機動戦士ガンダムSEED REVERSE   作:meitoken

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遂に最終局面です。「星のはざまで」はちょっとダイジェスト形式で。


PHASE-44 終わらない明日へ…後編

ヤキン・ドゥーエから次々と艦艇が出てくる。最後のダメ押し、にしてはおかしい。輸送艦や揚陸艇まで発進している。

 

どう考えても、ジェネシスを地球に撃てば勝てるという状況なのに、これではまるでヤキン・ドゥーエを放棄するかのようだ。

 

余りに予想外の事態に地球軍も攻撃の手を止めており、そこへストライクのライフルとシールドを持ったデュエルと損傷が少なかったブリッツに守られたアークエンジェルがやってきた。

 

〈キラ君達は!?〉

 

マリューがバルトフェルドに問う一方、ラクスはプラント側の協力者に問う。

 

「ヤキン・ドゥーエは放棄されたのですか?ジェネシスは!」

 

 

 

〈総員速やかに施設内より退去してください。〉

 

自爆シークエンスのアナウンスだ。ヤキン・ドゥーエは放棄されるのか……アスランはそれとなく、コンソールを確認するとあるシステムに気づいた。

 

「アスラン?」

 

カガリの問いに答えるより先にアスランは何度も確認する。間違いない!

 

「ヤキンの自爆シークエンスにジェネシスの発射が連動している!」

 

「何だと!?」

 

「止められないの!?」

 

フブキも加わり、コンソールを確認する。

 

「どう!?」

 

リュウの問いにフブキはキーボードを殴りつけた。

 

「駄目だ!自爆シークエンスの中止も、発射を切り離すこともできない!」

 

意味を悟ったカガリがその結末を口にする。

 

「それじゃあ、ここが自爆したらジェネシスが地球に!?」

 

「最初から…地球を道連れにするつもりだったの?」

 

リュウの言うとおり、他に考えようがない。この男は、最初から自分が死んだ場合はそうするつもりだったのだ。

 

「こんなことをしても…戻る物などなにもないのに!」

 

 

 

 

フリーダムとプロヴィデンス、アフェクションとジャッジメントの戦いはジェネシスとヤキン・ドゥーエを背に続いていた。

 

ユリはそれを見て、レイスに叫ぶ。既に内部から爆発が起きている。おそらく、ヤキン・ドゥーエは自爆するのだ。

 

「ヤキン・ドゥーエは放棄されるわ!もう、貴女の負けよ!」

 

〈いいえ、フィナーレは揺るがないわ!〉

 

揺るがない?一体、どういう…

 

 

 

ドラグーンを二基撃墜したとき、キラの耳にラウの笑い声が聞こえた。

 

〈どのみち、私の勝ちだ!ヤキンが自爆すれば、ジェネシスは発射される!!〉

 

キラは背筋が凍った。核を止め、ヤキン・ドゥーエも放棄されたというのにジェネシスの発射がまだ残っているのか!?

 

〈もはや止める術はない!地は焼かれ、涙と悲鳴は新たなる争いの狼煙となる!〉

 

「そんな…!」

 

 

 

フィナーレを確信したレイスは勝利宣言をする。

 

〈地球の生き残り共は叫ぶ!コーディネイターを滅ぼせと!そして、コーディネイターは地球を完全に滅ぼすべくジェネシスをまた撃つ!人類は止めどなく、争い続ける!!〉

 

「させない!絶対に!!」

 

 

 

アスラン達はヤキン・ドゥーエを脱出した。既に自爆が始まっており、MSの場所へ着くのも危うかった。

 

ジャスティスが先に発進し、ルージュが後を追う。ペイルとイージスは出遅れて既に追いつけない。

 

〈どうするつもりだ!?〉

 

「内部でジャスティスを核爆発させる!」

 

 

 

キラはジェネシスへ向かうジャスティスとルージュを見つけたが、すぐに意識をプロヴィデンスに戻す。

 

〈人があまた持つ、予言の日だ!!〉

 

「そんなこと!!」

 

ドラグーンがレールガンと右肩を撃つが、ライフルで反撃してプロヴィデンスの左腕を撃つ。

 

