機動戦士ガンダムSEED REVERSE   作:meitoken

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正真正銘の最後の戦い、人類の命運をかけた戦いです。

この最後の大一番だけは前、中、後編にわけます。


PHASE-44 終わらない明日へ…中編

ジェネシスを目指す、エターナルとクサナギはようやく目前に迫った。ここに来るまで、二隻とも既に酷い損傷を受けている。

 

「ジェネシス、射程距離に入ります!」

 

「PSとて無限じゃないんだ!」

 

バルトフェルドの言うとおり、PSだって無限の防御力ではない。戦艦の火力ならいくらあの巨体でもダメージを与えられる。

 

 

 

「ローエングリン、てぇー!」

 

クサナギのキサカが命じ、クサナギのローエングリンとゴットフリート、エターナルは主砲と全てのミサイルを発射した。

 

ローエングリンは直撃した。だが、効果がなかった。余りにも巨大すぎるためにローエングリンでさえ、ダメージを与えられないのだ。

 

〈くそっ、厄介な物を!〉

 

エターナルでバルトフェルドが毒づく。だが、ここまで来て今更諦めるわけにはいかない。彼らはとにかく、ジェネシスめがけて攻撃を続けるしかなかった。

 

 

 

ヤキン・ドゥーエの司令室では攻撃を続けるエターナルとクサナギをパトリックがにらみつけていた。

 

「あんな小娘やナチュラル共の艦、さっさとたたき落とさぬか!」

 

だが、兵士達は困惑していた。もう、月基地を失った上に核を積んだ艦隊はラクス・クラインの加勢によって壊滅した。既に地球軍にはプラントを直接攻撃する手立てはないのだ。

 

いい加減、停戦を呼びかけても良いはずだと誰もが思っていた。しかし……

 

「急げ、照準入力開始!目標、北米大陸東岸地区!」

 

レイ・ユウキは議長の指示に耳を疑った。いや、それでもまだ信じていた。いつでも地球を撃てるようにして、停戦を呼びかけるのだと。

 

 

 

ようやくジャスティス、ブレイブ、トゥルース、ルージュ、ペイル、イージスがエターナルとクサナギに追いついた。

 

「ヤキンに突入してコントロールを潰す!」

 

ドッキングを解除し、ジャスティスがルージュと共にヤキン・ドゥーエに向かう。

 

「アスラン!カガリさん!」

 

〈大丈夫だ、任せろ!〉

 

〈私も行くわ!〉

 

〈キサカ、M1を一機援護に回してくれ!〉

 

カガリがラクスに答え、リュウとフブキも後を追う。

 

〈俺達はジェネシスを叩く!〉

 

〈アスラン、ミーティアを借りるわよ!〉

 

 

 

レナはミーティアをドッキングした。シミュレーション上は何度かやっているが、使うのは初めてだ。しかし、ミサイルは殆ど残っていない。それでも、ビーム砲がある。

 

この距離なら充分、撃てる!

 

アームのビーム砲をジェネシスへ向けて撃つが、まるで効果がない。

 

ここまで、来て!

 

もう砲身の温度や機体のエネルギーなんて関係ない!とにかく撃たないと!

 

 

 

シオンはトゥルースのライフルを連結させ、ジェネシスを撃った。しかし、核動力機の連結砲でもジェネシスの装甲に傷を負わせられない。

 

「くそっ、あんな物絶対にぶっ壊してやる!!」

 

何発も撃つが、すぐにコクピットに警告音が鳴る。

 

〈二人共よせ!砲身温度が限界を超えている!〉

 

バルトフェルドが止めるが、シオンもレナも聞かない。

 

〈そんなの分かってます!〉

 

「だが、やらないと地球が滅びるんです!!」

 

二機はジェネシスに向けてビーム砲を撃ち続ける。

 

 

 

「MS接近!ブルー52,チャーリー!」

 

ラクスは一機のMSが近づいてくるのに気づいた。

 

「あれは…!」

 

あの機体から感じる気配、ラクスは知っている。

 

ラウ・ル・クルーゼだ。

 

