機動戦士ガンダムSEED REVERSE   作:meitoken

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遂に最終回です。


PHASE-44 終わらない明日へ…前編

核を失った地球軍は、せめてにと残った戦力の全てをジェネシスへ向かわせた。その中にはエターナルとクサナギもいる。

 

「ザフトは直ちにジェネシスを停止しなさい!」

 

その中で、ラクスは通信回線を開いてヤキン・ドゥーエに叫ぶ。

 

「核を撃たれ、その痛みと悲しみを知る私達がそれでも同じ事をしようというのですか!?撃てば癒やされるのですか!?」

 

だが、パトリック・ザラは耳を貸さない。

 

「同じように罪なき人々や子供を…これが正義と!互いに放つ砲火が何を生んでいくのか、まだ分からないのですか!?まだ犠牲が欲しいのですか!?」

 

 

 

ラウはムウの気配が消えたのが分かった。核を潰した意趣返しにとアークエンジェルを撃とうとして向かうところでそれを悟った。アークエンジェル付近にはストライクの残骸が漂っていたから、明白だ。同時に……これだけお膳立てしてやって失敗した奴を嗤った。

 

「アズラエルめ…案外と不甲斐ない。」

 

コンピューターが反応し、確認するとレイスのジャッジメントが合流した。

 

〈せっかくの美しいフィナーレを邪魔したわね、あいつら。私にもやらせて。〉

 

「良いだろう……アレには煮え湯を飲まされてきたからな、楽しみは山分けといこう。」

 

 

 

なんだ?

 

キラは胸騒ぎがした。うまく説明できない。だが、今アークエンジェルに戻らなければ、取り返しがつかなくなるような気がした。

 

〈キラ?〉

 

〈どうした?〉

 

カガリとシオンが呼び止めるが、キラは説明を省いた。

 

「カガリを頼む、何かが!」

 

〈待って、私も行くわ!〉

 

〈ユリ?〉

 

〈なら、私達も!〉

 

レナが反応し、リュウも行こうとするがフブキがそれを制する。

 

〈いや、あの二人なら大丈夫だ。今はジェネシスが先だ!〉

 

〈ああ、時間がない!〉

 

アスランも同意し、アークエンジェルをキラとユリに任せる形で彼らはジェネシスを目指した。

 

 

 

ドミニオンを退艦したクルー達だったが、先ほどのドミニオン撃沈の混乱で殆どの脱出艇ははぐれてしまった。フレイが乗ったのもその一つだ。

 

「近くに友軍艦は?」

 

そんなことを言っても、只でさえアズラエルの命令でヤキン・ドゥーエから離れてプラントへの直接攻撃を行うべく主戦場を離れてしまった。いるとしたら、敵だ。

 

「アークエンジェルへ!」

 

フレイはアークエンジェルを提案した。今、彼女はキラの元へ帰りたい一心だった。副長が自分の命と引き換えに送り出してくれた。ならば、なんとしても帰らないと。

 

 

 

目の前の敵を撃退したが、アークエンジェルは戦闘のダメージが酷く、あちこちで火を噴いていた。ドミニオンの脱出艇はムウを失い、泣き続けるマリューに変わってノイマンが収容の指示を出したが、ナタルが乗った一隻だけ。そして、そのドミニオンのクルー達も

 

「急げ!」

 

「死にたくなかったら、お前らも手伝え!!」

 

もはや捕虜の連行などは二の次だ。只でさえ、少ない人員で運用していたために手が足りず、ドミニオンのクルー達も消火を手伝わされていた。そして、ナタルは医療班から手当てを受けていた。

 

「出血が止まれば十分だ!私はブリッジに上がる!」

 

医療班から、先ほどアークエンジェルを救ったのがムウが乗るストライクだと聞き、同時にマリューと男女の仲に発展していたのを聞いた。それを聞いたナタルは、以前のミリアリアを思い出した。マリューも同じ状態では、指揮を執るのもおぼつかないかもしれない。それでは、せっかくレベッカが帰らせてくれたこの艦も…連れてきたドミニオンのクルー達も死んでしまう。

 

 

 

「125から144ブロックまで閉鎖!」

 

「推力50%に低下!」

 

「センサーの33%にダメージ!」

 

「緊急パワーの接続を再確認!」

 

マリューが泣き続ける間にもサイとミリアリアが各機関の状況を報告し、ノイマンとシュウは低下し続ける艦のパワーを維持し続けている。

 

「状況は!?」

 

「バジルール中尉!?」

 

「ナ……タル…!」

 

涙を浮かべるマリューをナタルが両肩を掴んだ。

 

