機動戦士ガンダムSEED REVERSE 作:meitoken
「このナチュラルがあぁ!!」
イザークはディアッカを殺し、機体を奪ったパイロットへの怒りをそのまま操縦に乗せて襲いかかる。バスターは先ほどから距離を取っているが、イザークにはそんなもの通じない。
アサルトシュラウドのレールガンとミサイルを撃ち、バスターが迎撃したとき
〈イザーク!!〉
バスターから聞き覚えのある声がした。もう、聞けないと思った声
「ディアッカ?」
ミサキは攻撃を回避しつづけるが、ブリッツは逃がさない。グレイプニールを発射してきてそれを躱し、今度はランサーダートを三本撃ってきた。
そればかりはミサキもビームライフルとレールガンで撃ち落とした。キラとユリほど正確には撃てないが、球数で勝負した。バルカンも撃って、一発撃ち落として残りも巻き込まれた。
「ニコル、やめて!」
〈……み、ミサキ?〉
「ディアッカ、本当に貴様なのか?」
〈ああ、そうさ。〉
モニターに映ったのは見間違えるはずもない、同期のディアッカ・エルスマンだ。
「それが何故、ストライクやフレイムと共にいる!どういうことだ、貴様!」
ディアッカもそれについて何も反論しない。
「生きていてくれたのは嬉しい。が、事と次第によっては貴様でも許さんぞ!!」
その時…一機のMSがやってきた。フリーダムだ。イザークにとっては命の恩人だが、今は敵だ。
〈やめろ、イザーク!キラも!〉
バスターが間に入って、フリーダムのパイロットに呼びかける。
「こいつは俺に任せてくれ。」
〈良いんですか?〉
「ああ…」
僅かな沈黙を経て、パイロットが頷いた。
〈分かりました。でも、僕とアスランみたいなことにはならないでくださいね?〉
「…アスラン?」
アスランの名前が出てくるのはおかしな話ではない。エターナルと一緒にアークエンジェルがいるのなら、アスランと会っているだろう。
だが、僕とアスランとはどういうことだ?アスランとアレのパイロットの間に何があったのだ?
フリーダムが離れ、対峙するバスターのコクピットが開いた。
〈銃を向けずに話をしよう、イザーク。〉
「ミサキ…本当に、ミサキ・グールドか?」
〈ええ、久しぶり。〉
間違いない。アラスカでMIAになったミサキ・グールドだ。
「貴女がいるということは…」
〈イリアも無事よ、今はアークエンジェルでウインドに乗ってるわ。〉
生きていた、二人共……サイクロプスに巻き込まれて死んだと思っていた仲間が。
「……っ、だが何故!クライン派や足つきといる!?裏切ったのか!?」
〈ニコル…〉
「裏切っていないのなら、せめて投降してください!」
アラスカで軍に裏切られたアークエンジェルにいる理由も聞きたい。場合によっては、アークエンジェルのクルー達を証人として連行してアラスカが地球軍の自爆という証人を得て、政治的にプラントを有利に出来るかもしれない。
そう思った矢先、アフェクションが現れた。
「アフェクション!」
邪魔をしに来たか!
ビームライフルを構えたところでシューターが腕を掴んだ。
〈待って、ニコル!〉
〈…ミサキ、大丈夫なの?〉
アフェクションのパイロットの声。声からして、ニコルとそれほど変わらない年齢だろう。
〈お願い。ニコルと…この子と話をさせて?〉
〈良いの?」
〈大丈夫…この子ならきっと分かってくれるから。〉
ミサキのその言葉には、敵になっても尚ニコルを信頼している。それが感じ取れる。
〈それなら良いけど…私達みたいなことやめてよ?アスランとシオンに言い訳できないから。〉
アスランと、シオン?私達みたいなこと?
何故、そこでアスランとシオンの名前が出てくる?