 

 

「君の歌は好きだったがね……だが、世界は歌のように優しくはない!」

 

ドラグーンがエターナルとクサナギを襲い、護衛のM1をも撃ち落とす。

 

このまま二隻ともなぶり殺しにしてやろうと思ったとき、ラウは追ってくる気配に気づいた。

 

 

 

レイスはブレイブとトゥルースを見つけた。

 

「頑張るわね、シオン。でも……ここまでよ!」

 

ドラグーンを展開するが、それより先にトゥルースは連結したライフルが爆発した。ブレイブはミーティアの動力部を撃ち抜かれ、爆発するが寸前で逃れる。

 

「ジェネシスに夢中で相手を忘れるなんて、らしくないこと。」

 

ブレイブに乗っているのが誰かは知らないが、二人まとめて地獄に送ってやろう。そう思ったところで、コンピューターが敵の接近を告げる。アフェクションだ。

 

 

 

「貴方は!貴方だけは!」

 

キラはようやく見つけた。ヘリオポリスからここまでの状況を造り上げた、人が造り上げた悪魔を。

 

〈いくら叫ぼうが今更!〉

 

プロヴィデンスのドラグーンを躱し、一機を撃ち落とす。

 

 

 

「これ以上、貴女の思い通りには!」

 

ユリは自分の生け贄にされた女を見つけた。あの女はこの状況を心底望んでいた。

 

〈もう、手遅れよ!〉

 

ジャッジメントがビームライフルとドラグーンで攻撃し、アフェクションはその攻撃をくぐり抜ける。

 

 

 

〈止めろ!もう、止めるんだ!こんな戦い!〉

 

「お願い、もう止めて!地球を撃たなくても、戦争はもう終わるの!」

 

アスランに続き、リュウも呼びかける。

 

「貴方達はプラントを守るために戦ってるんでしょ!?地球を滅ぼす事に何で、結びつくの!?」

 

プラントを守りたい彼らの思いは理解できる。だが、それが地球滅亡に結びつく能登は違うはずだ。

 

〈奴らが先に撃ったのだ!〉

 

〈ボアズには弟もいた!〉

 

だが、返ってきたのは敵を滅ぼす憎悪だけだった。

 

私がオーブで暮らしている間に、こんなことになっていたなんて!

 

リュウは改めて、自分が平和な世界に生きていたことを……外の世界を何も分かっていなかったことを実感した。

 

 

 

レナはミーティアの爆発からなんとか逃れたが、ジェネシスを攻撃する手段を失った。いや、今はシオンだ。

 

トゥルースはライフルの爆発で両腕だけでなく頭部までも失い、漂っていた。今この状況で撃たれれば、核爆発が起こる!

 

レナはブレイブをトゥルースに近づけ、外に出てコクピットハッチを開ける。

 

「兄さん!」

 

シオンは爆発で気絶していた。パイロットスーツの非常用テープでひびの入ったバイザーを塞ぎ、ブレイブのコクピットに連れて行く。

 

 

 

フリーダムのビームサーベルをプロヴィデンスはシールドで受け止めた。

 

〈これが定めさ!知りながらも突き進んだ道だろう!〉

 

「なにを!」

 

〈正義と信じ、分からぬと逃げ!知らず、聞かず!〉

 

正義と信じた……そう、アスランは正にそれ。キラは外の世界から目を背けた。

 

〈その果ての終局だ!もはや止める術などない!〉

 

二機は離れ、プロヴィデンスがドラグーンを展開する。

 

〈そして滅ぶ……人は!滅ぶべくしてな!〉

 

ドラグーンが放つビームの嵐をフリーダムはかいくぐってプロヴィデンスに迫る。

 

「そんなこと!」

 

 

 

「絶対に止める!貴女も!あれも!!」

 

〈は!私を止めたところでもうジェネシスは止まらないさ!〉

 

ジャッジメントの剣をシールドで受け止め、アフェクションは押し返す。

 

〈大体、今までオーブでぬくぬく生きていたくせに…今更世界を救おうと?おこがましいわね!〉

 