「しっかりしてください!貴女にはフラガ少佐が繋いでくださった全員の命を預かる責任があります!泣くのは、それを終えてからです!」

 

「あ…」

 

その叱咤を受けて、マリューが立ち直ろうとしたとき……

 

「MS接近!」

 

最悪だ。殆どの火器が使えないこの状況で敵に襲われたらひとたまりもない。

 

 

 

補給のために着艦しようとしたところでディアッカもアークエンジェルへ向かう二機のMSを見つけた。

 

〈友軍機?あんな機体…!〉

 

〈フリーダムと同じ極秘開発?〉

 

イザークとニコルの発言でザフトなのは分かった。だが、今は誰がパイロットかなど分析している暇ではない。

 

「くそっ、こんな時に!」

 

バスターだけでなく、ウインドとシューターもエネルギーが少ないこの状況で厄介そうなのが出てきた。だが、ここでやらないとアークエンジェルは沈む。

 

長射程ライフルで撃つが、暗灰色の一機に躱された。

 

〈とにかく、アークエンジェルから引き離すんだ!〉

 

ウインドが対艦刀で黒い機体に斬りかかった。敵はそれを難なく躱す。

 

そして、二機が同時に何かを展開した。

 

〈何、ミサイル?〉

 

ミサキが反応すると同時に、ビームが二機めがけて撃たれた。

 

見えたのは、フリーダムとアフェクションだ。フリーダムはミーティアのビームソードで暗灰色の機体を攻撃し、アフェクションはビームライフルとレールガンで黒い機体と撃ち合う。だが、その間にバスターとウインドが別の攻撃を受けた。

 

「何!?」

 

咄嗟にミサイルを発射するが、ミサイルは撃ち落とされるどころかそのままバスターも撃たれた。ビーム砲なのは分かるが、奴は何もしていない。ウインドも剣を持った右腕と右足を撃たれた。

 

〈っ、一体どこから!?〉

 

シューターもライフルを構えるが、ライフルを撃ち抜かれた。

 

 

 

〈また、君か!〉

 

先ほどの胸騒ぎの正体はこいつだ……その声は知っている。ラウ・ル・クルーゼだ。コンピューターが機体も識別する。ZGMF-X13Aプロヴィデンス…型式で分かる。核動力搭載機だ。そして、あの武器もおそらくムウとレイラの乗るメビウス・ゼロと同じものだ。だが、無線式の制御でビームとなれば威力は桁違いだ。

 

ミーティアのスピードに物を言わせてその攻撃を躱し、全てのミサイルを撃った。だが、ビームの嵐で全て遮られた。

 

〈厄介な奴だよ、君は!〉

 

ミサイルを切り抜けたプロヴィデンスはミーティアの右アームをビームライフルで撃ち抜き、更に左腕のシールドからビームサーベルを展開してもう一つのアームを破壊する。

 

 

 

〈あら、いらっしゃい!〉

 

黒い機体はZGMF-X05Aジャッジメント……ユリが乗るアフェクションより前に開発された核動力機だ。腰にはメビウス・ゼロのものをビームと無線に改良した武器がある。その上で接近戦特化など、どういう機体だ!?

 

アフェクションの機動力を最大限に活かして、ユリは攻撃を躱し続ける。反撃にビームライフルを撃つが、シールドに阻まれる。

 

〈欠陥品の割には頑張るわね。〉

 

 

 

被弾したバスターをアークエンジェルへ連れて行こうとしたとき……イザークは後ろからの攻撃に気づいた。撃ってきているのはGAT-X370レイダー……あの新型の一機だ。先ほどと真逆でとにかく滅茶苦茶に撃ってきている。

 

ライフルを構えるが、運悪くライフルが被弾する。

 

バルカンで攻撃するが、それでどうにかなる相手ではない。

 

 

 

同じ頃、ウインドを助けに行ったニコルにも敵が襲ってきた。GAT-X233ディザスターだ。こちらを見つけるや、ビームライフルと機銃を乱射する。

 

被弾したウインドを守るべく、盾を構えるがブリッツもエネルギーが残り少ない。

 

「くそっ、このままじゃ!」

 

 

 

〈あってはならない存在だというのに!〉

 

「何を!」

 

ミーティアのミサイルで再度攻撃するが、再び撃ち落とされて残りもサーベルで切り裂かれた。

 

〈知れば誰もが望むだろう!君のようになりたいと!君のようでありたいと!〉

 

「そんなこと!」

 

ビームサーベルを抜いて、四方八方から撃たれるビームを払うが、やはり的の大きいミーティアを撃たれる。

 