〈それだけの業!重ねてきたのは誰だ!〉

 

ドラグーンを殆ど失っても、プロヴィデンスはいささかも怯まない。

 

〈君とて、その一つだろうが!〉

 

 

 

〈もう、私とラウを倒したところで止まらない!私達の勝ちよ!〉

 

「まだ、終わっていない!」

 

ドラグーンがアフェクションのライフルを撃ち抜き、反撃のサーベルがジャッジメントの右腕を奪う。

 

〈終わらないさ!血で血を洗うこの世界は!〉

 

「ちがう!終わらないのは……そんな世界じゃない!貴方達が認めない、知らない世界を…私達は知っている!!」

 

 

 

アスランはジェネシスのハッチを破壊し、飛び込んだ。

 

〈そんなことをしたら、お前は!〉

 

「それしか方法はない!お前は戻れ!」

 

〈アスラン!〉

 

「駄目だ!」

 

リフターをパージし、ルージュの進路をふさいだ。そして、間もなくジャスティスはジェネシスの中枢に辿り着いた。

 

アスランはパネルを開き、自爆シークエンスを進める。

 

〈アスラン!!〉

 

思わず、アスランは手を止めてしまった。カガリだ。ここまで、追ってきたのか?

 

〈駄目だ、お前!〉

 

カガリは少しの間を置いた。

 

〈逃げるな!……生きる方が、戦いだ!〉

 

生きる方が、戦い……このまま父の業と共に自らを焼き尽くしてしまおうと思った。だが、違うのか。俺は…生きて良いのか?

 

 

 

〈終わらせない!世界は、私や貴女を生み出した欲望だけじゃないから!!〉

 

アフェクションは右手のサーベルと左手の退艦刀の一本でジャッジメントに突っ込んだ。ジャッジメントも一端距離を置いて、左腕でサーベルを持ってドラグーンを撃ちながら突っ込む。

 

ドラグーンがアフェクションの左手を撃ちぬき、右足を撃ち抜いた。それでも二機は止まらない。

 

交差した瞬間………ジャッジメントはアフェクションのビームサーベルで切り裂かれた。

 

ビームで焼かれる瞬間……レイスの脳裏には憎い両親と、あの女…そして、今プラントにいる長い黒髪の男と彼に寄り添う二人の子供がよぎった。

 

 

 

〈守りたい世界があるんだ!〉

 

フリーダムがライフルの攻撃に構わず突っ込んだ。サーベルを連結したハルバードの一閃がライフルごと右腕を奪うが、それでもラウはまだ終わらない。残ったドラグーンでフリーダムを撃ち続け、頭と胸を撃ち抜くがフリーダムは止まらず、ハルバードがコクピットを貫いた。

 

が、ラウは勝利を確信していた。そして、同時に……どこか安堵していた。

 

ようやく、この身体から解放される…

 

同時に…自分にあの薬をくれた黒髪の男、自分と同じ顔と髪をもつ少年、黒髪の少女の顔が脳裏をよぎった。

 

 

 

ヤキン・ドゥーエのカウントダウンがゼロになると同時に要塞が各所から一斉に爆発し、司令室もパトリック・ザラの遺体と共に消える。そして、その爆発がジャッジメントを飲み込んだ。

 

同じ瞬間、ジェネシスが発射されてフリーダムは退避するがレーザーを受けたプロヴィデンスの核爆発で大破した。そして、ジャスティスが自爆してジェネシスは内部から崩壊、反射用のミラーもプロヴィデンスの核爆発で破壊された。

 

誰もがその光景を唖然と見つめた。

 

永遠に続くと思われたとき……アイリーン・カナーバの声が響いた。

 

〈宙域のザフト全軍、並びに地球軍に告げます。現在プラントは地球軍、及びプラント理事国家との停戦協議に向け準備を始めています。それに伴い、プラント臨時最高評議会は現宙域における全ての戦闘行為の停止を地球軍に申し入れます。〉

 

 

 

レイラは意識を取り戻した。あのまま気絶してしまったようだ。モニターを見ると、ヤキン・ドゥーエとジェネシスが爆発していた。

 

「…やったのね、みんな。」

 