アフェクションが去って、再び二機が対峙すると……
〈ニコル……降りて、話したいの。〉
ムウとラウの戦いはまだ続いていた。が、取り回しの悪いランチャーでは汎用型の相手は厳しく、遂にアグニを両断されてしまいムウは相手の両腕を押さえて追撃を防ぐ。
〈貴様に撃たれるのならばそれもまたとも思ったがな…ここで!〉
蹴り飛ばされてムウは体勢を立て直すが、次の言葉に首をかしげる。
〈だが、どうやらその器ではないようだ…所詮、子は親には勝てないということかな?〉
「何!?」
妙な言い方に首をかしげながらもランチャーストライカーをパージした。アグニはもう使えないし、エネルギーが残り少ないのなら身軽な方が良い。アーマーシュナイダーを抜いて接近戦を仕掛けようとするが、先に腰のビームアンカーが発射された。ブリッツやブレイブの武器と用途は同じだろう。右腕と腰に直撃し、計器が爆発して腹部に破片が突き刺さる。
〈やはり運命は私の味方だ…〉
直後、ラウの機体のライフルが破壊された。
〈ムウさん!〉
フリーダムだ。フリーダムはあっという間にラウの機体の頭を撃ち抜き、更に両足をビームサーベルで切り裂いた。
墜落した機体からラウが飛び出すのを見たムウもストライクから降りた。
「今日こそつけるかね、決着を!」
撃ち返され、研究所らしき建物へとラウは向かっていく。
「ならば来たまえ!引導を渡してやるよ、この私がな!」
「少佐!」
レイラはストライクの被弾に気を取られ、一瞬だけレイスから気がそれた。
〈人の心配をしている暇はないわよ!!〉
レイスの機体の撃ったビームによりフレイムはライフルと右腕を失ってしまった。
〈ふふ……子供に負けるなんて…情けない親ね…〉
「何を言っているの!?」
レイラはレイスの行っている言葉の意味が分からなかった。しかし、考えるよりも手が動き、シールドを捨ててサーベルを抜いて切り掛かるが、レイスは余裕の動きでかわす。
〈知らないだろうね……何しろ貴女は……!〉
レイスの言葉が途中で途切れた。
〈レイラさん!!〉
ユリだ。ストライクの方はフリーダムが既に隊長機を戦闘不能にしていた。その間にレイスの機体もアフェクションに左腕を切り落とされ、振り向きざまのレールガンで右腕も撃ち抜かれた。。
何とか体勢を立て直したレイスの機体は墜落した隊長機の脇に降り、レイスは機体から飛び出した男と共に建物へ逃げ込んでいた。
逃す物か!!
レイラはフレイムをストライクの近くに着陸させ、ストライクを見る。ストライクのハッチは開いていた。おそらくムウも後を追っていったのだろう。レイラも銃を取り出し、レイスの後を追った。
「良いわよ!着いてきなさい!!地獄へ案内してあげるわ!!」
ディアッカは地上に降りた後、イザークに対面し、銃を向けられていた。ある意味アスランよりも頭が固い彼にしてみれば確かに自分の行為はザフトに対しての裏切りだ。
「敵のそんな言葉を信じるほど…俺は甘くない!」
「俺はお前の敵か?」
イザークの目が潤むのが判った。
さて、この堅物にどうやって伝えたものかね……
ニコルは地上に降り、ミサキに対面した。先程も感じたことだが、彼女には以前とは違う落ち着きがあった。
「久しぶりね…ニコル。」
彼女の言葉に答える様にニコルは銃を向けた。
「…銃を向けずに裏切り者と会話する気はない。」
「…プラントを裏切った気はないわよ。ただ、なにも考えずに戦って敵を、ナチュラルを滅ぼす気はないの。」
ニコルはハッとした。ナチュラルを滅ぼす。それは彼も感じていた違和感だ。そしてイザークも同じ様な疑念を抱いていた。
「だからって……コーディネイターを殺すんですか?」
「違うわ……アークエンジェルやオーブの人達もラクス・クラインもみんな、そういうのを止めたいの。私も…シオンやアスランも…イリアとディアッカも。」
世迷い言だ。戦争を止める?たった三隻の戦艦と十数機のMSで?論理的に考えずとも出来るはずがない。
「そんなこと…出来るはずないでしょう!」
「じゃあ、今のプラント政府や地球軍がその気があると思う?中立を敵なんて言って、投降した敵を遊びで殺す連中に。」
ディアッカとミサキが機体から降りて友を説得していた頃、キラとユリはムウとレイラを追って研究施設らしき建物に入っていた。建物の中に入ったところで見失ってしまったが、銃声がなった。しかも別の箇所で複数響いている。また、よく聞こえないがムウとレイラの声もする。どうやら二人はそれぞれ違う場所にいる様だ。
「別れた方が良さそうね。キラはムウさんをお願い。」
「わかった。…姉さん、気を付けて。」
キラはユリと別れ、ムウの声がした方向へ向かった。近くにあった階段を上っていくとまた銃声が鳴り響き、聞き慣れない声が聞こえた。
「ここがなんだか知っているかね、ムウ。」
「知るか、馬鹿野郎!」
ムウの声だ。近くにいる。キラはムウを呼んだ。
「ムウさん!」
「キラ!」
ムウだ。キラは敵を警戒しながらムウと合流する。
「何で来たんだ!」
「あのまま外で待つことなんてできませんよ!マリューさんになんて報告すれば良いんですか?」
「へ…生意気!」
軽口を叩いて肘で突いてくるが、彼の脇腹が赤く染まっているのに気付いた。
「ムウさん、その傷…」
「大したことはない。それよりお前、撃つ気あるならセーフティ外しとけ!」
ムウに言われ、ようやく自分が銃のセーフティを外していないのに気付いた。これではせっかくの銃も使えない。そんなキラに構わず先程の声が聞こえる。
「君まで来てくれるとは嬉しい限りだよ、キラ・ヤマト君!そうか、君がフリーダムのパイロットか!」
恐らくムウが交戦していた機体のパイロットだろう。だが、何故自分の名を?