〈故に許されない!君という存在を!〉

 

許されない……よりよく、より高い能力をと造られたキラ

 

 

 

〈誰だって、完全でありたいでしょう?欠陥がない方が良いに決まっている!〉

 

背中のウェポンラックに収納された剣を抜き、斬りかかる。シールドに受け止められ、蹴り飛ばされてそのまま追撃のビームが来るが、それを躱す。

 

「ぐっ!」

 

レールガンで反撃するも、余裕の動きでそれを躱された。

 

欠陥品のコーディネイター…そんな生まれ、誰だって呪うだろう。それがブルーコスモスに賛同する少数派のコーディネイターの出現にも繋がるのかもしれない。

 

 

 

レイダーが滅茶苦茶に撃ってきて、何発かが当たる。もうデュエルのエネルギーも残り少ない。一か八か、イザークはバスターのライフルに目を向けた。

 

「そいつを寄越せ!」

 

〈イザーク!!〉

 

レイダーが口のビーム砲を撃とうとしていた。だが、こちらも相手は目前だ。照準を定めるまでもなく、当たる距離だ。バスターも残った左手でデュエルの狙撃体勢を支える。

 

「こんな奴にぃぃ!!」

 

二機は同時に撃った。デュエルの砲撃はレイダーを貫き、レイダーの砲撃はデュエルの左肩をかすめた。そのままレイダーは二機の横を通り過ぎ、爆散した。それとほぼ同時に、デュエルのPSも落ちた。

 

 

 

ブリッツはトリケロスでウインドを庇い続けるが、既に何発かのビームがブリッツをかすめており、エネルギー切れも目前。このまま逃げることは出来るが、それではイリアを見殺しにしてしまう。

 

が、そこへシューターが後ろへ回り込んでディザスターを取り押さえた。

 

「ミサキ!」

 

〈今のうちに撃って!〉

 

「で、でも!」

 

〈早く!!〉

 

シューターのパワーではディザスターを抑えることは出来ない。既にエネルギーも残り少ない。

 

その懸念は現実になった。PSが落ちて、シューターはディアクティブモードになる。こうなってはもう重石にもならない。

 

シューターは振り払われ、ディザスターがシューターを撃った。ビームライフルがシューターの頭とキャノンを破壊し、ニコルはキールが死んだ時の光景が蘇る。

 

また、僕の代わりに誰かが!?

 

「このおぉぉぉぉ!!!!」

 

ニコルはもう無我夢中だった。ランサーダートの一本を抜き、背中に向けられたディザスターのフライトユニットに突き立てた。その衝撃でランサーダートは爆発し、フライトユニットも吹き飛ぶ。更に、残り二本のランサーダートを背中から撃った。むき出しになった背中を貫通し、ランサーダートはディザスターを吹き飛ばした。

 

ディザスターの爆発が収まるとほぼ同時に、ブリッツもPSが落ちた。

 

「ミサキ…イリア?」

 

〈おお、助かった…〉

 

〈ありがとう…〉

 

よかった…今度は、二人共助けられた。

 

「アークエンジェルに…行きましょう。」

 

 

 

「僕は…それでも、僕は!力だけが僕の全てじゃない!」

 

そうだ、それだけは本当だ!父さんと母さんが僕と姉さんをあの日まで育ててくれたことも!アスランも、ラクスも、カガリも……僕の傍にいてくれる人が!!

 

だが、憎悪と呪いの仮面はそれさえ嗤う。

 

〈それが誰に分かる!何が分かる!〉

 

ビーム砲の嵐を後退して躱し、バラエーナで反撃する。

 

〈分からぬさ!誰にも!〉

 

誰にも、分からない。分かるのなら、自分やこの男を…レイラを造らないとでも言いたいのか?

 

 

 

「私は…私は、自分を不幸だなんて思ったことはない!」

 

〈それは自分の出自を知らなかったからでしょ……今はどうなの?本当のパパに殺されるために生まれた気分は?〉

 

殺されるため……あの手記にあった、父が自分を廃棄処分する予定だったのを母が銃を向けてまで守ろうとした。

 

「それでも私は……私達を産んだ、お母さんを信じているの!」

 

〈そんなもの、誰も分からないわ!分かろうともしない者!!〉

 

 

 

プロヴィデンスのビームサーベルでミーティアの右半分のスラスターを破壊されたとき、キラの目に入ったものは地球軍艦の脱出艇だ。そこから覗く赤い髪が見えた。

 

「フレイ!?」

 

そんな、あの時ドミニオンに回収された彼女が何故!?地球軍に残っていたのか!