そして、彼女の気配は消えていた。おそらく、キラかユリが討ったのだ。

 

「………まだ、当分そっちに行けないから。」

 

 

 

リュウはヤキン・ドゥーエとジェネシスの爆発を見つめ、フブキに問う。

 

「フブキ…」

 

〈…何だ?〉

 

「助かったのよね…地球。」

 

〈……ああ。〉

 

 

 

レナは目を覚ました。あの核爆発のショックで気絶してしまったようだ。

 

「…レナ?」

 

「兄さん…」

 

シオンが目を覚ました。

 

「ここは?」

 

「ブレイブのコクピット……見て。」

 

残ったモニターには、自爆で崩壊したヤキン・ドゥーエとジェネシスが映し出されていた。

 

「……終わった、のか。」

 

 

 

アスランはルージュのコクピットから身を乗り出した。その直後…カガリが抱きついて、アスランもそれを強く抱き締めた。

 

アスランは、今ほど彼女との出会いを感謝したことはない。生きていて、良いんだ。俺は…!

 

 

 

ユリはぼんやりとする思考で、目が覚めた。

 

「私…生きてる?」

 

〈アフェ……応答……こち…アー、エン…!〉

 

アークエンジェルからの通信だ。みんなも無事のようだ。

 

「生きてる…世界も…まだ…」

 

 

 

キラはフリーダムのコクピットから放り出され、呆然とつぶやく。

 

「僕達は…どうして……こんなところに、来てしまったんだろう?」

 

あの男の呪詛がまだ蘇る。

 

答えが分からないとき……キラの目に映ったものは………トリィだ。

 

トリィに導かれるようにストライクルージュがこちらにやってくる。ハッチが開いた状態でアスランとカガリがヘルメット一杯に涙を浮かべていた。

 

それを見て、キラは一つだけ分かった。

 

まだ、帰る場所があることを………

 

僕達の…世界は……

 

 

 

 

 

全ての戦いが終わって数ヶ月……

 

キラはマルキオ導師の元で静養していた。あの戦いでキラは到底癒やしきれない心の傷を負い、ラクスも自身の心の傷を癒やしたく、そしてキラに寄り添うために地球へやってきていた。

 

アークエンジェルのクルー達は脱走兵という事で地球軍に戻るわけにも行かず、皆カガリとフブキの計らいでオーブに亡命した。ナタルもまた、地球軍を見限って共に亡命…ドミニオンのクルー達はナタルをMIAとして報告する形で協力してくれた。

 

カガリとフブキは暫定政権が樹立されたオーブで、大西洋連邦との協議に追われる日々を過ごしている。マスドライバーを失い、首都オロファトとオノゴロも被害を受けている。この状況で主権を回復するのは容易ではない。

 

リュウもまた、亡命したアスランと共に現在はアスハ家が身元引受人となり、家族に戦争が終わったことを報告した後はフブキの傍で活動をしている。平和の尊さと、戦争の恐ろしさを彼女なりに学んだ末の結論だ。

 

ヘリオポリスの学生達も元の暮らしに戻ったが、全てが元通りではない。彼らは多くの物を失い、喪った人々への想いを胸に今を生きている。

 

 

 

ユリもまた、キラの様子を見ながら現在はモルゲンレーテの臨時スタッフとして働いている。恋人のシュウも一緒だ。

 

レナは一度、プラントにある叔父と叔母の墓参りをした後にオーブへ戻った。シオンは戦後処理のためにオーブへ戻らず、共にアークエンジェルに乗っていたディアッカ、イリア、ミサキもザフトへ戻った。最後の戦いで協力してくれたイザーク・ジュールとニコル・アマルフィも戻る前にキラ達と出会い、互いの道を認め合っていた。

 

 

 

誰もが多くの物を喪った戦い……もう二度と戻らない日々、命………だが、それでも世界は続いている。

 

戦争の愚かさを胸に刻んで、歩き続けるのだ。

 

 

 




去年の12月から始まったSEED。

ようやく終わりました。


すこしやすんだら、こんどはDESTINYです。あっちも原稿はあるので、投稿のペースは比較的早めです。
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