機動戦士ガンダムSEED REVERSE   作:meitoken

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遂に彼女との対決が始まります。そして、フブキとリュウもMSで出撃します。


PHASE-37 黒い天使…後編

リュウはMSパイロットとして志願することが認められた。実際、一人でもパイロットが欲しい状況だ。万が一に備え、リュウはオーブ軍への志願入隊扱い。かつて第八艦隊のハルバートンがキラ達をそうしたように、あの戦闘より前に志願兵として入隊した体裁はキサカが整えてくれた。

 

搭乗するのはかつてアスランが搭乗したGAT-X303イージス……アスランが乗っていたものは自爆して失われたが、ヘリオポリスでの開発の裏で密かにデータを持ちだしており、アークエンジェルが提供した交戦データを元に再開発のめどが立ち、可変MSのデータ収集を目的に再建蔵されたものだ。当初はナチュラルのパイロットが乗るのを想定したが、同時進行で開発された新型バッテリーパワーエクステンダーのテストを目的に同じくパーツから組み立てられたMBF-03デュエルペイルにフブキが乗ることになった。

 

指揮官機のイージスにはフブキが乗るのが適切なのだが、フブキ自身がシンプルなデュエルペイルを希望し、シミュレーターで試した結果……リュウはM1よりもイージスの成績の方がよかった故の判断だ。

 

そして、現在エターナルが持ってきた物資の積み込みそれ自体を訓練としてリュウがフブキの指導を受けながら動かしていた。

 

「いきなり宇宙での戦闘か…」

 

〈状況が状況だ…しかし、飲み込みが早いな。教えることが少ないから俺も助かる。〉

 

「そう?でも、おだてても何も出ないからね?」

 

フブキにリュウは少しからかいながら返すと、フブキも素っ気なく返した。

 

〈期待してないよ…〉

 

「そう。」

 

〈……実戦になったら、俺が援護する。お前は素人なのを忘れるな?〉

 

「………ええ。」

 

〈おやおや、知り合って間もないのに随分と早く距離を縮めるじゃないの?〉

 

ムウのストライクがレイラのフレイムと一緒にやってきた。

 

〈全く、私とそれほど離れてないのにみんな早いわね。〉

 

「ち、違います!」

 

〈あら、そうなの?私の見立てでは、貴方達も良いと思うのだけど?〉

 

〈無駄口を叩いてないで、訓練をする。〉

 

「あらら、叱られたか。」

 

ムウがわざとらしく反省し、エターナルのコンテナをアークエンジェルに運ぶ。

 

その光景を見て、やはりリュウは不思議な、されど改めて決意を固めた。オーブが地球軍に攻撃される原因を作ったザフトの反対派と地球軍に裏切られたアークエンジェル、そしてオーブの人間が同じ目的のために集まる。

 

まだ、父さん達のことで整理はつけきれないけど……ウズミ様が理念を通さなければこれも実現しなかったのかもしれない。

 

バルトフェルドの話によれば、マルキオも裏から連合とプラントの双方から活動を承認されているジャンク屋組合経由で情報を提供してもらえるように手配しており、その他の補給もプラントにいるクライン派が整えてくれるとのこと。クラウド・デゼルトが敢えてエターナルから追い出されたのもプラント側からこちらをサポートするためだ。

 

同時進行で、各艦のブリッジでマリュー達艦長及び代表者達が戦力の配分を検討していた。エターナルは核動力搭載MSの専用運用艦であることを考慮し、フリーダムとジャスティス、アフェクションを配備。アークエンジェルにはイージス以外のGATシリーズ及びブレイブとトゥルースを配備し、クサナギにはイージスとデュエルペイル、M1部隊を配備することにした。それに合わせてキラとアスランとユリの三人はエターナルに移乗することとなった。

 

 

 

物資の搬入作業が進む中、各艦で戦艦クラスの熱量が現在このコロニーに接近してくる事を伝えた。不明艦とアガメムノン級が二隻……連合である。三隻はすぐさま搬入作業中のMSを呼び戻し、第二戦闘配備に移った。ただ通りかかっただけなのかも知れないが、油断はできない。誰もが通り過ぎるのを願ったが、大きな震動が港を襲った。コロニーに砲撃を加えた……敵である証拠だ。

 