 

囲まれたことに気づいたキラは迷わずフリーダムをパージさせ、脱出艇に向かう。もうミーティアは限界だ。この相手には身軽な方が良い。

 

すると、ラウが意図を察したのか脱出艇にライフルを向ける。それに気づいたキラの脳裏に、あのメネラオスのシャトルの光景が蘇る。

 

今度こそ、守る!絶対に!!

 

ミーティアからパージされたシールドを脱出艇の前に構えた。そして、そこからフレイの唇の動きが見えた。

 

キラ…

 

それを見たキラは、安堵した。

 

ああ、今度こそ……守れた。あの子も、トールも守れなかった。だけど、彼女だけは……

 

その時、プロヴィデンスの放った武器が一基、脱出艇を撃った。

 

 

 

脱出艇をビームが貫き、その爆発に飲まれる瞬間…フレイはキラの機体が見えた。

 

キラ…!やっと、やっと会えると思った……謝りたい。パパが死んだ時に、酷いことを言ったこと!友達と戦うなんて、きっと辛かったのに…!

 

自分のことしか考えず、サイやミリアリアだって怖かった。二人にも謝りたい。トールやカズイにも謝りたい。

 

なのに、ここまで来て私は死ぬの?

 

これが、罰なの?自分勝手な私への……

 

 

 

「フレイーーーーー!!!!」

 

キラの意識は現実から離れていた。

 

また、守れなかった!また!

 

何が人類の夢だ!何が最高のコーディネイターだ!

 

小さな女の子一人守れない!友達一人救えない!今、目の前で救えたと思った人も死んだ!これのどこが人類の夢の素晴らしい結果なんだ!?

 

キラ……

 

「そんな…フレイ…・そんな!」

 

ありがとう…ごめんね。

 

何で、僕に謝るの?謝らなきゃ行けないのは僕だ!お父さんだけでなく、君自身も救えなかったのに!

 

「どうして、君が…フレイ!」

 

苦しかった…怖くて、ずっと……知らなかった。私、何も分かってなかったから。

 

「…フレイ!」

 

でも今…やっと自由だわ。とても素直に…貴方が見える。

 

「ちくしょう!僕は…」

 

だから、泣かないで…貴方はもう泣かないで。

 

「君に、何も…!」

 

何もしてあげられなかった!ただ、縋って、甘えて!身体だけ重ねて!!

 

守るから…本当の私の思いが…貴方を守るから。

 

フレイの声が、完全に消えた。

 

キラの思考は現実に戻った。フリーダムをハイマットモードにして、キラは感覚を研ぎ澄ませる。

 

世界をここまで誘導し、彼女を殺したあの悪魔!父が造り出した、最悪の悪魔をこの手で止める!!

 

最高のコーディネイターだというのなら、それだけでも!!

 

 

 

ユリはキラの叫びが聞こえた。フレイが…ここに?

 

今、キラの目の前で撃たれた脱出艇にフレイが乗っていた?

 

ユリの脳裏に、あの先遣隊旗艦のモントゴメリの撃沈が蘇る。

 

どうして…こんな感情が。

 

自分やキラの苦しみなど、理解しようともしないで……父の復讐に身体まで使ってキラを騙した女なのに。

 

〈悪趣味ね、ラウも…まあ、素敵だけど。〉

 

レイスのラウの凶行に酔いしれた言葉が耳に入ったとき、既にジャッジメントはいなくなっていた。そして、キラが戦っていたプロヴィデンスもジェネシスへ戻っていった。

 

ああ、キラはきっと自分を責めているだろう。トールに続いて、フレイまで救えなかった。あの子を…弟を苦しめた者……レイラを苦しめたあの女も!

 

ユリにあの感覚が来た。頭の中がクリアになり、感覚が研ぎ澄まされる。

 

感じる…奴はジェネシスだ。

 

しかも、その場所が今は正確に分かる。機械なんか頼らなくても。

 

同じ、メンデルで造られた故のテレパシーみたいな物?スーパーコーディネイター故の直感?

 

何でも良い。あの二人の狙いはエターナルとクサナギ、そしてアスラン達だ。早く、行かないと!アスラン達まで殺される!!




フレイはやはり、死んでしまいました。

FREEDOMまで行く予定ですから、やはりこうなります。

尚、クルーゼ隊のメンバーの戦いはここで終わり……後半はキラ、アスラン、ラクス、カガリにユリ、シオン、レナ、フブキ、リュウの戦いが入ります。

次で一気に終わらせます。
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