おこがましい。確かに、そうだ。外の世界のことになど関心を持とうとしなかった。その結果、アスランの母が死んだことさえ知らず、そのアスランがどうしているかなど考えもしなかった。

 

 

 

「何をしている!急げ!これで全てが終わるのだ!」

 

ジェネシスの照準を大西洋連邦の首都、ワシントンに定めたところで兵士達は作業を止めた。そうだ。これでいい。これで議長が停戦を地球軍に呼びかければ、戦いは終わる。

 

だが、違った。パトリックは発射を声高に叫び、遂にユウキが呼びかける。

 

「議長。この戦闘、既に我が軍の勝利です。撃てば、地球上の生物の半数が死滅します。もうこれ以上の犠牲は…」

 

ユウキの言葉は続かなかった。パトリックが銃を撃ったのだ。

 

 

 

「そんな貴方の理屈!」

 

〈それが人だよ!キラ君!〉

 

「違う!人は…人はそんなものじゃない!」

 

フルバーストでプロヴィデンスを撃つが、ドラグーンを一基盾にすることで躱されてしまった。

 

 

 

〈私とラウがやらなくても、こうなっていた!世界は!人がそれを望んでいるからよ!〉

 

「自分の望みを世界の望みにこじつけるなんて!」

 

アフェクションの対艦刀を一本、ジャッジメントの剣がたたき折る。ユリはその一本を捨てて、ビームサーベルを抜いてジャッジメントの剣をたたき折った。

 

〈こじつけてないわよ!Nジャマーキャンセラーだってそう!エネルギー問題より先に、武器に使ったのは地球軍!つまり、地球の総意よ!アレだって、元々武器じゃなかった!それを武器に使ったのはザフト!〉

 

つまり、全て地球とプラントの人々が望んだとでも言うのか?相手を滅ぼすことだけを考えて!

 

 

 

〈は!なにが違う!何故違う!〉

 

プロヴィデンスのライフルがフリーダムの右足を撃ちぬいた。

 

〈この憎しみの目と心と引き金を引く指しか持たぬ者達の世界で!なにを信じる!何故、信じる!?〉

 

ライフルとシールドのビームがフリーダムのシールドを弾き飛ばしキラはビームサーベルを抜いた。

 

「それしか知らない貴方が!」

 

〈知らぬさ!所詮、人は己の知ることしか知らぬ!〉

 

己の知ることしか知らぬ……キラの脳裏に、多くの人々の言葉が蘇る。自分の価値観から外れた物を理解しようとしない、自分も含め過去の友しか知らない者達……

 

〈まだ苦しみたいか!いつかは、やがていつかはと!そんな甘い毒に踊らされ、一体どれほどの時を戦い続けてきた!〉

 

 

 

〈遺伝子で同じだから、自分を愛すると決めつける愚かな男!自分こそが相応しいと、クローンを造る愚か者!富と名声のために、我が子さえ殺そうとする父親!これが世界!これが人!貴方とキラ!私とレイラ!ラウとムウはその証人なのよ!〉

 

レイスの憎悪をユリは否定できなかった。その通りだからだ。父は己の名声のために、多くの赤ん坊を殺した。遂には実の娘さえも。

 

ムウの父は自分が後継者に相応しい、等と荒唐無稽な妄想で自分のクローンを作らせ、失敗作だと分かった途端に捨てた。

 

レイラの父は妻愛しさでレイラを造らせた。妻のクローンだからと行って、自分を愛する保証などないのに。

 

「貴方は…人の悪い部分しか知らないの!?」

 

〈良いも悪いもないわ!人はそもそも悪い物なのよ!!〉

 

 

 

レナはシオンをブレイブのコクピットに連れて行った。その直後、ザフトのMS隊がこちらを攻撃してきた。ジン、シグー、ゲイツが何機もいる。

 

まずい!まだ、エターナルとクサナギも近くにいる!今ここでトゥルースが核爆発でもしたら巻き込まれる!