エターナルはまだ調整が済んでいない為出られないが、アークエンジェルとクサナギの性能と搭載機を持ってすればたいていの敵は退ける事はできる。

 

港から出たところで敵艦から通信が入った。

 

〈こちらは地球連合軍、宇宙戦闘艦ドミニオン。アークエンジェル、聞こえるか?〉

 

「ナタルさん……」

 

レナが茫然とした声を上げた。

 

〈知っているのか?〉

 

シオンの問いにユリが答える。

 

〈うちの、副長だった人…〉

 

そう、声の主はかつてアークエンジェルの副長を務めていたナタル・バジルールだ。アラスカで転属になって離れ離れになっていたキラ達にとっての上官でヘリオポリス以来の仲間だ。

 

〈本艦は反乱艦である貴艦に対し即時の無条件降伏を要求する。………この命令に従わない場合は貴艦を撃破する。〉

 

〈艦長、敵艦の光学映像です。〉

 

ミリアリアがモニターに敵艦を映す。それは、黒く塗られた船体と違う形状のアンテナだが、紛れもないアークエンジェルだ。最初の敵がナタルで彼女の指揮する艦はアークエンジェルの同型艦。何という因縁だ。

 

 

 

〈お久しぶりです、ラミアス艦長。〉

 

「ええ…」

 

マリューもナタルも些か辛そうな口調で挨拶を交わす。

 

〈このような形でお会いすることになって…残念です。〉

 

「そうね…」

 

このような形……彼女が転属になったあの日、戦場でない何処かで会いたいとマリューが口にした。だが、二人は戦場で、敵味方に分かれて再会することになってしまった。

 

〈アラスカでのことは自分も聞いています。ですが、どうかこのまま降伏し、軍上層部ともう一度話を。私も及ばずながら弁護致します。本艦の性能は…よくご存じのはずです。〉

 

彼女の気持ちはありがたい…相手が自分達の艦と同等の性能であることも判る。しかし、勧告に対しての解答は最初から決まっている。

 

「ナタル…ありがとう。でも、それは出来ないわ…」

 

モニターの中のナタルが息を飲んだ。

 

「アラスカのことだけではないの。私達は地球軍その物に対して疑念があるのよ。よって、降伏、復隊はありません!」

 

〈ラミアス艦長……〉

 

ナタルはまだ説得を続けようとするが、通信で聞こえた笑い声に遮られた。

 

〈どうするものかと聞いていたが、呆れますねぇ艦長さん?〉

 

ナタルを馬鹿にしたような口調で声の主は続ける。

 

〈言って判ればこの世に争いなんて無くなります。判らないから敵になるんでしょう?そして敵は討たねば。〉

 

その声の主の名をナタルが呼ぶ。

 

〈アズラエル理事…!〉

 

ブルーコスモスの盟主ムルタ・アズラエル。この戦争を際限ない殺し合いに持っていこうとする人間の一人。そして、リュウ・アスカにとっては本当の意味で家族の仇とも言える男だ。

 

〈カラミティ、フォビドゥン、レイダー、グリード、ディザスター、プランダー発進です。浮沈艦アークエンジェル、今日こそ沈めて差し上げる。〉

 

「アズラエルって…?」

 

ミリアリアにノイマンが吐き捨てる。

 

「ブルーコスモスの盟主だ!」

 

〈青き清浄なる世界のために、コーディネイターに汚されたあの艦を沈めるのだ!〉

 

「グラン・ハーベスト!」

 

マリューは歯ぎしりした。よりにもよって、アガメムノン級の中にはキラ達を殺せといったあの男が。

 

 

 

フブキは操縦桿を握りしめた。よりにもよって、あの男が!フブキの脳裏にあの日の光景が蘇る。突然、部下と共に家に押しかけてきて両親を撃ち殺したあの男が…!そして、自分をあの施設に放り込んだ男!

 

「……メイ、良いんだな?」

 

〈ええ…〉

 

エターナルにいるメイに確認を取り、メイの同意を得た。全く、娘にも殺すことについてお墨付きをもらうなど。アスランと言いメイと言い、ナチュラルとコーディネイターの溝で親子の中さえ破綻するとは!