「さあ、遠慮無く来たまえ!始まりの場所へ!キラ君、君にとってもここは生まれ故郷だろう!」
キラは敵の言葉が引っかかった。生まれ故郷?
「引っかかるんじゃない!奴の言うことなんざ、いちいち気にするな!!」
キラは戸惑いながらもムウの後を追っていく。
「何だここは?」
通路の先は実験室の様な場所で、脇に人間の赤ん坊らしき標本が試験官の中に入って置いてあった。それを見た瞬間、キラは吐き気がした。
「懐かしいかね、キラ君?君はここを知っているはずだ。」
知っている?僕が、ここを?
今度は何の事だ?自分はこのコロニーはおろかL4へ来るのすら初めてだ。
ユリはレイラを追った。どうも妙な気分だ。不思議とレイラのいる場所がつかめた。
「レイラさん!」
「ユリ…どうして?」
「放っておけませんよ!レナが行きたがってたのに!」
レイラがため息をついて、ユリの銃を取る。
「セーフティ外してないわ。」
「あ…」
「ユリ…ユリ・ヤマト?…あっははははは!どういう巡り合わせかしらね!」
私を知っている?
「誰?」
「クルーゼ隊のレイス・シェイドよ!キラは今頃、ラウ・ル・クルーゼのところよ!」
クルーゼ隊!?アスラン達の上官でヘリオポリスを攻撃した指揮官達?
「いらっしゃい、案内してあげるわ!最低最悪の観光地よ、ここは!」
ムウは声をたどり、更に奥へと進んでいった。そこは誰かの私室だった様で、ファイルの様な物がそのままの状態で床に散らばっていた。
ムウは銃撃をかわし、ソファーの陰から撃つが、敵兵の弾が右肩を貫いた。キラは慌ててソファーの陰へ飛び込み、ムウの側に寄った。
「ムウさん!大丈夫ですか!?」
「殺しはしないさ。折角ここまでおいで願ったんだ……」
目の前に先程の声の主と思われる仮面を被った男が現れた。
「全てを知って貰うまではね…」
この男がアスラン達の元上官ラウ・ル・クルーゼなのか?銃を向けながらもそんな逡巡を抱いていると、ラウはこちらに何かを投げてきた。手榴弾の類と思ったが、それを見た瞬間キラは背筋が凍った。写真だ。若い女性が二人の赤ん坊を抱いている。カガリが自分に見せたのと全く同じ物だった。
更にラウはもう一つ投げてきた。どうやらこちらはファイルの様だ。その中から一枚の写真が出てきた。それを見たムウが愕然とする。
「親父!?」
ムウの声を聞いてキラは思わず彼の方を向いた。ムウの父親?何故彼の父親の写真がこんなところに?
「君も知りたいだろう?人の飽くなき欲望の果て…進歩の名の元に狂気の夢を追った愚か者達の話を………君もまた、その息子なのだから。」
狂気の夢?息子?どういう事だ?
今目の前にラウはいる。キラの腕でも当てられるのに引き金を引くことはできなかった。
レイスはレイラを親と呼び、最低最悪の観光地と称しました。
実際、最低最悪の観光地でしょう。あそこは。