機動戦士ガンダムSEED REVERSE   作:meitoken

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いよいよクライマックス。まずはあの地獄絵図からスタートです。


PHASE-41 悪夢は再び…前編

ドミニオンがアークエンジェルの追撃に失敗してから二ヶ月……地球連合軍は前線のプトレマイオス基地から大規模な侵攻を開始した。

 

まず第一の目標はプラント防衛の前線基地ボアズ……かつて東アジア共和国が保有していた資源衛星で敗北した地球軍が『新星の隼』を造り上げた要塞だ。

 

大規模侵攻を察知したザフトはすぐさま防衛戦を開始する。

 

〈全機、ナチュラル共の細胞を真空にぶちまけてやれ!〉

 

地球軍はストライクダガーを初めとしたMS部隊を展開、未だ運用されるメビウスは支援砲撃にその用途を変えて出撃している。

 

これまでの優位性が覆されながらも、パイロットの基礎能力が高く、MSの操縦技術には経験値の高いザフトは数では劣りながらも踏みとどまっていた。

 

「ふん!このボアズ、抜けるものなら抜いてみるが良い!思い上がったナチュラル共め!」

 

 

 

「ボアズへの侵攻が始まっただと!?」

 

「はい、既に戦闘が開始されているとの情報も入っています。」

 

エターナルの追撃に失敗した後、クルーゼ隊は旗艦のヴェサリウスを失ったことと合わせてラウが特務隊へ転属、イザークが自身の隊ジュール隊を持つ形で再編された。ニコルはイザークとの付き合いが長いために事実上の副長の位置についていた。

 

「ジュール隊長!」

 

「クソ、ナチュラル共め!」

 

「状況は!敵の規模はどのくらいなんですか!?」

 

新米も含めた隊員達が状況を嵐のように問い、ニコルが間に入る。

 

「落ち着いて。まだ正確な情報は来ていません。」

 

「しかし!」

 

「ボアズへの侵攻は想定されていたことです。簡単には突破されないでしょうが、万が一の場合もあります。機体は万全にしておいて。」

 

「は!」

 

ニコルが間に入ってくれたおかげで不慣れな隊長職をこなすことが出来ている事にイザークは感謝した。今思えば、ニコルはアスランと衝突したときにはよく仲裁に入っていたし、アカデミーでも地球生まれのシオンに嫌がらせをする生徒達を止めていた。これはニコルの外見や性格故に助かっているのを実感した。

 

隊員達が離れ、イザークとニコルの二人だけになった。

 

「どう思います?」

 

「………分からん。ボアズ突破が容易でないことくらい連中とて承知しているはずだ。」

 

「ええ……二ヶ月の間に地球ではジブラルタルが陥落したけど、カーペンタリアはまだ健在です。そっちを落としてからでも良いはずなのに。」

 

そう、スピットブレイクの失敗で地上戦力を損なった上にMSを導入されたことでビクトリアに続きジブラルタルも陥落した。カーペンタリア攻略が先でも良いはずなのに、何故?

 

 

 

ドミニオンのブリッジでは新たにブリッジクルーとして志願し、前線に出たフレイは初めて見る戦場の光景に震えていた。先ほど発進した新型部隊はザフトのMSを寄せ付けない。

 

「ワシントンより入電です。」

 

旗艦ワシントンから通信が入り、司令官の顔が映る。

 

〈道は開いたようですな。ピースメーカー隊発進します。〉

 

間もなく、ワシントンを筆頭とした四隻のアガメムノン級から大型のミサイルを一基搭載したメビウスが大量に発進する。

 

カラミティ、フォビドゥン、レイダー、グリード、ディザスター、プランダーがダガー隊を遙かに超える破壊力で作った道を通ってメビウス隊はボアズへ接近していく。

 

 

 

〈安全装置解除、信管起動を確認!〉

 

そして、MA隊はボアズを射程に捕えた。

 

〈くたばれ、宇宙の化け物!〉

 

〈青き清浄なる世界のために!〉

 

全てのメビウスが一斉にミサイルを発射した。そして、巨大な閃光がボアズを覆った。

 