 

 

 

 

ドミニオンから通信が切られてそう時間が経たない内に例の新型六機、そして後続のアガメムノン級二隻からストライクダガーが発進した。

 

アークエンジェルからもフリーダム、ジャスティス、アフェクションに続きランチャーストライク、エールフレイムを先頭にGATシリーズが、そして艦の横にいたブレイブとトゥルースも向かった。

 

「アスラン、姉さん!あの六機だ!」

 

〈ああ!〉

 

〈連中は俺達五人で抑えるぞ!〉

 

シオンがフォーメーションを指示し、前後してカラミティが砲撃した。五機は散開すると同時に機動力や接近戦に長けた五機が来た。

 

一方、アガメムノン級やドミニオンのストライクダガーはストライクとバスター、シューターがアークエンジェルの援護に……ウインドとフレイムが直接戦闘で迎え撃つ陣形を取った。

 

同じく、クサナギもM1隊を発進させた。その中で、初陣のイージスとデュエルペイル、特にイージスはリュウが素人なのでパイロットとしての経験とスカイグラスパーでとはいえ実戦経験もあるフブキがフォローに回った。

 

 

 

六機は前のように競争するようにフリーダムらに襲ってくる。シオンは最初のお返しと言わんばかりにライフルを並列連結させる。

 

「母艦を叩けば!」

 

この距離でもトゥルースの索敵能力と武器の射程距離なら沈めることは無理でも、航行に支障を与えることは出来る。

 

エールプティオー対要塞・艦隊攻撃用超高エネルギー二連装ビーム砲の砲撃は後方のドミニオンをそれたが、後ろにいたアガメムノン級の船体をかすめ、大きなダメージを与えた。同時に警護に残っていたダガーが三機、巻き込まれた。

 

〈凄い…〉

 

レナの言うとおり、凄い威力だ。だが、砲身温度が上昇している。暫く使えない。すぐにシオンはライフルのドッキングを解除してビームサーベルを二本抜いて接近戦に切り替えた。

 

 

 

発進したクサナギは不味い状況に陥っていた。デブリになっていたケーブルが船体に絡みつき、身動きが取れなくなっていた。現在アサギのM1が外そうとしているが、時間が掛かりすぎる。今敵に襲われたらひとたまりもない。

 

「リュウ!周囲を警戒しろ!」

 

〈え、ええ…〉

 

リュウの声は少し震えていた。彼女にとってはこれが初めての実戦なのだ。今でもイージスの動きはぎこちない。

 

二人が周囲に気を配っている中、一機のMSがアサギ機の前に現れた。フォビドゥンだ。

 

しまった!間に合わない!

 

フォビドゥンの鎌がM1を切り裂くと思われた瞬間、赤い機体が間に入ってきた。ジャスティスだ。

 

〈何をやっている!急げ!!〉

 

〈あ、ハイ!〉

 

フォビドゥンはジャスティスを目障りと認識したらしく、鎌で斬りかかったが、ジャスティスもビームサーベルを連結させ、応戦する。

 

「奴はアスランに任せて、俺達は艦を守るぞ!」

 

〈了解!〉

 

フブキのデュエルペイルは正確な射撃でダガーを撃ち落とすが、イージスはまだ動きが覚束無く、数発外した後にダガーを一機屠った。

 

 

 

これが…実戦……

 

リュウは自分が今戦場にいるということに恐怖を覚えた。一発でもビームが当たれば死ぬ。今まで平和の中で過ごしてきた彼女には重すぎる重圧だ。緊張と恐怖を感じている中、ダガーが二機こちらに向かってきた。

 

「ええい!!」

 

リュウは叫びながらライフルを撃つが、射撃は全て外れ、一機がサーベルを振りかぶった。

 

避けられない!そう思われた瞬間、一機のダガーは爆散した。

 

〈リュウ!大丈夫か!!〉

 

フブキの声だ。彼が助けてくれたのだ。もう一機のダガーは後退している。

 

「フブキ…あ、ありがとう。」

 

〈礼は後にしろ!とにかく、お前は俺から離れるな!〉

 

彼が守ってくれる。その事実にリュウは安心を覚え、フブキの指示通り、デュエルペイルから離れず、ライフルを撃った。

 

〈当てられなくてもいい!とにかく艦に近づけなければ良いんだ!〉

 

 

 

コロニーの裏側で三隻のナスカ級が戦況を見ていた。クルーゼ隊だ。

 