 

「こうなったら!」

 

一か八かだ!幸い、敵はジェネシスやヤキン・ドゥーエではなくちょうどエターナルとクサナギの後ろの方から来ていた。追ってきた部隊なのは明白。

 

「元々そっちのでしょ!じゃあ、返してあげるわよ!」

 

レナはトゥルースを抱え、そのまま追撃のMSと艦隊の中に飛び込んだ。そして、トゥルーズをローラシア級にめがけて投げつけ、ビームライフルを撃った。

 

「いけえぇぇぇぇ!!」

 

何発もビームライフルを撃ち、一発がローラシア級を目前にしたトゥルースに当たった。

 

 

 

アスラン達四人はMSをM1のパイロットに任せてヤキン・ドゥーエの司令室を目指した。途中で気づかれ、ザフトの兵士が撃ってくる。リュウは素人だが、それでも必死に撃っている。

 

「リュウ!」

 

フブキはリュウを通路脇に押しのけ、同時に銃声が響いて肩をかすめた。

 

「フブキ!」

 

「大丈夫だ!」

 

フブキは手榴弾を投げつけ、迎撃の兵士を吹き飛ばす。そして、止血パッドをはって奥へ向かう。

 

「急ぐぞ!」

 

リュウは今の爆発で死んだ兵士達を見て、顔を背けた。だが、今はその感傷を抱き締めてあげる時ではない。

 

「ここで止まれば、お前の家族が眠るオーブも消える!」

 

「…分かってる!」

 

 

 

「奴らが……敵がまだそこにいるのに、何故それを撃つなと言う?」

 

指揮官の一人を撃った最高指導者を司令室の全員が本物の化け物でも見るような目で見つめた。

 

「撃たねばならんのだ!撃たれる前に!敵は滅ぼさねばならん!何故、それが分からん!」

 

パトリックは部下を押しのけ、ジェネシスの発射シークエンスを進める。遂にそれを見た、補佐官が驚愕と共に止めようとする。

 

「議長!射線上にはまだ我が軍の部隊が!」

 

「勝つために戦っているのだ!皆、覚悟はあろう!」

 

今、この瞬間に全員が悟った。既に自分達の指導者は狂っていることを……プラントを守る、コーディネイターの未来など、もはやこの男の頭にも目にもない。あるのは敵を、ナチュラルを滅ぼすことだけだ。

 

もはや誰にも止められない、と思われたとき……誰かがパトリックを撃った。先ほど撃たれた、ユウキだ。一発、更に何発か撃ち、彼は事切れた。

 

 

 

アスラン達が司令室に入ろうとしたとき…四人の目に映ったのは撃たれたパトリック・ザラだった。

 

アスランは、それを呆然と見つめながら司令室に入る。敵が侵入したというのに、誰も反応しない。むしろ、議長が撃たれた状況と狂った指導者を恐れてか我先にと出口へ向かう。

 

アスランとカガリがパトリックの傍へ向かうと、パトリックはアスランの肩を掴んだ。何か、言い残すのか?

 

「う、て……ジェネシ……我らの…世界を…うばっ、むくいを…!」

 

直後、パトリックは血を吐いて事切れた。

 

「父上…!」

 

結局、最初から最後までこの人は父ではなかった。この男の目は、最後まで妻を奪ったナチュラルを滅ぼせる、あのミラーしか見ていなかった。

 

「目の前にいたのが…息子だってことも分からなかったの?」

 

「…おそらくな。」

 

リュウとフブキもジェネシスが地球へ撃たれなかった安堵よりも、息子が自分の最後を看取っていることさえ分からなかった父親への憐憫の表情が先に出ていた。

 

 

 

 

 




中編はここまでです。

結局、最初から最後まであの男はアスランの父親ではなかったのでしょう。せめて、アスランの名前を一言でも呼んでいれば、まだ違ったでしょうね。


シオンとレナはキラとユリのように怨敵はいなかった代わりに、エターナルとクサナギを追ってきたMS隊を特大の核爆弾で撃破しました。アスランと比べると、少し間の抜けた形でしょうが……それでもジェネシスを破壊しようとする仲間を守るためにトゥルースを破壊しました。
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