要塞の外壁を吹き飛ばし、発進したMSや戦艦も巻き込まれる。そして、何発かは港口に直撃して今発進しようとしたMS隊や戦艦を巻き込んで、爆発は港を通じて要塞内部を襲う。

 

「こ、この熱量は!?」

 

「核!?」

 

司令室では突如発生した振動と巨大熱量の検知を知らせる警報が響いた。これほどの熱量を誇る武器は一つしかない。

 

だが、それが要塞全体へ伝わる前に司令部は核の炎に飲み込まれていった。

 

 

 

閃光が収まった時、ザフトが誇る宇宙要塞は岩塊と化しており、これには地球軍も多くが唖然としていた。

 

「流石に早い早い、あっという間だねえ。核を撃たれちゃザフト自慢の要塞もさ。」

 

ドミニオンのブリッジで愉快そうに笑うアズラエルにナタルは怒りをあらわに問う。

 

「アズラエル理事は…いくら敵軍に対してとはいえ、核を撃つことになんとも思われないのですか?」

 

「おやぁ?それは軍人さんの台詞とは思えませんね。」

 

アズラエルは嘲笑するかのように反論した。

 

「勝ち目のない戦いに、わざわざ死んで来いって自分の部下を送る人達よりも僕の方がずっと優しいと思いますけど?」

 

いかにも正論、と言わんばかりだ。確かに勝てない戦いに部下を死なせるために行かせるようなことは軍人としてやってはいけない。

 

「なら……ユニウスセブンはどうなるんですか?只の農業プラントなのに…」

 

レベッカもCICから問うが…

 

「副長さんもですか?あのね、プラントが僕達に刃向かったりしなければ僕だって核を撃たなかったんですよ?やったところで、精々ミラーの一つ壊して脅す程度で充分なのにそれでも分からないから核を撃ったんですから。」

 

筋が通っているように見える。だが、その反発を招いたのはプラント理事国家の長年の圧力だ……そちらも核を撃って良い理由にはならない。

 

 

 

プラント本国、評議会でも核でボアズが壊滅したのは確認できた。そして、ラウはラクス・クラインがNジャマーキャンセラーのデータを与えたと指し示し、パトリックはそうだと解釈した。

 

「おのれ、ナチュラル共!」

 

「議長閣下!」

 

エザリア・ジュールを筆頭とした議員達が指示を仰ぎ、パトリックは命ずる。

 

「直ちに防衛戦をはれ!クルーゼ、シェイド!ヤキン・ドゥーエへ上がる!」

 

議長自ら前線の指揮を執る。だが、それ以上に次の言葉にラウとレイス以外は動揺を禁じ得なくなる。

 

「ジェネシスを使うぞ!」

 

 

 

メンデルを脱出してデブリ帯に隠れていたアークエンジェルはマルキオの伝手で補給と情報提供にやってきたジャンク屋組合の輸送艦から補給物資と新しい武器を受け取っていた。

 

デュエルペイルの新しい装備としてヒネズミノカワゴロモを提供されていた。ザフトに強奪されたデュエルが装備しているアサルトシュラウド、地球軍でもそれをベースにしたダガータイプ専用の増加装甲フォルテストラをベースにあのチームのリーダーが組み立てたものだ。武器もそれらをベースにして実弾装備になっているためにエネルギーの消耗も抑え込まれている。

 

「宇宙一のジャンク屋は伊達ではないな。」

 

自称『宇宙一』との事だが、言うだけのことはある。以前オーブを訪れた際にM1のパーツを受け取っており、そのスラスターユニットをそのまま増加装甲の追加スラスターに改造しており、装甲も強度がジンより低い発泡金属をM1よりやや分厚くして実弾装備への耐性よりも被弾時のノックバックと宇宙空間での機動力を重視した設計思想で、M1部隊の三人を完封した。レナのブレイブには敵わなかったが、実際にデュエルと交戦していたキラ達から機動力はクルーゼ隊のデュエルより上というお墨付きだ。

 

〈凄いわね…貴方、本当に王子様なの?〉

 

