエンジェルにしがみつくのが精一杯だった。

 

二人に必死に呼びかけるが、何も聞こえない。

 

ストライクとウインドはコロニーの外に吸い出され、イージスとシューターも同様に外に吸い出された。今この時、ヘリオポリスは完全に崩壊し、彼らの日常は無惨に打ち砕かれた。

 

 

 

そして、その中で二つの救命艇が破損していた。




既に文章にありますが、アークエンジェルだけでなく救命艇はもう一つ出てきます。

どっちかは、多分大体の方はお察しいただけるかと。
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