「さて、どうした物か。既に幕が上がっているとは…」

 

ラウがさほど危機感を感じていない口調でパネルを見ていた。状況は複雑になっていた。港側にはエターナル以外に戦艦クラスの熱量の反応が二つ感知あった。その内の一つは彼らがよく知るアークエンジェルだ。

 

「港側にいる艦の内の一隻は足つき。そして地球軍艦の内の一隻は足つきの同型艦…どうなっているのかしらね。」

 

レイスも妙に面白がっているが、ニコルは真剣にパネルを見ている。

 

「足つきが地球軍に襲われているのは分かりますけど……それなら、どうしてエターナルと。」

 

そう、ニコルの言うとおりイザークもそれが分からない。スピットブレイクの件一つとっても、全てがクライン派の仕業ならば地球軍と結託しているのが普通だ。なのに、アラスカで裏切られたアークエンジェルと共にいる。一体、何がどうなっているのだ?

 

「アデス……私とレイスがイザークとニコルを連れてコロニー内部から潜入し、まずは情報収集に当たる。」

 

「え?隊長と副長がご自身で行かれるのですか?」

 

ニコルが疑問の声を上げた。そのような役、普通自分の様な部下にやらせることだ。それを指揮官である彼らがやるとは。イザークも疑問を覚えるが、二人は彼らの当惑を無視してブリッジを出た。

 

「何をしているの?行くわよ…」

 

レイスに促され、イザークとニコルもエレベーターへ向かった。

 

 

 

「ドミニオンは!?」

 

「デブリが多くて…!」

 

先程からドミニオンが確認できない。共にいるアガメムノン級のうち一隻は航行不能で、もう一隻は殆ど何もせずに見ているだけだ。その時、サイの声色が変わった。

 

「ブルー19、アルファにドミニオンです!」

 

アークエンジェルの後ろだ。

 

「いつの間に!」

 

ドミニオンがゴットフリートの発射態勢に入った。

 

「回避!」

 

ノイマンとシュウが舵を切り、僅かに砲撃が外れた。しかし、次の報告をミリアリアがする。

 

「オレンジデルタよりミサイル急速に接近!」

 

後ろの次は右!?

 

「迎撃!」

 

「間に合いません!」

 

ミサイルに気付いたフリーダムとトゥルースがビーム砲と冷却が終わったライフルでミサイルを撃つ。しかし、撃ち洩らしたミサイルが右舷のゴットフリートとバリアントを直撃する。

 

 

 

「いや凄いねえ、君。」

 

「このくらいの戦術、お褒めいただく程の物でもありません。」

 

アズラエルを軽くあしらうナタルを見つつ、レベッカ・アルバネーゼは苦笑する。

 

素直に受け取っても良いのにね…

 

そうしている間にアズラエルが名前だけ掴んだオーブにいたというMSの一機……フリーダムがドミニオンに接近してきた。

 

「あれを磠獲すれば良いんですね?」

 

「うん、そう。」

 

アズラエルの了承を得て、ナタルがレベッカに命ずる。

 

「アルバネーゼ大尉、カラミティとレイダーを呼び戻せ。」

 

「はい!カラミティ、レイダー!本艦へ接近するMSを迎撃しろ!」

 

「バリアント、ゴットフリート、照準的MS。てぇー!」

 

ドミニオンのゴットフリートとバリアントの砲撃をフリーダムは躱すが、先回りしたレイダーとカラミティがフリーダムに集中攻撃を仕掛ける。

 

 

 

ムウはアークエンジェルの援護をしている途中、あの奇妙な感覚が来た。

 

まさか……奴が?

 

彼はストライクをコロニーへ向けて反転させた。それにフレイムも続いた。二機の様子に気付いたバスターから通信が入った。

 

〈おい、おっさん!お姉さん!!〉

 

「おっさんじゃない!」

 

〈ザフトがいるの!コロニーの方へ向かうわ!!〉

 

レイラが来る、ということはやはり間違いないだろう。

 

〈あ、待って!〉

 

バスターのディアッカとシューターのミサキも後に続き、四機はコロニー内部へ向かった。

 

 




アークエンジェル側の戦力が多いから、連合もアガメムノン級とダガーで数を増やしました。

ここから先は、殆ど省けないです。というか、どこを省けば良いのかそこが苦労します。

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