リュウの問いにフブキは返した。

 

「中世ヨーロッパの時代だって王族は剣を習うよ。俺の場合は、本当に戦場で振るうけどな。」

 

〈そういえば……カガリさんも地球で戦闘機に乗ったのよね。私も自分を守れる程度には頑張らないと。〉

 

 

 

そんな話をした後に二人が切り上げた頃、間もなくジャンク屋からの情報がエターナルで待機していたキラとアスランにカガリが伝える。

 

「月艦隊がボアズに侵攻!?」

 

〈ああ、彼らの話だとそろそろか…もしかしたら既に、ということだ。〉

 

その話を聞き、キラとアスランはブリッジへ上がる。同時に三隻は発進準備を進めた。

 

「ラクス…」

 

「動くのか?月艦隊がボアズへ侵攻というのは。」

 

「いえ、事態はもっと早く。そして、最悪な方向へ進んでしまいました。」

 

最悪な方向?一体、何が?まさか、既にボアズが?

 

「こっちのルートからさっき入った情報だとボアズはもう落ちた。地球軍の核攻撃でな。」

 

核攻撃!?そんな、馬鹿な!Nジャマーキャンセラーはザフトにしかないはず!どうやって!?

 

いや、アスランの脳裏……三隻の主立ったクルー達はNジャマーキャンセラーのデータが地球軍に渡ったタイミングはあの時しか思い当たらなかった。

 

 

 

「でも、核だなんて。」

 

「あんま、驚きゃしないがね。JOSH-Aの後だし。」

 

アークエンジェルのクルー達は特に驚かなかった。実際に彼らはサイクロプスで敵と一緒に味方に殺されるところだったのだ。

 

本部を敵と味方まとめて自爆させるような上の連中だ。核を撃てるなら大喜びで撃っているだろうに。

 

「けど、あの野郎!」

 

あの時、ムウの脳裏にラウの言葉が蘇る。

 

『間もなく、最後の扉が開く!私が開く!』

 

そして、フレイが言っていた『戦争を終わらせる鍵』………

 

「こういうことかよ!」

 

レイラも同様の憎悪を抱えるレイスから……遺伝子上の娘が同じようなことを聞いたと言っていた。

 

「あの子も…まさか戦争を終わらせる鍵が核を撃てるようにする装置なんて思いもしなかったでしょうね。しかも、渡すのにうってつけの奴がいると来たものだから…」

 

ブルーコスモスの盟主のアズラエル…奴ほど、Nジャマーキャンセラーを渡すのにうってつけの相手はいないだろう。そして、ブルーコスモスそのものと化している地球軍なら大喜びで核を撃つ。

 

 

 

「プラントも核…撃ってくると思う?」

 

〈父が正気ならば、まさかと思うが…今は、分からない。〉

 

あの後、アスランから父親が既に正気でないことは聞いている。本当に、どうして撃てるんだろう?元々Nジャマーキャンセラーはプラントが開発したもの、撃とうと思えばプラント側が撃てるということくらい分かるはずなのに。

 

「なんでそんなもの…あるんだろうね。」

 

〈核が?〉

 

ユリの問いにキラは頷く。

 

「うん…MSも銃も同じだけど。」

 

そこへアークエンジェルにいるシオンとレナが通信に入ってきた。

 

〈そんなことをいえば、飛行機や海の上を行く船だって同じだよ…〉

 

〈元々は便利な移動手段だったのに、自然と戦争に使うようになったのよね。MSだって、元々ノーマルスーツの延長だったんだから。〉

 

そう、核だってそうだ。元々武器として使う目的ではなかったはず……ウランを発見した科学者だってまさか一発で数万人を殺せる武器に発展するとは思わなかったはずだ。

 

よりよいもの……川や海を渡ろうと船を作って、その船をより速く、船より速いものとして飛行機に……より多く敵を殺せる武器を………

 

本当に、果てしない欲望の世界なのか?ここは?




遂に撃たれた核……シオンとレナの飛行機や船も元々武器だったわけじゃないと思うのは事実だと私も思います。

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